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最新のテクノロジーは使わない?意外と地味なITコンサルタントの実態

プログラミング IT コンサル
2022年11月21日(月) | 13,996 views

皆さんはじめまして、アーサーと申します。

私は、大学卒業後、総合系コンサルティングファームに就職し、入社3年目を迎えたITコンサルタントです。

ITコンサルタントというと、ここ最近学生からの人気が上がっている職種です。アクセンチュアやデロイト トーマツ コンサルティングなどの総合系コンサルティングファームや、野村総合研究所のようなシンクタンクは、ワンキャリアが2020年6月に発表した就活人気ランキングでも上位にランクインしています。

しかし、会社は有名だとしても、普段どういう仕事をしているかをよく知っている就活生は少ないのではないでしょうか。

私自身も就活生の頃に抱いていたイメージと、会社で働き始めてからの間に少なからずギャップがありました。

そこで今回は、ITコンサルタントが普段どんな業務をしているか、どんなやりがいがあるのかをお話ししようと思います。

ITに関するもの「全て」がITコンサルタントの仕事になる

ITコンサルタントの業務が分かりにくい理由の1つは、ITコンサルタントという言葉自体の意味が曖昧だからではないかと考えています。

端的に言ってしまえば、「ITを使ってクライアントの課題を解決していく仕事をする人」は全てITコンサルタントだといえます。

実際にどのようなことをしているのかというと、

・既存システムを入れ替える支援
・新技術を使って、新しい製品を作る支援
・データを分析して意思決定に役立てる支援
・「Salesforce」や「SAP」といったパッケージシステムの導入支援
・プロジェクトの管理業務

など、書き切れないほどの業務が存在します。

昔と違って、今やITやデジタル技術を利用しない仕事はほぼありません。そのため、総合系コンサルティングファームでは、会計系コンサルティングのような一部の仕事を除けば全員がITコンサルタントと呼ばれるわけです。

とはいえ、これでは業務の幅が広くまだイメージがつかないでしょう。3つの軸で業務内容を整理すると分かりやすくなります。

それは「(1)プロジェクトの内容」×「(2)使う技術」×「(3)プロジェクト内での役割」です。

例えば、最新技術に精通しているベテランITコンサルタントの場合。

お客さんからの問い合わせに自動で返答する「(2)AI(機械学習)を使って」開発する「(1)チャットボットを作るプロジェクト」の「(3)要件定義をする(システムを設計する)」という業務があり得るでしょう。

一方、新人ITコンサルタントの場合。

すでに稼働している「(1)業務アプリケーションに新しい機能を追加するプロジェクト」で、「(2)テストツールを使って」、「(3)テストをする」というような人もいます。


(1)プロジェクトの内容 (2)使う技術 (3)プロジェクト内の役割
ベテラン 自動返信のチャットボットを作成 AI システムの土台作り
新人 既存アプリに新機能を追加 テストツール テスト


このように、一口にITコンサルタントといっても、いちから企画し、開発を担うものから、既存のシステム(製品)を刷新するものまで、さまざまな役割があることを知っておきましょう。


ただし、ITコンサルタントの意味が曖昧であるために、企業側が悪用することもあるので、注意が必要です。

実際は最新のITに関わる職種が少ない企業でも、就活生に業務への期待を持たせるために、意味をあえて広くとって「ITコンサルタント」という職種で募集をする企業もあるのが事実です。

そのため、「ITコンサルタントになれば、最新技術を学べるに違いない」と思って入社しても、そういったプロジェクトに配属されないことも往々にしてあります。ミスマッチを避けるためにも、会社や職種を選ぶときに、その点については十分に気をつけてください。

入社1年目のITコンサルタントの仕事は「雑用」

さて、ここからはITコンサルタントが実際に日々どういう仕事をしているのかをご紹介します。

これも先ほどお話しした通り、会社と人によるので、詳しい話は志望している会社のリクルーターの方などに聞くのが確実ですが、今回は入社3年目あたりまでの、総合コンサルティングファームに勤める場合の一例をお話しします。

まず、入社すると研修があり、そこで最低限のビジネスマナーやPowerPoint、Excel、プログラミングの基礎を数カ月かけて学びます。その後、プロジェクトに配属されます。

「コンサルタントというぐらいだから、入社後すぐにお客さんと会話していろいろ提案していくんだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、夢を壊すようで申し訳ないところもありますが、1年目のほとんどの仕事は「雑用」です。

例えば、

・お客さんとの会議で議事録を作成
・資料を作成するためのリサーチ
・新しく導入する機能やソフトのテスト
・テストをする前の手順書を作成
・データを分析しやすくするための整理や取りまとめ

など。「IT」や「コンサルティング」とはほど遠い業務内容でしょう。

プロジェクトに配属されてから、半年から1年ぐらい経つと、次第にお客さまに説明する資料の1ページの作成を任されたり、技術自体に興味がある人は開発の仕事に関わったりと、自分の意見や意思が少しずつプロジェクトに取り入れられるようになります。


