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【愛知版】「トヨタ最強」に変化の兆しか

2020.03.01

  • 愛知

ライター : 中山明子

編集者 : 吉川翔大/田中裕子

調査協力 : 松永年志規

「住み慣れた名古屋に」が企業選びの軸

名古屋の就活生の特徴が「圧倒的なトヨタグループ・インフラ人気」だ。「終身雇用の限界」を訴えたトヨタ自動車のお膝元であるが、地元志向の強い学生からの支持は強く、「外す選択肢はない」との声も。一方で、地元にこだわりのない層からはコンサルティングファームの人気が高く、志望者からは「信頼感」が理由に挙がった。二極化が進む中でも、「手堅さ」を求める傾向は共通しているようだ。

愛知県2021卒学生の就職人気企業ランキング

ワンキャリアに登録する21卒学生の就職人気ランキングでは、トップ3をトヨタ関連企業と地元インフラが独占(名古屋大学は1位トヨタ自動車、2位JR東海(東海旅客鉄道)、3位デンソー。南山大学は1位トヨタ自動車、2位豊田通商、3位デンソー)している。九州大学のトップ3(1位JT(日本たばこ産業)、2位福岡銀行、3位野村総合研究所)と比較すると、地元企業の人気がより顕著だ。

地元メーカーを志望する保田さん(仮名)は「東京の会社は全く視野に入れていません」と語る。就活で最も重視するのは勤務地だ。志望先には、トヨタ関連企業や中部電力、東邦ガスなど、愛知県に拠点を持つ企業が並ぶ。小学生から暮らす愛知で働き続けることを希望しており、周囲にも似たような志望動機の友人が多いという。

背景には、大学内の地元出身者の多さがある。都道府県別の地元大学への進学率は、愛知県が71・2%で最も高い(※1)。保田さんのように「生まれ育った地元で働きたい」学生が多く、結果的に愛知県内に本社があるメーカー・インフラ企業を志望するようだ。関西地方出身の名古屋大生は「自分は名古屋への思い入れがそこまで強くないので、周囲の友人と比べて勤務地にこだわりがないのだと思う」と話す。

保田さんは「できれば1社に長く勤めたい」とも話す。愛知を代表する企業であるトヨタ自動車の豊田章男社長は「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言したが、「愛知県で働きたいとなると、トヨタ系列を除いたらほとんど企業がないのが現状では」と指摘する。

東京の企業を志望している21卒の女子学生も「終身雇用の継続が難しいのは周囲の友人も覚悟しているし、進路選びで重視しているわけではない。それでも勤務地と仕事が決まっていると人生の見通しが立てやすいと感じる」と胸の内を明かした。学生の声からは、雇用慣行の変化を受け止めつつも、堅実なキャリアを歩みたい思いがうかがえる

コンサル志望の早期層も「信頼感」を重視

一方、ランキングは「地元志向」とひとくくりにできない変化も物語っている。名古屋大学のランキングでは、アクセンチュアやアビームコンサルティングといった総合コンサルティングファームが順位を上げ、トップ10に入る。

興味深いのは、早期就活層の学生もキャリア選択に知名度や信頼感を求める傾向にあることだ。コンサルティングファームを志望する名古屋大学情報学部の垣内さん(仮名)は「アクセンチュアやアビームコンサルティングの志望者が多い。就活人気の高さと知っている先輩が入社していることが信頼感につながっている」と語る。

垣内さんは学部の先輩の影響で、3年の夏にインターンに参加した。「学部によって就活に関する情報の入り方が全く違う。学部が変わったら全然違う考え方をしていたと思う」と、所属学部の影響を指摘した。東大・京大生の54%が3年の夏休み前に就活を始めている(※2)ことを考えると、「早期化は一部の動き」とする垣内さんの見方は、就活の地方格差を象徴しているのかもしれない。

名古屋の就活生が上京を狙う早期層と地元志向に分かれる背景には、情報の受け取り方の違いがあるようだ。終身雇用の崩壊とともに新卒採用のあり方も変わる時代だからこそ、学生は周りの価値観に流されずに情報収集をすることで、「手堅さ」を求める理由も本質的に見つめ直すことができるだろう。

(※1)旺文社教育情報センターが文部科学省『平成30年度学校基本調査』より算出
(※2)ワンキャリア2019年の調査

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