バズワード化しつつある「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。よく耳にしていても、中身はよく分からない。そう思っている就活生もいるのではないでしょうか。
「実は、国内の中堅・中小企業の経営者も『DXをやらなきゃいけないと分かっているけど、何をやったらいいか分からない』と悩んでいます」
そう語るのは、船井総研デジタルで取締役 常務執行役員を務める小平勝也さん。20年以上のコンサルタント歴を持つ一方で、DXコンサル業界への課題意識を持ち、2022年に設立された同社で「本気のDX」に挑んでいます。
船井総研デジタルにしかできないDXとは何なのか。小平さんにお聞きしました。
<目次>
●従来のコンサルではできなかった「スマホ買ってください」から始まるDX
●「忖度」の多いDXコンサルの世界で、成果にコミットする
●「やるか、やらないか」ではなく、サステナブルに「どうやるか」
●毎年30%の成長。入社数年後から、経営者目線で提案できる人材に
●領域を広げ、業界を変えていくインパクトを生み出す
●中堅・中小企業とデジタルをつなぎ、世の中を変えていきたい
従来のコンサルではできなかった「スマホ買ってください」から始まるDX
──最初に小平さんの経歴からお聞きします。船井総合研究所(船井総研)で長くコンサルタントとして働いてから、船井総研デジタルに移ってこられたそうですね。
小平:1996年に船井総研に新卒で入り、日本の中堅・中小企業を中心に、20年以上コンサルティングを行ってきました。2017年には執行役員に就任し、船井総研というコンサルティング会社をどう経営するかという視点でも仕事をするようになりました。
その中で、近年ニーズが高まるデジタル領域に関して、船井総研のコンサルタントだけでは足りない部分も見えてきました。「デジタルを本気でやらなければ」という使命感のようなものを覚えました。現在は船井総研からは離れ、船井総研デジタルを「DXコンサルを地で行く会社」にすることに全力を注いでいます。
小平 勝也(こひら かつや):船井総研デジタル 取締役 常務執行役員
1996年に船井総研に新卒入社。自動車関連企業のコンサルタントとして活躍し、オートビジネス支援部長や執行役員を歴任。2021年に船井総研コーポレートリレーションズ(現・船井総研デジタル)取締役に就任し、2023年3月から現職。
──「DXコンサルを地で行く会社」ですか? あまりイメージが湧きませんが……。
小平:DXって単語自体が、分かりにくいですよね。それは学生の皆さんだけが思っているわけではなく、実は、中堅・中小企業の経営者も「DXをやらなきゃいけないと分かっているけど、何をやったらいいか分からない」と悩んでいます。船井総研デジタルが、そうした企業に対して行う提案はシンプルです。「いや簡単です、スマホ買ってください」と話して、売上アップにつなげた例もあります。
──スマホですか? 具体的に教えてください。
小平:当該企業は、住宅メーカーに卸す材木屋さんでした。事務所では紙とペンで仕事をしていたんですが、全従業員にスマホとパソコンを渡し、社内システムも導入しました。すると、圧倒的に時間のロスが減り、受注のチャンスが増えました。
注文の電話が入ってきたときを例に、理由をお話しします。これまでは倉庫に走って確認していたのが、スマホからシステムに入って在庫が確認できます。これだけでかなりの時間短縮です。さらに「今すぐに届けてほしい」という注文でも、社員のスマホの位置情報から近くの社員にチャットで連絡すれば、すぐに対応できます。
──確かに、生産性が格段に向上していますね。
小平:こうした提案から、その後の支援までを行うのが船井総研デジタルです。船井総研でも「こんなホームページを作ると、売上が向上します」といったデジタルマーケティング施策の提案はできていましたが、「DX、何をやっていいか分からない」と悩む企業に対しては、それだけでは不十分です。
変えるべきオペレーションも多岐にわたるので、頭から尻尾まで全部お手伝いできないと、中途半端なDXはマイナスになってしまうこともある。そんな危機感が強かったです。
──それが、船井総研デジタルを設立した背景にあるのですね。
小平:船井総研グループの中でも、デジタル基軸のコンサルティング分野を伸ばしていきたいという考えがありました。グループの2社を統合する形で2022年7月に、船井総研デジタルが誕生しました。
「忖度」の多いDXコンサルの世界で、成果にコミットする
──DX支援をうたうコンサルは、すでに多く存在する気がします。このタイミングで立ち上がった船井総研デジタルは、どこで独自色を出すのでしょうか?
小平:DXコンサルの会社は2つに分かれると思います。1つはSaaSサービスを展開している会社で、クライアントに対して自社商品の利用を提案します。もう1つは大手の総合コンサルのように、システムの入れ替えや新規導入を提案する会社。どちらも「プロダクトありき」で考えることが多いので、クライアント側は「自社の課題を解決するには、何がベストなのか」の判断軸を持てないまま提案を聞くことになります。
──船井総研デジタルは、どうアプローチするのでしょうか?
