こんにちは、ワンキャリ編集部です。
ワンキャリ編集部が総力を挙げて紹介する【最新版:業界研究】。
今回は、銀行の中でも就活生に人気を誇る三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループのメガバンク3社について、各社の特徴を比較しながらお伝えします。
<目次>
●業界全体の傾向
●業績比較
●各社の特徴
・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・みずほフィナンシャルグループ
●平均給与比較
業界全体の傾向
業界動向の前提として、2016年から続くマイナス金利政策により、銀行の収益は大幅に縮小しました。それに伴い、現在多くの銀行はコスト削減に取り組んでおり、AI(人工知能)の導入や人員削減、支店の閉鎖など効率化を図っています。
新卒の採用にもその影響が表れており、2021年卒の新卒採用計画では、メガバンク3行とも前年の2020年卒採用と比べて合計15%減らすことが分かりました。三菱UFJ銀行は22%減の400人、みずほフィナンシャルグループ(以下:みずほFG)は7%減の510人、三井住友銀行は16%減の530人の採用に絞っています(※1)。
加えて、3大メガバンクに共通して見られる傾向が2つあります。
まずは、事業カンパニーなどの「選択と集中」です。フィナンシャルグループという巨大組織であるからこそ、社内の組織をどう連携させ、機能させるかが共通する問題であるようです。その解決のために、数年前から各社では再編が行われています。具体的には、三菱UFJ銀行はグループの「機能別再編」(※2)、三井住友銀行では「事業部門制・CxO制」の導入(※3)、みずほFGは「カンパニー制」の導入(※4)が行われています。
その次は、それに伴う「企業間連携の強化」です。「銀・信・証(銀行・信託・証券)」を一体化させ、縦割りの業務の隔たりをなくします。関連性の高いサービスを同時に提供することで、事業間の相乗効果が期待できます。例を挙げると「銀行の法人担当が信託と証券の窓口を兼任し、その預金を融資・信託・証券につなげる」などのサービスの流れを生み出すといった具合です(※5)。特に三菱UFJ銀行(※6)、みずほFG(※7)の2行では、その傾向が顕著なようです。
(※1)参考:日経XTECH「3メガバンクが新卒採用を15%削減、余波はIT業界に意外な形で」
(※2)参考:三菱UFJフィナンシャル・グループ「グループの『機能別再編』と子会社の商号変更について」
(※3)参考:三井住友フィナンシャルグループ「グループ概要」
(※4)参考:みずほフィナンシャルグループ「新中期経営計画『進化する“One MIZUHO”』」
(※5)参考:ニュースイッチ「三菱UFJ、関西で『銀信証』一体営業の狙い」
(※6)参考:三菱UFJフィナンシャル・グループ「中期経営計画(2018年度~2020年度)11の構造改革の柱」
(※7)参考:みずほフィナンシャルグループ「〈みずほ〉の成長戦略 P.10」
業績比較
銀行の中でも主要3社である三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほFGの経常収益と当期純利益を見てみましょう。以下のグラフは各社の業績です。
また、銀行の「経常収益」は他の業界における「売上高」に相当します。
※出典:2019年度有価証券報告書「三菱UFJ銀行 P.3/三井住友銀行 P.3/みずほ銀行 P.3」
2019年度は、経常収益は三菱UFJ銀行がトップですが、当期純利益は三井住友銀行が首位に立ちました。
それでは、各社の特徴を見ていきましょう。
三菱UFJ銀行:日本最大かつ世界有数の総合金融グループ
国内外での圧倒的な存在感。さらに顧客満足度にもこだわる
国内外の銀行業界において圧倒的なプレゼンスを保持する三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下:MUFG)。
世界の金融機関の中で、預金残高、貸出残高ともにトップクラスを誇ります(※11)が、2019年度は、東南アジアのバンクダナモンののれん一括償却に伴う特別損失により、当期純利益は6,530億円の損失となりました。
三菱UFJ銀行はアユタヤ銀行やヴィエティンバンクなど、国内トップの資金力を武器にM&Aでその地域に根ざした企業を積極的に買収しています。リテール現地化を推進することで現地のニーズに対応し、世界中で「顧客のため」を追求する環境を整備しているようです。また、営業に厳しいノルマを設けず、融資審査に十分時間を取るスタイルも特徴とのこと。これらのことから、東京外国為替市場の顧客評価で14年連続トップを獲得しています(※12)。
(※11)参考:MUFGの経営戦略「世界ランキング」
(※12)参考:三菱UFJ銀行「キーワードで知るMUFG」
目指すはアジアを中心としたGlobal Financial Group
三菱UFJ銀行は海外に70以上の拠点を有し(※13)、全貸出残高の約40%は海外が占めています(※14)。これらの強さは海外勤務の機会としても表れており、若手中堅問わず全社員の3割程度が海外駐在しているとのこと(選考対策ページより)。
上述の通り、銀行業界では収益の大幅な減少に伴う改革に合わせ、成長の著しい東南アジアへの進出も盛んになっていくことが予想されます。日本唯一の外国為替専門銀行であった東京銀行を合併した経緯を持つ三菱UFJ銀行(※15)。メガバンクの中でも誇れる海外業務での圧倒的な強さは、今後も変わらないでしょう。
(※13)参考:三菱UFJ銀行 新卒採用HP「会社概要」
(※14)参考:MUFG「2019年度 決算ハイライト P.6」
(※15)参考:日刊デジタル「銀行名から消滅へ…東京銀行OBの怒り『恩人捨てるのか』」
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三井住友銀行:「稼ぐ力」でついにトップへ。圧倒的な営業力を持つメガバンク
「スピード&効率」を追い求める革新的メガバンク
