挫折経験とは、目標に向けて努力していたことが内的または外的要因によって達成できなくなってしまった経験のことです。単なるミスではないため、深い落胆や絶望を味わいます。一方でその経験から多くのことを学び、成長する契機ともなるため、採用面接などで問われることがあります。
挫折と似た言葉である「失敗」との違いは「目標達成への道が閉ざされたかどうか」で、目標達成への道が閉ざされたものを「挫折」といいます。
挫折経験は、エントリーシート(ES)や面接で聞かれやすい項目の1つです。とはいえ、「就活で語れるような挫折経験が思いつかない」「どのように答えれば良いか分からない」と悩む就活生は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、挫折経験をESや面接で効果的に伝える方法を例文付きで解説します。挫折経験が見つからないときの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
<目次> ●挫折経験とは? ●企業が就活のES/面接で挫折経験を聞く理由 ・どれだけ挑戦する姿勢があるか知るため ・困難にぶつかったときの対処方法や人間性・思考を知るため ・失敗からどれだけ学ぶ力があるか知るため ・ストレス耐性があるか知るため ●挫折経験が見つからないときの対処法 ・自分史やモチベーショングラフを書いてみる ・困難を乗り越えた経験から探す ・一生懸命に取り組んだ経験から探す ・今までで熱中した経験から探す ・挫折経験がない場合の内定者の回答例 ●挫折経験の魅力的な書き方・答え方 ・挫折経験を一言で伝える ・挫折前の目標と努力を伝える ・具体的な挫折内容を伝える ・挫折を乗り越えるために行ったことを伝える ・挫折から得た学び・成長を伝える ・学びを入社後どこで生かすのかを伝える ●挫折経験を面接で聞かれたときの答え方例文8選 ・部活・サークル活動 ・アルバイト ・学業 ・インターンシップ ・留学 ・大学受験 ・ボランティア活動 ・趣味・習い事 ●挫折経験の回答でNGな内容 ・「挫折経験はない」と答える ・挫折経験だけを伝える ・個人的過ぎる内容を伝える ●まとめ
挫折経験とは?
挫折経験とは、目標に向けて努力していたことが、内的または外的要因によって達成できなくなってしまった経験を指します。
例えば、以下のようなものが挫折経験にあたります。
- 能力が及ばず途中で心が折れてしまい、努力を継続できなかった
- 周囲の力を借りて取り組んだが、統率に失敗し目的を達成できなかった
- 目標に向けて長期間努力したが、不慮の事故により達成できなかった
挫折と混同されがちな言葉に「失敗」があります。目標達成への道が閉ざされた場合は挫折、閉ざされたわけではない場合は失敗です。
ESや面接で挫折経験を答えるときは、失敗経験と混同しないよう注意しましょう。
企業が就活のES/面接で挫折経験を聞く理由
就活のESや面接で「なぜ挫折経験が問われるのか」を理解しておくことは非常に大切です。質問の意図を把握しておくことで、より的を射た答え方ができるためです。同じ挫折経験のエピソードであっても、回答の仕方によって採用担当者が抱く印象も異なるでしょう。
本章では、企業が就活のESや面接で挫折経験を聞く理由を解説します。
どれだけ挑戦する姿勢があるか知るため
挫折経験は「あることに熱中し、目標に向けて必死に努力をしたが報われなかった」経験です。すなわち、挫折するためには何かに熱中し、努力をした経験が必要です。こうした経験があり努力できる学生を高確率で見つけ出す質問が、挫折経験なのです。
困難にぶつかったときの対処方法や人間性・思考を知るため
挫折から立ち直ろうと努力する際に、学生の素の人間性や思考プロセスが表れます。問題から目を背け意識しないよう努める、問題克服のために必死でもがく、周囲から協力を得る努力など、どんな方法で解決を図るかが見えてきます。そこから入社後の働き方をイメージできるため、企業はこの質問をするのです。
失敗からどれだけ学ぶ力があるか知るため
就活生が語る挫折経験を通じて「失敗から学んで成長できる学生か知りたい」という理由もあります。
