外資系投資銀行で活躍する女性社員のリアルに迫る特別企画、今回はメリルリンチ日本証券を特集します。今回はクレジット営業部所属の秋庭さん(写真左)と、投資銀行部門所属の高木さん(写真右)にインタビューを行いました。
今回の見どころ
・お客様からの「ありがとう」に感動。身をもって知るIPOの醍醐味がそこにあった
・市場に合わせ、お客様へのベストな提案も変化していく。成長に終わりはない。
・「メリルリンチ日本証券を外資系トップの会社に」多様な人材、思いは一つ
・秋庭さん「この人たちとなら頑張れる! と思える会社を選ぶこと」 高木さん「変われるチャンスはいくらでもある。あとは飛び込む勇気だけ」
「外資金融×女子」特集ラインナップ
ゴールドマン・サックス/J.P.モルガン
メリルリンチ日本証券/UBSグループ/シティグループ
世界情勢と仕事がリンクするダイナミズム
──秋庭さん、高木さん、今日はよろしくお願いします。はじめに、お二人の入社後のキャリアを簡単に教えてください。
秋庭:入社4年目で債券本部のクレジット営業チームに所属しています。機関投資家様に投資判断のための情報提供や、債券売買のお手伝いをすることが主な業務です。
高木:入社2年目で投資銀行部門に所属しています。昨年は3つのプロジェクトに携わり、債券発行とIPO(新規株式公開)の案件を担当しました。
──ありがとうございます。お仕事の内容について、詳しく教えてください。まずは秋庭さんから伺います。機関投資家向けのセールスを担当されているとのことですが、具体的にどのような業務を行っていますか?
メリルリンチ日本証券株式会社 クレジット営業部 秋庭 愛子(あきば あいこ):2014年に大学を卒業後、新卒で入社。入社以来機関投資家向けのセールスを担当し、現在は債券によるソリューション提供を行う部門に所属している。
秋庭:私はクライアントである機関投資家様に対し、投資判断の材料となるようなマーケット情報の提供や、新しい商品のご提案をしています。証券会社のマーケット部門が扱う商品は大きくは株式と債券ですが、私が所属するクレジット営業部では債券を扱っています。具体的には、社債、デリバティブ、証券化商品、仕組債など多岐にわたる金融商品を扱っています。
──ニュースでよく耳にする株式と比べ、債券は就活生になじみが薄い商品です。秋庭さんが思う債券を扱う魅力は、どんな点でしょうか?
秋庭:債券市場はマクロ情勢に左右されます。したがって日本にいながら世界の政治事情の変化を意識して仕事をすることが魅力だと思います。最近ではイギリスのEU離脱やトランプ政権の発足によるマーケットの激変が記憶に新しいです。
お客様からの「ありがとう」に感動。身をもって知るIPOの醍醐味がそこにあった
──続いて高木さんにお聞きします。改めて、投資銀行部門で高木さんが担当している業務について、学生にも分かるように解説していただけますか。
メリルリンチ日本証券株式会社 投資銀行部門 投資銀行部 高木 里沙(たかぎ りさ):2016年入社。大学院を卒業後、新卒で投資銀行部門に入社。クライアントに対するM&AやIPOの提案を主に担当し、昨年は入社1年目で3案件に携わった。
高木:私の主な業務は、M&Aや資金調達等をお客様に提案することです。具体的には買収、合併はもちろん、買収のために必要な資金について債権や株式などの選択肢からどう調達するかを検討し、お客様にとってベストな提案を模索します。実際の資金集めの上では、投資家様とのやりとりも単に出資を募るだけではなく、企業の成長性を論理的に説明したうえで、ビジネスの内容に賛同いただいて初めて出資に結びつくため、やりがいを感じます。
──株式と債券のお話が出たのでお尋ねしたいのですが、投資銀行部門の視点から、両者にはどのような違いがあると思いますか? 秋庭さんからはセールスの視点で、「債券はマクロ情勢の影響を受けやすい」とのコメントがありましたが。
高木:一般的に、債券は「信用に基づく資金の借り入れ」で、将来的に返済の必要があります。一方で、株式は「企業のビジネスと成長を見越した投資」なので、返済の必要はありません。
──端的にご説明いただき、ありがとうございます。続けて、実際に担当した業務のエピソードもお聞きしたいです。現在2年目の高木さんですが、これまでで印象に残った案件は何でしたか。具体的には、苦労が大きかったり、ご自身で社会に対する影響の大きさを感じた業務を教えてください。
高木:1年目は3つの案件を担当しましたが、一つ選ぶとしたら、あるIT企業のIPOです。身をもって上場のプロセスを学べたのが大きな収穫でした。IPOという言葉の意味は知っていましたが、実際の手続きを担当するのはもちろん初めてのことでした。グローバル上場だったので英語版・日本語版と2種類の資料を作成するのに奔走したり、様々な関係者から毎日「これでもか」というほどのメールが来たりと大変なことも多かったですが、社内でのチームワークに助けられました。
中でも忘れられない瞬間は、上場の祝賀パーティでお客様に感謝の言葉を掛けて頂いたときです。いつもは電話越しでお話ししていたお客様の喜ぶ顔が見られて、達成感と感動も大きかったです。
市場に合わせ、お客様へのベストな提案も変化していく。成長に終わりはない。
──秋庭さんからも、1年目の頃のエピソードを伺えますか。セールスの仕事ということで、お客様と対面で関わる機会は多かったのでしょうか。
秋庭:はい。私の場合は、先輩のサポートを受けながらではありますが、入社後すぐにお客様を担当させて頂くことになりました。1年目の頃は、お客様に比べて知識や経験も全く及ばず、そんな中で何とかお客様のお役に立とうともがく日々でした。苦境の中で心掛けたのは、迅速さです。お客様が求めているであろう情報を素早く提供することで、評価をいただけるよう努力しました。
──入社後すぐに顧客を担当するのは、非常にチャレンジングですね。ベストセラーのビジネス書『入社1年目の教科書』にもありますが、速さで知識や経験をカバーする姿勢は、新入社員が成果を出すための一つの秘訣だと感じます。
そんな秋庭さんは、ご自身のこれまでの成長をどのように捉えていますか。入社当時から4年目の現在までをフェーズに分けるとしたら、どのように定義できますか?
