履歴書の志望動機やES(エントリーシート)を書くとき、面接などの前に、御社と貴社の違いについて理解していれば、使い分けをその都度悩むこともありません。今回は御社と貴社の違いとESや履歴書、メールでの使い分けを紹介します。就職活動の進める上でのメリットになるので、活用してみてください。
<目次>
●御社と貴社の違い
●御社と貴社の使い分け
・会社説明会で質問するとき
・ES
・志望動機
・面接
・メールのやり取り
●御社と貴社を間違えたらどうしたらいいか
・対面や電話の場合
・メールやESの場合
●御社と貴社を使う際の注意点
・二重敬語
・間違えやすい言葉
・御社と貴社以外の表現
●まとめ
御社と貴社の違い
まずは、御社と貴社の違いを説明します。「御社」「貴社」は、両方とも相手の会社を表す敬語です。話し言葉に使うのが「御社」、メールや手紙など、書き言葉に使うのが「貴社」です。
例えば、インターンシップ参加・企業研究・業界研究・会社説明会や面接など、OB・OG訪問の先輩や企業担当者と直接話す場合は「御社」といいます。就活で送るメール・ES・自己PR文・履歴書などの応募書類では「貴社」と書くのがマナーです。
なお、入社後は自身が所属する会社のことは「当社」「弊社」などと呼びます。「弊社」はへりくだった表現であり、「当社」には謙遜の意味は入っていません。
御社と貴社の使い分け
御社と貴社の使い分けについて、5つのシーン別に紹介します。
会社説明会で質問するとき
新卒向けの会社説明会を訪問して、言葉を発して質問するときは、基本的に「御社」を使う必要があります。対面の説明会でも、オンライン説明会でも、質問時間に仕事などについて声に出して聞く場合は「御社」と言うのが正しいです。
ただしオンライン説明会で「質問はチャットで」などの案内があったときは、「貴社」と表現するのがポイントでしょう。話すのか、書くのかで、使い分けが必要です。
例文
・御社で働くやりがいはどんな点にありますか?(口頭で質問するとき)
・貴社では仕事を任せたいと思う人にはどんな特徴がありますか?(チャットで質問するとき)
ES
ESの場合、紙に書くため「貴社」と表現するのが正しいです。紙でも、ウェブエントリーフォームのどちらの場合でも、「貴社」と書きます。ただし、面接のときにESの内容を口頭で説明する場合は「御社」と言うことが重要です。
例文
・サークル活動で培ったコミュニケーション能力を貴社で発揮したいと考えています。
・世界に先駆ける貴社の最先端の技術に非常に強い関心を抱いております。
志望動機
志望動機に関しては、書く場合・自分の口で伝える場合のいずれかによって、「御社」「貴社」のどちらを使うかが変わってきます。紙などのシートに書いて提出するときは「貴社」と表現しましょう。志望動機や自己PRを自分の口で言うときは「御社」と表現するのが正しいです。
同じ出来事や経験を説明するときでも、伝える方法によって「御社」「貴社」のどちらで表現したら良いのかが変わります。文字なのか口頭なのか、説明する方法に合わせて使い分けることがコツといえるでしょう。
例文
・御社のものづくりへの情熱に感銘を受けて志望いたしました。(面接時)
・貴社での営業の仕事を通して関わる人を笑顔にしたいです。(履歴書時)
メールのやり取り
メールでは、パソコンやスマートフォンを使って書くため、「貴社」と表現します。メールはESなどと比べて気軽に使えるツールのため、間違えて「御社」と表現しないよう気をつけましょう。入力に音声入力を使用する場合も、相手に届くのはメールのため「貴社」と発言して入力するのが良いでしょう。
例文
・このたび貴社の新卒採用において選考の機会をいただきたく、連絡いたしました。
・貴社のご期待に添えるよう、一層精進してまいります。
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御社と貴社を間違えたらどうしたらいいか
では、うっかり間違えてしまったときは、どうすれば良いでしょうか。
面接官は、間違いよりも、就活生のやる気や行動、価値観、志望度合いを重視する人が多いです。あなたの間違いよりもプロフィールや身だしなみの方が印象に残る可能性があります。しかしちょっとした間違いでも、マイナスなイメージを抱かれるリスクもあるので、他の学生との能力差がほぼないときは、減点の対象になってしまうかもしれません。
そのため、間違えたと気づいたらすぐに訂正することをおすすめします。
具体的にどう間違えたかが自分では分からなくて、不安な気持ちになった場合は、他の就活生や大人に相談し、サポートしてもらいましょう。
対面や電話の場合
対面や電話の場合、言い間違いに気づいたとき、その場ですぐ「失礼しました」と断りを入れて訂正しましょう。言い間違えたことに後から気づいた場合は気にせずに面接や電話を続けてしまって大丈夫です。言い間違いだけで評価が決まるわけではなく、先述した通り就活生のやる気や行動、価値観、志望度合いなどが評価されるためです。
メールやESの場合
メールやESといった書類は対面や電話と異なり、提出前に見直すことが可能です。御社・貴社の使い方だけではなく、他にも誤字脱字がないかを提出前に確認しましょう。事前にチェックできるはずの書類にミスがあると「注意力が足りない」と判断されることもあります。
しかし、企業に送ったメールで「御社」と誤った場合でも、訂正するメールを送信する必要はありません。書き言葉で「御社」を使ったとしても、失礼にあたったり意味が通じなかったりすることはないためです。
御社と貴社を使う際の注意点
御社や貴社は敬語に当たる表現のため、使う際には二重敬語や間違った表現などに注意をしておきましょう。また、御社や貴社以外で表現した方が適切なものもありますので解説していきます。
二重敬語
御社や貴社はすでに相手を敬う「御」や「貴」が含まれており、そこに「様」や「殿」を使用すると二重敬語になります。「御社様」「貴社殿」という表現は不適切ですので使用しないようにしましょう。敬意を表すことは大切ですが、誤った表現を使ってしまうと「社会人としてのマナーに欠けている」とマイナスなイメージになってしまうので注意が必要です。
間違えやすい言葉
間違えやすい言葉に「弊社(へいしゃ)」と「当社(とうしゃ)」があります。「弊社」はへりくだった表現で社外の人に使うのが一般的です。「当社」は主に社内の人同士など対等な関係の場合に使います。どちらも自社を指す言葉にあたるので、企業を応募する就活生は使用しません。敬語表現が含まれている「御社」「貴社」とは意味が異なるので注意しましょう。
御社と貴社以外の表現
就活では、御社と貴社以外の表現で呼ぶケースもあります。よくある表現について紹介しますのでチェックしてみてください。
銀行・信用金庫
銀行は、話し言葉:御行 書き言葉:貴行 と表現します。
信用金庫は、話し言葉:御庫(御金庫) 書き言葉:貴庫(貴金庫) と表現します。
省庁
省庁は、話し言葉:御省・御庁 書き言葉:貴省・貴庁 と表現します。
学校
学校は、話し言葉:御校 書き言葉:貴校 と表現します。
病院
病院は、話し言葉:御院 書き言葉:貴院 と表現します。
まとめ
ここまで御社・貴社の違いと、それぞれの使い方、間違えたとき、どうすべきかについて解説しました。御社と貴社は、社会人になれば自然に使い分けられるようになっていきます。しかし、話す・書くことが少ない学生の段階では、まずは就活を機会に御社と貴社の違いに興味を持って、どのようなシーンにどちらが適切かを把握して、利用することが大切です。
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