一般的に、企業側は新入社員に対して「最初からすべてうまくできること」は期待していないものです。新人が失敗することは想定内のことだからです。
とはいえ、新人だからといって失敗し続けて良いわけではありません。企業は、失敗を通じて成長できる人材を求めています。
そのため、挫折経験を問われたときは「挫折経験からどのようなことを学び、その後にどう生かしたか、または生かそうと行動しているか」を併せて答えると良いでしょう。
ストレス耐性があるか知るため
「採用後、仕事のストレスに耐えられる学生か知りたい」という意図も考えられます。
組織の一員として働き出せば、物事がスムーズに進まず、ストレスを感じる場面もあるかもしれません。そのようなとき、「うまく進めるにはどうしたら良いだろう?」と前向きに考え行動できる人材であれば、企業側も安心して採用できるでしょう。
そのため、企業側は就活生が語る挫折経験を通して「自社の業務で抱えやすいストレスに耐えられる学生かどうか」を見極めているケースもあります。ストレスをともなう挫折経験があるときは、ストレスとの向き合い方や乗り越えられたきっかけなどを絡めて回答することも効果的です。
▼先輩の体験談 挫折経験では、業務に対するストレス耐性が問われているように感じたため、答え方が重要であると感じた。
※出典:三菱UFJ銀行|システム・デジタル2024年卒本選考の二次面接
挫折経験が見つからないときの対処法
これといった挫折経験が見つからないときは、ポイントを絞って自身の過去を振り返ってみましょう。
ただ漠然と過去を振り返っても、挫折経験を思い出せないこともあります。また、自分ではたいしたことがないと感じている経験でも、周囲から見ればそうではない可能性もあります。
本章では、挫折経験が見つからないときの対処法を4つご紹介します。「ESや面接で語れるほどの挫折経験がない」と困っている就活生は、ぜひ参考にしてください。
自分史やモチベーショングラフを書いてみる
挫折経験が見つからないときの対処法の1つ目は、自分史やモチベーショングラフを書いてみることです。
自分史とは、自分の過去の経験を時系列で書き出す自己分析法です。幼少期から現在に至るまで、勉強・人間関係・部活・習い事など印象に残っているエピソードを振り返って整理します。
実際の記入例については、以下をご参照ください。
当時のキャラクター・立ち位置 | 出来事・エピソード | 当時感じたこと・考えていたこと | 経験から学んだこと | |
幼少期(小学校入学以前) | ・幼稚園ではしっかり者だが家では甘えん坊 | ・玄関の靴並べや新聞を取ってくるといったお手伝いをした | ・お手伝いをすることで、母や父が喜んでくれるのがうれしかった | ・誰かが喜ぶことをすると、自分もうれしい気持ちになる |
小学生 | ・クラスのまとめ役 | ・小学5年生のときに学級委員を務め、クラスで行うイベントの企画をまとめた | ・クラスメイトの意見をまとめて考えることにやりがいを感じた | ・クラスをまとめるためには、多くのクラスメイトの意見を聞くことが大切 |
中学時代 | ・学校ではサッカー部に所属。周囲を俯瞰して見るタイプ | ・中2の夏休みに、ボランティアとして、地域のクリーン活動に参加した | ・友達に誘われての参加だったため、最初は少し面倒に感じたが、歩道などがきれいになっていくともっと頑張ろうという気持ちになった | ・学校と家以外の活動に参加することで、自分の視野が広がった |
高校時代 | ・勉強そっちのけで部活にはまっていたサッカー少年 | ・サッカー部で県大会出場を目指して練習に励んだ | ・日々の練習はつらかったが、同じ目標に向かって部活のメンバーと一緒に努力をするのは楽しかった | ・高い目標を掲げて努力をするとモチベーションが上がる ・掲げていた目標には届かなくても、努力したことで得られるものは大きい |
大学時代 | ・周囲からよく相談を受けるタイプ | ・コンビニエンスストアのアルバイトで、指定されたたばこをすぐに出せるように銘柄をインターネットで調べて覚えた | ・指定されたたばこをスピーディに出せると、お客さまが満足した顔をしてくれる | ・少しの工夫で人の満足を引き出せる |
