資生堂はなぜブランド成長率No.1になったのか ~5分で分かる資生堂のブランド力~

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2年連続ブランド価値成長率がトップだった会社」と聞いて、皆さんはどんな会社を思い浮かべますか?

2,866$m、17位。

これはインターブランドジャパンが発表している、日本発のブランドを対象としたブランド価値ランキング「Best Japan Brands 2020*」における資生堂の立ち位置です。

同時にこのランキングでは資生堂にもう一つの数字があります。
前年比ブランド価値成長率23%、成長率1位。

実は、昨年発表された「Best Japan Brands 2019」でも資生堂はブランド価値成長率30%を記録していてトップの成長率でした。資生堂は2年連続のブランド価値成長率トップ企業なのです。

資生堂のブランド力が伸長し続ける要因は、一体どこにあるのでしょうか。
今回は「マーケティング」と「イノベーション(研究開発)」、「人材の多様性」という3つの視点から資生堂のブランド力を紐解いていきます。

資生堂の事業成長力

資生堂のブランド力を紐解いていく前に、ここ数年の資生堂の事業成長について確認していきましょう。

資生堂が中長期戦略「VISION 2020」を発表したのは2014年。
「VISION 2020」では、2020年までに売上高1兆円超、営業利益1,000億円超を目標としていました。しかし2017年には売上高1兆円を3年、2018年には営業利益1,000億円を2年、それぞれ前倒しで達成しました。

この躍進の背景にあるのは、「資生堂が『グローバルブランド』として確実に成長している」という事実です。
「ブランド」とはその商品・サービスを顧客が選択する『意味』であり、『信頼そのもの』を表します。変化の激しい現代において、売上高が継続的に伸長しているのは「顧客からの信頼=ブランドが高まり続けているから」と言えるでしょう。

資生堂のマーケティング戦略

マーケティング面での大きな成果は「プレステージファースト戦略」です。これは、資生堂のブランド価値や収益を牽引する領域へマーケティング投資を集中し、成長を加速させるというものです。こうした選択と集中により、フレグランスを含むプレステージ領域のグローバルでの売上高は、2015から17年の3年間で1.5倍まで拡大しました。

プレステージブランドの中でもスキンケアは資生堂の成長性と収益性を支えていて、力強い競争力の源泉となっています。加えて、中国をはじめとするアジア地域ではコスメティクス・パーソナルケアブランドのうち、「エリクシール」、「アネッサ」、「専科」を集中的に育成しています。

このように地域×ブランドで選択と集中をしながら投資をしていくマーケティングが奏功し、ブランドポートフォリオが強化されています。

資生堂のマーケティングはプロダクト(商品)だけでなく、リアルに顧客が体験できる接点においても行われています。

2019年5月には世界有数の乗降客数を誇るシンガポールのチャンギ国際空港を訪れる顧客へ向けたマーケティング戦略として、「SHISEIDO FOREST VALLEY」と「S E N S E」をオープンしました。「SHISEIDO」の提案する世界観を世界中から訪れた人に自然、美、アートに対する日本的な美意識を体験してもらい、ブランドのグローバルなプレゼンスを一層高めています。

資生堂のイノベーション

マーケティングと合わせて資生堂のグローバルブランド力の向上に大きく寄与しているのが「イノベーション」、つまり研究開発です。

資生堂は「VISION 2020」が発表されてから、イノベーション領域にも多大な投資を行ってきました。その象徴となるのは、2019年4月に横浜にできた「資生堂グローバルイノベーションセンター(呼称「S/PARK」)」です。

「S/PARK」のテーマは「多様な知と人の融合」。社内の知見と人の融合はもちろんのこと、国内外の最先端研究機関やベンチャー企業、さらに顧客とのコラボレーションを加速させ、イノベーションを実現しています。

人材の多様性

「マーケティング」、「イノベーション(研究開発)」に加え、資生堂が世界中でブランド価値を創出するためには「人材」が重要な経営資源となります。

人々の趣味・嗜好の多様化が進む中、多様性=ダイバーシティの強化は、企業として必要不可欠な取り組みです。グローバル成長を重視する資生堂では、性別だけでなく、国籍や年齢、業務経験など、様々な多様性が必要と捉え、取り組みを行っています。

▼女性が活躍する会社へ
女性の活躍推進は日本で社会的な課題となっている中で、資生堂では2019年1月には国内の女性管理職比率30%を達成*しています(*32.3%:2019年1月1日時点)。女性リーダーの登用においては、候補となる社員により高いレベルの業務課題に取り組ませるなど、業務経験を通じてチャレンジを促し、実績を上げながらマネジメントの基本を学ぶ、「一人別人材育成」を推進しています。

▼英語公用語化と英語力強化
資生堂は、2018年10月より東京本社内の公用語を英語にしたことでも話題になりました。国境を超えた社員間のコミュニケーションにおいては、自らの言葉で伝え合い、理解し合うことを目的としています。

▼キャリア採用の推進
外部から専門性の高い人材を獲得することで、不足するケーパビリティを充足することも重要な人材投資の1つです。キャリア採用は組織全体の専門性の強化だけでなく、すでに働いている社員との交流により、新たな発想や価値の創出につながります。

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