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6月1日就活解禁。これは2つの解禁を意味している。
1つ目は20卒の面接解禁。キャリタス就活2020の調べによると、5月1日時点での内定率は既に50%超といわれる。2つ目は21卒のインターンに向けたナビサイトの解禁だ。
この早期に動き出す21卒上位校の就活トレンドを見ると、過去2年、この時期の東大京大就職ランキングのトップは、マッキンゼーだった。
しかし今年、1位の企業が変わった。アクセンチュアだ。
これは、決してマッキンゼーの人気が落ちたことを示すわけではない。
むしろその逆。コンサルは年々人気に拍車をかける一方だ。
<目次>
・東大京大・21卒就職ランキングTOP30:マッキンゼーを抜いて1位アクセンチュア
・コンサルの大衆化:もはや東大京大の人気は「戦略コンサル」ではなく「コンサル」
・東大京大の人気ベンチャー・新御三家。中でもトップはCMで有名なあの企業
・総合商社の順位に動きあり。新しいチャレンジで迫る三井物産
東大京大・21卒就職ランキングTOP30:マッキンゼーを抜いて1位アクセンチュア
早速、人気企業トップ30を見ていこう。
<調査詳細>
調査対象:東京大学・京都大学、または同大学院に所属し、2021年度卒予定のONE CAREER会員2,693名(=同大学の就職者数約41%相当)による、企業別のお気に入り登録数(複数選択可)をもとに作成
調査主体:株式会社ワンキャリア/集計時期:2019年5月19日時点
「総コンサル時代の到来」──ワンキャリアは昨年の同時期、コンサルティングファームの人気上昇をこう伝えた。今年もその傾向は変わらないが、コンサルの中の顔ぶれには、確実に変化が起こっている。
戦略系コンサルの中でもMBB(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ、ベイン・アンド・カンパニー)の3社の順位変動を見ると、各社の人気は軒並み下がっているように見える。
しかし、実際のところポイント数(お気に入り登録数)で見ると、コンサル各社の人気が軒並み伸びていることが分かるはずだ。
これらのデータから導かれる結論は、(1)コンサル業界全体の人気は依然続くが、(2)アクセンチュア、アビーム、KPMG、ベイカレントのような総合/ITコンサルといわれる企業が昨年から一気に順位を上げた、ということだ。
コンサルの大衆化:もはや東大京大で人気は「戦略コンサル」ではなく「コンサル」
(2)のような総合系ファームの人気については、19卒、20卒から年々順位を上げてきたが、ついに戦略コンサルのMBB(マッキンゼー・BCG・ベイン)とも肩を並べるレベルで、続々とTOP10にランクインするにまでになった。
近年のコンサル業界の好況による、各ファーム中途/新卒含めた採用数の増加もその一因だ。例えば、ある総合ファーム関係者は「19卒入社は130人程度。20卒ではその1.3~1.5倍ほど採用すると聞いている」と話す。数年前に就活をしていた東大・京大生からすると、驚くほど門戸が広がった感覚を覚えるのではないだろうか。
就活をする際に、まず参考にする情報は、リアルでもWebでもクチコミだ。
※出典:日本労働組合総連合会「就職活動に関する調査」
ある総合コンサルの内定者(20卒)はこう語る。
「正直、コンサルっぽくないゆるーい感じのサークルの先輩が、ある総合コンサルに3年冬に内定をもらっていて話を聞いた。『自分でもいけるかも』と思った節はめちゃくちゃあった」
コンサル内定者の数が市場に増えた分、内定を持つ先輩のクチコミにより、コンサルという選択肢が身近になっている。
その影響もあり、コンサルを受ける学生の中にも、「戦略系を目指して、ダメなら総合系も受ける」、という戦略コンサル偏重の風潮から、「戦略はハードルが高いけど、総合なら内定できそう」という見込みで総合系を中心に据えて受けるようになった学生が増えているのではないか。
実際、アクセンチュアとマッキンゼーの両方をお気に入り登録している東大京大生の割合は、
19卒 74%
20卒 67%
21卒 50%
と、年々下がっている(※1)。
