みやけようのOB訪問体験記
~ あなたの代わりに訪問してみた ~
※ ワンキャリ編集部のライターが就活生の代わりにOB訪問を行う「OB訪問体験記」の連載。今回は、ライター みやけようが「総合商社特集 ~ 2016 冬 ~」に合わせて、商社のOBへ訪問を行いました。
ショートヘアにスーツも、板についてきただろうか。
待ち合わせの本社ビルに向かい、秋晴れの中、川沿いを歩く。
今回お会いするのは総合商社B社、入社2年目のHさん。
『カッコいいオッサンになりたい!』と言って商社に入社した
学生時代は、サークルでひたすらバスケ、そしてバイト生活。
ごくごく普通の明るい先輩だ。
真面目な話はしたことがなかったが、どうして商社を選んだんだろう
人生2度目のOB訪問は、どこか落ち着いた気持ちで向かっていた。
みやけ:こんにちは! 改まると恥ずかしいですが、今日はよろしくお願いします!
Hさん:仕方ない、そういう時期ですから(笑)。
自分の独自の就活の軸を作り、企業を選定していく
みやけ:まずはHさんの就活について伺いたいのですが、どのように志望先を見つけられたのですか?
Hさん:僕は就活の面接前と面接後で企業の絞り方を変えました。特に、面接前は就活の軸を決めることに集中するため幅広く企業を受けました。
その結果、
「1. 自分がやりたい仕事内容であること」
「2. 高収入であること」
「3. 自分のなりたい人間像になれること」
という軸を定めました。
みやけ:なるほど、就活の軸を作るんですね。
Hさん:就活の軸を定めてからは、受ける企業を絞る作業でした。「1. 自分がやりたい仕事内容」という軸で総合商社、エネルギー業界、保険業界の3業界に絞りました。そのなかで、平均年収を参考に「2. 高収入」な企業を洗い出す。そして、「自分のなりたい人間像」という点について考えましたね。「3. バカなおっさんになりたい」僕は将来そうなりたいと思ったんです(笑)。
みやけ:「バカなおっさん」ですか。
Hさん:多くを語らずひたむきに努力して、人を引っ張ることのできる人っていますよね。そういう人ほど、取り組んでいる仕事に対しても、子供のような無邪気さを忘れずに楽しんでいる印象があります。僕の望む「バカなおっさん」はこんな人だなと思いました。
みやけ:「だから商社なんですね!」と言ったら、商社の方に怒られそうですね。
Hさん:説明会のときには、「若手の目線に合わせて物事を見てらっしゃるか」社員さんをよく観察していました。というのも、“広い視野を持っていること”が、理想の「バカなおっさん」の人物像には必要だと思ったからなんですよね。
みやけ:具体的には、どんなシーンでそう感じますか?
Hさん:その一例としては一緒に仕事をするなかで、「お前は若いから、まだ早い」といった決めつけたコミュニケーションをしないこと。良くも悪くも、僕が優しい人が好きなだけなのかもしれませんね(笑)。
みやけ:面接前後で企業の絞りかたを変えたとおっしゃっていましたが、なにか理由があっての判断だったのでしょうか?
Hさん:判断というより、経験を積んだことによる変化だったと思います。面接を経て、数多くの経験豊富な社会人からアドバイスをいただき、「自分はこの方向で行くべきだ」と確信を持つことができました。そのアドバイスから、改めて自分の会社選びの絞り方を変えるに至りましたね。
みやけ:Hさんの独自性を感じます。面接前後で絞り方を変えることで得られるメリットはありましたか?
Hさん:さまざまな視点を持って自分の道を決めたので、悔いは残っていません。ただの自己満足と保身かもしれませんが(笑)。
面接を通して、自分が本当に譲れない会社に自然に絞られていきましたし、最終的に面接に行ったのも5社くらい。商社3社・損保1社・エネルギー1社で、第1志望だった総合商社B社から内定をいただき、入社を決めました。
OB訪問は必要なタイミングで、目的を持った訪問を行う
みやけ:商社といえばOB訪問というイメージがありますが、Hさんもしていましたか?
Hさん:僕は積極的にはしなかったですね。5大商社1人ずつくらいでした。面接で話ができると思っていたので。
みやけ:OB訪問すると変に安心しますよね。周りでもしてなかった方はいたんですか?
Hさん:総合商社に内定した同期にもOB訪問を積極的にしてない人も多くいます。「数十人のOB訪問をするものだ」的な風潮がありますけど、僕は目的次第で必要なら活用するというスタンスでしたね。
みやけ:Hさんの数少ないOB訪問のなかで得たものはありますか?
Hさん:総合商社の各社について、人の雰囲気はよく分かりましたね。説明会だと人事がいるので社員さんもキレイゴトを言いがちです。
一方、OB訪問では、実際に働いている社員さんから1対1だからこそわかる、飾らない雰囲気を感じることができたので良かったです。また、仕事内容を本音でじっくり話せたことは大きかったですし、志望度にも影響しました。
みやけ:なるほど、OB訪問を、必要なタイミングでうまく活用して就活に活かしたのですね。
──「仕事のホンネ編」に続く
【みやけようのOB訪問体験記:総合商社シリーズ】
- Vol.1 A社:「商社でも意外と裁量権あるじゃん!」
- Vol.2 A社:「ワークライフバランスやなくて、ライフ・イズ・ワークや!」
- Vol.3 B社:「商社の同期には、OB訪問を積極的にしてない人も多くいる」
- Vol.4 B社:「商社では"自信"が持てないコンプレックスと向き合った若手こそ生き残る」
- Vol.5 C社:「総合商社は『保守的な選択肢』に見える」
- Vol.6 C社:「『組織』より『歴史』を重んじる文化なんです」
※ みやけようの「OB訪問体験記」の連載では、今後も外資系・日系問わず、様々な業界の方へOB訪問を行います。ご期待ください。