メガバンクの中でも、三井住友銀行は、無担保・第三者保証不要の融資を推し進めるなど、先進的かつスピーディーな融資が特徴的です(※16)。実際に多くの社員が、他の2行と比べて融資速度が速いと実感しているようです。
また、三井住友銀行はペーパーレス化など経費削減を進め、経費率を59.4%に抑える(MUFG:62.4%、みずほFG:60.7%)など、非効率的な旧体制が残存するイメージがあるメガバンク業界の中でも、いち早く効率性改善に取り組む銀行であるともいえます(選考対策ページより)。
上述の通り、銀行業界では効率化のために支店の閉鎖が進められていますが、三井住友銀行は店舗数を減らさずに事務スペースの削減など、新しい店舗の形を模索していることも特徴的です。巨大組織であるメガバンクでありながら、「非効率的」「意思決定が遅い」「伝統にこだわる」などのイメージに当てはまらない、先進的で合理的な銀行といえるでしょう。
(※16)参考:三井住友銀行「『経営者保証に関するガイドライン』を踏まえた当行の取組状況P.4」
海外においてチャレンジできるチャンス
日本でのプレゼンスが強調されがちなメガバンクですが、三井住友銀行では海外勤務のチャンスも拡大しています。上述の通り海外に強いプレゼンスを持つ三菱UFJ銀行が海外進出においては一強と捉えられていました。しかし、直近では三井住友銀行も海外進出を積極的に進めており、海外貸出残高は10年間で約4倍となり、20兆円を超える規模にまで拡大しているそうです(※17)。
また、このような海外進出に向けて若手向けの海外人材育成にも力を入れているとのこと。海外拠点組織におけるリーダーシップや、グローバル企業を担当する上で必要な戦略立案力の養成を目的にGlobal Bankers Programという研修を実施(合格の秘訣より)。事実、毎年200名程度が上記のプログラムや異動を通じて、海外に派遣されています。
インドネシアのPT Bank Tabungan Pensiunan Nasionalを傘下に加えたことなどからも、今後東南アジアへの進出をさらに進め、海外でのプレゼンスを高めていくことが予想されるでしょう。
(※17)参考:三井住友銀行 2019年度統合報告書 P.56
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みずほFG:財閥でないからこそ、幅広い企業を支えるメガバンク
徹底的に顧客目線を追求した特徴的なシステム
みずほフィナンシャルグループ(MHFG)の一番の特徴は、「One MIZUHO戦略」だといえます。この戦略は2016年に策定され、銀行、信託、証券、アセットマネジメント、リサーチ&コンサルティングなどのすべての機能を一体化させ、顧客のあらゆるニーズに最大限応えていくことを目的としたものです(※18)。
そして、このOne MIZUHO戦略の中でも特徴的なのが、業界初となるカンパニー制と、ダブルカウント制と呼ばれるシステムです。カンパニー制とはグループ全体を従来の「銀行・信託・証券」の縦割りではなく、顧客セグメントに合わせた5つのカンパニーに分けることで、顧客のニーズに合わせ、連携してサービス提供することを目指したものです。これにより、銀行の顧客にも信託や証券のサービスを円滑に提供できるようになります。
一方のダブルカウント制は、グループ内の縦割りの評価制度をなくし、「みずほFG全体としていくら資金提供した」という方法で計算するものです。例えば、銀行と証券でクライアントに10億円の資金提供をした場合、「銀行も証券も10億提供した」とカウントします。提供金額の割合によるグループ内争いをなくすことで、顧客目線を追求しています(選考対策ページより)。
(※18)参考:みずほFG 新卒採用HP「One MIZUHO戦略」
競合のメガバンクと異なるキャリアパス、若手時代からの高い裁量権
みずほFGの大きな特徴として、多様なキャリア形成も挙げられます。これには上述の、「銀・信・証」の縦割りをなくしたカンパニー制が関係しています。実際に、カンパニー制導入後から、社内では人事異動が盛んに行われており、銀行から証券・信託に異動して経験の幅を広げる社員が増加しているようです。
また、若手層の早期育成と積極的登用の観点が強く(※19)、若いうちからさまざまな業務に携わることができるとのこと。三菱UFJ銀行では7年目が担当するような案件を、みずほFGでは初配属の次に担当できるケースもあるそうです。
特徴的なシステムや人事制度に基づいて、幅広い観点を持った金融のプロフェッショナルが育つ環境があるメガバンクといえるでしょう。
(※19)参考:みずほFG「人材育成」
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平均給与比較
以下の表は、各社の平均年収をまとめたものです。
企業名 | 平均給与 | 平均年齢 |
三菱UFJ銀行 | 774万円 |
39.6歳 |
三井住友銀行 | 829万円 |
37.3歳 |
みずほ銀行 | 736万円 |
38.2歳 |
※出典:2019年度有価証券報告書「三菱UFJ銀行 P.11/三井住友銀行 P.11/みずほ銀行 P.15」
※平均給与は千の位を四捨五入しています
※みずほフィナンシャルグループはみずほ銀行の有価証券報告書を参照しています
三井住友銀行が一番高い理由は、一人当たりの収益力が高く、それが年収にも反映されているためだと考えられます。
おわりに
毎年多くの学生がメガバンクの総合職や一般職を志望するため、内定を取得することは容易ではありません。それぞれの特長や違いをしっかりと認識した上で対策しましょう。
また、10月3日(土)から10月5日(月)に開催される『ONE CAREER SUPER LIVE』に、三菱UFJ銀行に加え、DBJ(日本政策投資銀行)、国際協力銀行、三菱UFJ信託銀行が出演予定です。
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詳しい選考ステップや合格の秘訣は、下記の「選考対策ページ」を参考にしてください。
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