小平:私たちは独立系なので、どこにも忖度(そんたく)する必要がない。クライアントに本当に最適なシステムやツールを提案できるのが強みです。先日も、ある製造業の会社に「第三者目線で提案してほしい。そのためにお金を払います」と言われました。これは他のDXコンサルでは難しい側面があると思います。
そもそも、船井総研グループは業績を上げる提案を行い、成果の創出にコミットすることを大事にしています。だから、投資額が膨らみ、開発に時間がかかり、次なる変化に対応しにくくなるようなシステム導入は絶対に行いません。
──確かに「売るものありき」とは違ったアプローチですね。
小平:一例ですが、私たちなら「社内で勉強したら扱えるようなシステム群を導入しませんか?」と言います。全機能を網羅するものではなく、採用や会計など各領域をつなぐシステムについて「一緒にお手軽に開発しましょう」と。
──柔軟性やスピード感が高まりそうです。
小平:開発の領域が狭くなり、売り上げが減ってしまうため、一般的なコンサル会社は敬遠するかもしれません。でも私たちはいかに早くDXできるか、将来の変化に対応できるかに視点を置いています。そこへの期待は大きいなと実感しています。
「やるか、やらないか」ではなく、サステナブルに「どうやるか」
──忖度しない提案を行いつつも、それをどう実現するか。まさに実行が重要な仕事ですね。
小平:先ほどの材木屋さんのスマホが好例ですが、ステップを踏むことが大事です。まずはスマホを導入する。次は簡単なシステムを使ってみる。やがてそのシステムに関してちょっとした改変ができる社員を育成する。こうして永続的な成長ができる会社に生まれ変わっていくという流れです。
──入り口を提案しようにも「現状維持でいい」と言われることはありますか?
小平:それは普通にあります。ただ、多くのケースではゼロ回答にはなりません。成果が上がりやすいものから提案していますし、皆さん何かを変えたいはずなので、「やるかやらないか」ではなく、「どうやるか」という展開に結果的になります。
──「どうやるか」を提案するときに大事にしていることはありますか?
小平:私たちが大事にしている考えで「サステナグロース」という造語があります。継続的な成長という意味で、「良い結果のときも、悪い結果のときもある」となるような提案はしたくありません。経営者やプロジェクトオーナーに向き合い、即成果が出て確実に伸びていく道を探っています。
日本全国の企業の99.7%が中小企業とされています。そこを支援することは、日本経済にも良い効果をもたらしますし、社会的意義もあります。中小企業がデジタルの力で生産性を上げて、規模を大きくしていく提案をしていきたいです。
──確かに、小さな一歩でも積み上げることでインパクトが大きくなりそうです。具体的には、どのようなアプローチを考えていますか?
小平:クライアントの社員みんながデジタル脳になり、デジタルの使い手になるという未来を実現したいですね。当社でもリスキリング(※1)の研修を実施し、自分でプログラムを組める人を何人か輩出しましたが、クライアントにもノウハウを展開したいです。プログラムまで行かずとも、システムを増強・修正できるローコードツール(※2)を使える人を育てることはできます。
(※1)……時代の変化に対応するため、業務を進める上で必要となる新たなスキルを習得すること
(※2)……必要最小限のソースコード開発でソフトウエアやアプリ開発を行う手法
──それこそ「サステナグロース」ですね。
小平:そうです。サステナブルにシステム運用できるようになります。「船井総研グループだから育成できるんだろう」ではなく、世の中の全ての中堅・中小企業がデジタルの力で生産性を上げ、かつ自分たちの力で上げ続けるという大きな絵を形にしたいです。
毎年30%の成長。入社数年後から、経営者目線で提案できる人材に
──先ほど社会的意義についてのお話がありましたが、船井総研グループの中ではどのような役割を期待されているのでしょうか?
小平:あらゆる業種と切っても切れないデジタルの部分を、グループの中でまるっと抱える会社として位置づけられています。
また、デジタル周りのコンサルティングは成長率も高いので、会社としても高い成長を求められています。毎年30%の成長を想定し、かつ実現できると思っています。
──それだけの成長率だと、若手にも多くの打席が回ってきそうですし、新卒への期待も大きそうです。
小平:そうですね。経営者目線を持って伴走できる人材になってほしいと考えています。先ほどの他社比較からも分かるように、デジタル周りのコンサルティングでは、システムの開発や運用に寄りがちです。ただクライアントのことを考えたら、経営者目線で意思決定のお手伝いをすることが大切。そこを若いうちから身につけて提案できる人になってほしいです。
実際に、経営者目線での提案ができている若いメンバーもいます。当社が開く経営者向けセミナーでは、入社2年目のメンバーがステージで話しました。4年目のメンバーが、ローコードツールを使って(企業内の情報を収集・分析・加工する)支援システムを作成する経営者向け勉強会を開催したこともありました。
──なぜそれだけ早い時期に可能なのでしょうか?
