みやけようのOB訪問体験記
~ あなたの代わりに訪問してみた ~
オフィス街のランチタイムだけあって混み合ってきた。
OB訪問らしきスーツの若者とゴリマッチョのペアも多い。
ぬるくなったコーヒーでのどを潤して
私はAさんの、仕事のホンネに切り込んだ。
※ 総合商社 B社 就活のホンネ編(前編)はコチラ
食品からアプリまで、大きく広がる商社の業務
〜壮大な領域だからこそ、可能性が広がっている〜
みやけ:部署と会社全体と、事業内容をざっくり教えていただきたいです。
Aさん:部署では再生エネルギー関連のビジネスをやっています。ざっくりといえば、発電所を作るプロジェクトを主導したり、発電所に関連する部材を国内外から輸入したり、発電所で使用する燃料についても3国間取引を行ったりしています。
みやけ:壮大ですね……。
Aさん:さらに部署が違うとなるとメディアをやったり、アプリを作ったり、繊維、食料を扱う部署まであるので、会社規模になると正直何をしているか分かりません(笑)。年配の社員さんでも、全ては把握できていないと言えるほど、沢山の事業が動いていますね。
「仕事で人は磨かれる」という先輩の言葉
〜仕事と会社が大好きなら、入社がゴール、なんてない〜
みやけ:Aさんのお話だと社内に尊敬する方が沢山いるように感じます。具体的にはどのような先輩がいらっしゃるのですか?
Aさん:今の会社に入ろうと思った理由にもつながるのですが、就活セミナーで当時50歳くらいの大先輩と出会いました。その先輩が学生を前にして「ワークライフバランスなんかやなくて、ライフ・イズ・ワークや!」と言い切っていました。
みやけ:それをセミナーで言い切るところがすごいですね。
Aさん:そうなんです(笑)。その方は「俺は仕事が楽しくて仕方ないねん。まだまだやりたいことが沢山あるんや!」と目を輝かせて語っていました。「仕事で人は磨かれるんだ」と語る姿は格好良く、それが僕にはすごく響きました。
みやけ:本気で仕事が楽しいから言えることなんですね。
Aさん:いざ入社してみても、その社員さんの言葉通りにプライドを持って、楽しそうに仕事している人が沢山いました。まさに「仕事で人を磨いている」人たちばかりです。
いろんな力が、まずは万遍なく求められる環境だと思います
〜気遣い、面白さ、人を楽しませるプロフェッショナルたち〜
みやけ:商社マンは面倒見が良いイメージもあります!
Aさん:部下のことをすごく見てくれているのは感じますね。課長レベルの方でも、新人が仕事で悩んでいる時に、1対1で飲みに連れて行ってくださったりと、細かな気遣いができる方が多く、とても尊敬しています。
ビジネスマンとしての基礎能力が高く、上にも下にも広く気遣いができ、自分のビジョン、成し遂げたいことを語れる。僕が尊敬する先輩はこういう方々ですね。
みやけ:総合商社で活躍するために必要なスキルや素養って、何かありますか?
Aさん:それは僕が知りたいくらいです(笑)。ただ、プレゼン能力や語学力はもちろんですが、そもそも人間的な魅力がなければいけないなと思います。それから、「自分の強い領域や勝ちパターンを確立させていくこと」は大切だと思います。「この人に任せろ!」という強みを、40歳くらいになるとみなさん確立しています。
失っても「もう1回作り上げよう!」と言う人ばかりだと思います
〜会社を離れる人が、こんなにも少ない理由〜
みやけ:踏み込んだ質問になりますが、転職を考えたことはありますか?
Aさん:僕自身は転職願望は特にないです。同期でも総合職でだいたい130人ぐらい同期がいて、今のところ転職した同期はほとんどいないですね。転職人の理由も、自分で起業、他のベンチャーでチャレンジなどポジティブな選択が多いです。外資系やベンチャーに行った友人は1~3年目で転職している人が多いことを考えると、うちは少ないと思いますね。
みやけ:イジワルな質問かもしれませんが、「会社からこれが無くなったら辞める」というものはありますか?」
Aさん:ウチでは、「これが無くなったら会社辞める」と考える人は少ないと思います。仮に何かを失っても、「もう1回作り上げよう!」となる人ばかりです。
過去に戻っても、今の会社に入りたいですね
〜「こんな先輩いるのかな?」その選択は間違っていなかった〜
みやけ:今日聞いたお話を含めて、A社の好きなカルチャーは何ですか?
Aさん:冒頭でお話した通り、「こんな先輩たちがいるのかな?」と想像していたら、実際に想像通り頼れる先輩が沢山いたところです。愛すべきアホというか(笑)、アホもできるけど、いざという時は「会社の何かが失われても、もう1回作り上げよう!」という頼りになる人ばかりです。就活のはじめに抱いた印象と変わらない、裏表のない会社だと思います。
みやけ:では最後の質問なのですが、もし今就活期に戻れたとしたら、Aさんはどんな選択をしますか?
Aさん:今の会社に入りたいと思いますね。今の能力のままで入社して「すごい1年目が入ってきた!」ってなりたいです(笑)。
みやけ:Aさんのように憧れを貫き、誇りを持って働いている方にお話を聞けて勉強になりました。本日はありがとうございました!ちなみに今回、就活生がすべき質問として、1番良かった質問を1つ挙げるとしたら、どれになるでしょうか?
Aさん:その社員さんの「会社の好きなところ」聞くというのは良い質問だと思いました。自分の会社のどこが好きかというのは、業界に関わらず働く上でのモチベーションに関わる部分ですからね。「仕事のやりがいは何ですか?」と聞くと、たいてい同じ答えが返ってきそうですが、会社に入って「会社のここが良い!」という答えには、各々のカラーが出ると思いますね。
“憧れ就活だった”なんて笑顔で語れるAさんは、
本当に後悔なく、楽しくここで毎日を過ごしているんだろう。
「私も、こんな風に笑顔で語れる会社で働きたいなぁ」
冷たい風に吹かれながら、
不思議と温かい気持ちになる帰り道だった。
【みやけようのOB訪問体験記:総合商社シリーズ】
- Vol.1 A社:「商社でも意外と裁量権あるじゃん!」
- Vol.2 A社:「ワークライフバランスやなくて、ライフ・イズ・ワークや!」
- Vol.3 B社:「商社の同期には、OB訪問を積極的にしてない人も多くいる」
- Vol.4 B社:「商社では"自信"が持てないコンプレックスと向き合った若手こそ生き残る」
- Vol.5 C社:「総合商社は『保守的な選択肢』に見える」
- Vol.6 C社:「『組織』より『歴史』を重んじる文化なんです」
※ みやけようの「OB訪問体験記」の連載では、今後も外資系・日系問わず、様々な業界の方へOB訪問を行います。ご期待ください。