「本命の企業から内定をもらえなかったらどうしよう」という不安から、「最悪ここなら行ってもいいな」という企業の選考をいくつか受ける就活生がほとんどだと思います。
いただいた内定は、もらった時は大変うれしいものです。しかし、本命の企業から内定をいただいた後、それは「この企業の内定辞退をしなければいけない」という新しい悩みとなります。内定辞退は就活を頑張った分だけ、経験しなければならない道とも言えるでしょう。
今回は、就活生の実体験も交えながら、「内定辞退」の実態と方法について解説します。
<目次>
●企業と内定承諾の「約束」をしてもOK?
●「内定辞退」の連絡方法は?
・内定辞退マナーその1:内定辞退は直接会って、または直接電話で
・内定辞退マナーその2:内定辞退後は手紙を書く
●「内定辞退」連絡はいつすべき?
・内定辞退マナーその3:なるべく早く辞退する
・内定辞退マナーその4:電話は忙しい時間を外す
●内定辞退は社会人への第一歩
企業と内定承諾の「約束」をしてもOK?
まず大前提として、内定は入社予定の2週間前までに申し出れば辞退できます。内々定・内定は学生を拘束するルールではなく、企業側が学生を安心させるルールであるという認識を持ちましょう。
しかし、実際は内々定・内定の条件として、「就職活動をもう終わりにする」という口約束やオファーレター(採用通知書)へのサインを求められることがあります。外資コンサル、外資金融を中心に受けていた就活生からは「上記のどちらかを必ず求められました」との声がありました。他業界を受けていた就活生の場合も同様の「約束」を強制されているケースが多くありました。
では、このような「約束」の要求に対し、就活生はどのように対応すればよいでしょうか。多くの就活生は、内定辞退をすることになれば、「嘘(うそ)をついたら後で大変なことになる」「内定先から呼び出しをされ、逃げられないくらいに怒られる」という思いにおびえ、内定を承諾することに抵抗を感じてしまうかもしれません。もちろん、入社する可能性のある企業であれば、それらの「約束」は快諾しましょう。変に決断を渋って内定を承諾する連絡が遅くなったり、嘘をついたりして印象が悪くなるのは大きな損です。
しかし内定辞退する場合は、時間をかけて選考をしてくださった企業ですから、誠意を持って内定辞退をすることが大切です。トラブルを避けるためにも、以下の注意点に留意しましょう。
「内定辞退」の連絡方法は?
まず、膨大な時間とコストを割いて自分を選んでくれた企業に対し、「もう会わないからいいや」と失礼な態度で辞退することは絶対に避けましょう。「内定辞退」の際に守るべきマナーは以下の2つです。
内定辞退マナーその1:内定辞退は直接会って、または直接電話で
内定辞退について企業に連絡する際には、「電話で直接謝りたい」あるいは「直接会って謝りたい」との旨を人事部などの採用担当者にメールで伝えて、電話連絡をすることを強くおすすめします。メールだけで「内定辞退」の連絡を済ますことはマナー違反だと思ってください。
また、連絡の際には必ず、どこの企業を考えているのか、またはどこの企業に行くのかなどの質問をされます。面接と同様、なぜその企業に行きたくて、内定辞退をするのか、その理由も簡潔かつ論理的に答えられるようにしておきましょう。その際、伝え方には注意です。「他社比較をした結果、御社よりも○○社が良かった」というよりも、「自分の将来を考えた際に一番納得がいく決断をした」といったような説明をすると良いかもしれません。
内定辞退マナーその2:内定辞退後は手紙を書く
内定辞退の電話や対面での報告を終えても、それで終わりにしてはいけません。必ずお詫(わ)びの手紙を書きましょう。内定辞退の際にはメールで済ますのではなく、詫び状といった手紙を書くことによって誠意を伝えることができます。お世話になった会社ですから、誠実にお詫びと感謝の気持ちを伝えましょう。
内定辞退の詫び状の例文は以下のようになります。
拝啓
○○の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
先日はご多忙の折、お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。大変身勝手ではございますが、自分の今後のキャリアパスについて検討した結果、内定を辞退させていただきたく存じます。
(内定辞退の理由を簡潔に述べる)
就活では数多くの社会人の先輩方にお導きを賜り、とりわけ貴社の社員の皆様にはインターンシップやOBOG訪問を通じまして、大変お世話になりました。改めまして、心より感謝いたしております。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と社員の皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
「内定辞退」連絡はいつすべき?
さらに、内定辞退の連絡はできるだけ早めに、かつ先方を思いやった時間帯に行いましょう。「謝罪」「申し訳ない」といった気持ちを持つ必要はありませんが、内定をいただいた御社に真摯(しんし)に対応することは、内定辞退のみならず、今後社会人になる皆さんにとって当たり前のマナーです。
内定辞退マナーその3:なるべく早く辞退する
最後の最後まで複数の企業の内定を保持することは、それだけ多くの企業に迷惑をかけるということです。情報不足によってどうしても決められない場合を除き、行く可能性がもっとも高い1社だけ残すようにしましょう。内定辞退を引き延ばしていた友人は、さまざまな企業の研修や懇親会に追われ、本命企業の選考対策がおろそかになってしまったことを後悔していました。
内定辞退マナーその4:電話は忙しい時間を外す
内定辞退の電話は時間帯に気をつけなければなりません。まず、食事をとっている可能性のあるお昼の時間帯は避けた方が無難でしょう。また、忙しいことが想定される始業時間や就業時間近く(9:30〜11:00、あるいは16:30〜18:00頃)は避けるべきです。
電話がかかったら、話す内容は簡潔にしましょう。自分の思いを伝えることは大切ですが、辞退理由を長々と説明されても相手にとっては不快になりかねませんし、冗長になれば相手の時間を奪ってしまう結果になります。
内定辞退は社会人への第一歩
内定辞退は学生時代においては、内定をもらった企業との最後のやりとりになるため、「どうでもいいや」と思って行動してしまいがちです。しかし実際は、社会人になってからの印象も左右することになってしまう可能性があります。
内定辞退は社会人になる自分と企業との最初のやり取りであり、やり取りによっては悪い関係も良い関係も作ることができます。先に述べたように、「内々定・内定は学生を拘束するルールではなく、企業側が学生を安心させるルール」だということを頭に入れ、内定をいただいた企業に感謝の気持ちを持って、丁寧に内定をお断りしましょう。
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