こんにちは、ワンキャリ編集部です。
今回は、世界最初の戦略コンサルティングファーム、アーサー・ディー・リトル(以下、ADL)の2022年卒インターン選考のポイントをまとめてお伝えします。
選考前にぜひご一読ください。
<目次>
●アーサー・ディー・リトルの社風
●アーサー・ディー・リトルの選考ポイント
●アーサー・ディー・リトルの選考フロー
・1. エントリーシート(ES)
・2. Webテスト
・3. 筆記テスト
・4. 1次面接
・5. インターンシップ
●おわりに
アーサー・ディー・リトルの社風
ADLは、マサチューセッツ工科大学のArthur Dehon Little博士がキャンパス内に設立した研究機関を源流に持つ世界最初の経営コンサルティングファームです。設立当初は技術開発の委託研究を中心に活動しており(※1)、そうした歴史から、今もなお製造業領域に強みを持つファームとして知られています。
基本理念の一つに「経営と技術の融合」を掲げており(※2)、過去には製造業の案件が多かった時期もありましたが、近年のジャパンオフィスでは、ヘルスケア(消費財、食品含む)業界の案件も拡大しており、主軸の一つとなっています。
実際に扱っている案件の割合は、ヘルスケア・消費財・食品業界が合わせて25%、自動車・電機業界が25%、通信・メディア業界が20%、そのほか(金融・化学など)が30%となっています。
加えてADLが扱う案件は、特定の技術への専門的な知見が必要なものも多く、どれも他ファームにはまねできないようなオンリーワンの提案を行うことになるそうです。こうした技術方面への強みはクライアント企業からの認知度も高く、ある社員は「R&D(※)案件に関しては、クライアントから直接依頼されることも多い」と話していました。
専門的な領域に注力できる分、そこでの知見がますます深まることもあり、ある社員は「『この分野であれば、自分が最も高いバリューを出せる』と自負できる領域ができる」と、ADLで働くことの醍醐味(だいごみ)について語っていたそうです。
近年はJR東日本の「モビリティ変革コンソーシアム」の立ち上げ支援を行うなど、企業を超えたコラボレーションを生み出すような案件も手がけており、「経営戦略に興味があるけど、理系の知識も生かした仕事をしたい」「技術に興味があり、業界全体を支える仕事をしたい」などと考えている学生にオススメの戦略コンサルファームと言えるでしょう。
(※)……Research&Developmentの略で、研究開発を意味する言葉です。
(※1)参考:Arthur D Little JAPAN「沿革」
(※2)参考:Arthur D Little JAPAN「特徴」
アーサー・ディー・リトルの選考ポイント
技術とビジネスへの強い関心を持ち、面接官に伝えよう
前述の通り、ADLは基本理念の一つに「経営と技術の融合」を掲げています。選考においても新しい技術に興味を持っていることを示すと良いでしょう。
「新卒は理系のみ」というイメージがあったADLですが、19卒以降は文系からも内定者が出ており、文系学生だからといって諦めることはありません。ただ、半分以上は理系であるため、理系の方が親和性が高いといえそうです。
内定者も「インターン参加者には面白い研究をしている人が多かった。社員も自分の専攻の話に夢中になってくれたため、他の企業よりも研究内容を社員に話すことができた」と話しており、こうした技術・製造業とフィットしたバックグラウンドが要求されています(選考対策ページより)。
インターン後の面接などでは、理系学生の場合は研究への熱い思いを示すとともに、日本の産業を支えたいという思いをアピールしましょう。自身のバックグラウンドが、ADLにフィットしていることを示せるとより効果的です。文系学生の場合は、知見を深めることに抵抗がないと示すことで、面接官に好印象を与えることができるでしょう。
志望度の高さ・相性の良さをアピールしよう
ADLは少人数ファームであるため、新卒採用の内定者数も5〜8人程度まで絞り込みます。そのため、内定辞退を避けるべく志望度やカルチャーフィットの高さが要求されます。
「コンサルでは志望動機は見られない」。このような一般論は、ADLには当てはまらないと考えてください。実際、ある内定者は「1時間あった面接の半分以上の時間を、ADLへの志望動機を深掘りされる時間にあてられた」と語っています(選考対策ページより)。
選考では技術への高い関心を示す以外にも、「なぜ戦略コンサルで働きたいか」「なぜADLで働きたいか」という深掘りにも答えられるよう、徹底的に準備をしておきましょう。志望度の高さを伝える手段として、説明会や選考を通して会社の雰囲気を掴(つか)み、面接では社風との相性の良さをアピールすると効果的でしょう。
マネジャーまで育つ必須要件、「芯の強さ」が求められる
150人程度と比較的規模の小さなファームであることから(※3)、新卒で入社した社員にはファームに長く在籍し、ファーム全体を引っ張っていくことが求められています。
