こんにちは。私は出版社で編集者として数年勤務後、過労で倒れた経験を持つ、ニャート(ペンネーム)といいます。
前回、自分の苦い経験から「キャリア」と「出産・育児」の優先順位を考えることが大切だとお話ししましたが、今回は、女性が「キャリア」と「出産・育児」を両立させることの難しさと、それを叶えるために揃えるべき2つの「理解」についてお伝えします。
女性を取り巻く状況をデータから読み解く
女性が「キャリア」と「出産・育児」を両立させることは難しいといわれますし、それを実感するキャリアウーマンも多いですが、まずはその実態をデータで読み解いてみましょう。
管理職における女性の割合はたったの1割:キャリアの充実そのものが難しい
まずは、女性でキャリアを充実させている人がどのくらいいるでしょうか。
「キャリア」のゴールは「役職」だと捉えることもできますが、これに紐づくデータを見てみましょう。総務省「労働力調査(基本集計)」によると、管理職における女性の割合は11.3%(平成26年)です。非常に低く、管理職が10人いたら、男性が9人、女性は1人だけということになります。
さらに、厚生労働者「賃金構造基本統計調査」を元にした数値によると、平成26年では女性の係長は16.2%、課長は9.2%、部長になるとたった6%(つまり部長の94%は男性)となります。
(出典:厚生労働者「賃金構造基本統計調査」の数値を元に、筆者が作成)
女性管理職の6~7割が子どもを持たない:「出産・育児」が犠牲になるかたちに
では、ただでさえ少ない女性管理職の中で、結婚して子供がいる女性、つまり「キャリア」と「出産・育児」を両立させている女性の割合はどのくらいなのでしょうか?
労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」によると、男性管理職と女性管理職では、未婚、既婚で子どもはいない人、既婚かつ子どもがいる人の割合に大きな違いがあります。
(出典:労働政策研究・研修機構「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」の数値を元に、筆者が作成)
グラフを見ると、女性管理職の独身率(未婚+離婚等)が40~50%と、男性の10〜30%に比べて非常に高いことが分かります。
さらに、女性管理職の子どもがいない割合(未婚+離婚等+既婚・子なし)も60~70%と大半を占めます。男性が20〜40%ですから、バリキャリの女性は、「出産・育児」を犠牲にしている傾向があるといえるでしょう。
キャリアの充実のためには「結婚・出産」を犠牲にしなくてはいけなかった
ここまでで分かったことは、下記のようになります。
・管理職における女性の割合は約1割:キャリアを充実そのものが難しい
・女性管理職の約4~5割が未婚、約6~7割が子どもを持っていない:キャリアを充実させている女性は「出産・育児」を犠牲にしている傾向がある
「1割」という数字から分かるように、日本で女性が管理職になるのは非常に大変です。そのために、これまでの女性管理職は、結婚・出産を犠牲にせざるを得なかった状況に立たされていたのかもしれません。
「キャリア」と「出産・育児」の両立には「理解のある環境」が不可欠
現在の日本では、残念ながら働く上では男性と女性は平等ではありません。
その証拠に、就職活動時に女性が「キャリア」と「出産・育児」の優先順位を考えることは非常に重要といわれますが、同じことを男性に促す流れはまだありません。
これまでの日本には、妻は働く夫を支えることが第一といった考え方がありました。つまり、夫は自分の仕事のことだけ考えればいいが、妻が仕事をする場合家庭に影響を及ぼしてはならないといった風潮です。妻は夫の身の回りの世話・家事・育児・介護・自らの身の回り・自らの仕事、これら全てを完璧にこなしてやっと「仕事と家庭を両立している」といわれるのです。反対に、夫の何倍もの負担を背負いきれないと、夫や、夫婦両方の職場から批判を受けるといった厳しい環境があったのです。
ですが、そういった流れは変わりつつあります。現に、現在20代後半の人たちは、40代以上の世代よりも男女が家事を分担することに抵抗はない(※1)と聞きます。これから日本の未来を背負う皆さんに、これらの新たな流れを進めてほしいと思います。
(※1)参考:しらべぇ「【調査】「共働きの家事」どっちがやるべき?結婚相手を探すならこの世代!」
未来は変わっていくもの。2つの理解を得よう
女性が「キャリア」と「出産・育児」を両立するためには、理解のある環境を手に入れればいいのです。
それはズバリ、「理解のある職場」と「理解のある夫」です。
「理解のある職場」は、OB訪問で見分ける
「理解のある職場」とは、会社の方針だけではなく、上司や先輩・同僚などの現場の人々の理解もある環境のことです。就職活動時にOG訪問(管理職ではなく、本音を語ってくれる3~5年目程度の人がいい)することで、職場の「本音」を探っておくことが大切です。
さらに、いざ妊娠した時に職場の人にサポートしてもらうためには、それまでに「信頼」を積み重ねておきましょう。子どもができると、子どもの熱で早退するなど、周りに負担をかけてしまう時がありますが、妊娠前に職場に貢献する姿勢を見せ、自分への信頼と期待値を積み重ねておけば、「◯◯さんにはあの時助けてもらったから」「今は◯◯さんは子どもが小さいから大変だけど、落ち着けば必ず会社の力になってくれる人だから」と助けてくれる人が現れます。自分の仕事をきっちりこなした上で、チーム内で困っている人をサポートするなど小さいこをコツコツ重ねておくことが必要です。
「理解のある夫」は、学生のうちに青田買いをする
あと「理解のある夫」、これが最も重要なものかもしれません。
もし皆さんに、現在結婚を約束できるような人がいなければ、就活を終えた後すぐに婚活をした方がいいでしょう。といっても大がかりなものではなく、大学で「理解がある、優しく柔軟な人」を探しておくのです。
男子学生が多く、女子学生が少ない一流大学の男子学生には、学生時代は(女子が少なかったから)あまりモテなかったけど、社会人になってから急にモテ始める、いわゆる「社会人デビュー」を経験する人がいます。逆にいうと、社会人デビューする前の学生時代には彼女ができず困っているので、社会に出る前の青田買いが有効なのです。
皆さんの周りにそういう人はいないか探しておくこと、こうした地道な努力から、「キャリア」と「出産・育児」の両立が始まっているのかもしれません。
冷静綿密に両立しやすい環境づくりを
「キャリア」と「出産・育児」の両立。それを叶えることがどれだけ難しいかご理解いただけたかと思います。今回データを用いてツラい現実をむき出しにしましたが、時代の流れとともに女性の働きやすい環境が整い始めているのも事実です。あまり悲観的にならず、冷静綿密に両立しやすい環境づくりをはじめてください。
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