こんにちは、ワンキャリ編集部です。
大阪府に本社を構え、センサ・測定器・画像処理機器の事業を展開するキーエンス(※1)。平均年収の高さや独特の営業スタイルで有名な企業ですが、その実態を知る人は多くないのでは。
この記事では、キーエンスのBtoBビジネスモデルを解説するとともに、「ビジネス職」に絞って具体的な選考対策をお伝えします。選考前の最終確認にぜひご一読ください。
(※1)参考:キーエンス「About Us」
<目次> ●キーエンスの特徴 ●キーエンスの本選考のポイント ●キーエンスの本選考のフロー ・1. 録画面接 ・2. Webテスト ・3. 1次面接 ・4. キャリパー ・5. 2次面接 ・6. 最終面接 ●おわりに
キーエンスの特徴:国内第3位の時価総額を誇り、FA事業を展開する大企業
キーエンスは、生産工程の自動化を図るシステムである「ファクトリー・オートメーション(FA)」の研究・開発・設計・製造を行う総合メーカー。特に同社では、人の目にあたる「センサ」を中心としたFAシステムの研究を行っています。現在では、自動車・半導体・通信・機械・化学・薬品・食品など、幅広い業界のクライアントと取引をしています。
特徴は、新商品の約7割が「世界初」「業界初」であるという驚異的な実績を生み出していること(※2)。以下の4つの仕組みが、画期的な商品を生み出す原動力になっています。
(1)代理店を介さない直販体制(※3) └「グローバルダイレクトセールス」と呼ばれる、キーエンス特有のビジネスモデル。 (2)自社工場を持たない生産体制(※4) └外部の工場に生産を委託。高い技術と生産ラインを持つ工場を選定することができ、顧客のニーズに合わせた柔軟な商品開発が可能になる。 (3)製品への不安を解消する営業担当者の派遣(※4) └専門知識を持った営業担当者を派遣。顧客の不安を解消しつつ、現場の声を企画・開発にフィードバックする体制を構築している。 (4)全世界当日出荷の実現(※4) └直販体制を生かし、顧客の声を基に市場のニーズを正確に把握することで、オーダーを受けた当日中に全世界に商品を届けている。
世界46カ国・230拠点から、顧客30万社のものづくりに貢献するキーエンス。2022年3月期には過去最高の売上高を更新し、2023年1月現在、時価総額で国内第3位の企業となりました(※5、6)。
(※2)参考:キーエンス「事業内容」
(※3)参考:キーエンス「ビジネス」
(※4)参考:キーエンス「キーエンスのビジネスモデル」
(※5)参考:日本経済新聞「キーエンス、神出鬼没の直接営業 シェア獲得の武器に」
(※6)参考:日経電子版「時価総額上位ランキング」
国内屈指の営業力が身につくキーエンス。裁量を持ってコンサルする営業手法
キーエンスに入社する魅力は、国内トップレベルの営業力を身につけられること。同社の営業の特徴として、「コンサルティング営業」と「テリトリー制度」の2点が挙げられます。
コンサルティング営業とは、単に商品を売るのではなく、顧客の潜在的な課題を発掘し、解決策を提案するというもの(※7)。顧客のビジネス・商品の専門知識などの多様な知見や、最適な解決策を導く思考力が必要になり、一般的な営業よりも力がつくと考えられます。
またテリトリー制度とは、入社半年で自分が営業を担当するエリアを与えられ、エリアのマーケット分析から戦略立案・実行に至るまで、その全てを任される仕組みのこと(※8)。与えられたテリトリーの中では個人が裁量を持ち営業を行えるため、成長が期待できます。
(※7)参考:キーエンス「職種紹介(ビジネス職)」
(※8)参考:キーエンス「キーエンスの考え方」
電気機器業界No.1の営業利益率。「Work hard, Play hard」の社風が特徴
「30代で家が建ち、40代で墓が立つ」とうわさされるキーエンス。高年収企業の代表格です。2021年度は55.4%と、電気機器業界一高い営業利益率(※9)が、高年収の理由といわれます(※10)。
キーエンスは高年収のイメージからか、しばしば激務だと思われがち。しかし同社には、働くときにはとことん働き、休むときにはとことん休む「Work hard, Play hard」の考え方が徹底されているそうです。以下のような働き方の諸制度も参考にしてみてください(※11、12、13)。
・21時半までには退社 ・仕事は家に持ち帰らない ・土日祝日は完全に休み ・ゴールデンウィーク、夏季休暇、冬季休暇は、毎回7〜9日程度の長期休暇が取れる
(※9)参考:会社四季報オンライン「『稼ぐ力(売上高営業利益率)が最強の会社』33業種別リスト」
(※10)参考:キーエンス「経営情報」
(※11)参考:東洋経済オンライン「年収2100万円!『キーエンス社員』は激務なのか」
(※12)参考:キーエンス「よくあるご質問」
