「20年後、あなたはどんな働き方をしていると思いますか?」
こう聞かれて、即答できる人はなかなかいないのではないでしょうか。働き方改革に副業解禁とさまざまな変化が起きているし、そもそも20年後に同じ会社にいるかも不透明。「分からない」というのが正直な答えでしょう。
ただ、裏を返すと企業側もその変化に対応している真っ最中だということです。採用や育成、社内制度の整備といった人材に関する仕事をしている人事の業務は近年、どんどん複雑になっています。
そんな人事のサポートをしているのが、Works Human Intelligence(以下、WHI)です。
『「はたらく」を楽しくする』をミッションに掲げる同社は、統合人事システム「COMPANY(カンパニー)」が主力商品です。1996年の販売開始以降、時代の変化に合わせ、給与計算や勤怠管理、人材開発、タレントマネジメントなどのあらゆる人事の業務をサポートし、国内大企業の3社に1社が利用しています。(※1)
変化の激しい業界で、なぜCOMPANYは20年間も支持されているのか。WHIのマーケティングDept長である松本耕喜さんにお聞きしました。
(※1)……WHI調べ
「未知」と向き合った学生時代と、今の仕事の共通点
── はじめに松本さんのご経歴を教えてください。
松本:2006年、WHIの前身企業であるワークスアプリケーションズに新卒で入りました。学生時代は物理学を専攻していたのですが、ワークスアプリケーションズが日本企業の問題解決を通じて顧客の成長にコミットしている企業だということに感銘を受けて、入社を決めました。
松本 耕喜(まつもと こうき):Bussines Planning Div. Marketing Dept. Dept Manager
千葉大学物理学部卒。2006年に株式会社Works Human Intelligenceの前身企業に新卒で入社。HRシステムコンサルタントに配属され、30企業以上の人事システムの構築などを経験。2009年よりクライアントの戦略設計からシステムデザインを担うコンサルティング事業の立ち上げに参画。13年にPR・マーケティングに職務転換し商品ブランディングを担当。2019年、株式会社Works Human Intelligenceの設立により転籍し、同年から現職。
── 物理学と人事は、あまり関係のないような気もします。むしろ、物理学は公式や正解があり、人事が抱える課題は公式も正解もないという点では、真逆の思考回路なのかなと思ってしまいますが……。
松本:全く同じだと思っています。どちらも未知に向き合うんです。物理学は、物の理(ことわり)。つまり、なぜ物質が存在するのかという学問なんです。なぜ地球は存在するのか、宇宙は存在するのか。それらの仕組みを理解し、誰も知らないことを解き明かすのが、物理学です。
例えば、宇宙空間では「宇宙線」という高エネルギーの放射線が飛び交っているのですが、物理学では宇宙線を観測することで、何万光年先で起こっていることを予測します。未知そのものですよね(笑)。結果的にそれらが数式化されることもありますが、そのプロセスとして、想像力と仮説構築力を働かせる必要があります。
人事の仕事も、どうやったら人や組織が育つのか、どうしたらその人が一番いいパフォーマンスを出せるのか、という問いに想像力を働かせ、ソリューションを提供しています。その点が、物理学と同じだと考えています。
── 学生の中には、人事は「採用面接をする人」というイメージを持つ人もいますが、本来は組織や人材に関する課題に向き合い、その過程で見つかった「ブラックボックス」を解消しようとしているわけですね。
松本:はい。そして、こうした課題に向き合っている方たちがWHIのお客さまであり、私たちの仕事は、お客さまとあるべき姿を解き明かし、解決するための支援をすることです。
「新しい働く価値」「人事のあり方」を提示するリーディングカンパニーに
── 入社後のキャリアについても教えてください。
松本:当時は、コンサルタント領域の仕事をしていて、日本の「はたらく」の課題をお客さまとともに解決する部署にいました。
例えば、地方自治体。当時の行政は、限られた人しかインターネットに接続することができないような、改善の余地が大きい仕組みで働いていたんですね。人事異動を伝える辞令書も紙でした。私が担当したお客さまはそれを変えていきたいということで、辞令書の電子化などを支援しました。
コンサル業務には7年携わり、20業種ほど関わりました。金融機関から製菓業界まであらゆる産業や働き方、そこで働く人たちの悩みを垣間見ることができましたね。
