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採用氷河期、到来。
令和の就活、どう向き合う

2020.03.01

  • 就活

ライター : 今井雄紀

編集者 : 田中裕子

調査協力 : 松永年志規

内定なくとも、余裕あり

「うちの大学はのんびりした雰囲気があり、就活に積極的な人は少ない。自分にはまだ内定がないが、スカウトも来ているし、就職先が決まらないことはないと思う」。関西の中堅私大に通う21卒の就活生・森口哲志さん(仮名)はそう語り、同席した学生2人もうなずく。ワンキャリアの調査によると、21卒学生の54%が2019年6月までに就活を始めている。10年代「ハイストレスの短距離走」だった就活は、スカウトサイトをはじめとした採用チャネルの多角化によって「余裕を持って走る長距離走」へと変貌しつつある。21卒から実施される新卒の「通年採用」より先に、「通年就活」の波が来ている格好だ。

長期化が進んでいるとはいえ、優秀な学生ほど動きが早いのは変わらない。2020年2月時点で内定を得ている21卒学生の割合は20%超にのぼり、その4割を占めるのが近年人気のコンサルティングファームだ。「政府ルール」として定められた3月情報解禁、6月面接解禁の原則を守る必要のない外資系企業を中心に、コンサルの「青田買い」は定番となっている。

内定者の16%「ナビサイト使っていない」

学生の方が先を行っているのは、通年採用への対応ばかりではない。ワンキャリアの調査によると、2020年3月現在の内定保持者のうち、ナビサイトを全く使っていない学生が16%存在する。九州大学に通う21卒の就活生、栗村奈津子さん(仮名)は「私たちの世代の大多数は、そもそもインターネットにある情報を信用していない。ナビサイトの情報はもちろん、社員のプライベートのSNSアカウントですら、『企業の人』としてキャラづくりがされていると思って見ている」と、企業発信の情報を疑ってかかる。漫然とナビサイト出稿を続けていれば採用できたこれまでと違い、企業は「リアル」を重視する学生に対応していく必要に迫られている。一方信頼しているのが、先輩や直接会った社員からの情報だ。ネットの情報と同じくうのみにするつもりはないが、「直接会うと、本音が聞ける」と好意的。栗村さんはすでに、先輩の紹介で知ったベンチャー企業の内定を獲得し、就活を終えている。

644万人の人手が不足に

企業と就活生の関係を変えている労働市場の構造的問題として、向こう10年で予見される決定的な「人手不足」も無視できない。パーソル総合研究所と中央大学の調査では、2030年の労働需要が7073万人であるのに対し、供給は6429万人。644万人が不足した状態で、「日本」という大きな船を支えていかなければならない。新卒学生争奪戦の激化は、不可避だろう。

売り手市場に加え、採用時期と採用チャネルの多様化、そして学生のネットリテラシー向上|新卒採用はますます複雑な課題として企業にのしかかっている。この、「採用氷河期」に各企業はどうあらがっていくのか。地力と戦略が問われている。

有効求人倍率の推移

「ブラック採用」に辟易

無神経な企業の採用姿勢が、学生に露見している。

「合説もインターンも、時間の無駄が一番のストレス」そう語るのは、地方国立大学に通う21卒の就活生、楠亮輔(仮名)さんだ。就活のため何度も東京に通っているが、無駄足だったと思うことばかりだという。「ネットでも分かる情報がほとんどで深みのない話が3時間。明確な目的なく行われているのを感じた」と厳しい。ワンキャリアの調査でも、「企業に不安・不満を抱くこと」の設問に対し、21卒就活生の44.9%が「時間を無駄に費やしてしまったと感じた説明会があった/(今後)ありそう」と回答。取り繕っただけの説明会・インターンでは、学生にそっぽを向かれてしまう。

性差によるストレスもいまだ根強い。「グループディスカッションで議論をリードしたが、歓迎されなかった」。地方国立大学に通う森口良美さん(仮名)は、証券会社のインターンでそう感じた。会場にいた女性社員の扱いと合わせて「ここでは女性が活躍できない」と就職先から外した。

優秀な学生ほど採用活動に表れる企業の本質を見抜き、そこへ至った構造的な問題にも気付く。楠さんや森口さんを呼んだ企業は「優秀な学生に興味を持ってもらえたが、採用プロセス・イベント内容が不適切だったため採り逃した」ことになる。「ブラック採用」がもたらす機会損失は、企業にとって課題だ。

OB訪問に対する不安や不信感(回答数:296)

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