(※13)参考:キーエンス「福利厚生」
キーエンスの本選考のポイント:営業パーソンとしての資質を示すこと
キーエンスの本選考で最も重要なポイントは、営業パーソンとしての資質を示すことです。
まずは20秒の録画面接や20分の面接を中心に、学生の人柄やコミュニケーション能力が問われます。営業パーソンらしい立ち振る舞いができるように、以下の点に注意しましょう。
・明るく笑顔で話す ・相手が聞き取りやすいように、大きな声で聞き取りやすいスピードで話す ・一方的なスピーチにならないよう、面接官との「会話」を心がける ・録画面接ではカメラを見て話す ・面接官の話はうなずきながら聞く ・考える時間を減らし、素早く反応する
予定通りに進まないことも多い実際の営業。とっさの対応ができるアドリブ力が必要です。キーエンスの選考には、特定のテーマに関して相手を説得する「説得面接」という面接があります。2021年卒の内定者は、この説得面接で会話が途切れていた人は落ちてしまっていたと語ります。事前に準備した質問が尽きる事態に直面しても、乗り越える力を示しましょう。
【合格の秘訣】企業概要・選考での評価ポイント
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キーエンスの本選考のフロー
キーエンスの本選考のフローは以下の通りです。選考突破に必要なポイントをお伝えします。
・1. 録画面接
・2. Webテスト
・3. 1次面接
・4. キャリパー
・5. 2次面接
・6. 最終面接
※一部、2022年卒の合格の秘訣より引用している箇所があります。
1. 録画面接:20秒の自己PR。端的にハキハキと話すことが大切
録画面接では、20秒の自己PRを求められます(選考対策ページより)。内定者は以下の点に注意したそうです。
・普段の面接と変わらない気持ちを持って、カメラ目線でハキハキと話すこと
・端的に話すこと。短い時間で相手に伝わるように、言いたいことをあらかじめまとめておいた
2. Webテスト:形式はSPI。ボーダーは高くないが、事前の準備は不可欠か
Webテストの形式はテストセンターで受験するSPIで、内容は「言語・非言語・性格診断」の3つ。所要時間は1時間30分程度です(選考対策ページより)。
内定者いわく「ボーダーはあまり高くないはず」とのことですが油断は禁物。市販の参考書や他の企業のテストで練習してから臨むようにしましょう。
・これが本当のSPI3だ! 2025年度版 【主要3方式〈テストセンター・ペーパーテスト・WEBテスティング〉対応】 (本当の就職テスト)
3. 1次面接:フェイスシートの回答と説得面接のスタイルを必ず一致させよう
キーエンスの1次面接は、社員1名と学生1名で行われる、20分程度の個人面接です(2023年卒の体験談より)。過去には以下のような質問がされました。
・学生時代に頑張ったこと
└上記に関する深掘り
・フェイスシートの深掘り
・説得面接
など
※出典:キーエンス|ビジネス職2022年卒本選考の1次面接、キーエンス|ビジネス職2023年卒本選考の1次面接の体験談
面接会場では「フェイスシート」と呼ばれるアンケートの記入を求められます。アンケートには「以下の選択肢から、あなたの理想とする営業スタイルの合うものを選んでください」という設問があり、ここではA~Dの異なる4つのタイプから、順番をつけて選ぶことになります。
■Aタイプ やるからにはトップ営業になりたいという思いが強く、積極的に顧客に売り込んでいくタイプ。基本的には押しの強さと、得意の話術、スピード感のある対応から顧客の気持ちを高め、業績につなげている。 ■Bタイプ 話術を駆使してというよりも、誠意を売り物に業績をあげていくタイプ。 顧客満足度を大切に考え、ときには自社ではなく他社の製品を提案することも含め、顧客からの信頼は厚く安定的に業績をあげている。 ■Cタイプ 営業マニュアルに頼らず、自分で工夫をしながら新しい営業方法を展開していくタイプ。分析力や企画力を発揮して、効率の良い営業活動を行っている。計画立案の時間を確保する分、戦略の良さにて成果につなげている。 ■Dタイプ じっくりと考えるというより、圧倒的な行動力でカバーするタイプ。 明るい性格とフットワークの軽さで顧客にはかわいがられている。競争心が強く常にプラス思考なので、多少の困難は乗り越えていける強いタイプである。
フェイスシートの深掘りでは、営業タイプに関する自己理解と他者理解が一致しているかが確認されます。後述する「説得面接」の説得スタイルにズレがないかという点も重要です。
「説得面接」は、3分という短い時間で、特定のテーマに関して相手を説得する必要がある面接です。2022年卒では「私は◯◯派ですが、△△派に説得してください」、2023年卒では「私は◯◯が苦手ですが、どうすれば苦手を克服できると思いますか」という内容でした(2023年卒の体験談より)。
