ONE CAREER(ワンキャリア)
ONE CAREER(ワンキャリア)

はじめてのキャリアを選ぶ、就活サイト

企業検索
  • 業界から企業をさがす
  • クチコミからさがす
  • ログイン
  • 会員登録(無料)
  • 企業をさがす
  • イベントをさがす
    • 本選考をさがす
    • インターンをさがす
    • 説明会・セミナーをさがす
  • ES・体験談をさがす
    • ES・体験談をさがす
    • ES・体験談を投稿する
  • クチコミをさがす
  • 就活記事を読む
就活サイトトップ就活記事学生失格

学生失格

商社 コラム
2019年2月17日(日) | 43,127 views

※こちらは2016年10月に公開された記事の再掲です。


1:


恥の多い大学生活を送って来ました。自分には、正しい大学生の生活というものが見当つかないのです。経済学部に4年間所属しましたが、ついに経済学というものについて、何一つとして学びを得ることはありませんでした。経済学の父と言われたアダム・スミスについて、国富論の主張を論ずることが求められたあの試験、しかし自分はテストの表面いっぱいにエアロ・スミスの説明を書き殴り、ドワナクローズマイアーイズ!、そして「夢」を書いたテストの裏、紙飛行機つくうて明日に投げ、いつか曇り空わって虹をかけ、みんなを連れて行く。そんなファンタジーな毎日を過ごすばかりでした。



卒業までに126単位の取得が必要でしたが、1年目を終えて自分がたったの12単位しか取得出来ていないことに気付き、そこで漸く慌てまして、2年目はたいそう気合いを入れて望みましたが、やはり2年目に取得出来た単位も不思議と12単位なのでありました。2年目が終了し、合計24単位。なんとなく、このままだと単位が足りないのかもしれないと思った3年目の始まり、満開の桜の下で絶望に打ち拉がれた春の日を、それを昨日のことのように思い出します。




では毎日何をしていたのかと言えば、「不毛な活動」に明け暮れていたのです。ひたすら友達と酒を飲み、永遠とテレビゲームをし、川で泳ぎ、また酒を飲み、朝まで語り、スポーツをし、バイトをサボり、親に仕送りをせがみます。行き先も決めずに男達はボロボロの車に乗り込み、そのまま5日も6日も、宛ても無く走り続けるのでした。いったい自分たちがどこにいるのかもよく分からない、コンビニのビールと鬼殺しで二日酔い、そんな折に車の窓から見えた朝日が、それがそれが決して美しいと言えた代物ではなく、ただただ、吐き気を促すのです。それがまた、青春なのでした。





3年生も終わりに近づくと、突然、どこからともなく現れた面接官さまに聞かれます。「あなたは学生時代に、何をしたのか」。



おお……、なんという奇をてらった、ユニイクな質問でしょう。青天の霹靂(へきれき)。いったい自分は、学生時代に何をしたと言うのか。「はい。それは、僕が一番知りたいことで御座います」と正直に答えたあの面接は、非常に残念ながら、落とされてしまいましたね。こういうのを、世に、「順当」と呼ぶのだと思います。




さて、こんなことをベラベラ話していると、お前はふざけてるのか……、そんな時間があったら勉強を……、最近の若い奴は……、こんな奴が社会人になると考えると……、もっと学生の内から企業の研究を……、自分の阿呆をさらけ出して何が楽しいのか……、これだから日本の大学生は……、お前は何も分かって無……、と怒られてしまうのであります。そして怒られるたび、ただ、自分には、謝るしかできないのです。



こちらとしても、決して信念やプランを持って「不毛な活動」を繰り返したわけではなく、それはただ成り行きと欲望と怠惰が為せる業なのでありまして、どんなに怒られても一切の反論の余地はなく、ただただ、グウの音も出ないのであります。





2:


しかし今、こんな自分でも、「学生時代は何をするべきですか」と、大学生に聞かれることがあるのです。こんな不毛な活動を繰り返した自分も、なるほど、振り返ってみれば、なんやかんや社会人になり、職場にも恵まれてそれなりの仕事をし、転職もして、幸い今も毎日楽しく働いているわけで、何かアドヴァイスを貰おうと思って連絡をくれる学生がいる。