事実、ある内定者は面接で人事担当の社員から、「うちはマネジャーに育つ人材であることを前提に採用している」と言われたそう(選考対策ページより)。ワンキャリアのインタビューで「採用の時点で芯が強そうな人を選んで徹底的に育てる」と発言しており、能力の高さに加え、「怖じけずに、自分の意見をハッキリと言えるか」といった点も評価に大きく影響しそうです。
(※3)参考:ワンキャリア「イノベーションには「腹落ち」と「自立」が必要だ。世界最初の戦コン、ADLがノコギリ型人材を求める理由【ADL解体新書vol.1】」
アーサー・ディー・リトルの選考フロー
2022年卒のADLのインターン選考は以下のフローで行われました。
1. エントリーシート(ES)
2. Webテスト
3. 筆記テスト
4. 1次面接
5. インターンシップ
それでは、選考ごとに見ていきましょう。
1. エントリーシート(ES):「結論ファースト」「論点を構造化すること」
2022年卒のインターンのESは以下の通りです。
・学生時代に1番力を入れたことと、そこから学んだことを教えてください(300字)
※出典:アーサー・ディー・リトル|2022年卒インターンシップ選考のES
例年のADLのインターン選考は、ESとグループディスカッション(以下、GD)のみでしたが、今年度はWebテストと筆記試験が追加され、GDは個人面接に変更されました。他の戦略ファームと同様にWebテストで絞り込みが行われるためか、設問数も1問のみで、ESの通過率は例年よりも高くなっているそうです。足をすくわれないよう、しっかりと内容を吟味した上でエントリーしましょう。
コンサルタントとして必要な論理的思考力の高さを示すため、「結論ファースト」「論点を構造化すること」を意識して書きましょう。以下の順序で、言い回しが冗長にならないよう配慮しながら簡潔にまとめましょう。
1. 経験の概要
2. その取り組みに関わった背景・理由
3. 自身が起こした行動・担った役割
4. 成果
5. その経験から得たもの
2. Webテスト:ボーダーは高め。満点を取るつもりで臨もう
2022年卒のWebテストの形式は、自宅で受験できる玉手箱(GAB形式)でした。所要時間は1時間程度で、出題科目は「言語」「非言語」の2つです。
玉手箱の難易度は標準的ですが、高いボーダーが設けられていると予想されるため、満点を取るつもりで臨みましょう。問題集などで対策し、玉手箱を使用している他企業の選考を事前に受検しておくと安心でしょう。
▼対策用書籍
・【玉手箱・C-GAB編】 これが本当のWebテストだ! (1) 2023年度版
▼玉手箱形式について詳しく知りたい方はこちら
・【Webテスト対策:玉手箱】計数・言語・英語の問題例一覧!出題企業とおすすめ問題集も
・【SPI・玉手箱etc.】主要Webテスト9種類:問題形式の見分け方と対策本一覧
3. 筆記テスト:「スピード感」と「要点を捉えて記述すること」を意識しよう
2022年卒の筆記テストは、ケース問題が出題されました。所要時間は45分程度で、文字数は800字以内とされています。筆記テストの内容は以下の通りです。
・最大手のシネマコンプレックス企業(映画館経営企業)の5年後の売上成長戦略に資する戦略を考え、理由とともにご説明ください。
・最大手のカメラメーカーの5年後の売上成長戦略に資する戦略を考え、理由とともにご説明ください。
※出典:アーサー・ディー・リトル|2022年卒インターンシップ選考の筆記テスト
ケース面接の難易度は標準的ですが、「図式を用いることができない」「800字以内という制限がある」など、なかなか慣れない形式であると思われます。
その上、筆記テストの出来によって、次の個人面接の難易度が変化すると推測されるため、受験前の練習は必須でしょう。テーマ自体は企業の売上を向上させるなどの一般的なケースのお題となっており、「東大生が書いた問題を解く力を鍛えるケース問題ノート」などの市販の参考書に示されている出題例と類似しています。参考書の問題に文章だけで解答するなどして、練習を重ねましょう。
フェルミ推定ではスピード感を意識しよう
共通のテーマとして「売上成長戦略」が出題されているため、売上に関するフェルミ推定は必須です。難易度は平易ですが、ケース問題を解く時間がかかること、文章で書くことを考慮すると、全体的に時間を掛け過ぎない方が良いでしょう。
場合分けなどは過分に多く行うことなく、短い時間で妥当な値を導くことを心がけてください。
要点を捉え、一読で理解できる文章を書こう
上述の通り、800字以内という制限があります。思考過程を全て記述していると簡単に超えてしまうほどの文字数であるため、要点を捉えて記述することを意識し、細かい施策などは軽く記載する程度に抑えましょう。
また、回答では結論ファーストはもちろん、要素分解について説明する際には「5つのファクターに分解できる」「施策の評価軸は(1)〇〇、(2)△△」のように、まず認知モデルの形成を促したり、番号を振ったりなど、面接官に思考負荷をかけないよう思考順序に沿った文章を心がけましょう。
・現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート―「6パターン、5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!
