こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は多くの企業の面接・エントリーシート(ES)で聞かれる「人生の挫折経験」の効果的なアピールの方法と、挫折体験の準備をお伝えします。日系・外資系、業界を問わず聞かれる項目なので、ぜひご一読ください。
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<目次>
●人生の挫折経験を問う、人事目線の理由2つ
・理由1:目標に向けて必死に努力をした経験があることを確かめる
・理由2:困難からの立ち直り方に人間性や思考プロセスを見る
●挫折経験の例文集:ESや面接における一流企業内定者の回答例とポイント解説
・挫折経験の例1:外部環境編|対応力とメンタルの強さをアピール(部活)
・挫折経験の例2:人間関係編|対人能力とリーダーシップをアピール(高校時代/文化祭)
・ 挫折経験の例3:自分のスキル/能力編|ひたむきさと努力家の一面をアピール(勉強/留学)
●挫折経験がない人は視点を変えて考えよう
・挫折経験がない場合の内定者の回答例
●挫折経験と問われるES/面接の対応まとめ
●ES/面接対策をまとめた特集記事
人生の挫折経験を問う、人事目線の理由2つ
そもそも企業が学生に挫折経験を聞く意図は何なのでしょうか? これは2つの理由から説明できます。
理由1:目標に向けて必死に努力をした経験があることを確かめる
挫折経験は「あることに熱中し、目標に向けて必死に努力をしたが報われなかった」経験です。すなわち、挫折するためには何かに熱中し、努力をした経験が必要です。こうした経験があり努力できる学生を高確率で見つけ出す質問が、挫折経験なのです。
理由2:困難からの立ち直り方に人間性や思考プロセスを見る
挫折から立ち直ろうと努力する際に、学生の素の人間性や思考プロセスが表れます。問題から目を背け意識しないよう努める、問題克服のために必死でもがく、周囲から協力を得る努力など、どんな方法で解決を図るかが見えてきます。そこから入社後の働き方をイメージできるため、企業はこの質問をするのです。
挫折経験の例文集:ESや面接における一流企業内定者の回答例とポイント解説
アルバイト、部活、学生団体、インターン、大学受験、学生によってさまざまなエピソードがあると思います。しかし、学生が面接でよく話す挫折経験は主に3種類に大別でき、それぞれ企業にアピールできるポイントが異なります。自分が「何を企業にアピールしたいか」を意識してエピソードを考えましょう。ではタイプ別に見ていきましょう。
挫折経験の例1:外部環境編|対応力とメンタルの強さをアピール(部活)
自分ではどうすることもできない問題に対して克服しようと努めたパターンです。例えば「部活で大会の前にけがをしてしまった」などがこのパターンに当たります。このテーマからアピールできる要素は、理不尽な状況に対応する能力やメンタルの強さです。困難な状況に対して、どうくじけずに自分が努力したかが分かるように伝えましょう。
ES具体例:三井物産 総合職(担当職)
【設問】
過去最大の失敗とそれを乗り越えた経験について記述してください。(全半角200文字以内)
【回答例】
高校の野球部で肘をけがしたことである。原因は間違ったトレーニング方法や計画性のない過度の練習であった。
それまで朝夕練習時間を設けるなど誰よりも努力していたが、方法を間違っていたと気付いた。
そこから効率的な方法論を探してから計画を立てて実行する習慣が身についた。
これによって大学受験時に塾、予備校に通わずに自ら勉強法・暗記法を学び、勉強計画を立て、実行することで第一志望校に合格することができた。
※就活生の回答を一部改変
挫折経験の例2:人間関係編|対人能力とリーダーシップをアピール(高校時代/文化祭)
「留学で未知の環境に飛び込み友達作りに悪戦苦闘した」のように、人間関係の中で挫折を経験するパターンです。こうした経験からアピールできるポイントは対人能力やリーダーシップです。総合商社やデベロッパー・外資メーカー(マーケティング職)が好む能力なので、このような業種への就職を考える方は人間関係パターンのエピソードを準備しましょう。
ES具体例:資生堂 事務職(マーケティング)
【設問】
あなたがこれまでに経験した、周りの⼈との衝突や軋轢(あつれき)を教えてください。またそれをどう乗り越えたのかあわせて教えてください。(200字以内)
【回答例】
高校3年生の文化祭のクラス劇を率いたとき、方針を決めるのにクラスの人たちと衝突した。優勝したい人も勉強を優先したい人もいたからだ。どちらにしても誰かとぶつかるため、私は、優勝を目指すと決断した。
しかし時間を割けない人のことも考慮し、練習に参加できなくても疎外感を覚えないように、重要な意思決定はすべてホームルームで決めるようにして、全員が状況を共有できるようにするなど考えられるすべての手を尽くした。
結果優勝と同時にクラスの仲も深まった。
※就活生の回答を一部改変
挫折経験の例3:自分のスキル/能力編|ひたむきさと努力家の一面をアピール(勉強/留学)
自分のスキルや能力が足りないことで味わう挫折が該当します。具体的には「部活で周囲の技術が高く、追いつくために練習に打ち込んだ」などです。この挫折経験からはひたむきさや努力家の要素をアピールできますが、チームワークなどの要素に触れることは難しくなります。他のエピソードでチームワークに関する素質を説明できるように準備をしておきましょう。
ES具体例:野村證券 総合職C社員:インベストメント・バンキングコース
【設問】
あなたが過去に経験した失敗や挫折について記述してください。特に、その原因と考えられる要因分析ともに、そこから学んだことについても記述してください。(500文字以内)
