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業界絞らずサマー80社エントリー。場数を踏んでイヤな業界が分かったからこそ、自信を持った選択ができた【22卒内定図鑑 第1弾:IT】

国内インターン 内定図鑑 インタビュー リクルーター面談 IT
2021年9月17日(金) | 8,037 views

2023年卒の日系企業の本選考が「正式に始まる」といわれる3月1日まで、あと半年。

今年は特に新型コロナウイルスへの不安などから、自分のキャリアを早い段階で考える学生が増え、就活の早期化が進んだといわれています。

とはいえ、むやみに焦ることはありません。就活のゴールは「納得感を持って、その企業に入るという意思決定をすること」だからです。

納得感のある就活を進めるためには、道しるべとなる存在が必要だと考えます。その一つになるのが「先輩の体験談」。同じように悩み、試行錯誤を続けた先輩の就活経験は、きっとあなたの支えになるはずです。

今回から始まる「22卒 内定図鑑」。日系大手企業に内定した2022年卒学生の選考対策や就活スタイルを余すことなくお伝えします。

第1弾は「IT業界」。取材に答えていただいたAさんが内定を獲得した背景には、場数を踏むことを重視していた「人一倍の選考経験」と、リクルーター面談を通じた「徹底的な自己分析」がありました。

<目次>
●業界を絞らずインターンに参加。自分に「合わない業界」を先に見つけた
●インターンは80社にエントリー。「場数を踏む」ことが一番のカギ
●自己分析に役立ったリクルーター面談。まずは人に話すことから始めよう
●OB・OG訪問で「企業のリアル」を知る。ビジネスパーソンの思考プロセスが学べるきっかけにも
●GDは自分のキャラを理解すること、面接は質問の意図を考えることが大切
 ・グループディスカッション(GD)
 ・面接
●おわりに

業界を絞らずインターンに参加。自分に「合わない業界」を先に見つけた

──Aさんは業界をあまり絞らずに就活を進めていたそうですね。


Aさん:はい。サマーインターンを受けていた時期は、やりたいことも決まっていなければ夢もなかったので、志望業界が決まっていませんでした。

『会社四季報』を見て、各業界の代表的な企業をピックアップし、エントリーするといった感じで、業界を幅広く見ることを意識していましたね。


・会社四季報ワイド版 2021年4集秋号



──業界を絞らないままインターンに参加したことで、良かったことはありましたか?


Aさん:「この業界は受けなくていいな」という気づきがあったことですね。自分の場合は、金融と不動産の2つでした。

私は「服装やメイクの制限が厳しくないか」を企業選びの基準の1つとしていました。実際に、金融や不動産の企業のサマーインターンにも参加したのですが、周りの学生はオンラインなのにみんなスーツを着ていたんですよ。「この業界に進んだら、こんな堅苦しい雰囲気なのか?」と思ったときに、ちょっと違うなと感じました。


──最終的に、AさんはIT系の企業に入社される予定なんですよね。


Aさん:そうですね。IT業界を特に見ていたわけでないのですが、結果的にIT系の企業から複数の内定をいただき、ITベンチャー企業に行くことにしました。

もし、幅広い業界のインターンに参加せず、金融や不動産を選択肢から外していなかったら、自信を持って最後の内定承諾の決断ができなかったと思います。

インターンは80社にエントリー。「場数を踏む」ことが一番のカギ

──就活を進めていく中で、意識していた点を教えてください。


Aさん:場数を踏むことです。サマーインターンは80社ほどエントリーしました。エントリーシート(ES)やWebテスト、GDなど全ての選考を真面目に受けて、とにかく就活に慣れようと心がけていました。しかし、80社も受けていたので、選考の締め切りを管理したり、ESを書いたGoogle ドキュメントを整理したりするのはとても大変でした。


受けた企業 内定した企業
3年夏
(M1)
【インターン】
ITベンチャー、ソフトバンク、レバレジーズ
楽天、イプロス(キーエンスグループ)、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険
東京海上日動あんしん生命保険、第一生命保険、損害保険ジャパン、ワンスター
クイック、日鉄興和不動産、東京建物、森ビル、アチーブメント
SMBC日興証券、三井住友銀行、三井住友信託銀行、日本政策金融公庫
ー
3年秋
(M1)
【本選考】
ITベンチャー
ソフトバンク
レバレジーズ
ー
3年冬
(M1)
ー ITベンチャー
ソフトバンク
レバレジーズ

※Aさんが受けた企業一覧


──なぜ、場数を踏むことが重要だと考えるのですか?