その際に役立つのが、モチベーショングラフです。モチベーショングラフとは、自身のモチベーションの上下を表すグラフのことです。自身の気持ちの変化を見える化できます。
自分史とモチベーショングラフを重ね合わせてみてください。モチベーショングラフが下降しているタイミングが、挫折経験と重なるケースも少なくありません。またモチベーショングラフは、過去エピソードの背景にある意思決定の理由などの深掘りにも役立ちます。
忘れてしまっていた挫折経験を思い出すためにも、自分史やモチベーショングラフを活用してみてください。
▼自己分析について詳しく知りたい方はこちら ・【自分史の書き方】就活の自己分析に使えるテンプレート・例文 ・自己分析に役立つモチベーショングラフの書き方【テンプレート付き】
困難を乗り越えた経験から探す
困難を乗り越えた経験から挫折経験を探す方法もおすすめです。挫折経験は、目標に向かって努力するなかで生じるためです。
結果的に困難を乗り越えたのであれば、挫折経験とはいえないかもしれません。ただし、困難に立ち向かう「過程」で挫折を味わっていた可能性があります。なかには困難を挫折と思わず、努力を続けて乗り越えた人もいることでしょう。
困難を乗り越える過程に注目して振り返ることで、
- 大学受験の成功は、模試で挫折を経験したから
- 厳しい練習を続けられたのは、強敵に敗れ挫折を味わったから
といった挫折経験が見つかるかもしれません。
一生懸命に取り組んだ経験から探す
一生懸命に取り組んだ経験から挫折経験を探す方法もあります。
- 部活
- サークル
- 習い事
- アルバイト
- 研究
- 勉強
- 資格取得
- インターンシップ
- ボランティア
- 実習
など、まずは自分がこれまでに一生懸命努力した経験を洗い出してみましょう。
次に、一生懸命取り組んだことによる「結果」を思い出します。果たしてそのすべてが、十分に満足できるものだったでしょうか。もし、不満が残る結果に終わってしまったことがあれば、それは挫折経験かもしれません。
今までで熱中した経験から探す
人生のなかで特に熱中した経験から挫折経験を探すのも、1つの手段です。
時間を忘れるほど1つの物事に熱中できたのは、単純に「好きだから」という理由だけに留まらないこともあります。
例えば次のように、根底に挫折経験があったからこそ没頭できた可能性があります。
- ギターに熱中できたのは、ボーカルの才能がないと落ち込んだ経験があったから
- スイーツ作りに熱中できたのは、兄のバースデーケーキ作りに失敗して悔しい思いをしたから
モチベーションの源泉に挫折経験が含まれていないか、今までに熱中した経験から探ってみましょう。
挫折経験がない場合の内定者の回答例
ここまで読んで「自分の人生の中で挫折経験が思い当たらないな」と感じる方は、視点を変えて考えてみましょう。始めにお伝えしたように、企業がESや面接で挫折経験を質問するのは、
・熱中し努力した経験があるか
・困難をどのように克服するか
を確認するためです。
裏を返せばこの2点が伝えられるなら挫折していなくても良いわけです。例えば人生において最も成功した経験、達成感を得た経験の裏で、どのような苦労や困難、失敗があり、その問題に対してどのように努力し結果を出したか、具体的に考えてみましょう。上記の2点に留意して伝え方を工夫すれば、「挫折体験」としてESや面接で求められる要素を十分満たせます。
それでは具体的な例を見ていきましょう。
ES具体例:グーグル(Google)ビジネス職
【設問】
あなたの挫折経験を教えてください。
【回答例】
私の挫折はフットサルチームの主将を務めていたときに経験したものだ。それを表すエピソードは以下の通りである。
私は昨年度、大学のフットサルチームの主将を務めていた。主将の仕事としては練習内容の考案、出場メンバーの選考、大会登録の手続きなどがあるが、業務をただこなすだけでは自分が主将を務める意味がない、と感じたので、これからもこれまでの課題を解決しチームに残る「変化」を起こすことを心がけた。
一年間の任期の中で具体的に2つの変化を起こした。