・東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート 50の厳選フレームワークで、どんな難問もスッキリ「地図化」
▼筆記テストについて詳しく知りたい方はこちら
・フェルミ推定・ケース面接を対策!ポイントは「論理性・コミュ力・楽しむ姿勢」:外資戦略コンサル徹底解説Vol.2
4. 1次面接:3つのパターンを把握し、面接官との対話を重視しよう
2022年卒の1次面接は社員1人と学生1人の個人面接でした。所要時間は30分程度で、以下のような質問がされました。
<パターンA>
・自己紹介
・キャリアプランとその実現に必要なこと
・改善したい社会問題
・企業選びの軸
<パターンB>
・志望動機
・大学での研究内容について
・筆記形式のケース問題の深掘り
・逆質問
<パターンC>
・(筆記とは異なるテーマの)ケース問題
※出典:アーサー・ディー・リトル|2022年卒インターンシップ選考の1次面接
内定者いわく、この個人面接がインターン選考の山場とのこと。以下のアドバイスをもとに、十分なパフォーマンスを出せるようにしましょう。
面接官との対話を重視しよう
ケース面接において重視されるのは「一人で施策を考える力」ではなく「面接官との対話の中で、自分が考える施策を柔軟にブラッシュアップしていく力」です。自分の考えた施策に自信を持つあまり、面接官の意見を聞き入れず反論をぶつけるばかりでは選考突破は望めません。
面接官の意見で参考にしたいと思った指摘は「ご指摘ありがとうございます。確かに〜と思うので、〜のような案の方がより適切だと感じます」と素直に認めて、施策をブラッシュアップしましょう。
提案する施策の思考過程を明確に示そう
一般的にケース面接で求められているのは「論理的思考力」です。ただ売上目標が達成できる施策・効果の大きい施策を導くだけではなく「どのようなロジックでその施策の提案に至ったか」という思考過程の妥当さが要求されます。
施策を述べる際には、外部要因の分析・施策の評価基準など、回答に至るまでのプロセスを示すようにしましょう。
一般面接の場合、ネガティブチェックの要素が大きい
一般面接では志望動機やゼミ・研究内容など、オーソドックスな質問がされます。これまでの選考で論理的思考力を示せている学生に対しては、コミュニケーション能力の確認などのネガティブチェックが行われるようです。
緊張し過ぎず、落ち着いて臨めば問題ないでしょう。
5. インターンシップ:最終発表まで粘り強く取り組み続けよう
2022年卒のインターンは、2日間の課題解決型グループワークが行われました。学生は10人(2人1組)で、それぞれのグループに社員がメンターとして付きます。
プログラムは以下のような日程でした。
<1日目>
・9:00〜10:00:テーマの説明
・10:00〜12:00:ワーク
・12:00〜13:00:社員とのランチタイム
・13:00〜19:00:ワーク(メンター社員のFBが2回入る)
<2日目>
・9:00〜14:00:ワーク(メンター社員のFBが1回入る)
・15:00〜17:00:プレゼンテーション
・17:00〜17:30:フィードバック(FB)
・17:30〜18:50:会社説明会、若手社員との交流など
・19:00-21:00:懇親会
┗パートナーを含め総勢20〜30名の社員が出席。事前に豪華なディナーが自宅に郵送されており、それとともに打ち上げ。
※出典:アーサー・ディー・リトル|2022年卒インターンシップ
<テーマ>
・とある洋菓子メーカーの10年後に向けた国内新規事業立案をせよ
・とあるアパレルショップの10年後に向けた国内新規事業立案をせよ
ADLのインターンは本選考の一環として組み込まれており、インターンを通過しなければ内定を勝ち取る事はできません。通過基準は絶対評価の要素が強く、通過者が10人中4人程度に留まることもあれば、優秀なタームだと10人中7人となったこともあったようです。
真摯(しんし)にワークに取り組めば通過のチャンスはあるので、以下のポイントを参考にベストパフォーマンスが出せるよう尽力しましょう。
メンバーとの関係性を大事にしよう
2人1組でワークが行われるのはADLならではです。グループのアウトプットは、メンバーで左右されてしまう運の要素もあります。クライアントワークが求められるコンサルティングファームとして、人当たりの良さを見られていることが推測できるため、「2人で結果を出して通過を果たすんだ」という意気込みで関係性を大事にしましょう。
ただし、途中のプロセスは社員にほとんど見られていないため、メンバーのいずれかががワークに慣れているときはアウトプットを最優先にバランス配分を変えても良いでしょう。
思考し続ける「粘り強さ」が重要
ADLでは、2日間に渡ってワークをすることを求められます。疲労が蓄積し、2日目ではパフォーマンスが落ちることが想定されますが、重要なのは最終発表まで粘り強く取り組み続けることです。
無理に徹夜などをすることなく、十分に睡眠をとり、ベストコンディションを保ちながら最後まで集中してワークをやり遂げましょう。
おわりに
いかがでしたか。ここまで、ADLのインターン選考を突破するポイントをお届けしました。
みなさんの選考対策のお役に立てたら幸いです。
さらに詳しい「選考対策ページ」と「クチコミ」はこちらをご覧ください。
※注釈のない記載は、選考対策ページ(下記)の情報をもとにしています
【選考ステップ一覧】各選考の詳細と解説
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(Photo:UfaBizPhoto/Shutterstock.com)