こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げてお届けする【業界研究:第1弾】。今回は精密機器業界についてお伝えします。
「ジャパン・アズ・ナンバーワン」をけん引した総合電機メーカーを代表するシャープや東芝が買収や不祥事で苦境にあえぐ中、目まぐるしく変化する世の中に適応して存在感を強めているのが精密機械メーカー、とりわけカメラメーカーです。今回は、富士フイルム、ニコン、キヤノンの3社を取り上げ、いかにして変化の激しい映像業界を生き延びているかをご紹介いたします。
絶体絶命からの大逆転。精密機器メーカーからの脱皮
2010年代に入りカメラの低価格化やスマホの台頭に押された映像業界は、自社の収益源が脅かされる深刻な危機に瀕していました。しかし、各社はそれぞれ独自の方法でこの局面を切り抜ける術を見出しました。まずは、各社の事業内容を比較していきましょう。
カメラの技術で薬を作る:富士フイルム
フイルムという名を冠してはいるものの、カメラの関連事業からの収入は3,400億円で、全体の15%にも及びません。富士フイルムを支えるのは、ドキュメント事業(オフィス向けプリンター等)とインフォメーション事業(ヘルスケア、産業機材)で、それぞれ1兆800億円、9,000億円の売り上げを誇り、これら2つの事業の売り上げが収益の85%以上を占めます。2000年までは売り上げの50%以上をフイルム事業に依存していましたが、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長の要として事業の多角化を進めた結果、今では2000年と比較して2倍近い売り上げを誇る優良企業へと成長しました。
※出典:2016年有価証券報告書(2016年4月1日 ‐ 2017年3月31日)より
カメラ技術をとことん突き詰める:ニコン
ニコンは、売上の50%強に相当する3,800億円を映像事業に依存しています。しかし高性能化するスマホに押され、年間売上高が2013年をピークに減少をはじめました。そこで、高い技術力を生かした製品開発やカメラで培った技術の他分野への応用によって再起を図っています。具体的には、映像事業において高付加価値製品への注力、その他の分野では半導体の露光装置を開発する精機事業や顕微鏡などを生産・販売するインストルメンツ事業などの展開を行なっています。特に精機事業においては2,500億円の売り上げを誇っており、映像事業に次いでニコンの主力事業となっています。
※出典:2016年有価証券報告書(2016年4月1日 – 2017年3月31日)より
※ニコンの業績より
IoT化、AIの流れに乗る:キヤノン
売上の30%に当たる1兆1,000億円をイメージングシステム事業(カメラやフォトブック等のサービス)に依存するキヤノンは、当該事業の販売実績が前年比86.7%と、スマートフォンの台頭などの影響を大きく受ける結果となりました。今後は、現在売り上げの17%を占めるにとどまる産業機器(医療機器やB to B向け機器)に注力し、IoT化やAIの流れに乗り収益の柱へと育て上げることを目指しています。
※出典:2016年有価証券報告書(2016年1月1日‐2016年12月31日)より
富士フイルム、ニコン、キヤノンの社風とは
続いて、各社の社風についてご紹介します。
事業転換の中で培った発想の自由さと、未だに残る日系企業体質:富士フイルム
カメラ事業の一極集中から多角化へと変化していった歴史を持つ富士フイルムは、世代によって異なる雰囲気を持っています。20、30代の社員は若手のうちから自由に意見を発信しようとする傾向があるのに対し、40代以上の社員は古き良き日系企業の年功序列を重んじる雰囲気を好むそうです。実際に、社員からも「管理職と中堅以下では全く気質が違う」という声が寄せられています。昨今、事業の多様化で弾みをつけていることを考えると、今後は若手の意見が尊重される風通しの良い組織へと移行していくと思われます。
挑戦する者には環境を用意する:ニコン
3社の中で最も海外売上比率が大きく、若手のうちから出張ベースで海外に行けるニコンでは挑戦を求める若手社員をどんどん海外へと送り出すそうです。その反面、「本人の強い思いが無ければ、安定した環境に甘んじてしまう」という社員の声にもあるように、日系企業らしさも残っているのがニコンです。2020年からスタートする「持続的な企業価値創造」に向けた構造改革を進めており、成長を求める人にはとことんチャレンジングな環境が用意されると予想されます。
真面目なトップダウン型の会社:キヤノン
社員が口をそろえて、自社のことを「ルールが多い」「真面目」と評するキヤノンは、トップダウン型の典型的な日系企業です。逆に組織としては統率がとれているという強みがあるため、チームで協力して結果を出したい学生に向いているといえます。
3社とも高水準! 気になる給与・年収は?
3社の給与は以下のようになっています。
富士フイルム:1,046万円(持ち株会社)
ニコン:779万円
キヤノン:763万円
富士フイルムはホールディングスカンパニーの数字のみが公開されているため、1社だけ抜きんでた形になっていますが、現場の声によると「役職につかない限り1,000万円を超えることはない」そうです。
富士フイルム、ニコン、キヤノン。各社の選考対策
チームプレーで新しいことを:富士フイルム
団結して危機を乗り越えた企業である富士フイルムでは、個々の能力による個人プレーよりも、お互いの短所を認め合ったチームプレーをできる人間が好まれます。こういった観点から、特に面接においては上司に対して生産性のある議論ができるかという基準で見極められています。
また近年の富士フイルムは合理的に新しいことをしようとする会社になっています。かつては上下関係への耐性が必要な企業でしたが、現在は合理的に成長したい人に適した企業になってきていると言えるでしょう。(選考対策ページより)
信頼と巻き込み力:ニコン
ニコンは、信頼関係を構築し周りを巻き込む力を有している学生を欲しています。
非常にホワイトな企業であるニコンは、ガツガツとした社員が少ないと言われています。選考では、このガツガツしていない社風にフィットするかを見られています。グループディスカッションや面接では、自分の意見を主張しすぎず「周りの意見を引き出すこと」や「周りを巻き込んで成功した経験」を意識してアピールしましょう。(選考対策ページより)
真面目にコツコツ、目標達成:キヤノン
キヤノンは、時代の流れとともに新規事業を立ち上げ、会社の事業内容を発展させてきた歴史があります。そのため、求める人物像のひとつとして「高い目標を持ち、達成に向けて行動できる人」を挙げています。実際の面接でも、学生時代に頑張ったことなどに対して、どのような目的意識を持って活動していたかが問われています。
また真面目にコツコツと取り組む社風にマッチしていることや、数あるメーカーの中からキヤノンを選んだ理由なども説明できるようにしておきましょう。(選考対策ページより)
おわりに
いかがでしたか。有名な総合電機メーカーの陰に隠れがちな精密機械メーカーですが、時代の変動に適応していち早く事業を多角化し、順調に業績を伸ばしています。総合電機メーカーの就職を検討している方は、ぜひ精密機械メーカーも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
より詳しい選考情報はこちらをご覧ください。
▼選考対策ページはこちら
富士フイルム
ニコン
キヤノン
ONE CAREERへの新規会員登録/ログインが必要です。
▼業界研究記事はこちら
・【業界研究:第1弾】大好評!24業界、30本の記事を総まとめ!人気企業を徹底比較!