こんにちは、トイアンナです。
志望動機や自己PRを書くエントリーシート(ES)は、ほぼすべての企業で選考時に課されます。しかし、多くの学生がESの添削を受けないために、せっかくエピソードが良くても選考に落ちてしまうこともあるのが現状です。
この記事ではESの要点を「エピソードの内容選び」と「書き方の文法」に分け、例文付きで徹底的に解説します。この記事のポイントをきちんと押さえれば、ESの通過率を限りなく高めることができます。ぜひページごとにスクショやブックマークをして、見ながらESを書いてみましょう。
<目次>
●【エピソード選び編】ESに書くべきエピソード3つの条件
●【書き方の文法編】あなたのESが落ちる5つの「ダメ文法」
・質問に答えないESは0点
・文章を短くしたつもりでも長すぎる
・状況説明があいまいすぎる
・誤字脱字、助詞の連続など詰めが甘い
・文章が意図せず偉そうになっている
●人の失敗を見ておけば、ESは怖くない
【エピソード選び編】ESに書くべきエピソード3つの条件
ESには、多種多様な設問が用意されます。しかし、すべての設問は「あなたが自社でどう役に立つのか?」を質問しているに過ぎません。従って、どの問題も答えに窮したら「この設問で、どうやって自分が会社で役立つ人材だと見せられるだろうか?」と考えてみましょう。
具体的には、3つの条件を押さえましょう。ESでは「チームワークで」「主体的に取り組み」「数字で見せられる成果を出した」経験が問われています。これは、実際の業務で問われる姿勢と同じです。企業の一員として働くとき、ほぼチームワークで、主体的に取り組む必要があり、数的成果を追求します。これ以外は、設問に対する正直な答えでも書くべきではありません。実例を見てみましょう。
【例題】あなたが学生時代で一番頑張ったことを教えてください。
【悪い例】
私が学生時代に一番頑張ったことは、哲学を勉強したことです。私は大学の授業で西洋哲学を履修しています。授業の課題でアリストテレスの輪読が出ましたが、私には難しい課題で苦戦しました。しかし何度も読み進めるうちに理解が深まり、無事にレポートを提出できました。
「チームワークで」「主体的に取り組み」「数字で見せられる成果」の3点が欠けているため企業であなたがどう活躍できるかの資料として不十分です。勉学を頑張ったことが悪いのではありません。
同じ勉強の成果でも、改善できる例を出しました。
【改善例】
私が学生時代に一番頑張ったことは、授業の履修者同士で結束を強め、全員をA評価にしたことです。私は受講生の8割が単位を取れないといわれる西洋哲学の授業を履修しました。そこで脱落しそうな生徒が多いことに気づき、授業後に集まって勉強会を主催しました。勉強会ではメンバーそれぞれが強みを発揮し、最後には全員がA評価をもらえました。
よく「勉強ネタは受けない」と言われますが、決してそんなことはありません。上記の3つの条件を満たしていれば、通過するESは作れます。逆に、一見評価がよさそうに見える体育会や留学の経験でも「個人作業で、受け身の経験を、数字に表せない評価で」していたならES通過率はほぼゼロでしょう。
【書き方の文法編】あなたのESが落ちる5つの「ダメ文法」
ここまで、ESにふさわしいエピソードの選び方をお伝えしました。ここからは、具体的な「書き方」のノウハウを紹介します。なお、よく誤解されることですが、ESでは「書く内容」よりも、「書き方」が重要です。書かれた内容が判断されるのは、あくまで全文を読まれてから。それ以前に、最後まで読んですらもらえず脱落するESが圧倒的多数なのです。
では、なぜそのような事態になっているのか……。
想像してみてください。あなたは普段、営業として働いています。そこからいきなり人事部に呼び出され「ごめん、今年の採用手伝って!」とお願いされます。あなたは普段の仕事に加えて採用担当をせねばなりません。
机の上に山積みとなったESは300通。読み始めるのは早くても22時となりそうです。眠い目をこすりながら、日本語すらしっちゃかめっちゃかなESをくまなく読むでしょうか? 答えはNOです。最初の10枚までは真剣に読んでも、200通目にはどうでもよくなっていることでしょう。
たとえ300番目に読まれるESでも通過したいなら、1文目で相手をひきつけねばなりません。そのために必要な要素を、ここからお伝えします。
質問に答えないESは0点
私の指導経験から申し上げて、ESの合否は冒頭で決まります。特に、「文頭でいかに端的に自分の成果を書けるか」が極めて重要です。と、言われて納得はできても、実際に書いてみるとメチャメチャな学生が大多数です。添削を繰り返し受けるのに越したことはないのですが、ここでは例を挙げ、少しでも見直しにつながればと思います。
【例題】あなたが本インターンで学びたいことと生かせる強みを教えてください。(200字)
【悪い例】冒頭で質問に答えていない