(※1)それぞれ、19卒は2017/05/27、20卒は2018/05/27、21年は2019/05/27時点で集計
他の総合コンサルの内定者(20卒)に聞いても、「コンサルのインターンに参加すると力がつくと先輩から聞いた。でも、そこまで志望度は高くなく、ケース面接の対策も特にしていなくて、戦略コンサルは落ちると思い最初から受けなかった」という声が。このような話は複数人から聞かれた。
東大京大では「戦略コンサル」の人気は依然変わらない。ただし「戦略じゃないといけない」という旧来の風潮は、業界の好況に起因するコンサルの大衆化により、明らかに変わった。総合系ファームの躍進の背景にあるのは、このような変化なのではないか。
東大京大の人気ベンチャー・新御三家。中でもトップはCMで有名なあの企業
次に、近年東大京大のランキングにもランクインしだしたベンチャーについて見ていく。
今日、東大京大生にとっても、ベンチャー企業への新卒入社が選択肢の1つに数えられるようになった。
ただ、どの企業が人気か? という顔ぶれは、昔とは変わりつつある。
数年前は、東大京大生に人気のベンチャー御三家といえば、ゲームや広告領域のディー・エヌ・エー(DeNA)、サイバーエージェント、グリー(GREE)の3社だった(※2)。
これらの企業含め、2000年以前に創業したベンチャーから、日本を代表するIT企業が多く生まれた。
その中には、今も東大京大生に人気を博す日系IT企業としてのポジションを保つところも多い(以下参照)。
(※2)参考:東洋経済ONLINE「激変、東大生の就活!新御三家はこの3社! 商社、金融を押しのける 人気のメガベンチャー」)
一方、2000年代以降に創業した新興ベンチャーの中には、上記の企業より支持を集めている企業も存在する。
今年、東大京大で最も支持を得ているベンチャーは、転職サービスのテレビCMで有名なビズリーチだ。
「『東大京大の人気ベンチャー・新御三家』を挙げるなら?」
こうと問われると、ビズリーチ、フリークアウト、Speee。順位上はこの3社となる。
しかし、実際はもう少し多くのベンチャーが、昔のディー・エヌ・エー(DeNA)やサイバーエージェントのように、東大京大生から一定の市民権を得るようになった。
数年前に比べ、「東大京大に人気のベンチャー」のトレンドはこう変わった。
(1)エンタメ/広告領域以外への広がり
(2)世間の認知度の高さは、採用における十分条件でしかない
(3)インターン内容の差別化が人気に直結
(1)エンタメ/広告領域以外への広がり
これまでのゲームや広告領域のベンチャーだけでなく、ビズリーチやレバレジーズといった人材系ベンチャーがランクインしているのは数年前と変わった点だ。医療系ベンチャーのエムスリーも順位の上昇率は高い。
新卒を継続的に採用できるほど伸びているベンチャーが、ようやくゲームや広告以外の分野で出てきたのは、ベンチャー企業でも戦えるマーケットが増えてきた証拠ともいえる。
(2)世間の認知度の高さは、採用における十分条件でしかない
東大京大の人気トップベンチャーとなったビズリーチは、近年テレビCMなどのマスプロモーションを大々的に展開しており、社名を聞いたことがある学生も多くいるだろう。
一見すると、「社名とサービスが広く知れ渡ったことで、学生が就職先として検討するようになった」という結論が導かれそうである。
しかし、CMを積極的に活用して知名度十分なはずのメルカリが、235位で止まっているのを見ると、「社名やサービスの知名度があるから就職でも選ばれやすい」という単純な話ではないことが分かる。上位校の新卒採用には、それに特化したマーケティングやブランディングの施策が必要だといえそうだ。
(3)インターン内容の差別化が人気に直結
では、新卒採用に有効なマーケティングやブランディングの施策は何か。
ベンチャー企業であれば、インターンがその唯一の手段といってもいいだろう。
ビズリーチのサマーインターンに参加した20卒東大生は、こう語る。
「東大の19卒の先輩からクチコミで参加しました。外資出身の優秀なメンターから手厚くフィードバックを受けられたり、起業経験者などの尖(とが)った学生と切磋琢磨(せっさたくま)できたり、非常に充実したインターンでした」(東京大学 20卒)