Aさん:選考に慣れることが、突破への一番のカギになると思うからです。就活を始めたばかりのころは、GDや面接でとても緊張してしまい、自分でも何を話しているかが分からなくなることがありました。

ですが、選考を受ける機会が増えるにつれて、冷静な気持ちを保ったまま話ができるようになり、反省点も徐々に見えてくるようになりました。

自己分析に役立ったリクルーター面談。まずは人に話すことから始めよう

──他に意識していたことはありますか?


Aさん:感覚を言語化することです。インターンが終わった後、リクルーターの社員さんと週に1回ミーティングを行う機会がありました。何に困っているか、将来何をしたいかなどを質問され、徹底的に深掘りをするというのを2カ月ほど続けていました。

その結果、「自分はどういう人間か」「何に興味があるのか」「それはなぜか」というのを言語化できました。自己分析がそこで完結できたのも良かった点です。


──リクルーターの方との面談にはそんなメリットもあるんですね。


Aさん:そうですね。ただ、リクルーター面談が始まった大学3年生の9〜10月よりも前の段階で、自己分析ができていれば良かったという後悔もあります。大学3年生の春ごろに取り組めていれば、視野が広がったり、企業を選ぶ選択肢が増えたりしたのかなと。


──ありがとうございます。リクルーターの方に深掘ってもらう機会がほとんどない就活生も多いと思います。彼らには、どのようにアドバイスしますか?


Aさん:とにかく、自分の夢ややりたいことを周りの人に話してほしいです。相手は誰でも良いのですが、何回も「なんで?」と聞いてくれる人が適任かなと思います。

1人で紙に書きながら、自分を掘り下げて自己分析する方もいると思いますが、実は十分な深掘りができていないことも結構あります。話すことで思考も整理されますし、文章にまとめるだけのではなく、喋(しゃべ)ってみることをおすすめします。

OB・OG訪問で「企業のリアル」を知る。ビジネスパーソンの思考プロセスが学べるきっかけにも

──続いて、情報収集のコツについてお聞きします。Aさんは「OB・OG訪問を通じて、ビジネスパーソンの生の声を聞きに行く」ことを意識していたようですね。


Aさん:はい。OB・OG訪問を始めたきっかけは、Googleで企業名を打ち込み、企業に関する情報を探すのが面倒であったことと、Web上に載っている企業の情報が本当に正しいかを確かめたいと思ったことの2つでした。

訪問中は「一日の勤務スケジュール・実際の業務内容・プライベートの過ごし方」を中心に話を聞いていました。私はプライベートの時間を大事にしたいので、「土日にも仕事しちゃってます」という人が1人でもいれば、その企業は受けなくても良いかなと考えることもありました。


──なるほど。ちなみにAさんは、OB・OG訪問をやって良かったと思いますか?


Aさん:はい。企業の実情を確かめられたのもありますが、社員の方たちの思考回路が知れたのが大きかったですね。

私自身、考えることがとても苦手でして。「ビジネスで通用する社会人の考え方」を学べればと思っていました。OB・OG訪問では、「皆さんがどう就活を進めていたか」「今はどんな夢を持っているか」を伺い、考え方のプロセスを真似(まね)していました。

GDは自分のキャラを理解すること、面接は質問の意図を考えることが大切

──各選考フローの対策についてもお聞きしたいです。


グループディスカッション(GD)

