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こんにちは、Mary(@K_storm2911)です。
年を追うごとに就活が早期化している今、大学生活の多くを就活に費やす人は増えてきていると思います。
経済団体連合会(経団連)が定めていた、いわゆる「就活ルール」がなくなり、通年採用が進めば、その傾向はさらに加速するでしょう。
振り返ってみると、自分の大学生活は、全て就職活動のためにあったと言っても過言ではありませんでした。そこで今回の記事では、自分の例をもとに、就活早期化と大学生活について考えてみたいと思います。
<目次>
●大学生活の全ては「就職活動」のために?
●早期から就活を始めることのメリット
●早期から就活を始めることのデメリット
●学内外で感じた「就活格差」
●「意識高い系」という言葉に足を引っ張られているあなたへ
●違う自分に生まれ変わろうとあがくのは、恥ずかしいことじゃない
大学生活の全ては「就職活動」のために?
僕は大学生活を就職活動準備期間とみなして過ごす、典型的な「就職活動予備校生」でした。
長い浪人生活を終えて大学に入学した僕は、大きな焦りを感じていました。ただでさえビハインドを負っている。もう就活で逆転するしかない──。
そのため、周囲の友人が飲み会、恋愛、マージャン、ゲームなど大学生活に花を咲かせている中、僕はこんな生活を送っていました。
・起業家養成学生団体
・ビジネススクール
・新規事業立案型インターンシップ
・スタートアップでの長期インターンシップ
・なんかグローバルなボランティア活動
・サークルの立ち上げ
就職活動のためにアルバイトをし、就職活動のために学生団体に入り、就職活動のために長期インターンをやり、就職活動のためにボランティアをやり、就職活動のためにサークルをやる。
大学生活の中で、さまざまなことに挑戦する機会がありましたが、その選択の基準は全て「就活で有利になりそうか」でした。
自分が純粋にやりたいことであっても、就職活動で有利にならなさそうなことは「ムダ」だと考えていました。しかし、今振り返ると、そうして取り組んだ活動の多くが、特に必要のないものだったと考えています。
特にサークルの立ち上げなど、ガクチカ作りが目的になってしまったものについては、活動自体に熱中できなかったり、ハリボテのような活動になってしまったりと、とても「学生時代に力を入れたこと」としてアピールできない内容になってしまいました。
自分が好きなことをやれていたのかというと、正直あまりできなかったと思います。大学入学当時は、就職活動に関する情報をほとんど得られていなかったこともあり、ひたすら「意識が高そうなこと」をやるのに必死でした。それこそ、ムダが多かったと思いますし、同じようなことをしている後輩がいたら、全力で止めているでしょう。
就活を無事に終え、卒業が近づいている今、大学生活はいかに時間があり、自分の好きなことをやれる時期であるのかをあらためて感じています。貴重な学生生活の時間を、もっと他のことに使えたのではないか……そう後悔することもありますが、超早期から活動を始めて、いくつかのメリットがあったのも事実です。
早期就活のメリット1:「就活経験値」をためられる
僕としては、早期から就職活動を始める最大のメリットは、トレーニングの時間をより多く得られることだと思います。
就職活動はほとんどの場合、誰もが同じ未経験からのスタートです。そのため、本選考を始めるまでに選考や対策を積み重ね、地道に「就活力」を鍛えていくのが正攻法だと思います。
本選考の直前になって就職活動を始めた場合、十分な対策ができないことも少なくありません。それに比べて、半年や1年早く始めるだけで、多くの時間を確保できます。例えば、次のようなことができるでしょう。
・英語や資格試験の勉強
・エントリーシート(ES)対策
・グループディスカッション(GD)対策
・面接対策
・インターンシップへの参加
・OB・OG訪問
・業界研究
・企業研究
私の経験上、春選考では春から就職活動を始めた人と早期から就職活動をはじめた人とでは、慣れという面で、面接の経験回数にかなりの差を感じました。
早期から就職活動を始めると、面接だけでなく、ESやインターンシップの経験も増えますし、社会人や先輩にブラッシュアップをしてもらう機会も多くなるでしょう。
何より、1年後の春選考の際に1年間努力を積み重ねてきた自分を信じることができます。こうした根拠のある自信を得られることも重要だと感じます。
早期就活のメリット2:優秀な仲間に出会え、就活を俯瞰的に見られる