フェイスシートの回答でAタイプを選んでいれば、「押しの強さ」と「話術」が強みであるため、相手の悩みを最速で聞き出した上で、なるべく自分が話す時間を長く確保するのが大事になるでしょう。反対にBタイプであれば「誠実さ」が売りになるため、相手の悩みを聞く時間を長く取った上で、無理に押し切るのではなく物腰柔らかに説得するのが重要です。
4. キャリパー:内定のカギを握る適性検査。最終面接でフィードバックあり
キャリパーとは、キーエンス特有の適性検査。制限時間はないながらも1時間程度かかるとのこと。内容は「性格診断」と「法則性のクイズ」の2つです。
性格診断は、異なる2つの価値観があり、10段階に分けたとき自分はどこに位置するかというもの。法則性のクイズは、SPIやTG-WEBで出題される図形問題を簡単にしたようなものです。
ここでは「キーエンスに合う人材」であることをアピールすべきです。ただ最終面接でキャリパーのフィードバックをもらうことが多いため、自分を偽るのは得策ではないでしょう。
5. 2次面接:要素面接は素早く回答をすべし。自身の原体験を活用するのもOK
キーエンスの2次面接は、社員2名と学生1名で行われる、20分程度の個人面接です。過去には以下のような質問がされました。
【前半(若手社員からの質問)】
・履歴書についての質問
・フェイスシート・作文(論述課題)に関しての質問
└なぜそのような回答をしたのか
└その記述の根拠となった原体験はあるか
【後半(中堅社員からの質問)】
・要素面接
└テーマの例は「電気自動車のメリット・デメリットを3つずつ挙げよ」
└なぜそれを選んだのかといった深掘り
など
※出典:キーエンス|ビジネス職2023年卒本選考の2次面接
2次面接では、1次面接と同様にフェイスシートの記入を求められます(2023年卒の体験談より)。2023年卒でのフェイスシートの内容は「どんな営業パーソンになりたいか」についての作文(論述課題)と、「大企業とベンチャー」「自己成長とチームでの達成」などの二者択一でした。自己分析を通じて就活の軸を明確にした上で、面接での深掘りを見据え、原体験を話せる準備をするのが効果的です。
また「要素面接」は、あるお題に対し必要な要素を複数個挙げる面接です。論理的な思考ができるのかどうかはもちろん、素早く回答を述べる「頭の回転の速さ」も重要だと考えられます。
実際に内定者も、ケース面接の要領で要素面接に臨み、苦しいときにはMECE(モレなく、ダブりなく)でない回答をしたものの、十分に納得してもらえたそうです。以下のようなフレームを参考に、とにかく最速で頭を回転させましょう。
例:「組織のパフォーマンスを最大化させる要素を3つ挙げよ」という質問。自身のアルバイト経験を振り返って、要素を回答する。 ・要素(1):分業 └曖昧だった役割分担を明確にした ・要素(2):円滑な情報伝達 └役割ごとのグループラインを作った ・要素(3):共有された目標 └月の売り上げ目標を何度も共有した
6. 最終面接:キャリパーの回答と矛盾しないよう、最後まで気を引き締める
キーエンスの最終面接は、社員1名と学生1名で行われる、40分程度の個人面接です。過去には以下のような質問がされました。
・アイスブレイク
・アルバイトについて
・部活について
・フェイスシートで書いたことの深掘り
・キャリパーのフィードバック
・逆質問(5分程度、1問)
など
※出典:キーエンス|ビジネス職2023年卒本選考の最終面接
最終面接のフェイスシートの内容は「就活の軸・就活状況・座右の銘」の3点(2023年卒の体験談より)。最終面接ではフェイスシートの深掘りもされますが、主にキャリパーのフィードバックの時間が中心であるそうです。ときには、キャリパーの項目について質問されることもあるため、これまで話したことと矛盾しないよう注意しておきましょう。
▼キーエンスの選考ステップをさらに詳しく知りたい方はこちら!
【選考ステップ一覧】各選考の詳細と解説
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おわりに
ここまで、キーエンスの選考を突破するポイントをお届けしました。みなさんの選考対策のお役に立てたら幸いです。
キーエンスの選考についてさらに詳しく知りたい方は、選考対策ページをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
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(Photo:Pixel B/Shutterstock.com)