1つ目は、先輩たちの長年の思いを受け継ぎ、体育会部活へ昇格するための交渉を行ったことである。体育会の幹事会に定期的に出席してプレゼンを行ったり、Twitter(現・X)で選手紹介や試合実況のツイートを開始したりするなど認知度を上げるための広報活動に力を入れた。その活動が認められ、体育会部活の前段階である「体育会調査団体」への昇格に成功した。
2つ目は、チームの人数の多さから下級生が公式戦にほとんど出られないという問題を解決するために、サテライトチーム(2軍)を創設したことである。そしてトップチームも参加する社会人リーグに参入し、下級生の経験不足を解消した。
この結果、トップ・サテライト間にライバル関係が生まれ、普段の練習もより良い雰囲気になった。
※就活生の回答を一部改変
上記回答では挫折体験について直接言及していません。しかし、「熱中し努力した経験」「困難を克服した経験」の2点が盛り込まれています。
熱意については、「主将の仕事としては練習内容の考案、出場メンバーの選考、大会登録の手続きなどがあるが、それらをただこなすだけでは自分が主将を務める意味がない、と感じたので、これからもチームに残る『変化』を起こすことを心がけた」という文章から読み取られます。
困難の克服方法については、「体育会の幹事会に定期的に出席してプレゼンを行ったり、Twitterで選手紹介や試合実況のツイートを開始したりするなど認知度を上げるための広報活動に力を入れた。2つ目は、サテライトチーム(2軍)を創設したことである。そしてトップチームも参加する社会人リーグに参入し、下級生の経験不足を解消した」という文章から、
・Twitterの活用やプレゼンなどから、行動的に課題に取り組む
・下級生の問題などから、組織全体を見て判断する
という課題への取り組み方法や行動が分かるため、上記の挫折経験から伝えるべき内容をうまくESで説明できている好例といえます。
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挫折経験の魅力的な書き方・答え方
ESや面接で伝えたい挫折経験のエピソードが見つかったら、次は魅力的にアピールするための書き方・答え方を押さえておきましょう。せっかくの素晴らしいエピソードも、ただ語るだけでは好印象を残すことは難しいものです。
本章では、挫折経験の魅力的な書き方・答え方の流れを、順を追って解説します。
挫折経験を一言で伝える
ESや面接で挫折経験を答えるときは、まず「一言で結論を伝える」ことを意識してください。
挫折経験の内容を長々と説明すると、企業側から「結局何を伝えたいのかよく分からない」と思われる恐れがあるためです。最初に結論を示すことで、相手は話の展開をつかみやすくなります。また、「どんなことがあったのだろう?」と興味を抱きやすくなるというメリットもあります。
企業側が内容を理解しやすいよう、まずは以下のように挫折経験を一言で簡潔にまとめて伝えましょう。
- 私は大学◯年のとき、◯◯で挫折を味わいました。
- 大学◯年のときに◯◯したことが私の挫折経験です。
挫折前の目標と努力を伝える
挫折経験を一言で表現した後は、挫折前の目標と努力を伝えましょう。企業は、就活生がどのような状況でどのような目標を掲げて活動しているのか、という背景も理解しておきたいと考えるためです。
エピソードを初めて読む・聞く相手がイメージしやすいよう、下記の例のように具体的に伝えましょう。
【目標の例】
- ◯◯の達成
- ◯◯大会優勝
- ◯◯試験合格
【努力の例】
- 努力した内容
- 努力した期間や頻度
- 努力したときの気持ちや態度
こちらのステップでも長々とした説明は避け、大事な部分を端的に伝えることがポイントです。
具体的な挫折内容を伝える
次のステップでは、具体的な挫折内容を伝えます。ただ挫折したというだけでは、企業側に「挫折経験をきちんと分析できていない」という悪い印象を与えかねません。
そのため、挫折内容を伝えるときは下記のような理由や背景も盛り込むことがポイントです。
- 挫折に至った決定的な理由
- 挫折の要因と考えられる自身の考えや行動
