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【独占:東京海上日動】損保はこれから面白い。「事業戦略パートナー」として新しいマーケットの創出を目指す、東京海上日動の挑戦に迫る

企業インタビュー インタビュー 保険
2019年3月14日(木) | 46,969 views
sponsored by 東京海上日動火災保険

こんにちは、ワンキャリ編集部です。

今回は、東京海上日動火災保険株式会社(以下、東京海上日動)に独占取材を行いました。損害保険業界のリーディングカンパニーであり、就活生からも高い人気を集める同社。そんな東京海上日動は今、事業・組織の両面で大きな変化に挑もうとしています。2016年から採用チームリーダーを務める渡部さんに、率直なお話を伺いました。一度でも東京海上日動の社名を目にしたことのある方は、ぜひこの先を読み進めてください。

【本記事の見どころ】
・損害保険は「インフラのインフラ」であり「データの宝庫」
・次なるカギはIT×グローバル。海外投資・M&Aで新領域を模索
・組織・採用も変革の時。「イノベーションコース」開始の大決断

「損害保険はインフラのインフラ」新ビジネスの挑戦を実現するパートナー

──今日はよろしくお願いします。損害保険ビジネスは、就活生にとって企業・業界研究を重ねるまで実態がつかみにくい領域の一つです。まずは「東京海上日動は、一体、何をしている会社なのか?」という問いにお答えいただけますか。


渡部:一言で表すのなら、私たちはあらゆる企業の「事業戦略パートナー」です。新たな技術やビジネスに挑戦する時、リスクを避けては通れません。私たちが最適な保険を提供・開発し、リスクを低減することで企業の戦略実行を後押ししているのです。損保はあらゆる企業の挑戦を実現する、インフラのインフラだと定義できますね。

渡部 善哉(わたなべ ぜんや):人事企画部 人材開発室 課長 採用チームリーダー

2001年入社。コマーシャル営業部門で国内外の石油企業を担当。パーソナル営業部門を経て、2007年に海外研修生として中国・上海へ赴任。1年間の海外留学後、7年間の中国駐在を通して、日系企業の海外進出や現地企業の経営戦略の実現、東京海上日動(中国)広東支店の立ち上げに携わる。2015年に帰国し、現職。


──損保ビジネスの領域は思った以上に幅広いのですね。損保といえば、一般に自動車保険のイメージが強いのではないでしょうか。自動運転技術の発展や国内マーケットの縮小によって損保業界の将来を不安視する声もありますが、お話を聞いていると印象が変わります。


渡部:はい。確かに従来は、自動車や工場施設といった目に見える「モノ」に対する保険が中心でした。しかし、この10年で消費行動は「モノ(機能)」から「コト(経験)」重視にシフトしています。あらゆるリスクを支える損保も、変化していくのは当然のことです。

一例として、最近はクラウドファンディングに対する保険(※1)や、スマートフォンの利用データをもとに保険を提案するサービス(※2)を提供しています。

さらに、私たちにはデータのプラットフォームとしての役割も期待されています。損害保険会社には、さまざまな企業・業界の事故データが日々蓄積されます。今は各社がこぞって、こうしたリスクデータの活用に乗り出しているところです。中でも私たちのグループは、国内ほぼ全ての企業とお取引があり、グループ会社では生命保険も展開しています。私たちが持つ膨大なデータとクライアントの資産を掛け合わせ、オープンイノベーションで新たな価値を生み出すビジネスを共創したいと考えています。

(※1)参考:CAMPFIRE「日本初『クラウドファンディング保険』を、CAMPFIREが3月に提供開始。東京海上日動と連携し、より安心してプロジェクトを実行・支援できる環境整備へ」
(※2)参考:東京海上日動「保険レコメンデーションの AI 化と保険プロセスのフルデジタル化に向けた検討を開始~「ケータイに任せる保険」へ~」

見据えるは、ゲームチェンジに勝つためのグローバル×デジタル

──損保ビジネスの神髄は、ただ保険商品を売ることではないと。ここまでのお話から、業界が大きな転換期を迎えている印象を受けました。


渡部:新しいビジネスを生み出すためには、今までと違う組織が求められます。私たち自身も、まさに変わろうとしています。

変化し続けるクライアントのニーズに対応していくためには、異業種や異なる考えを持つ人材を迎え入れ、会社ごと変えていかなくてはなりません。こうした課題意識を受けて、若手の育成もドラスティックに変わりつつあります。

グローバルコースについては、入社10年以内に全員が海外経験を積めるように制度を整えているところです。東京海上日動は38の国に670の海外拠点を構えており(※3)、グループ利益の45%が海外でのビジネスです。しかし、海外のグループCXOからは「海外の経営者と対等に戦える人材が育ちきっていない」と言われます。加えて、国内のクライアントも海外市場へと目を向けている中、海外で戦える人材を育てることは、世界中のクライアントから求められている大きなテーマなのです。

(※3)参考:東京海上日動「東京海上日動のグローバル展開」

M&Aと事業投資で世界のノウハウを「輸出入」する強み

──就活生にとって、損保業界は国内向きのイメージが強いかと思います。海外で広く活躍できる可能性に驚きました。他にグローバル展開の具体例があれば教えてください。

渡部:近年は、海外のInsurTech(※4)企業への出資に力を入れています。保険には加入手続き、事故時の査定、それ以外にも補償金の支払いなど複雑な事務処理が多数あります。こうした仕組みを簡素化するために、テクノロジーが欠かせません。例えば米国のメトロマイルは、AIを使ったデータ分析に強く、加入手続きを簡便にする仕組みを持った企業です。また、ドイツのシンプルシュアランスは、ECサイトの保険プラットフォームを欧州全域に提供する企業です。