小平:入社してすぐの頃から、経営者にコンサルティングする場に同席するチャンスがあるからです。最初は小さくても、自分が提案できる商品を作るトレーニングも積めます。提案や実装をした後も、機能を説明したり反響を伝えたりと、経営者とのやり取りは続きます。その体験を通じて、経営者が何を考え、何に喜ぶかが分かるようになります。
──経営者目線を養うことが、新人育成のカギなのですね。
小平:そうですね。デジタル支援を行う会社なので、コンサルタント以外にもエンジニアやカスタマーサクセスといった職種でも採用を実施していますが、コンサルタントに限らず養ってほしい目線です。
例えば、エンジニアなら単純にプログラミングの技術が素晴らしいだけではなく、経営者やプロジェクトオーナーと話ができるようなイメージです。技術を磨くと同時に、システム開発というプロジェクトを回していく、仕事を創造していく役割を担ってほしいです。
領域を広げ、業界を変えていくインパクトを生み出す
──経営者目線を養った先には、どのようなキャリアパスがあるのでしょうか?
小平:私をモデルケースにする必要はありませんが、自動車の販売店や整備工場のコンサルティングを20年以上やってきました。その中で自動車の業種・業界コンサルタントのような感じに変わってきたので、領域を広げていくという意味では一例にはなると思います。
──詳しく教えてください。
小平:若いうちは専門家になろうと必死にやっていて、やがて自分のクライアントをどれだけ大きくできるか、というステップに移りました。自動車販売店は2~3億円の売り上げが多く、船井総研のクライアントでも10億~20億円規模。それを50億円に伸ばそうと、時間をかけて取り組みました。そして第3ステップとして、自動車業界をどう変えていけるか、という意識に変わりました。
──どんどん広くなってきたのですね。
小平:まず自分の得意な領域を作り、そこで多くの会社にご提案して、企業群を動かしていくようなイメージです。ITコンサルティングに置き換えると、会計や人事の支援から入り、バックオフィスという、より大きなくくりの中で活躍できるようになれます。
──経営者と接する量が増えるにつれて、影響力も大きくなります。
小平:コンサルではなく、業務代行でもいろいろな可能性がありますよ。例えばコミュニケーションが得意な人がいて、クライアントの商品を売るコールセンター業務を代行していると。いろいろな業界のコールセンターを経験する中で、まずコールセンターのプロフェッショナルになる。そして単なる電話番ではなくて、長期スパンの営業活動というくくりで影響力を高めていったら、あるべきコールセンターについてコンサルティングができるようになります。
──どんな職種でも、領域を越えた先に広がっていく醍醐味(だいごみ)がありそうですね。
小平:私は自動車業界を担当して6年目くらいの頃、軽自動車の専門店の立ち上げに関わりました。今では500店舗ほどになっていますが、自分たちが構築したソリューションややり方で業績や生産性が上がるというのは、ものすごいやりがいですよ。
──店ができ、雇用が生まれ、多くの人の生活を支えると考えればスケールが大きいですね。
小平:DX支援も含めて、そこに醍醐味があります。自分の領域を広げることで、より大きなインパクトを与えられる。それが見えるのはすごく楽しいです。
中堅・中小企業とデジタルをつなぎ、世の中を変えていきたい
──新会社として立ち上がったばかりで、船井総研デジタルは「まさにこれから」という時期だと思います。このタイミングで、どんな学生に来てほしいですか?
小平:船井総研グループの創業者が残している「成功の3条件」に、(1)素直(2)プラス発想(3)勉強好きというものがあります。この3つは最低限の素養として欠かせません。その上で、新しいチャレンジに躊躇(ちゅうちょ)しない人に来ていただきたいですね。
実際に入社した人も、仕事に対して「すぐやります!」と前向きに取り組む気持ちの良いメンバーが多いです。自分のことだけではなく、チームやクライアントに意識を向けてくれています。だからこそ、より良い方向へと変化していけるでしょう。
──中堅・中小企業のためにチャレンジしたい人にとっては、魅力的なフィールドになりそうですね。
小平:中堅・中小企業とデジタルをつなぐ存在って、実はあまりありません。まさにそれこそが、船井総研デジタルの役割だと思っています。一方で、現実的にはDXの「X」、つまりトランスフォーメーション(変革)にまで至らないことが正直多いです。
──どういうことですか?
小平:私たちの造語に「デジタルリメイク」があります。トランスフォーメーションまで劇的に変わらなくても、「できる領域からでいいので、ちょっと作り変える」というような変化はできるはずです。先のスマホからDXというのも、まさにこのデジタルリメイクです。私たちは、中堅・中小企業が本当に求めているDXはこれだと思っています。簡単なデジタルツールを導入したり、ちょっと業務を作り変えるデジタルリメイクで、生産性が上がり、やがて社員が変わり、業績が上がる。このデジタルリメイクで、世の中を変えたい人にぜひ来ていただきたいです。
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