── それは今もWHIで働き続けている醍醐味(だいごみ)の1つですか。
松本:そうですね。ヒト・モノ・カネ・情報が経営資源といわれますが、この「ヒト(人)」に関する課題の解決が一番難しいと感じています。投資運用やファイナンスをAI(人工知能)化することはかなり進んでいるでしょうし、ものづくりに関しても自動化が進んでいるんです。
対して、人に関わる仕事は自動化できるでしょうか。もちろん将来的にはできるかもしれませんが、一番難しい領域だと思っていますし、常に探求していくことが何よりも重要です。
人々がどうしたら効率よく楽しく働けるのか、自分の能力を最大限に出せるのか。どんな仕組みがあれば、個人のパフォーマンスが企業の業績につながるのか。それらを探求し、企業が抱える課題と解決方法を考え、走り続けることに魅力を感じています。
── 現在の松本さんのお仕事は、どのような内容になるのでしょうか。
松本:WHIが目指しているところは、「日本企業の人事を良くして、はたらく人たちが真価を発揮できる社会を作ること」です。その上で、私が担当しているマーケティングの仕事は、まさに今、世の中にどんな変化が起きているのかを捉えて、それをWHIの製品やサービスに落とし込み、お客さまに届けていくこと。
そのため、先手を打つことを重要視しています。この「はたらく」を考えている業界の中で、一歩先の提案をしていく必要があると思っています。WHIのビジネスは、顧客に「COMPANY」というシステムを使っていただくだけでなく、その先に「新しい働く価値」や「新しい日本企業の人事のあり方」を常に提示し、牽引(けんいん)すること。そうしたブランディングも担っています。
WHIの認知度をより高めるために、費用対効果の高いウェブ広告設計をしたり、ビジネスコラムを書いたり、元プロ野球選手の松井秀喜さんを招待した大規模なカンファレンスを開催したりしています。WHIが、市場における唯一のポジションを獲得することがミッションですね。
── 「新しい日本企業の人事のあり方」を提示していくことは、WHIのミッション達成にもつながりますね。
松本:はい。『「はたらく」を楽しくする』というミッションに向けて、そのためには何をしなくてはいけないのかを日々考えながら、1歩ずつ進んでいます。
対応力とコミュニティで唯一無二のサポート体制を確立
── WHIの事業の強みを改めて教えてください。
松本:時代の変化に対応し続けるシェアNo.1の製品を有していることです。
今、ジョブ型雇用(※2)の導入など、今までの日本の慣行や習慣を見直し、働く「人」を変えていく動きが加速しています。人事とはまさに、働く人たちが成長して、生産的になって、より気持ちよく働いてもらえるような仕組みを作る仕事です。WHIは、日本の企業の中で非常に重要な役割を担っている人事の仕事をより良くすることを事業としています。
(※2)……業務範囲をあらかじめ決めて、雇用契約を結び、契約の範囲内で働く雇用形態
── WHIの主力事業は統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートですが、現在はどれくらいの企業に採用いただいているのでしょうか。
松本:約1,200の法人グループに採用していただいています。弊社が今メインターゲットとしているのは、大企業です。従業員数でいくと1,000名以上の企業に向けたソリューションを提供しています。ERP(Enterprise Resources Planning)市場の人事・給与業務分野ではシェアNo.1です(※3)。
(※3)出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2022」
── そこまで高いシェアを確保できるのは、どうしてでしょうか?
松本:大きく2つの理由があります。
1つ目は、対応力です。人々の働き方に対する考え方やビジネス環境は日々変化しています。その変化に対応しようとすると、当然、人事の仕事内容も変わります。
例えば、リモートワークを新しく始めたとして、今までは定期代の支給しか制度がなかったので、出社日の交通費だけを支給するようにしようと考える。そうすると、今までそのようなシステムがなかったから、新しくシステムを構築しないといけない。
しかし、定額制の「COMPANY」なら、そうした機能をプラスする際も追加費用はかかりません。ローンチから20年以上たちながらも、導入企業数が今も伸び続けているのは、社会や働き方をはじめとする、さまざまな変化への対応力を評価していただいているからだと思います。
── 2つ目は何でしょうか?