(※4)InsurTech(インシュアテック)……InsuranceとTechnologyを掛け合わせた造語。保険や損保とテクノロジーを掛け合わせた新しいタイプの商品やサービス。


──InsurTech以外にも力を入れていることがありましたらお聞かせください。


渡部:海外M&Aを積極的に実施しています。一例としてご紹介すると、米国のHCCインシュアランスは、サイバーリスクをはじめとしたスペシャルティ分野に特化したグループ会社です。米国には判例が多く、新たなリスクに対応できるノウハウがたまっています。そうした知見を日本向けに「輸入」し、サービス改善に役立てることもあります。逆に、新興国の保険会社を買収し、日本式の保険サービスを「輸出」することもあります。


──全世界のネットワークを持ちながら、現地の文化や法制度にカスタマイズしたサービスを提供しているわけですね。まさにグローバルとローカルを掛け合わせた、「グローカル」な強みです。

保険は最後の砦。創業140年、変わらないパイオニアの矜持 

──海外現地での投資や事業経営というと、総合商社と共通点があるように見受けられます。どのような点で差別化ができますか。


渡部:最大の違いは、私たちが「保険」を扱っていることです。保険契約を結んだクライアントがいる以上、どれだけ苦しい時でも私たちに撤退は許されません。保険は、最後の砦です。問題や規模の大小によらず、東京海上日動が撤退してしまえば、リスクにチャレンジして新しいビジネスに挑む企業がなくなってしまうかもしれません。私たちの仕事はそれだけの責任と覚悟が求められていると自負しています。


──総合商社は、トレーディングや事業投資などを通して自社の利益を最大化することがミッションです。時に損切りも必要ですね。


渡部:対して私たちは、「やる」と決めたらそこで旗を立て、その地域に事業を根付かせていく仕事です。泥臭いけれど、その国や地域の会社になったつもりで取り組む姿勢が重要です。

私たちは日本初の損害保険会社として、企業と国益を守るために作られた会社です。その思いは明治時代の創業から140年間、変わることはありません。

求む、イノベーション人材。20卒から「Specエントリー」を拡大

──インタビューも終盤です。ここまで、損保業界が迎える変化と、東京海上日動が今後どのように戦っていくかをお聞きしました。新卒採用で新たに取り組むことはありますか?


渡部: 20卒の新卒採用から専門性を生かしたキャリアアップを図る「Specエントリー」を強化し、「イノベーションコース」を新設しました。

イノベーションコースでは、起業、長期インターン、ビジネスコンテストなどの経験を評価します。採用後は1年目から事業戦略部門に配属され、新規ビジネスの創造、新しい保険サービスの開発に注力してもらいます。同部門には、これまでGoogle出身者やWebサービス開発経験のある中途社員を配置してきました。

しかし、今は学生時代からビジネスに触れている方が少なくありません。新たな知見や感性を求め、新卒の受け入れに踏み切りました。それだけの覚悟を私たちが持たないと、東京海上日動が将来もリーディングカンパニーとして成長を続けていくことは難しいと思います。


──東京海上日動の決意やその決断に至るまでのお気持ち、ひしひしと伝わります。


渡部:若手の退職者が増えてしまうリスクは織り込み済みです。時代に即した採用が求められているからこその決断です。


──早期退職のリスクを織り込み済みとはいえ、異質な人材を受け入れた先でミスマッチが多発しては元も子もありません。イノベーション人材の受け入れに際して、社内はどのように変化していきますか。


渡部:まさに今、全力で取り組んでいるトピックスです。これまでの私たちは、誤解を恐れずに言えば「淡水育ち」の組織だったのかもしれません。明るく誠実な社員が多い一方で、バランスが取れた金太郎飴的な企業というイメージを持たれることもあります。

この背景には、社内の人材たちが自分と異質な人材──いわば「海水」と交わった経験が少ないことが由来していると考えます。つまり、他流試合が圧倒的に少ないのです。そこで、現在は若手社員を中心に、他社への出向や海外経験によって自身が「海水」になる経験を積んでもらっています。環境の変化に慣れてもらうことで、多様性をより受け入れやすい風土を社内に構築しているところです。

「東京海上日動に向かない」と思う君にこそ、今の私たちを見てほしい

──ここまで、包み隠さずお話をお聞きしました。最後に、この記事を読んだ学生たちへのメッセージをお願いします。


渡部:今、東京海上日動は新しい一歩を踏み出そうとしています。私たちのクライアントが新しい一歩を踏み出すためのリスクを取るように、私たち自身も変化へのリスクを取り、チャレンジしようとしています。

事業戦略パートナーである私たちの目の前には、デジタルテクノロジーの活用、海外戦略など、さまざまな挑戦と課題が待っています。だからこそ、あえて空気を読まないとがった人材や、「自分には東京海上日動は向かないな」と思う人にこそ、今の私たちを見てほしいです。


──渡部さん、ありがとうございました。


【インタビュアー:めいこ/ライター:スギモトアイ/撮影:友寄英樹】

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