優秀な就活仲間に出会えるというのも大きなメリットです。就活初期に出会った仲間たちは、特に情報感度が高く、行動力がある方が多かったです。
ESの添削や面接の練習など、OB・OG訪問よりも気軽に、そして高頻度で行えたのは就職活動早期に出会えた優秀な仲間がいたからだと思います。
お互いに情報を共有し合い、就職活動を団体戦のように戦うことができるようになるのは、早期就活の大きなメリットであると思います。
また、早期に就職活動を始めると、場当たり的ではなく、就職活動を俯瞰(ふかん)的にみやすくなります。実際に一番早い段階で取り組むと、以下のように年間の就活スケジュールを立てることができます。
キャプション:超早期化就活時代の年間スケジュールの一例(筆者作成)
さらに同じ企業でも、夏採用、冬採用、春採用と3段階の採用枠を設けている企業もあり、そうした企業への挑戦回数が増えるのもメリットでしょう。
また、学部3年・院1年の春には選抜コミュニティの選考対策も始まり、その時点でES、GD、筆記試験、面接等のひととおりの選考対策を経験します。就職活動後半になると、選考対策にも余裕が出てくるはずです。
早期就活のデメリット1:学生生活で使える時間が短くなり、学業に専念できない
ここまで早期就活のメリットを挙げてきましたが、冒頭でお話ししたようにデメリットもあります。学生生活がおろそかになってしまう、というのはよく言われていることですし、自分でもそうだと思います。
面接やESで「学生時代に頑張ったこと」を聞かれることも多いように、企業側は大学で学業はもちろん、それ以外でどのような活動をしてきたかも重視していると考えられます。
自由に使える時間が非常に多い大学生活ですが、その中でサークルや趣味など、自分が好きなことをやる時間が減ってしまうことは避けられないと思います。学生生活を通して取り組む活動と、就職活動とのバランスを取る必要があるでしょう。
また、就職活動は基本的に大学の授業スケジュールと平行して進める必要があるため、早期に就職活動を始め、そちらを優先しすぎると、授業を欠席する回数が増え、単位の修得も難しくなります。それで卒業できなければ、元も子もありません。
特に大学生活の前半は、必修授業が多いはずなので、その時期に就職活動を進めるリスクは認識しておくべきです。厳しいスケジュール管理が求められます。
早期就活のデメリット2:就活の長期化による疲れ、および費用の増大
就職活動期間が長くなることで、いつまでたっても就活が終わらないことのストレスや疲れが増えていきます。
早期に就活を始めたからといって、早期に内定をもらえるとは限りません。必然的に活動期間は長くなりますし、かかる費用も大きくなってしまいます。実際、就活が長期におよんだことで、私は最終的に50万円以上も使っていました。
・関連記事:そう、就活は50万円掛かるマラソンだ。お金で諦めない就活マラソンの走り方。
このようにデメリットはあるものの、早期から就職を意識しながら行動すること自体は悪くないことだと思っています。就職活動の全体像をつかみ、具体的に必要な対策を知り、ある程度逆算した形で、大学生活を過ごせれば、自分のやりたいこともでき、就活で焦ることも減るはずです。
就職活動を進める中で、誰もが一度は「もっとこの情報を早く知っておけばよかった……」と思ったことはあるのではないでしょうか。
対策にしても、企業にしても、ビジネスの理解にしても、就職活動で苦労するポイントのほとんどは「知らないこと」に起因しています。それで必要以上に苦しんでしまうのは、本当にもったいないです。
就職活動には予想以上にお金がかかることや、外資系企業の選考は非常に早く、その対策はもっと早期からする必要があること。いわゆる「大企業」に入るというのは自分の想像しているよりも大変だということを、大学1年のころから知っておけば、ムダなことをしなかったということも含め、自分の大学生活は変わっていたとも思います。
学内外で感じた「情報格差」
ここまで、就職活動を早く始めることのメリットとデメリットを紹介してきましたが、就職活動を振り返ると、取り組み始めた時期によって、差が出やすい部分があると思います。
実際、私が学部3年の4月に選抜コミュニティの選考会を受験しにいったときに「君たちは出遅れ組」と言われ、本当に焦ったのを覚えています。
その選考会では、他大学の同学年の人がGDでいきなりフレームワークを使いこなし、手慣れた感じで議論を進める様子を見て驚きました。
当時はフレームワークなど存在すら知らず、どうやって議論を進めるのかなど全くわかりませんでした。勉強せずとも、ポテンシャルでそうした場を乗り越えることができる人もいるとは思いますが、普通は勉強していなければ、手も足も出せずに終わるでしょう。