おお、これはもう、渾身のアドヴァイスをするしかないと意気込むのです。こんな自分を頼ってくれる学生がいるのなら、全力のアドヴァイスで応じるしかない。「うん、学生の時は、一心不乱に、遊びまくったら良いんじゃないかな。それはもう、精根尽き果てるまで。死力を尽くして」




自分はこの独特なアドヴァイスに、さらに客観的な根拠のようなものを添えようとさえします。「学生という時間を最大限使って自分を見つめ直すことには相応の意味がなんちゃら」「社会人になったら、時間や場所に縛られず遊ぶことなんて 40年も出来ないのだからなんちゃら」「結局、ああやって遊ぶなかで考えたことがその後社会人になってなんちゃら」「あの頃の友達が一生のなんちゃら」「遊ぶというのはクリエイティブな思考がなんちゃら」「自分の本当に好きなことを探しなんちゃら」だから、遊び尽くすのだ。精根尽き果てるまで。死力を尽くして。



学生はなにかヒントを得たようにうなずき、目をまん丸くして、なるほどと言います。そうやって学生を見送り、自分はひとときの満足を得るのです。そして自分の演説を思い出してふと我に返り、自分は何をドヤ顔しているのかと、赤面するのです。




学生時代にすべきことなど、いったい、自分のどこに語る資格があるのか。何を偉そうに語っているのか。





3:


それは、自分は遊んでいただけだから語れないはず、などという脆弱(ぜいじゃく)な理屈では御座いません。自分は一度しか大学生を経験していないのでありまして、「大学時代を遊んで過ごしたパターン」と「大学時代を勉強にあけくれて過ごしたパターン」と「大学時代を海外で過ごしたパターン」と「大学時代を部活に捧(ささ)げたパターン」との比較検討が、出来ないのです。遊んでいなかったらどうなっていたのかなど知る由もありません。「大学時代に遊んでいたこと」と「その後の活動」の因果関係など、説明不能なのであります。にも関わらず、突然の、「遊ぶべき」。どこからともなく悠然と現れた「べき論」。ああ恐ろしい。恐ろしや恐ろしや。祟(たた)りじゃ




しかし、自分にそれらを語らせた悪霊の正体を、自分は、何となく感付いているのです。それは理性的な判断力などでは断じてなく、自分の過ごした時間を正当化したいという、自分の、無意識の「希望」や「願望」、つまり『感情』なのであります。自分は大学時代を不毛に過ごしてきて、そして、なんやかんや今に至る。しかし、過去と現在とのつながりを語るのは、今や自分に与えられた自由ですから、どうせなら色々なことに意味があったのだと、繋がったのだと、言いたい。信じたい。それが意識せずに、自分の意見(らしきもの)をつくるのだと、そう思うのです。



また、自分は大企業を経て転職をしていますから、「大企業に入っても歯車になるだけで意味なんて無い」と言い切る方に対しては、「それは安直で、大企業もいろいろ学ぶ事があるよ」と言ってみたくなります。学ぶことがあったのだと、自分はあそこで何かを学んだのだと、自分自身が思いたいからです。一方で、「大企業で一生を安定して過ごすのが勝ち組だ」と言い切る方には、「でも転職や起業も楽しそうじゃない?」と言いたくなります。大企業を辞めて転職をした自分のキャリアを、どうにか正当化したいからです。それは、冷静な比較検討の上での、客観的なアドヴァイスなどでは、断じてありません。




ただただ、自分は自分の過去を、肯定したいのです。自分の判断を、判断の集合を、まとめて肯定したいのです。きっと自分が勉強に明け暮れた大学生活を送っていれば、「学生の時にしっかりと勉強しておいた方が良い」とでも言うのでしょう。部活に明け暮れていれば、「何か一つのことに打ち込むこと」や「辛さに耐えること」の大切さを説いたでしょう。ああ、恐ろしや。そんな、根底にバイアスの潜む、一般性とは程遠い話を聞いて、学生には何の意味がありましょうか? ましてや、その学生と自分とは、環境も価値観も能力も、まるで違うというのに!!