- 挫折したときのシチュエーション
ただし、挫折理由の特定には注意が必要です。例えば他人を理由にした場合、「仕事上のトラブルも他人のせいにするのでは?」と疑われてしまうかもしれません。また生活習慣の乱れを理由にすれば、採用後に問題なく勤務できるか不安視される恐れもあります。
企業側に余計な心配をされることがないように気をつけつつ、情報を整理して伝えましょう。
挫折を乗り越えるために行ったことを伝える
具体的な挫折内容の後は、挫折を乗り越えるために実行したことを伝えます。企業側は、「採用後に困難に直面したとき、就活生がどのように乗り越えようとするか知りたい」と考えているためです。
例えば「けがによる大会出場断念・◯カ月の練習禁止・レギュラー降格となったが、対戦相手を徹底研究しチームの勝利に貢献した。選手の事情を考え、短時間でチェックしやすい資料を作成し喜ばれた」など、挫折を乗り越えるために行った努力・工夫・改善点を含めて伝えると良いでしょう。
つらい挫折経験を前向きに捉え、新たな活躍につなげられる人材だとアピールできれば、企業側は入社後の働きぶりをイメージしやすくなるはずです。
挫折から得た学び・成長を伝える
挫折経験をひととおり伝え終えたら、挫折から得た学びや成長をまとめましょう。企業は、新入社員にはさまざまな経験を経て成長してほしいと期待しています。挫折経験から得た学び・成長を伝えることで、「経験から学び成長できる人材」という好印象につながります。
例えば「困難に直面したときは、一度冷静になって物事を俯瞰(ふかん)的に捉えることが大切だと気づいた。現在は常に周りの状況を確認する余裕を持つよう意識している」など、挫折から学んだ反省点・その後の取り組み・意識も伝えれば、企業に成長意欲をアピールできるでしょう。
学びを入社後どこで生かすのかを伝える
挫折経験の最後は、「学びを入社後どこで生かすのか」で締めくくります。企業側に、採用後の活躍を明確にイメージしてもらうためです。
- 挫折経験で培った観察力を生かし、柔軟な発想で企画を提案したい
- 挫折から学んだコミュニケーションスキルで、売上向上に貢献したい
このように、挫折経験の生かし方と入社後のビジョンを具体的に伝えることがポイントです。
挫折経験を面接で聞かれたときの答え方例文8選
挫折経験の例文をチェックすることで、ESや面接でのアピール方法を具体的にイメージしやすくなります。
本章では、エピソード別の挫折経験の例文を8つご紹介します。例文の流れやポイントを参考に、独自の経験や学びを取り入れて、自分らしさを表現できるエピソードにアレンジしてみてください。
部活・サークル活動
私の挫折経験は、大学で所属するバスケ部で全治6カ月の大けがをして、戦線から離脱したことです。
チームのレギュラーとしてスタメン起用されており、個人でもリーグ得点王を目指して練習に励んでいました。ただ、試合中に相手選手と接触し、靭帯(じんたい)を損傷してしまいました。中学でバスケを始めてから大きなけがをした経験がなかったため、けが防止への意識が薄れていたことも原因と考えています。
けがによってレギュラーからは外れ、リーグ得点王の夢も絶たれました。負傷中は、マネジャーとしても満足に活動できない無力感に苛まれました。
この悔しさをバネに、けがの完治後は以前の2倍の時間をかけて入念にストレッチを行い、練習中もけが防止のためのサポーターを着け続けました。徹底したけが予防の継続によってその後の2年間はけがをすることなく、今年からは戦線に復帰できました。
この挫折経験を経て、何事にも油断しない注意力や、同じ過ちを繰り返さないための継続した行動力が身につきました。
御社への入社後も、初めは営業職として失敗を重ねるかもしれません。ただ、失敗したときこそ自分が成長する機会や誠実な仕事の仕方を学ぶきっかけを手に入れたと考え、常にチャレンジし続けたいです。
【例文のポイント】 けがによる挫折に落ち込んでもやる気を失わず、徹底したけが予防の継続に努めたエピソードは、「困難にぶつかったときの対処方法や人間性・思考を知りたい」と考える企業へのアピールになるでしょう。
アルバイト
