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それ、ホワイトじゃなくて権利です。安定したいなら知るべき「働く人を守る10のルール」

ホワイト 社内風土 入社するには
2018年12月4日(火) | 34,349 views

※こちらは2016年12月に公開された記事「これだけは知っておきたい、就活生が知らない「働く人を守るルール」」を改題の上、再掲載しています



あなたは、労働基準法などの「働く人を守るルール」について、どれだけ知っているでしょうか?

ちょっとしたテストをしてみましょう。下の10問中、いくつ知っているか数えてみてください。

【働く人を守る10のルール】
(1)会社が社員を雇う時には、給料などの労働条件を書面で通知しなければいけない
(2)出産予定の女性は、産前6週間と産後8週間の間に休業できる
(3)子どもが1歳になるまで、育児休業を取れる
(4)育児休業は男性も取れる
(5)給料の最低額(最低賃金)は法律で決められている
(6)有給休暇は、目的を問われることなく、取得できる
(7)半年間継続して、労働日の8割以上を出勤している社員は、有給休暇を取る権利がある
(8)男性も、セクハラの対象(被害者)となることがある
(9)労働者災害補償保険(労災保険)は、仕事中だけでなく、通勤中のケガなども対象となる
(10)会社が社員に残業させる場合は、事前に協定を結ばなければならない

これらの質問は、日本労働組合総連合会が2014年に、就活の経験がある学生に対して行った「就職活動に関する調査」で、労働に関するルールをどのくらい知っているかを聞くために使った質問の一部です。

※出典:日本労働組合総連合会「就職活動に関する調査」

数字が高いものが、就活生が知っていたルールです。

労働条件や、企業を選ぶのに必要な情報を確認しよう

2015年に東大卒の女子学生が過労死したニュースがありましたが、残念なことに、日本企業では労働法などの「働く人を守るルール」は形骸化していることが多いです。

だからこそ、自分の身を守るために、就活前にルールを知り、ルールが守られている会社を探すことが1つの手だと思います。

今回は、上記の質問の中から今知っておいた方がいいルールについて、簡単に解説します。


労働条件の明示は、法律で義務づけられている

就活生の63.6%が知っていた「会社が社員を雇う時には、給料などの労働条件を書面で通知しなければいけない」ですが、裏を返せば、3人に1人はこのことを知らなかったともいえます。


この「労働条件の明示」は、労働基準法により義務づけられています。

詳細は複雑ですが簡単にいうと、企業は労働者に対して、労働契約の期間・業務内容などの必須項目などを明示しなければなりません。一般には「労働条件通知書」という書面の形を取ります。


労働は、会社と社員の主従関係ではなく、契約で成り立っています。

ですから、自らがどんな条件で雇用されるのかを、必ず書面で確認する必要があります。


就活生が要求すれば、企業は職場情報を提供する義務がある

また、2016年3月から就活生が求めた場合、職場情報の提供を企業に義務づける制度も始まりました。

ブラック企業が社会問題となる中、就活生が知りたい情報を提供することで就職先を選びやすくし、ミスマッチによる早期離職を防ぐことが目的です。


以下の大項目ごとに、それぞれ1つ以上の情報提供が義務となります。

ア)募集・採用に関する状況(過去3年間の離職者数・平均勤続年数など)
イ)職業能力の開発・向上に関する状況(研修の有無など)
ウ)企業における雇用管理に関する状況(有給休暇の平均取得日数など)

※引用:厚生労働省「就労実態等に関する職場情報を応募者に提供する制度について」


とはいえ実際は、企業はホームページや求人票・会社説明会などで情報を公表することを推奨されています。そのため、いきなり情報提供を請求せずに、まずは自分でホームページなどを調べてみましょう。

これによって分かる離職者数や平均勤続年数・育児休業の取得者数などを数社間で比較してみると、どの会社が働きやすい会社なのかが分かってきます。


就活においては、「どうしても内定が欲しい!」という気持ちが先走ってしまうかもしれません。

ですが、労働条件や企業を選ぶ上で必要な情報を確認するという姿勢は忘れないようにしてください。

残業は当たり前ではなく、事前の協定が必要

入社したら残業するのは当たり前のような風潮になっていますが、実は会社が社員に残業をさせるには、事前に協定を結ばなければなりません。

このことは先ほどの調査でも、知っていた就活生は4人に1人(24.5%)でした。


本来、法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超えて、労働者を働かせることは違法にあたります。

ですが実際には、どこの会社でも残業をしています。


なぜなら、いわゆる抜け道にあたる「36(サブロク)協定」を結んでいるからです。

これは、法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合、あらかじめ労働組合または労働者の代表と協定を結ばなくてはならない、と労働基準法36条で義務づけられたものです。


なお、36協定にも限度時間はあり、1カ月45時間以内の残業と決められています。


ですが、その限度時間にもさらに抜け道があって、特別条件付き36協定さえ結んでしまえば、実質的には会社の都合で残業時間を決めることもできるのです。


または、「45時間以上残業する場合は、タイムカードを押すな」など、サービス残業を強いる流れにもつながっています。

自身の生き方を守るためにルールを活用しよう

「働く人を守るルール」はタテマエ化していることが多いですが、そこで諦めるのではなく、きちんとルールが守られている会社を探したいものです。

そのためには、企業が提供している情報を見比べて不足な情報があれば請求したり、OB訪問や説明会で語られる社員のエピソードを「働く人を守るルール」の基準から読み解いたりすることが大切です。


また、働き始めてからも「働く人を守るルール」は仕事と向き合う上での客観的な指標として役立ちます。

ハードワークだなと思っても、周りの人が同じ仕事をこなしていると「そんなものなのかな?」と思ってしまいがちです。そんなときに、冷静に考えるきっかけになるかもしれません。


安定して働きたいのなら、冒頭のテストで知らなかった項目を確認し、自身の生き方を守るために活用してみてください。

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ニャート
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ニャート

元編集者。出版社を過労で退職→ニート→派遣社員という人生経験をもとに、レールを外れた立場から、ブログ「ニャート(旧:一橋を出てニートになりました)」で労働問題を扱う。ワンキャリ編集部では、自らの挫折経験を反面教師にしてほしいという思いで、記事を執筆。提言型ニュースサイト「BLOGOS」のブロガーとしても、記事を投稿中。
※ ブログ「ニャート(旧:一橋を出てニートになりました)」: http://nyaaat.hatenablog.com/

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