GDは、練習する時間が確保できなかったため、選考を受けていく中で慣れていきました。意識していたことは、議論がそれないように全体を見ること、そして自分が「クラッシャー対策要員」になることの2つです。

GDって、本当に何を言っているかが分からない人もいれば、自分が「苦手だな」と感じる人もいるんですね。そのため、注意すべき人がいれば、冒頭で「この人はこういう人だろう」と予想しつつ、対策を立てることで、話がかき乱されないように振る舞っていました。

2023年卒の就活生には、GDの練習セミナーに参加することをおすすめします。「自分がどういうキャラクターなのか」を練習を通じて掴(つか)めるからです。

私自身、何回もGDを経験する中で「自分は全体を俯瞰(ふかん)し、目標に向かって進んでいけるタイプ」なんだと思うようになりました。GDに慣れてきたころには、自分のキャラクターを最大限に生かした立ち回りをすることを意識していました。

セミナーに参加しフィードバックをもらう中で、自分はどういうキャラクターなのかを理解しておき、本番で適切な役割を意識できれば、うまく議論を進められるはずです。

▼GDの対策記事はこちらから
・グループディスカッション対策完全版!テーマごとの例と議論の進め方・役割の選び方
・【GD コツ】グループディスカッションも怖くない!連戦連勝するたった1つの簡単なコツ


面接

面接では「結論ファーストで答えること」を意識していました。とはいえ、意識しすぎると頭がこんがらがることがあったので、頭の片隅にそっと置いておくといった感じですかね。

あとは「相手が求める回答を予測して、質問に適切に答えること」も重要視していました。

また、私は面接で緊張しやすいタイプだったので、面接官と話すというよりは、友達と話している感覚でいようと意識していました。とはいえ、簡単に気持ちを切り替えられるわけもなく、面接に慣れるまではZoomの「ギャラリービュー」から自分の顔を固定し、面接官の顔が見えないような設定にしていましたね(笑)。

▼面接の対策記事はこちらから
・就活の面接でよくある失敗例から学ぶ、第一志望企業内定への対策法
・【面接質問対策:学生時代に頑張ったこと編】「学生時代に頑張ったこと」では社会人としての素質をアピールしよう
・【面接対策:志望動機】全業界対応!評価が高まる「志望動機」の作り方・答え方を5つのポイントと例文で解説!

おわりに

学生の間に「自分がやりたいこと」を見つけ出すのは難しい。ESの「入社後にしたいこと」という欄を、なんとか言葉を捻り出して埋めることも多いはず。

やりたいことがなければ、やりたいことが見つかった際にすぐ対応できるように、「自分の可能性を広げてみる」というのは、一つの手です。

業界を絞ることなく多くの企業にエントリーする。自力でやりたいことが見つかる確率が低ければ、とにかく他人に話してみる。Aさんの就活は「可能性を広げること」を重視した結果といえるでしょう。

「内定図鑑」のあとは、過去の内定者インタビューやIT業界に関する記事もご覧ください。

・not体育会、英語もダメ。そんな彼女が第一志望に落ちてから2カ月で総合商社に受かったワケ【21卒内定図鑑 第1弾:総合商社】
・1つの企業に17回もOB・OG訪問!? 志望企業の内定獲得のために「できることは全部やる」【21卒内定図鑑 第2弾:デベロッパー】
・最新のテクノロジーは使わない?意外と地味なITコンサルタントの実態
・インターネットは「遊び」をビジネスにした。「意識低い系」バンドマンだった赤川隼一が、DeNA歴代最年少執行役員、急成長スタートアップの経営者になるまで

(Photo:Elegant Solution , Mehrdad Pourhassani/Shutterstock.com)

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鳥越壮一郎
ワンキャリ編集部
鳥越壮一郎

明治大学商学部4年生。2020年9月、ワンキャリ編集部に長期インターン生としてジョイン。趣味はFPSゲーム、ストリーマーやVTuberの配信を観ること。2023年4月から大手人材会社の企画職として働く予定。

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