30万件のクチコミが読み放題! いますぐ会員登録(無料)

人気企業、20年前からの変化は?

2020.03.01

  • 人気企業

ライター : 吉川翔大

編集者 : 田中裕子

調査協力 : 松永年志規

「安定」求める傾向は変わらず

上位がコンサルティングファーム一色となった21卒の東京大学と京都大学の就職人気ランキングだが、それはあくまで近年の傾向だ。現在の就活生が生まれたころの1998年までさかのぼると、人気企業の顔ぶれは大きく異なる。就活で安定性を重視する傾向は20年前とも共通するが、社会情勢の変化とともにその定義は変わってきている。

平成→令和 東大・京大人気企業ランキング

1998年のランキング上位は銀行がずらり

98年のランキングの上位に並んだのは銀行だ。両大学ともトップ10のうち4社を占めた。21卒のランキングで上位を占めたコンサルティングファームでは、アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)が30位に入ったくらいだった。

コンサルティングファームに内定している東京大学の井出さん(仮名)は「98年ごろはコンサルに行く人は特殊な人と思われていた、という話はゼミで聞いた」と話す。銀行が上位の結果については「安定を求めていたのでは」と推し量る。

98年は、バブル崩壊の傷が癒えない企業が採用に消極的だった「就職氷河期」。大卒者の就職率は93・3%で、2019年の97・6%を下回る。一方で、95年にマイナビの前身「Career Space」、96年にリクナビの前身「RB on the NET」が開設するなど、ナビサイトを使った就活が始まった時期でもある。ナビサイトで企業の情報を入手しながら多くの会社にエントリーしたものの、内定は狭き門—。そうした状況だったため、上位校の学生も就職先に手堅さを求めていたのかもしれない。

20年で消滅した企業も「安定」の定義が変化

ベンチャー企業に内定している京都大学の原田さん(仮名)は過去のランキングを「正直、魅力を感じない」とばっさり。周囲の京大生と話していて名前が出る企業は5大商社や電通、サントリーくらいだという。銀行への印象はこの20年余りで大きく変化した。

実際に、98年以降は銀行業界の再編でメガバンクが誕生し、ランキングから“消滅”した企業もある。「銀行は潰れない」という神話は崩壊し、知名度だけで企業を選ぶリスクが顕在化した20年ともいえる。原田さんは「倒産や買収、リストラの話をよく聞くので、企業の安定性をそもそも信じていない。安定した企業に入るのではなく、自身の能力によって安定性を手に入れるという志向に変わっている気がする」と話す。

「とりあえず」の就職先が銀行からコンサルに

一方で、前出の井出さんは「『とりあえず』受ける会社が銀行からコンサルに変わっただけでは」と指摘する。コンサルティングファームを志望する東大生の中には「周囲が受けているから」「早期に選考があるから」という理由で選考を受け、内定をもらう人も少なくない。「外資系コンサルが日本から撤退することもあり得る。昔のランキングのように、今は人気の会社がなくなることも十分考えられる」と話す。

原田さんは、エリートゆえの悩みを今昔のランキングから読み取る。「優秀な人が集まるであろう業界が人気な点では、今も昔もエリート志向だと思う。『京大に合格して大学受験でトップ数%の層にいたのに、就活でトップ層ではない大学の学生に先を越されるのでは』との恐怖心は自分もある」と打ち明ける。

井出さんは自戒を込めるように言った。「多くの東大生は、状況に流されて就職先を決めているのでは。本質的に自分がやりたいことを考えてキャリアを決めることは、今も変わらず重要だと思う」

ES・企業情報・体験談・選考フロー 就活に関するあらゆる「真実」が日々更新!

会員登録する

※情報をみるにはワンキャリアへの
無料会員登録が必要となります