99%の学生がしている、キャリアに関する4つの誤解
就活生の間では、「どうしてこんな誤解をしているんだ!?」と驚くようなキャリアへの誤ったイメージが蔓延しています。今回は特に99%の学生が誤解している、
(1) 社風の影響力
(2) 離職率
(3) 外資と日系のイメージ
(4) 業界と給与
に関する4つの真実をお伝えします。
真実1:社風はあなたの働き方に影響しない
よく内定者が「社風に惹かれて入社を決めました」と言いますが、実は社会人はそれを聞きながら「いいのかな、社風で入社を決めちゃって」と思っています。
企業の採用説明会では、よく会社の格言やポリシーを聞かされると思います。そして就活生は「創業者以来ずっと続いているこの会社の根幹となる哲学なんだ」と捉えるかもしれません。しかし、社風は風土改革でアッサリ変わってしまうことがあります。
一族経営だった企業が後継に外部の実力者を取り入れる、事業売却を行う、柱となる事業を時代に合わせて変える……企業が存続する上ではさまざまなフェーズが存在します。そして時代を生き抜くためには、社訓や社風すらその変化にさらされます。
また、あなたという「労働者」に一番影響するのは『社風』よりも『部署の風土』であり、もっと言えば『上司の指導方針』なのです。どんなに会社がデジタル化を進めていても、あなたの上司が「メールなんて打つな、FAXしろ!」という人なら、あなたはFAXを主な通信手段とするでしょう。会社全体の飲み会が少なくても、上司が毎日あなたを飲みに誘うなら、飲む回数は増えることとなります。つまり入社後の生活へ最も大きな影響力を持つのは『社風』より『上司』なのです。
真実2:安定志向の日系企業でも、入社したら3割が3年以内に辞める
多くの方が、外資系企業はリストラなどで離職率が高く、日系企業は原則として一生勤め上げるため離職率が低いというイメージを持ってらっしゃるかと思います。しかし、日系企業でも新入社員の3割は入社3年以内に辞めてしまいます。
そう伝えると、特にトップ学生ほど「今の学生はゆとりだから」とか「根性がないから」と考えたくなるかもしれませんが、実はこの3年の離職率は、統計を始めた1987年からあまり変わっていません。また、3年以内に辞めるといってもネガティブな理由とは限らないのです。
MBA取得のため、結婚したから、大学院に戻って研究の道へ進みたい、国家資格を受験するため……。内定時は明確でなかった「人生でやりたいこと」が働いているうちに見えてくることもあります。特に転職のイメージがフラットになっていくこれからの時代、「ここで40年働くんだ」というよりも「転職のことも視野に入れよう」という考え方で、どの企業を選ぶかが重要になると言えるでしょう。
真実3:外資系企業は雇用が不安定で、日系は安定とは限らない
外資系企業といえば、リストラなど不安定なイメージをお持ちの方も多いと思います。逆に伝統的な日系企業は自分が定年退職するまで安心して働けるイメージがあります。しかし外資系企業にも安定雇用のまったりした企業や、日系企業で「目に見えないリストラ」が横行しているパターンもあります。安易に業界や資本で安定・不安定を決め付けるのはリスクに他なりません。
たとえば5年前の就活生は私に「インフラへ行けば一生安泰」と言っていましたが、東日本大震災で何が起きたかは言うまでもありません。10年前であればソニーやパナソニックは「誰もが憧れる企業」でしたし、外資系金融機関は「30歳で億を稼ぐ花形」でした。15年前に就活生が殺到したのは、今では存在しない銀行です。これから40年働くのであれば「いま花形の企業だから」という観点を捨てて企業を選択しないと後悔する可能性があります。
真実4:初任給で考える「高給取り」はあてにならない
よく、外資系社員の給与や、野村證券のグローバル職の給与が話題になります。しかしそれだけで「高給だから」と会社を決めると「本当の給料」を見逃すことになります。
会社員の給与は「基本給」と呼ばれるベースの賃金と「残業代」「職種や役職手当て」などで支払われます。そして多忙な業界では、残業代が基本給を超えることもザラにあります。多忙というと広告代理店や商社が想像つくかと思いますが、意外なところでは「メーカーのSE職」なども該当します。具体的な例を示すと、たとえばこんな現象が起きます。
・某外資系コンサルタント1年目の給与
基本給40万円 + 残業代0万円(年俸制) = 月給40万円
・某パソコンメーカーのSE1年目の給与
基本給20万円 + 残業代30万円 = 月給50万円
・某金融機関1年目の給与
基本給20万円 + 残業代20万円 + 家賃補助10万円 = 月給50万円
このように、残業代や家賃補助といった、就活では正確な金額がわからない部分で実際の給与は簡単に変化してしまいます。「外資だから」「商社だから」といった理由で高給だと思い込んだり「メーカーだから」と給与を諦めたりするのは早計。OB・OG訪問で実情を明らかにしていきましょう。
また、年収カーブも業界によって大きく異なります。外資系企業は毎年コンスタントに昇給しますが、メーカーでは6年目に役職で一気に昇給する企業もあります。現状だけに捉われない、将来性を踏まえた収入をはかる冷静な目が必要です。
データに踊らされないためにも足を使って実態を掴もう
ここまで、就活生が誤解しがちな真実を4つ明らかにしてまいりました。どれも就職活動ではあまり語られない部分ですから、企業ごとの実態は自分で掴んでいくしかありません。できる限り社員や元・社員の方へお話を聞くことで、データに踊らされない就活を進めていってください。