私は物事を分析できます。私は学生時代に飲食店でアルバイトをしていましたが、売上が低迷していました。その理由はスタッフが忙殺されていたことでした。そこで私はスタッフが余裕を持てるよう、分担表を見直し得意としている業務を重点的に割り振りました。その結果、売上が20%上昇し、スタッフのやる気も出ました。この強みを生かして貴社インターンではさらに分析する方法を学びたいです。
完璧なエピソードですが、冒頭に「本インターンで学びたいこと」「生かせる強み」が書いていません。1行目で読むのを止められてしまい、落ちる可能性が高いです。
【改善例】
インターンで学びたいことはデータに基づく分析手法です。そこで私が生かせる強みはヒアリング能力です。私は飲食店でアルバイトをしていましたが、売上が低迷していました。理由はスタッフが忙殺されていたことでした。そこで私は全員から緻密なヒアリングを実施しました。ヒアリングをもとに分担表を見直した結果売上が20%上昇しました。データ分析を強みとする貴社でさらなる分析手法を学びつつ、この強みで貢献したいです。
文章を短くしたつもりでも長すぎる
次にありがちなミスが、「本人は文章を短くしているつもりでも、客観的には全く短くなっていない」事例です。就活生は端的に文章をまとめる経験が少なく、文章が長くなりがちです。(むしろ読書感想文やレポートの文字数を冗漫にすることで埋めてきた方の方が多いでしょう)そこで生まれるのが以下のようなESです。
【例題】あなたが課外活動(部活・サークル・アルバイトなど)で頑張ったことを書いてください。
【悪い例】
私が課外活動で頑張ったことは、所属しているサッカー部で、チームを巻き込んで改善策を出し、グループリーグ2軍優勝へ導いたことです。私の大学では、サッカー部が1軍から3軍に分かれており、未経験の私は3軍に入りました。優秀な生徒へ引け目を感じている3軍の学生を見て、何とか成功体験を積んでほしいと思った私は、以下の対策を取りました。(以下略)
この文章は「句読点が多すぎる」「1文が長すぎる」がセットで読みづらい文章を作っています。まずESを書いたら「1文に1つ以上の意味がないか」を見直してみましょう。
たとえば「私の大学では、サッカー部が1軍から3軍に分かれており、未経験の私は3軍に入りました。」は「私のいるサッカー部では1軍から3軍に分かれている」「未経験は3軍に入る」という2つの文章が合わさっています。こういった文章を1つずつ区切ることで、ESはぐっと読みやすくなります。冒頭部が長いのも致命的です。最低限の結論を圧縮して書くようにしましょう。
【改善例】
部活のチームを昇格させたことです。私は大学のサッカー部に所属しています。部では未経験者が3軍にまとめられていました。しかし未経験者は優秀な1・2軍に引け目を感じていました。私はその状況を打破したいと思い、以下の対策を取りました。(以下略)
冒頭の1文を「部活のチームを昇格させたことです。」に集約することで、必ずしも必須ではない情報である「何部に所属しているか」「どんな課題があったか」「自分がどう取り組んだか」を後回しにしています。
状況説明があいまいすぎる
頭のいい学生ほど陥りがちな「ワナ」が、抽象的な状況説明です。ESでは課題に直面し、乗り越えた経験がよく問われます。そこではなるべく具体的にあなたが何をしたかを書く必要がありますが、なぜか抽象論を持ち出す就活生があとを絶ちません。実際の例を見てみましょう。
【例題】あなたが学生時代、主体的に取り組んで出した成果を書いてください。
【悪い例】
カフェ閉店の危機を救ったことです。私は駅前のカフェでバイトをしていましたが、顧客満足度が隣接店に比べて低く閉店の危機と言われてしまいました。そこで原因を分析したところ、お客様へ満足のいく接客ができていないことに気づきました。そこで私はアルバイトのメンバーと話し合い、満足度を上げる改善策を実施しました。その結果売上が30%向上し、閉店を免れました。
エピソードの内容と端的な文章はすばらしいのですが、具体的にこの学生が何を取り組んだのかサッパリわからない文章になっています。
この例では「お客様へ満足のいく接客ができていない」とは何か、「メンバーと話し合い」をした内容は何か、「満足度を上げる改善策を実施」は何をしたのかが、見えません。これだとこの学生が実際の職場でどう活躍するか、まったく見えません。
こちらが改善例です。
【改善例】
カフェ閉店の危機を救ったことです。私はカフェでバイトをしていましたが、顧客満足度が隣接店に比べて低く閉店の危機にありました。そこで原因を分析したところ、新規客のリピート率が低いと分かりました。そこで私は各メンバーと改善案をリラックスして話せるよう1対1で聞き取りました。そして改善策として「コーヒーを5杯飲んだら1杯無料」キャンペーンを展開しました。結果売上が30%向上し、閉店を免れました。