私の挫折経験は、アルバイト先の居酒屋の教育担当として新人教育がうまくできなかったことです。
アルバイトを始めて2年目に、新人4名の教育担当を任されました。複数人に物事を教えた経験がなかったので、試行錯誤しながら教育しました。繁忙期を迎える2週間後までに新人のみでホールを回せる状態になることが目標だったにもかかわらず、私が教育した4名は独り立ちまでに4週間かかり、繁忙期に間に合わせることはできませんでした。
教えることに苦手意識を感じたので、過去に新人教育を担当していた先輩にアドバイスを仰ぎ、教育に関する本を1カ月で7冊読み研究しました。その結果、翌月以降の新人は2週間以内に独り立ちさせられるようになり、今では教育担当の総括を任されています。
これらの経験から「初めての挑戦に悩んだら一人で抱え込まず、積極的に周囲にアドバイスを求める」「アドバイスをもとに自分なりの方法を確立させる」ことの大切さを学びました。
御社に入社後も、新人の間は、初挑戦と不安の連続だと思います。聞くべきタイミングで積極的に先輩社員や上司のお力を借りて自身の糧とし、後輩ができたときには適切に教えられる社員になります。
【例文のポイント】 一度新人教育に挫折しても、弱点克服のために自ら行動を起こし次のチャンスに生かした点は、企業から「失敗から学ぶ力がある人材」と評価されるでしょう。
学業
私は、在籍している哲学のゼミで挫折を経験しました。
大学1年生のときに受講した授業をきっかけに哲学の面白さを知り、ゼミ選択では迷わず哲学を選びました。しかし、いざゼミが始まると、古代から現代までの複雑な思想を理解して自分の言葉で表現することは本当に難しく、周りについていけませんでした。そして大学3年生の中間レポートでは、ゼミ生18名中で最下位の成績を取ってしまいました。「自分には向いていなかった」と、ゼミ選択を後悔したことも一度や二度ではありません。
そこで、「そもそもの学習方法が間違っていたのでは」という考えに至り、期末レポートに向けて新たな学習方法を模索することにしました。毎日特定の哲学者のテキストを読み、その思想や自分なりの考えをノートにまとめる作業を習慣化しました。また、教授やゼミ仲間の手が空いているときにノートをチェックしてもらい、ディスカッションして理解を深めました。
その結果、期末レポートの成績はトップになり、学内の卒業論文発表会ではゼミ生代表に選ばれました。
この経験から、問題に直面したときには異なる視点からアプローチし、努力を継続することの重要性を学びました。御社に入社後も、思うような結果を得られないときは状況を客観的に捉えるよう努める所存です。そして必要に応じて新たな視点を取り入れながら分析を続け、マーケティングに生かしてまいります。
【例文のポイント】 挫折経験に屈することなく新たな学習方法という解決法を見いだし実行する姿勢は、「困難にぶつかったときの対処方法や人間性・思考を知りたい」と考える企業へのアピールになるでしょう。
インターンシップ
私が経験した大きな挫折は、ベンチャー企業のインターンで、月間営業ランキング最下位を取ってしまったことです。
大学2年生のとき、ベンチャー企業の営業インターンに参加しました。正社員を含む従業員のなかで月間営業成績10位以内にランクインすることを目標に掲げ、営業活動に励みました。しかし、最初の2カ月は100名中100位という結果に終わり、自分の営業力の低さを痛感しました。
営業経験値の不足が原因であると分析し、商談の場数を短時間で多く踏むため、副業としてクロージング代行を始めました。すると、副業と本業による相乗効果が生まれ、双方の成果につながりました。結果的に最後まで目標を達成できませんでしたが、最高15位の成績を挙げられるまでに成長できました。
この経験から、うまくいかないときこそ原因をきちんと特定し、目標達成のための計画を立て、実行・評価を繰り返す大切さを学びました。入社後は、困難に直面したときこそ何が欠けているのか細かく分析し、一つ一つクリアして売上に貢献できるよう、営業職として尽力します。