秋庭:私が現状まで通過してきた成長のフェーズは3つあったと思います。第1フェーズは「何ができて、何ができないかをはっきりさせる期間」でした。わからないことを明確にし、社内の情報や、先輩への質問によって知識の穴を埋めていきました。
第2フェーズは「社会人基礎力、債券の営業基礎力への知識を固める期間」でした。自分の業務を定量化・明確化をして、仕事をミスなく早く行えるように自分の技量を磨きました。
今は「自分にしかできないことを探す」期間ですね。3年間で構築した社内のネットワークを活かしてお客様に還元できるように工夫しています。ここでいうネットワークは、国内の他部門とのつながりや、入社後の研修で訪れた当社のロンドンや、ニューヨークのオフィスとの関係です。金融市場は日々変化するので、それに合わせて求められる営業の形は変わります。その都度自分の目標を微調整していく、終わりのない仕事です。
──1年目で自分の立ち位置を知り、2年目で基礎を固め、3年目で自分ならではのバリューを見つけていくということですね。
部門が違えば何もかも違う、投資銀行の働き方
──お二人が現在のお仕事に感じている魅力にフォーカスしてきましたが、次は学生時代のキャリア選択に話題を移したいと思います。具体的には「就活で何を重視して外資系投資銀行を選んだのか」また、その中でも「なぜメリルリンチ日本証券の、今所属している部署に魅力を感じたのか」をお聞きしたいです。まずは、秋庭さんの就活の軸を教えていただけますか。
秋庭:私の就活の軸は「評価のわかりやすさ」と「向上心を持って働き続けられると感じられるかどうか」でした。メリルリンチ日本証券のセールスを選んだのは、その2つの軸を満たしていると感じたからです。
前者については、個人の評価や寄与度が分かりやすいという外資系証券会社の性質と、取引の成否がはっきりしているセールスの業務がマッチしていると感じました。後者としては、他社と比べて社員の定着率が高いメリルリンチ日本証券では年次構成の偏りが小さく、数年先から10年後までロールモデルを見つけやすいと思えたのが決め手です。
──高木さんの就活の軸は、どのようなものでしたか?
高木:「日系の証券会社に勤める兄を超えたい」という意識があり、就活前から金融業界に興味がありました。実際に投資銀行の業務に関心を持ったきっかけは、リサーチ部門のインターンに参加したことでした。業務内容に惹かれた反面、私としてはチームで仕事に取り組みたいという気持ちが強いため、個人的な印象ではありますが、個々のアナリストが個人名で業務を行うリサーチ部門は「少し違うな」と感じてしまいました。
視野を広げて他部門の社員の話を聞いたところ、投資銀行部門では金融市場のダイナミックさを感じられるだけでなく、その変化に対してチームで業務に取り組めると感じ、志望度が高まりました。
「メリルリンチ日本証券を外資系トップの会社に」多様な人材、思いは一つ
──お二人のいう「評価の明確さ」や「業務のダイナミックさ」という観点では、コンサルティングファームが思い浮かぶ就活生も多いと思います。コンサルティングファームと比較した投資銀行のメリットはどこにあると思いますか?