「お客様が満足できていない」から「リピート率が低い」と細かく記載することで、何が原因だったか一目瞭然となりました。さらに単なるヒアリングでなく「話しやすいよう1対1で聞き取る」ことで、この就活生が現場スタッフとしてだけでなく上司になっても優秀であることを見せることに成功しています。
誤字脱字、助詞の連続など詰めが甘い
最後はうっかりさんに多いミスです。自戒を込めて申し上げますが、誤字脱字があるESはまず読まれません。「自社を受ける気がない」と思われるからです。
また、同じ助詞(て、に、を、は、の)が続くのも国語力が低く見られるため、それだけで落とされる要因となります。「たかがそれだけで?」と思うかもしれませんが、入社後に取引先へ誤字脱字まみれのメールを送って相手を激怒させたらどうなるか想像すれば、その重大さが分かると思います。以下にありがちな例を集めましたので、参考にしてみましょう。
【例題】あなたの強みを教えてください。
【悪い例】
私の強みは粘り強さです。過去の営業の長期インターンの際は粘り強く交渉し、1位の営業成績を達成しました。私は長期インターンでWeb広告の営業をしていました。。しかし当初は押し売りのようなセールストークをしてしまい、案件が取れませんでした。そこで私は先輩方にお願いしてメールを転送していただく、電話のやりとりを録音する、営業先へ同行させていただくなど粘り強く学び、半年後にはは営業成績1位を獲得できました。
「過去の営業の長期インターンの」と「の」が3回も連続しているせいで文意が分かりづらくなっています。また、文末の「。。」や助詞が「はは」とつながっていることから、うっかり誤字をしていることが分かります。
ケアレスミスは、やってしまう人はやってしまうものです。提出前に友人に読んでもらったり、一晩寝かせてから読み直したりするなどの対策を取りましょう。
文章が意図せず偉そうになっている
最後に、学生が意図せずやってしまう割に、最も深刻な結果をもたらす「偉そうな文章」です。学生から見て普通の文章でも、社会人から見ると偉そうに見える文章があります。日本語上はミスがないため、自分でチェックしても気づくことができません。
【例題】弊社を志望する理由を教えてください。
【悪い例】
私が貴社を志望する理由は自分の強みが生かせそうだからです。私は学生時代に予備校で生徒の偏差値を平均10向上させました。私は予備校でアルバイトをしていましたが、成績の悪い子を中心に見ていたことから受験は絶望的とされていました。そこで私は原因が生徒だけでなく家庭環境にあると考え、親を呼び出してガツンと言ってやりました。そして家庭と予備校が一体となって生徒を指導できるようになり、偏差値を平均で10上げられました。また、8割の生徒が志望校へ合格できました。だから私の強みは包括的な改革案を示せることであり、貴社においてもこの強みを生かして成長していきたいです。
一部の外資系企業を除いて、志望動機に「自分の成長」を置くことは失礼とみなされます。企業はあなたの成長よりも売上・利益アップを目的とした団体だからです。
企業はあなたがどう企業に売上・利益の成果をもたらせるかをESでも知りたいのですが、これではあなたの成長が主軸になってしまうため「自分の利益を会社の売上より優先する子」とみなされます。入社後はそれでもかまいませんが、建前くらいは「会社への成長に役立つ自分」を売り込む文章にしておきましょう。
次に、「だから」というくだけた接続詞が気になります。特に接続詞の敬語がおろそかになる学生は多いため、必ずフォーマルな言い回しを心がけましょう。
最後に、「ガツンと言ってやった」「スタッフを指導した」「先輩から了解を取った」といった文章は上から目線に見えるので気を付けましょう。「親御さんへ提案した」「スタッフへお願いした」「先輩から承認をいただいた」といったへりくだった文章が求められます。特に日系企業ではこの傾向が強いので、外資でESが通過した方も見直しをしましょう。
対策として、受ける企業のOB・OGにESを見てもらうのが最も適切です。企業ごとに求められるトーンは異なるため、企業に合ったESを準備しましょう。そのため、ワンキャリアで過去のESを調べ、本番の課題が出題される前に草稿をOB・OGに見せておくことをお勧めします。
人の失敗を見ておけば、ESは怖くない
ここまでESに必要なエピソードの作り方と書き方を失敗例と併せてお伝えしてきました。「自分はこんなESを書かないぞ」と笑っていても、明日はわが身。私も偉そうなことを言える身分ではなく、何社も落ちてから先輩に指導いただきました。これらの項目をチェックリストにし、自分のESを見直すときの採点表にしてください。あなたが内定へ直結するESを書けますよう、全力で応援しています!
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※こちらは2018年7月に公開された記事の再掲です。