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「Will」「Want」「Can」で戦略的に自己分析をする
みやけ:キャリア観についてお話されたときに、「自分のWill」と言っていましたが、その定め方を教えてください。
Bさん:「Will」は就活をするときに考えた3つの要素、「Will」「Want」「Can」の一つなんです。それぞれ「将来どうなりたいか」「何をしたいのか」「何ができるか」ということを考えて、その中に会社をはめるということです。そうすれば、自分に合う会社も見えてきますし、ESや面接の大体の質問に答えられるようになるんですよ。
みやけ:確かに、その整理の仕方は綺麗にまとまりそうですね。
Bさん:例えば「会社の志望理由は何ですか?」と聞かれれば「Want」を軸に答えればいいですし、「あなたは5年後どうなっていたいですか?」と聞かれれば「Will」、「長所や短所は何ですか?」と聞かれれば「Can」と、オーソドックスな質問は大体ハマるんですよ。それぞれ、自分の過去に紐づけて整理しておけば大体の質問には答えられます。
みやけ:すごく戦略的ですね……! 実際の面接にも、対応できるフレームを持っていたと。
Bさん:外資メーカーのファイナンスを目指した私は、それぞれ具体的に、「Will」は「アジアの次の時代を作るようなビジネスがしたいからそういったビジョンを掲げているA社に行きたい」、「Want」は「将来のために、経営の力もグローバルで仕事をする経験も必要だからメーカービジネスに身をおきたい」、「Can」は「ロジカルシンキングに強いため会社の中でファイナンスとして活躍できる」と語りました。
「高度な専門性」「海外経験」「さまざまなカルチャー」が転職のカギでした
みやけ:なるほど。その3つの要素で考えることが、転職の際にも役立ったということだと思いますが、具体的な思考の過程を教えてください。
Bさん:転職を考え始めたときに「Can」が変わった分、今必要だと思うことが3つ出てきました。ひとつは「職種を広げること」。既に「T字型人材」ということを少しお話しましたが、ファイナンスからジェネラルマネジメントに広げる必要性を感じたんです。マーケやサプライチェーンをはじめ、いろんなことを学ばなければいけないだろうと思いましたね。
みやけ:専門性を深く広くということだったんですね。
Bさん:2つ目は「海外経験を積むこと」で、私のような純ジャパニーズの人間は早めに出ておかないといけないなと思ったんです。C社でも海外経験が積めないこともないのですが、だいぶん後のことになるので。
そして最後が「さまざまな会社のカルチャーに触れること」で、C社は外資系メーカーのなかではジェネラルといっても、肌で感じるカルチャーが偏っていることには変わりないので、多業種のクライアントと触れ合える場所に行けなければいけないと思いましたね。
みやけ:なるほど。そうして「Want」の要素が洗い出されたのですね。
Bさん:そうなんです。そうして外資系コンサルに行くことがベストだと考えたんですよね。さらに「海外経験を積むこと」から転職先候補を絞りました。
「Will」がないけど能力が高い人は、コンサルでモラトリアムしてたっていい
みやけ:今回、C社を通してファーストキャリアでメーカーに行く利点を伺いましたが、反対に新卒でコンサルに行くメリットは何か感じましたか?
Bさん:「Will」と「Can」と「Want」の話でいうと、「Can」がものすごく強くて「Will」は持っていない……つまりめっちゃ仕事できるけどまだ夢がない人は向いていると思いますね。実際、中途採用のときもケース面接が主で、夢については聞かれませんでした。新卒でもそんなに聞いてこないと思います。「この人は頭が良いのか?」「仕事ができる人なのか?」という部分を重視しているんだろうなと思いましたね。外資系コンサルでも某社はビジョナリーパーソンを求めていたりと、会社によって違うとは思いますけどね。
みやけ:就活生で「Will」がないと悩むこともありますが、必ずしも「Will」がないと自分に合った会社に行けないわけではないと。
Bさん:そうですね。コンサルに行くことが、自分がやりたいことを考えるモラトリアムの延長みたいになっている人もいます。実際、引き続き将来に迷っている人もいますよ。どのタイミングで会社を出るのか、もしくは出ないのか、自分は何をしたいのかと。
もう一つ、早いタイミングで起業したい人にもメリットの多い環境だと思いますね。起業した方の中にコンサル出身者は多いですし、実行に強いパートナーと組んで自分は戦略を担当して、というパターンにはすごく良いと思います。
みやけ:「Will」が強いと外資系メーカー、「Can」が強いとコンサルが向いているということですね。外資系メーカーの内情から転職のお話まで、普段は聞けないようなことばかりでとても楽しかったです!本日はありがとうございました。
こうして、10回目のOB訪問は幕を閉じた。外資系メーカーといえども一括りにできない。そんな世界の広さを知った時間だった。
「グリフィンドールとスリザリン、か……」Bさんの巧みな表現が、脳裏に焼きつく帰り道だった。
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