4:


自分は、自戒の念も込め、ここに、「意見」というものの、お茶目でファンキイな側面が潜んでいるのではないかと少し勘ぐりたいのです。意見……アドヴァイス、説教、マウント、反論、議論。



「サラリーマンはくだらない……」「大企業よりベンチャー……」「日系より外資……」「都会より田舎……」「あの課長は……」。一見、客観的な正しさを根拠としているような意見の中にも、注意深くみてみると、その原動力が『普遍性』より『感情』に寄っているものがある……。もちろん、淡々と事実のみ比較しているものだってあれば、そもそも算数の問題のように、万人にとって正しい一つの「解」が存在しうる領域における議論も多分にあるのだと思いますから、きっと、『事実』と『感情』とは、一つの意見の中に、濃淡を織り成して共存するのだと、そんな風に思います。







そして、上手に客観性の皮をかぶり、巧妙に論理性の威を借りて、しかしその根底に感情がメラメラと燃え上がるのが見て取れるような、パッションモ〜ンスター! な意見を見るたびに、しかし自分は不快さを感じるということは一切なく、むしろ、強烈なシンパシーを感じるのであります。





5:


人生を何かに費やせば、否が応にも、自分の中に「変えられない価値観」ができるのだと、推測されるのです。それは、良いことでも悪いことでも無いのだと思われるのです。そして、一度信じてしまった価値は、少なくともその人の中では絶対的なものであり、そして世の中としてもそれが絶対であって欲しい。自分のやったこと、自分の大切にする価値を、たくさんの人に認めさせたい。自分を認めさせたい。これが、やはりとても自然なことだと思うのです。




少なくとも私は、きっと自分の死ぬその時には、あの日仲間達と車から見た朝日を、二日酔いの朝日を、ぼんやりと思い出す。そう信じているのです。人生最後の日には、あのくだらない時間に思いを馳せ、喜びの涙を流す。誰が何と言おうと、不毛で、平和で、穏やかな日々に、価値がある。そうに、違いないんだ。


自分の様々な意見は、この絶対的な基準を原料にして、そこに不気味なスパイスを加えて作られていくような気がするのです。





自分という生き物には、もはや自分が自覚出来ないほどに、複雑に、自己肯定バイアスがからまってしまいました。こうなればもう、一見筋が通っているようで実は自分を肯定しているだけ、感情をただ大声で叫んだだけ、そんな意見をこれでもかと言うほど宇宙にバラ撒(ま)いて、1人で気持ちよくなりたい。自分のために、あなたにアドヴァイスしたい。あなたに意見したい。気持ちよくなりたい。


わたし、気持ちよくなりたいの。





な〜〜んちって♡

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
ONE CAREER の人気記事をお届けします。
Facebook Twitter
熊谷 真士
ライター
熊谷 真士

爽やかで優しく情に厚い、品行方正で二足歩行のジェントルマン風お兄さんです。こんにちは。
ブログ『もはや日記とかそういう次元ではない(http://manato-kumagai.hatenablog.jp/)』

@kumagaimanatoをフォロー

この記事に関連する就活記事を読む

  • 2020/12/17
    熊谷 真士

    でも、仕事ってけっこうダルいですよ?

    ※こちらは2016年8月に公開された記事の再掲です。連日うだるような暑さが押し寄せてきますが、皆さまにおかれましては如何お過ごしでしょうか。採用系のイベントも結構始まっているようなので、各所で「...
  • 2016/10/20
    熊谷 真士

    でも、仕事って全然ダルくないですよ?【熊谷:特集Vol.4】

    ワンキャリア人気ライター4名がそれぞれの仕事観を語る「仕事は楽しいかね?」特集。最終日は、有名ブログ「もはや日記とかそういう次元ではない」でおなじみ、熊谷 真士氏の記事をお届けします。<ライター...
  • 2021/11/02
    熊谷 真士