松本:もう1つは、ユーザーコミュニティの存在が大きいと思います。弊社の製品を利用いただいているお客さまのコミュニティがあります。
一般的なユーザーコミュニティは、新商品のお知らせをしたり、満足度調査をしたりする一方通行のコミュニティが多いですが、弊社のユーザーコミュニティはサプライヤー側とユーザー側という関係性ではなく、ユーザーによるユーザーのための会なんです。
そうすると、お客さまたちの間でいろいろな産業や業界で起きてくる日々の変化がシェアされる。コミュニティの運営は私たちもサポートしており、そこで出てくる機微をキャッチできるようになっています。
例えば、就労証明書。「この会社で私は働いています」という証明書で、市区町村の保育園に子どもが入園するときに必要な書類です。この就労証明書のフォーマットは、自治体ごとに形式が異なっています。
実際に書類を提出する従業員本人にとっては気にならないことだとは思いますが、例えば大企業の人事担当者の業務を想像してみてください。仮に拠点が全国に50カ所あり、50市区町村ごとにフォーマットが違うとしたら、50通りの就労証明書を作成しないといけないのです。これは大変手間がかかりますよね。
── 確かにそれは大変そうですね……。
松本:そうした声がユーザーコミュニティの中であがり、コミュニティの皆さんとともにフォーマットを統一するよう、内閣府に働きかけをしたこともあります。
コミュニティから変化を読み取り、さらにコミュニティの力を使って、社会を変えていく。そのコミュニティに入りたいから、COMPANYを利用していただいているケースもあります。
群雄割拠のHRテック業界で、WHIが先頭を走れる理由
── 他にもCOMPANYの特徴はありますか?
松本:先ほどお伝えした通り「変化に強いサービス」と評価して長く使い続けていただいている企業が多く、25年前にご採用いただいたお客さまが今もご利用くださっています。チャーンレート(解約率)を見ても、年間2%を切っています。
── なるほど。現在、HRテック業界にはさまざまなサービスが生まれていますが、他社がWHIのサービスに追随できないのはなぜでしょうか。
松本:1つは先行優位が理由です。COMPANYをローンチしたのは1996年で、20年以上に渡って培ってきたノウハウがあります。時代や社会の変化に応じて、適切なタイミングで追加してきた機能の数々や、その間に蓄積してきた膨大なナレッジもあります。
もう1つはエンジニアの力だと思います。私たちがエンジニアに求めてきたのは、コーディング力ではなく、問題解決能力です。課題がどこにあるのかを楽しんで考える能力ともいえます。
1社から寄せられた悩みを単に解決するだけでなく、その悩みを起点に、他の企業にも共通する本質的な問題は何か、ユーザー全体がその悩みを抱えないようにするためにはどうすべきかを考えてきました。どの企業も汎用的にサービスを使えるような思想でシステムを作ってきたんです。言われた通りにものを作るのではなく、エンジニア自身もどういう構造であるべきかを考え、その仕組みを作る。そんな人材が活躍しています。
人材を育てるのにはやはり時間がかかりますから、WHIがアクセルを踏み続ける限り、他社が追いつくのは難しいと思いますね。
価値観の変化を素早く捉えて、企業と働く人の関係を良くする
── 今後の事業の課題を教えてください。
松本:30年前の新卒の学生と、今の新卒の学生では価値観が違うように、価値観の変化がまさに起こっていると思います。
例えば、それまでは1社を定年まで勤め上げるという価値観が主流でしたが、今は自分のやりたいことや、より社会に貢献できる働き方をするために、転職を複数回行う人も増えていますよね。
企業人事としては、社員それぞれのキャリアの展望や学びたいスキル、希望を把握する必要があるわけです。企業と社員が対話するために、COMPANYの中でも面談管理の機能やキャリア管理の機能を提供していますが、これはおそらく30年前だと必要とされない機能でした。
そのほか、副業に関しても価値観が変わりましたよね。そうしたビジネスを成功させたい企業側と、自分のキャリアやライフを充実させたい人たちとの間にある「ギャップ」を埋める。企業と働く人の関係性を良くすることがこれからの大きなテーマで、目下取り組んでいることです。
── 新卒採用では、どんな学生を求めているのでしょうか。
松本:成長したいという思いがあるか、そして、他者に貢献したいという思いがあるかということが重要だと考えます。「はたらく」ということを、自分の生き方や人生として捉え、より充実させていきたい、「より多くの人に貢献できるようにしたい」と思えるか、ということです。
加えて、これまで探究心を養ってきた方は弊社の仕事を好きになれると思います。弊社の評価基準にも「知的探究心」という項目があるのですが、新たな未知を見つけたい欲求があるかどうか。そこも重要視しているポイントですね。
── 最後に、就活生に向けてメッセージをお願いします。
松本:私たちは『「はたらく」を楽しくする』をミッションとしています。働く人にとって、それぞれの叶(かな)えたい夢や人生観があり、それらを実現できる社会を作りたいです。
目指す世界の障壁となるようなこと。例えば企業と社員の価値観のギャップを取り除き、解決することで、ミッションの実現を目指しています。
学生の皆さんにも「はたらく」ということを本気で考えてほしいですし、できれば私たちと一緒に好奇心や探究心を持って、新しい社会を作りたいと考えています。
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