今思えば、仕方がないことだったのですが、そのときに感じた悔しさは相当なものでした。「同じ時間、大学生活を過ごしてきたのに、どこでこんな差が生まれたのだろう」と。
その後も、自分よりも対策が進んでいる人や早期から就職活動を意識して活動している人にたくさん出会い、必死で勉強したり、トレーニングを積み重ねたりしても、上には上がいることをインターンや選考会に行くたびに実感しました。
ともに就職活動を進めていた仲間は、夏のインターンで難関企業に10社以上参加が決まっているのが当たり前という感覚でしたが、同時期、大学のゼミでは3社以上インターンに参加していたのが自分だけでした。さらに「選抜コミュニティ」の存在を当時知っていたのは、大学の友人グループの中では自分だけでした。
就活における「情報の格差」というのは、本当に人のつながりに依存します。私自身「限りある大学時代を就職活動だけにささげることはもったいないのでは」と悩みましたが、この経験を通して、自分の場合は、早期の就職活動という選択は良かったと思うようになりました。
「意識高い系」という言葉に足を引っ張られているあなたへ
早く就活を始めると、一時的に孤独になる時期があるかもしれません。周囲の人からいろいろ言われることもあると思います。しかし、就活は自分の問題であり、他人の問題ではないので気にすることはないです。
例えば、就職活動のイベントなどに早期から参加していると「意識高すぎかよw」とか「そんなに焦らなくてもなんとかなるよ〜」とか言われることもあります。就活が早期化しているとはいっても、まだまだ早期就活は「意識高い系」に見えるのかもしれません。
もし、自分が就活を始めるかどうか迷っていたら、次のようなアクションを起こしてみてください。
1. 就活を終えた先輩に聞いてみる
具体的な志望企業や業界を指し、「◯◯に入りたいんですが、まだ就活を始めなくても何とかなりますか」と聞いてみましょう。難関と言われる企業に入る難しさは、実際に選考を経験した人でないと分かりません。
周りの人が言う「そんなに焦らなくても大丈夫」とか「なんとかなる」とかいうアドバイスは、志望する企業やキャリアへの考え方といったの前提条件が共有されていない状態での発言ならば、単なる気休めでしかないと思います。
就活を終えたばかりでなくとも、比較的若い人へのOB・OG訪問でもいいです。就活に関する情報を集めるところから始めてみるのがいいと思います。
2. 本当のことを言ってくれる先輩に「交流イベント」や「OB・OG訪問」で会いに行く
もし、現在自分の周囲に就職活動の相談に真剣に乗ってくれるような人が見つからなければ、交流イベントやOB・OG訪問などの機会を活用し、大学の垣根を超えて先輩方に会いに行くことをおすすめします。
ここで重要なことは、後悔しないために何をやっておけばいいのか、真剣に答えてくれるまで聞くことだと思います。自分から本気で聞きに行かないと、本気で教えてもらえません。大きく声をあげて助けを求めることしかできないかもしれないですが、それでも、本気で助けを求めなければ、救いの手も差し出されないのです。
違う自分に生まれ変わろうとあがくのは、恥ずかしいことじゃない
大学生活の前半を自分の所属するサークルや学生団体など、限られたコミュニティで過ごしていると、就職活動に挑戦する際に出会う新しい価値観に戸惑うこともあるかと思います。そんなときは「これから自分はどうなっていきたいのか」を考え直してほしいと思います。
十分な情報を手に入れ、自分で選んだ道ならば、早期から本気で就職活動に取り組み、その結果、就職活動予備校のような大学生活になったとしても、恥じることはないと思います。
就職活動を契機に、本気で自分を変えたいと思っていることは恥ずかしいことではありません。必死になってあがいている姿はかっこ悪いと思うかもしれませんが、将来に対しての不安は隠す必要もないと思います。
情報が足りないゆえに、最初は恥ずかしい思いをするかもしれませんが、情報が集まってくれば、自分で判断できるようになっていきます。
私は就職活動を始めてから、自分の「本気」を応援してくれる人にたくさん出会うことができました。具体的な行動に移せずに悩んでいる人は、足を運び、人に会って、「どうすればいいですか」と聞くことから始めてみてください。
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(Photo:fizkes , Jacob Lund , wavebreakmedia/Shutterstock.com)
※こちらは2020年1月に公開された記事の再掲です。