※外資メーカー企業C社:外資のホンネ編(前編)はコチラ
外資系メーカーだから、新卒の発言で会社を動かせる
みやけ:新卒でC社に入社して良かったと思うことをお聞かせください。Bさん:外資系ならではの理由と外資系メーカーならではの理由の2つあります。まず、外資系ならではの理由としては、裁量権が大きくさまざまな経験ができたことです。私は、新卒1年目からオーナーシップを持たせてもらって、ブランドの立ち上げに関わり、ビジネスの360度を見られる経験ができました。ブランドサイズは小さかったですが、一気にさまざまなファンクションの人とのネットワークが作れたことも大きかったですね。ガチガチに固まった会社だったらできなかったことだとは実感します。
みやけ:新卒のうちから大きな仕事を任せてもらえるんですね。
Bさん:大きな日系メーカーだったら新卒の発言を受けて半年後、実際に会社が動くというのは非常に稀だと思います。その分外資系メーカーでは新卒にもある程度裁量権を与えて働かせる環境が整っています。その受け皿ができていることはC社の強みだと思います。
とはいえ、新卒誰もの意見が聞き入れられるというわけではありません。というのも、さまざまなブランドが社内にありその中では小さな世界なので、ブランドマネージャーとの関係を深くしておき、早いうちに信頼を得ておくことが大切です。
みやけ:まさに外資系ならではの「裁量権の大きさ」ですね。それでは、新卒でC社に入社したもう一つの理由、外資系メーカーならではの理由とは何でしょうか。
配属リスクを軽減するために、みんな外資系メーカーに入るんだと思います
Bさん:それは、配属リスクの少なさですね。もちろん、リスクが全く無いということにはならなくて、扱う商材が違ったというレベルで、志望が通らないことはあります。でも、外資系メーカーの場合は、専門性については採用の段階で決まっているので、他社に比べて配属のリスクは低いと思います。配属リスクの少なさを理由に、外資系メーカーを選ぶ人も多いですし。「何をやるか」というのはその次のニーズになるので、そもそもミスマッチを感じる人はそう多くないと思います。
みやけ:Bさんは、百貨店の化粧品事業部配属だったそうですが、志望通りの配属でしたか?
Bさん:いや、それが違うんです(笑)。私はもともとマス商品に行きたかったんですよ。でも、配属されたラグジュアリーも感性豊かで面白い市場だったので、結果的には良かったって思えていますね。もし、どうしても譲れない配属がある場合は、人事に言い続ければ聞いてくれますよ。人事は、社員側のニーズと会社側のニーズのマッチングで行われるので、社員側の要望が必ず実現する確証はないですが、聞いてはもらえます。
みやけ: 確かに、時間を効率的に使いたい人にとっては、決め手の1つになるポイントになりますね。
扱う商材によって、グリフィンドールかスリザリンかぐらい人生が変わります(笑)
みやけ:配属リスクに「部署」と「商材」と2つのレベルがあるということですが、それぞれ毛色が異なるものなのですか?
Bさん:違いますね。部署によっても、扱う商材によってもだいぶカルチャーは違うと思いますね。同じ営業でも、マス商品に寄れば寄るほど営業のスタイルは体育会寄りになるので、それを扱う人たちの体育会度も上がるように感じます。一方で百貨店営業の場合は、上品なおじさまの集まりで落ち着いていますね。本当に皆さんかっこよくて、ダンディなんですよ(笑)。グリフィンドールとスリザリンの違いくらいあります(笑)。
みやけ:ホグワーツですね(笑)。「やりたいこと」から職種を考える就活生は多いですが、「こういう人間になりたい」を叶えようと思ったら、商材にも目を付けた方がいいんですね。
Bさん:本当にその通りで、ファイナンスやマーケという職種ももちろん重要ですが、「自分が何の商材を扱うかということで自分の人生が変わるんだ」と会社に入って気づきましたね。そして、それはキャリアへも影響します。入社当時は、私がラグジュアリーブランドを担当するとは予想していなかったですし、扱う商材が今後のキャリアに影響するなんて頭になかったですよ。
みやけ:人事は、人と商材との相性を考えて配属を決めているんでしょうか。
Bさん:ある程度「この人はこの商品が合っている」と考えていると思いますね。例えば、本当に元気な人はサロン事業になりますし、落ち着いている人は百貨店へ配属される傾向があったと感じましたね。
外資系メーカーは走り続ける感覚
みやけ:外資系メーカーのワーク・ライフ・バランスについて、外資系コンサルとの比較も交えて教えてください。
Bさん:コンサルに比べると外資系メーカーの場合は労働時間はそこまで長くないかもしれませんが常に気が抜けない環境でまとまった休みは取りにくいんですよね。コンサルはプロジェクトごとに区切りがあるのに対して、メーカーは区切りがないので。常に売り上げや利益を追いかけて、予想通りに進捗しているのか見続けなければいけません。コンスタントに頑張る、走り続けなければいけない感覚がありました。それでも、サービスを立ち上げて一段落したり。ファイナンスだったら半期の締めが終わるごとにちょっと休めたりはしましたね。
みやけ:そういう意味では、常に気が抜けない環境なんですね。
――キャリアのホンネ編(後編)に続く
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