このように、入社1年目はほとんど「雑用」に近い業務ばかりですが侮るなかれ。意外と、この雑用の出来にその人の能力が表れます。上司は新人の議事録の精度や資料作成のうまさ、システムへの理解度を観察しているので、信頼されればどんどん面白い仕事を任されるようになるのです。

そこから、提案業務のようないわゆる上流の仕事を任されるようになったり、逆に特定の技術や、特定の業界に対してのスペシャリストとしての道を進んだりと、キャリアが分かれていくことが多いように思います。この点は戦略コンサルタントと同じような話だと思います。


入社後にいきなり最新技術の開発や提案に関われると思っていたら、実際は真逆といってもいいほど地味だった──みたいなズレはよくある話です。この点についても注意して就職活動に望んでいただけたら、ミスマッチを減らすことができるのでいいと思います。

ホワイト化が進むITコンサルタント、早く成長したいなら自学自習が不可欠

「コンサルは激務」。皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

ITコンサルタントに興味があるけれど、激務なのかどうか気になるアナタ。安心してください。ITコンサルタントに限らずコンサルタントは一般的に激務だといわれていますが、最近ではホワイト化している印象です。

プロジェクトによりますが、月に45時間以上残業することは少なく、たいていは月に10時間程度の残業でしょう。激務を避けたい人にはいいけれど、たくさん働いてたくさん稼いで早く成長したい人は残念に感じるかもしれませんね。

月の残業時間を制限している会社もあるので、早く成長したい人は、仕事を早めに切り上げて、自学自習をするという方法もあります。

残業が減ったからストレスが軽減されるかというと、今の状況ではそうでもないようです。COVID-19により在宅勤務が増え、ストレスを感じる人が増えているという話をよく耳にしますよね。

在宅勤務は相手との距離感や、相手の忙しさの状況を把握しにくいので、オフィスなら気軽に聞けていたことも聞きにくくなった、という面があります。新入社員にとってはつらい状況でしょう。

また、在宅勤務によって、仕事とプライベートを分けにくくなり、勤務時間外にメールの対応をしてしまう人もいるそうで、労働時間という観点ではホワイトにはなりましたが、また違った点で苦労する場面が増えていると思います。

意外と「地味な」ITコンサルタント。仕事のやりがいは?

地味だし入社後数年間は雑用──ここまで記事を読んで、ITコンサルタントにネガティブなイメージを持った方もいるかもしれません。

それでも、私はITコンサルタントは面白い仕事だと思っていますし、やりがいを感じることもいくつもあります。


まず、総合コンサルティングファームが関わるプロジェクトはお客さまが大企業であることも多く、プロジェクトの規模が大きいことがほとんどです。そうすると、そのプロジェクトがニュースに取り上げられて、ユーザーからうれしいコメントをいただけることにやりがいを感じます。

また、いろいろな業種を経験できることもやりがいの1つでしょう。

私は入社3年目ですが、3つの業界で5つのプロジェクトを経験しました。さまざまな業種の知識が増えることで、業種間の共通項を見つけ、異業種のプロジェクトに応用することもできます。自分の知識を生かして、プロジェクト内で貢献できることが増えていくときには成長を感じられるはずです。

そして、さまざまな資料を閲覧できる点も見逃せません。

プロジェクトに配属されると閲覧できる「提案資料」には、企画の意図などが記載されています。それを見ると、自分が関わった「雑用」が、プロジェクト全体の流れのどの部分を担っていたかが分かり、「雑用」でも自分の仕事の意味を見いだすことができるのです。社内にあふれる資料から、自分がどう貢献できるか考える仕事は、とても楽しいと感じます。


このように一口に「ITコンサルタント」といっても、業務内容は多岐にわたります。何となく華やかなイメージがあるかもしれませんが、確実に言えるのは、「意外に地味」だということです。現実は少しギャップがあるかもしれませんね。

就活サイトなどに書いてある表向きの情報だけを鵜呑(うの)みにせず、志望している会社の社員に直接聞いて、ITコンサルタントの「地味さ」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

▼同シリーズの他の記事はこちら
・「文系出身+プログラミング未経験」でもITコンサルタントになれる、ただし……
・ITコンサルタント志望者に必要なのは、高度なスキルではなく、「粘り強さ」と「思考力」だ

(Photo:YAKOBCHUK VIACHESLAV , A_stockphoto , solarseven/Shutterstock.com)

※こちらは2020年10月に公開された記事の再掲です。

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外資系コンサルティングファーム勤務の駆け出しITコンサルタント。文系出身かつプログラミングの経験がほとんどない状態で、複数のIT企業に内定。現在に至るまで、業界問わず5つのデジタル案件に関わり、プロジェクト立ち上げから開発、運用までの業務を経験する。

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