【例文のポイント】 経験不足を補うため副業にチャレンジするなど、高い目標達成に向けた努力を惜しまない姿勢は、「どれだけ挑戦する姿勢があるか知りたい」「困難にぶつかったときの対処方法や人間性・思考を知りたい」と考える企業へのアピールポイントになります。
留学
私の挫折経験は、大学2年で経験した1カ月間のアメリカ留学で下位の成績を取ってしまったことです。
私が在籍した学校では入学初日に語学力テストを実施し、レベルに合わせたクラス分けがおこなわれていました。英語が得意だった私は自信を持ってテストに臨みましたが、リスニングもスピーキングも全く歯が立たず、結局8クラス中7番目という低いレベルのクラスに振り分けられました。
ショックを受けた私は自信喪失し、授業でも積極的に発言できず、1カ月の留学期間を不完全燃焼のまま終えてしまいました。
挫折の主な原因はネイティブのスピード感についていけなかったことにあると考え、帰国後は週3回・1回60分のネイティブスピーカーによるオンラインレッスンでリスニング・スピーキング力を磨きました。また、毎週末には留学中に仲良くなった韓国人の友人とオンライン会話を続け、片道60分の通学中にもリスニング学習に取り組みました。
大学3年の夏に2週間のアメリカ留学に再挑戦した結果、9クラス中3番目のクラスに在籍でき、卒業試験では50名中7位という好成績を残せました。
この経験から、自分の能力を客観的に判断した上で正しい努力を継続することが、より大きな成果につながることを学びました。
御社では社員一人一人に定期的なスキルチェックや面談を実施し、適切な人員配置や社員のモチベーション維持につなげていると伺っております。入社後も自分に足りない部分を真摯(しんし)に受け止め、不足を補うための正しい努力を継続することで、しっかりと成果を出したい所存です。
【例文のポイント】 挫折経験によって自信を失っても、自身の弱みと向き合い克服する努力を続け再挑戦へとつなげるエピソードが、「挑戦する姿勢」をアピールできる内容となっています。
大学受験
私の挫折経験は、大学受験で第一志望校に不合格となったことです。
第一志望の大学に合格するため、高校2年生から約1年間、毎日5時間以上勉強する生活を続けました。ところが実力不足で落ちてしまい、第二志望の大学へと進みました。
不合格となった原因は、努力の方向性を誤っていた点にあると考えています。当時の自分は「毎日5時間以上勉強する」という目標を達成することだけに満足してしまい、努力の結果を分析する視点が欠けていました。
自身の視野の狭さを反省し、進学後は「この大学で学べることを精一杯頑張ろう」と意識を変えました。その結果、高校時代に憧れたこととは別の分野に興味が湧き、必死に研究に取り組みました。そして今年の◯月、◯◯大学の論文賞で表彰されました。
この経験により、私は「どのような環境でも広い視野を持ち、目の前の課題には信念を持って取り組むこと」の大切さを学びました。入社後もこの経験を生かし、与えていただいた環境で全力を出し業務に取り組みたいと考えております。
【例文のポイント】 過去の挫折から自身の視野の狭さを反省し、意識改革によって新たな成功を手にしたエピソードは、「失敗から学ぶ力」のアピールになります。
ボランティア活動
私は、大学1年次のボランティア活動で挫折を経験しました。
保育系の大学に通っている経験を生かし、児童養護施設のボランティアに参加しました。施設では他者との愛着形成に困難を抱える子どもが在籍しており、その子どもから暴言やいたずらを受けるようになりました。
最初はショックで落ち込み、ボランティア活動の辞退も考えました。悩んだ末に職員の方に相談したところ、「あの子は暴言やいたずらを通して、あなたがどれぐらい自分を受け入れてくれるか試している」と教えていただきました。
自分にはそのような視点がなかったため大変驚き、ショックを受けるばかりで子どもの行動原理を理解できていなかったことを反省しました。その後は自分から積極的にその子どもに話しかけ、遊びに誘うよう意識しました。すると、少しずつではありますが穏やかな関係を築けるようになりました。
この経験から、人間関係に悩んだときこそ冷静に状況を把握し、あきらめずに相手の心に歩み寄る努力を続ける必要性を学びました。