    面接とかOB訪問での会話って、何かフワフワしませんか? 【新連載:「もはや日記とかそういう次元ではない」熊谷氏】

    はじめまして、熊谷と申します。就活生の皆さんは、就活真只中といったところでしょうか?振り返ると、三井物産に在籍した当時から現在に至るまで、相当数の商社志望の学生からOB訪問を受けてきました。その...
  • 2019/10/15
    熊谷 真士

    あの面接から学んだ、たった0つのこと

    ※こちらは2016年11月に公開された記事の再掲です。──張り詰めた空気、永遠とも感じられる刹那の時間 あの瞬間が、今でも忘れられない。それは私の脳...
  • 2023/03/07
    熊谷 真士

    大丈夫。「お祈りメール」を貰ってからが、勝負です。

    学生の皆さんこんにちは。これから、皆さんに向けて、何一つとしてタメにならない恐ろしい記事を書きますので、注意深くブラウザを閉じて下さい。 熊谷 様 先日は、弊社の面接にお越し頂きまし...
熊谷 真士
ライター
熊谷 真士

注目の企業

  • 広告・マスコミ
    電通デジタル
  • メーカー
    東京エレクトロン
  • 旅行・観光
    JTB
注目の企業一覧はこちら

就活記事ランキング

 1
いい加減、WEBテストの解答集を使うのはやめようぜ
 2
【フェルミ推定】「いまさら聞けない」でも大丈夫!回答&解説付きで読むだけでOK【25...
 3
大丈夫。「お祈りメール」を貰ってからが、勝負です。
 4
【25卒向け】インターンシップ・説明会エントリー受付中の企業まとめ&締め切り一覧!【...
 5
【実録】たまたま戦略コンサルに受かってしまった人の「末路」
ランキング一覧はこちら
トップに戻る

業界別の企業

  • コンサル・シンクタンクの企業
  • 金融の企業
  • メーカーの企業
  • 商社の企業
  • IT・通信の企業
  • 広告・マスコミの企業
  • 人材・教育の企業
  • インフラ・交通の企業
  • 不動産・建設の企業
  • 旅行・観光の企業
  • ブライダル・美容・くらしの企業
  • 医療・福祉の企業
  • 小売・流通の企業
  • 公務員・団体職員の企業
  • その他の企業

業界別のエントリーシート(ES)

  • コンサル・シンクタンクのエントリーシート(ES)
  • 金融のエントリーシート(ES)
  • メーカーのエントリーシート(ES)
  • 商社のエントリーシート(ES)
  • IT・通信のエントリーシート(ES)
  • 広告・マスコミのエントリーシート(ES)
  • 人材・教育のエントリーシート(ES)
  • インフラ・交通のエントリーシート(ES)
  • 不動産・建設のエントリーシート(ES)
  • 旅行・観光のエントリーシート(ES)
  • ブライダル・美容・くらしのエントリーシート(ES)
  • 医療・福祉のエントリーシート(ES)
  • 小売・流通のエントリーシート(ES)
  • 公務員・団体職員のエントリーシート(ES)
  • その他のエントリーシート(ES)

業界別の体験談

  • コンサル・シンクタンクの体験談
  • 金融の体験談
  • メーカーの体験談
  • 商社の体験談
  • IT・通信の体験談
  • 広告・マスコミの体験談
  • 人材・教育の体験談
  • インフラ・交通の体験談
  • 不動産・建設の体験談
  • 旅行・観光の体験談
  • ブライダル・美容・くらしの体験談
  • 医療・福祉の体験談
  • 小売・流通の体験談
  • 公務員・団体職員の体験談
  • その他の体験談
  • はじめての方へ
  • 運営会社
  • 編集部
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー
  • コンテンツポリシー
  • 投稿ガイドライン
  • よくあるご質問
  • 採用担当者はこちら
ⓒ2009-2023 ONE CAREER Inc. All Rights Reserved.
会員登録してすべてのコンテンツを見る
会員登録(無料)
アカウント情報
確認メールが届いていない方はこちら
ログインはこちら
ログイン
パスワードを忘れた方はこちら
30万件のクチコミ・就活体験談が読み放題!
新規会員登録(無料)はこちら