秋庭:私が所属するセールス部門は、コンサルティングファームのようにプロジェクト単位ではなく、マーケットの開閉に応じて業務が発生します。メリハリをつけやすく、ワークライフバランスが保ちやすいのが違いだと思います。
高木:コンサルティングファームより扱う事業が専門的であることですね。また、コンサルタントはクライアントの組織内部からコミットしますが、投資銀行の場合は金融市場やマーケットの動向を踏まえ、客観的な視点からクライアントに助言を行うという違いがあると思います。
──なるほど。お二人のお答えから部署ごとの特性を感じ、興味深いです。企業風土という点ではいかがですか? 就活中にメリルリンチ日本証券の社員から感じた印象があれば教えてください。
秋庭:様々なカルチャーを持つ人が在籍する中で「メリルリンチ日本証券を外資系トップにしていく」気概にあふれている企業だと思います。リーマンショックで大打撃を受け、バンク・オブ・アメリカとメリルリンチが統合しましたが、その融合もほぼ完成形に近づいているフェーズであり「負の遺産はほとんど清算した」という話も聞いています。
多種多様な価値観を認め合う風土
──ここまで就活当時に感じたことを伺いましたが、入社後にギャップを感じたことがあれば教えて頂けますか。
秋庭:入社前は、「証券会社=個人プレー」と考えていたので、チームワークを重視している点が意外でした。もちろん個人のパフォーマンスは重視されますが、社内の部署やチームを超えた連携、あるいは海外オフィスとの連携が想像以上に大切なことに気付かされました。
セールスの業務という点では、営業担当とお客様との個人対個人、つまり「点と点」のイメージを持っていたのですが、実際には1社のクライアントに対しても、様々な部門や役職の社員がお話を伺いに出入りしているので、複数の社員が関わる「面対面」のお付き合いをしています。
高木:私も「個人プレーで仕事を教えてくれなさそう」という先入観を持っていましたが、全く違いました。質問すれば忙しくても手を止めて教えてくださるし、気遣ってご飯に誘ってくださることもあります。部署で食事に行った時、普段は厳しい先輩が他の人に「高木は頑張っている」と影で褒めてくれていたのが嬉しかったですね。
──就活生の間では、メリルリンチ日本証券は「社員が個性豊かで、一つの社風に形容できない」と言われているようです。そのイメージについてはどう思いますか?
秋庭:確かに、カルチャーが均一ではないのがメリルリンチ日本証券の特徴です。それぞれの強みを評価しあえる環境といえますね。
高木:その通りだと思います。色々な個性を持った社員がいるからこそ、より魅力的な提案がお客様にできるのだと思います。メリルリンチ日本証券の魅力は「人」、共に戦う仲間です。相手のことを気遣う文化が根付いています。
制度と環境の両輪が「女性が働きやすい会社2位」の証
──メリルリンチ日本証券の、社員の多様性を大切にする姿勢が伝わってきますね。多様性という側面では、女性の働き方もその一つだと思います。メリルリンチ日本証券は、過去に「女性の働きやすい会社ランキング」で2位にランクインしています。実際のところ、制度面・環境面で女性は働きやすいですか?
高木:投資銀行部門でも育休から戻って精力的に働いている先輩がいらっしゃいますし、部門長の1人が女性です。彼女は社内の誰よりもパワフルで、私も憧れています。また、今年の新入社員は約半数が女性です。「投資銀行部門は女性が働きにくい」というイメージと実態は違いますよ。
秋庭:協力して効率化を目指す風土があるので、育休や産休に入った社員の業務を引き継ぐ際も、特定の人に負担が集中しにくいと思います。グローバルのマネジメント層に女性が多いのも特徴だと思います。
──実際に働いているお二人から見ても、女性が活躍できる環境ということですね。プライベートに踏み込む質問で恐縮ですが、そんなメリルリンチ日本証券で働く中で、今後のライフイベントとの兼ね合いについてはどうお考えですか?
秋庭:仮に結婚や出産を経ても仕事は続けたいです。産休育休を取得し、働き続けている社員も多く在籍しています。先輩社員の例を見て制度・環境共に対応できるとわかっているので不安はありませんね。
高木:外資系投資銀行を選んだのは、「今しかできないことを全力でやってみたい」と思ってのことです。2年目の今は仕事に集中したいと考えていますが、女性ならではのライフイベントについてはその都度しっかりと考えていけたらいいなと思っています。制度もしっかりしているので、死ぬときに「自分の人生は楽しかった」と後悔なく思えるように、毎日精一杯頑張っていきたいと思います。
秋庭さん「この人たちとなら頑張れる! と思える会社を選ぶこと」 高木さん「変われるチャンスはいくらでもある。あとは飛び込む勇気だけ」
──では最後に、全国の就活生にお二人からのメッセージをお願いできますか。
秋庭:入社後は社内の人と長い時間同じ時を過ごすことになります。だからこそ「この人たちとなら頑張れる」ところに行くべきです。その企業を見つけるためには就活中に可能な限り色々な人と会って自ら確かめましょう。
私にとっては、自分の可能性を発掘し、発揮させてくれるチームがメリルリンチ日本証券にあったと思います。
高木:投資銀行部門は狭き門ではありますが、その一方で色々なキャラクターが求められていると感じます。もし少しでも投資銀行でのキャリアに興味を持ったのなら、あとは飛び込む勇気だけだと思います。自分の強みを活かすと決めれば、変われるチャンスはいくらでもあります。
──ありがとうございました。インタビューを通じて、お二人それぞれの仕事と職場に対する前向きさが伝わってきました。
編集・ライター:おくだつきみ インタビュワー:北野唯我(KEN)
「外資金融×女子」特集ラインナップ
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