御社への入社後、たとえ利用者との関係構築に悩んだとしても、先輩の意見を伺うなどしながら根気強く向き合っていく所存です。そして利用者に寄り添うだけでなく、困難を互いの成長に変えられる職員として活躍したいです。
【例文のポイント】 良好な人間関係を築くことが難しい相手であっても、適切なアプローチ方法を探し粘り強くコミュニケーションを図れる人柄から、「採用後のストレス耐性」をアピールできるでしょう。
趣味・習い事
私は、習い事の体操に挫折したことがあります。
幼稚園のときから10年以上体操教室に通っていましたが、あるときから練習してもなかなか上達せず、好きで始めたはずの体操が「楽しい」と思えなくなってしまいました。華々しい成績も残せず、努力が報われないと感じるようになり、大学入学を機に教室を辞めてしまいました。
大学2年のときに参加したボランティア活動で、子どもに体操を教える機会に恵まれました。そこで子どもの笑顔に触れ、親御さんや主催者からもお褒めの言葉をいただき、「継続してきたことは決して無駄ではなかった」「目に見える成功体験だけがすべてではなかった」と実感しました。
この経験から、目に見える成果だけに捉われず、努力を継続する大切さを学びました。事務職として御社に入社した後は、地道な作業にも真摯に取り組み、努力を怠ることなく誠実な仕事を全うしたいと考えております。
【例文のポイント】 大きな成功がつかめないときにも努力を継続できる点は、「困難にぶつかったときの人間性・思考」や「ストレス耐性」をアピールできます。
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挫折経験の回答でNGな内容
挫折経験の回答方法や内容によっては、せっかくのエピソードがマイナス評価になってしまうことがあります。
本章では、挫折経験の回答でNGな内容を3つピックアップしてご紹介します。準備した回答が当てはまっていないか、今一度チェックしてみてください。
「挫折経験はない」と答える
「挫折経験はない」という回答は、企業から「必死に努力した経験がないのでは?」と思われる恐れがあるため、よくありません。
入社後に目標に向かって自ら行動できる人材を求めている企業にとっては、「挫折するほど苦しい思いをして挑戦した経験がない人」よりも「挫折するほど苦しい思いをしながら挑戦した経験がある人」に魅力を感じやすいためです。
大きな経験である必要はないので、本記事で紹介した「挫折経験が見つからないときの対処法」で挫折経験を見つけ、自分なりのエピソードを用意しておくことをおすすめします。
挫折経験だけを伝える
挫折経験だけを語るのも、残念な伝え方といえます。
出来事のみではなく、以下に挙げるポイントもセットで伝え、挫折経験をアピールポイントに変えましょう。
- 経験から得た学び
- 乗り越えようとした行動
- 入社後の生かし方
企業は挫折経験そのものではなく、「就活生が挫折経験を通じて何を得て、どう生かすのか」を知りたいと考えているためです。
例えば挫折してあきらめてしまったエピソードのみを伝えた場合、「すぐにあきらめる人」というネガティブな印象を与えてしまいます。挫折経験のみを語るのではなく、プラスの評価につながるような伝え方に工夫しましょう。
個人的過ぎる内容を伝える
あまりにも個人的な内容も、おすすめできません。個人的過ぎるエピソードからはビジネスとの関連性を伝えることが難しく、企業側も評価しづらいでしょう。また、面接シーンではプライベートな回答に対して面接官が質問しづらく、その場の雰囲気に影響を及ぼす恐れもあります。
- 恋愛
- 宗教
- 政治思想
など、ビジネスシーンに不向きな内容はできる限り控えましょう。
まとめ
いかがでしたか。挫折経験から企業に何を伝えたいか、という観点を持つとより魅力的な自己PRの書き方が分かると思います。今回の内容を踏まえ、人生の挫折経験や失敗談を自分のアピールポイントにし、ESの作成や面接に臨んでいただければ幸いです。
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※こちらは2016年7月に公開された記事の再掲です。