ベンチャー不安の理由は?
「20代で成長したいならベンチャーだ」。著名なメガベンチャーが増えた昨今、そう学生に勧める言説も珍しくはなくなった。終身雇用が崩壊しつつある今、即戦力人材になるために積極的にベンチャーを目指す傾向が強まっているように思えるが、ワンキャリアの調査から彼らがさまざまな不安を抱えていることも分かった。
ワンキャリアが21卒の学生を対象に、ベンチャー企業に就職することへの不安要素を調べたところ、「何をしているのか分からない」と答えた学生は42.6%に上った。「教育制度が整っていない(31.8%)」との理由もあり、入社後に働くイメージが持ちにくい点を懸念しているようだ。「倒産やリストラの可能性」と回答した学生も41.9%おり、「ベンチャー企業=不安定」というイメージは根強い。
一方で、ベンチャー企業への入社は現実的な選択肢として定着している。ワンキャリアが19卒の東大・京大生を対象に行った調査では、ベンチャー企業を受けた学生は49%。両校の学生の就職人気ランキングでもサイバーエージェント、ビズリーチ、ディー・エヌ・エー(DeNA)などはトップ100の常連企業となっている。
内定者は「採用」「事業」「投資」で見極め
では、知名度のないベンチャー企業の良し悪しはどう決めればいいのか。人材系のベンチャー企業への入社を決めた木田さん(仮名)は「人の採り方を見ていた」と話す。「就職活動で知ったベンチャー企業の中には、『新人でも実力次第で事業部長になれます』とうたっているのに、候補者は内定者の段階ですでに決まっているように感じたこともあった。営業部隊の駒のように採用していると感じた会社もあった」と振り返る。また、インターンなどに参加して「見込みのある内定者」と評価されているかを重視していたと言う。
木田さんは「ビジネスモデルの独自性も大事。理念が良くても、事業との整合性が取れている会社でないといけない」とも言う。別のベンチャー企業に内定した佐々木さん(仮名)は「どこにお金を投資しているかは見ていた。会社のフェーズによって使い方は変わるが、その説明に納得感があるかは大事だと思う」と話した。ベンチャー企業への入社を真剣に考える学生ほど、企業を見る目はよりシビアになっているようだ。