【回答例】
失敗:英語上達のため留学を決めたが、いざ留学してみると思った環境と違い、留学自体に対するモチベーションが下がってしまい、留学を中断し、帰国しようとも考えた。
原因:「英語を上達させること」自体が留学の大きな目標になっていて、「なぜ、英語を上達させたいのか」という根本的な理由がなかったから。
そこから学んだこと:
1. 学んでいることや努力していることに対して「なぜ学んでいるのか、努力しているのか」という根本的な理由をしっかり持つ大切さ。根本的な理由がなければ、勉強も努力も長続きさせるのは難しく、また、仮に長続きしたとしても、その学んだ先や努力した先にあるものは、自分が望んでいるものではないかもしれない可能性があるということ。
2. 自分の目標と、その目標を達成したい理由を設定するときは、自分が納得するまでとことん考え抜くことが非常に大切だということ。その理由は、とことん考え抜いて得られた目標と理由ならば、自信を持って、迷うことなく、その目標達成のために努力し続けられるから。
※就活生の回答を一部改変
挫折経験がない人は視点を変えて考えよう
挫折経験がない場合の内定者の回答例
ここまで読んで「自分の人生の中で挫折経験が思い当たらないな」と感じる方は、視点を変えて考えてみましょう。始めにお伝えしたように、企業がESや面接で挫折経験を質問するのは、
・熱中し努力した経験があるか
・困難をどのように克服するか
を確認するためです。
裏を返せばこの2点が伝えられるなら挫折していなくても良いわけです。例えば人生において最も成功した経験、達成感を得た経験の裏で、どのような苦労や困難、失敗があり、その問題に対してどのように努力し結果を出したか、具体的に考えてみましょう。上記の2点に留意して伝え方を工夫すれば、「挫折体験」としてESや面接で求められる要素を十分満たすことができます。
それでは具体的な例を見ていきましょう。
ES具体例:グーグル(Google)ビジネス職
【設問】
あなたの挫折経験を教えてください。
【回答例】
私の挫折はフットサルチームの主将を務めていたときに経験したものだ。それを表すエピソードは以下の通りである。
私は昨年度、大学のフットサルチームの主将を務めていた。主将の仕事としては練習内容の考案、出場メンバーの選考、大会登録の手続きなどがあるが、業務をただこなすだけでは自分が主将を務める意味がない、と感じたので、これからもこれまでの課題を解決しチームに残る「変化」を起こすことを心がけた。
一年間の任期の中で具体的に2つの変化を起こした。
1つ目は、先輩たちの長年の思いを受け継ぎ、体育会部活へ昇格するための交渉を行ったことである。体育会の幹事会に定期的に出席してプレゼンを行ったり、Twitter(現・X)で選手紹介や試合実況のツイートを開始したりするなど認知度を上げるための広報活動に力を入れた。その活動が認められ、体育会部活の前段階である「体育会調査団体」への昇格に成功した。
2つ目は、チームの人数の多さから下級生が公式戦にほとんど出られないという問題を解決するために、サテライトチーム(2軍)を創設したことである。そしてトップチームも参加する社会人リーグに参入し、下級生の経験不足を解消した。
この結果、トップ・サテライト間にライバル関係が生まれ、普段の練習もより良い雰囲気になった。
※就活生の回答を一部改変
上記回答では挫折体験について直接言及していません。しかし、「熱中し努力した経験」「困難を克服した経験」の2点が盛り込まれています。
熱意については、「主将の仕事としては練習内容の考案、出場メンバーの選考、大会登録の手続きなどがあるが、それらをただこなすだけでは自分が主将を務める意味がない、と感じたので、これからもチームに残る『変化』を起こすことを心がけた」という文章から読み取ることができます。
困難の克服方法については、「体育会の幹事会に定期的に出席してプレゼンを行ったり、Twitterで選手紹介や試合実況のツイートを開始したりするなど認知度を上げるための広報活動に力を入れた。2つ目は、サテライトチーム(2軍)を創設したことである。そしてトップチームも参加する社会人リーグに参入し、下級生の経験不足を解消した」という文章から、
・Twitterの活用やプレゼンなどから、行動的に課題に取り組む
・下級生の問題などから、組織全体を見て判断する
という課題への取り組み方法や行動が分かるため、上記の挫折経験から伝えるべき内容をうまくESで説明できている好例といえます。
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挫折経験と問われるES/面接の対応まとめ
これまでご紹介した、ESや面接で挫折経験を問われた際の対応のポイントをまとめると以下の通りです。
<挫折経験のアピール方法> ・外部環境の挫折例:対応力とメンタルの強さをアピール ・人間関係の挫折例:対人能力とリーダーシップをアピール ・自己完結の挫折例:ひたむきさと努力家の一面をアピール
<挫折経験がない場合のアプローチ> 自分の成功体験や達成感を得た経験の裏にある苦労や困難、失敗を考え、その問題への努力や解決策に焦点を当ててアピールする
ES/面接対策をまとめた特集記事
いかがでしたか。挫折経験から企業に何を伝えたいか、という観点を持つとより魅力的な自己PRの書き方が分かると思います。今回の内容を踏まえ、人生の挫折経験や失敗談を自分のアピールポイントにし、ESの作成や面接に臨んでいただければ幸いです。
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※こちらは2016年7月に公開された記事の再掲です。
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