ビズリーチ以外で昨年から今年にかけて順位が急上昇した企業は、Fringe81(↑131)、Speee(↑113)、レバレジーズ(↑72)。この3社に共通するのは、インターン参加者の満足度が高いこと。実際、5万件の就活生のクチコミから選ばれた「就活クチコミアワード2019」インターン部門でTOP10にあたるゴールド賞を受賞している。
総合商社の順位に動きあり。新しいチャレンジで迫る三井物産
18卒(3年前)には、東大京大でも人気の頂点に達した総合商社。
19卒以降もお気に入り数は増やしているものの、前述の総合コンサルの伸びに押されて相対的に順位を下げている。以下がTOP30にランクインした商社各社の状況だ。
商社業界の人気がなくなったわけではなく、過熱しすぎた人気が収まって「とりあえず商社を受ける」という学生が減少したからではないか、というのは昨年の記事で指摘した通りである。
<「とりあえず」商社志望者が離脱した理由>
・入社後の「配属リスク」など、これまで社員訪問や説明会でしか入手できなかった情報を、SNSや先輩のクチコミでも入手できるようになったこと
・選考時期の遅さや対策にかかるリソースの大きさにより、ネームバリュー目当てに志望するには「コスパの悪い」選択肢になったこと
5大商社の中でも、三菱商事と三井物産の順位の差はここ数年で縮まっている。同時期のデータで順位差を比較すると、9(19卒)、3(20卒)、1(21卒)ともう差はほぼないといっていい。
三菱商事も三井物産も、学生に対してフェアな姿勢で採用を行う企業であると学生からもよく聞くが、特に三井物産は最近新たな取り組みを多く始めていることも人気に影響している。
先日ワンキャリ編集部でも報じた「オワハラ(就活終われハラスメント)」への対応として「オワハラ相談ホットライン」の設置や、学生との相互理解を深めるための合宿形式の選考フローの設置など、学生とフェアに向き合おうとする姿勢がにじみ出る採用活動を行っている。
編集後記:透明化する就活、「お土産」を渡せる企業が勝ち残る
本ランキングや過去のランキングを比較する中で見えてきたのは、クチコミの影響力。
そのクチコミが、リアルだけでなくWebにも残るようになった今の時代だからこそ、学生に満足いく体験(お土産)を提供した企業が、翌年の人気度を上げる流れがより顕著になってきた。
これまでもワンキャリアでは、新卒採用マーケットの動向に関して、学生のクチコミに基づいた情報提供を行ってきた。今年の3月には「#ES公開中」といった活動を通じ、さまざまな角度から就活を透明化していくビジョンを掲げた。
来たる6月。次はインターンの切り口で、就活の透明化を進めていく。
その名も「#インターンのリアル」。
背景には、学生と企業の双方にとって、「インターン」の重要度が増しているという状況がある。
ワンキャリアの調査(※3)では、今や就活生のうち、8割以上の学生がインターンに参加するまでに、インターンが普及したことが分かった。
その一方、同じ調査(※3)で分かったのは、インターンに参加したことのある学生は、参加したインターンのうち、27%は「無駄だった」と感じていること。
つまり、学生のほとんどが参加するにもかかわらず、彼らは参加するうちの4社に1社は無駄インターンを経験している、という構図が見えてくる。
これは、「インターンの満足度が人気に直結する」という前述の話を踏まえると、企業にとっても無視できない話だ。無駄インターンと思われるようなコンテンツを実施している企業は、採用における損失は大きくなるばかり。
就活における「インターン」がより普及してきたからこそ、客観的な数字や事実に基づき、インターンの情報も透明化することが、フェアな採用マーケットに近づく一歩になればと願っている。
(※2)調査対象:20卒ONE CAREER会員 348名 調査時期2019/4/29〜5/6。詳細は#インターンのリアルの特設ページをご覧ください
・#インターンのリアル:特設ページはこちら
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(Photo:Justin Black/Shutterstock.com)