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六本木や丸の内に憧れる「地帝」エリートたちへ。外資系企業、金融専門職、総合商社に就職する勝ち筋とは?

2020年7月6日(月) | 58,136 views

私は普段、外資系金融についての情報を発信しているが「地方学生でも内定を取れるのか?」と質問されることも少なくない。

確かに外銀、外コン、GAFAといった外資系企業や大手証券会社のIBD、グローバルマーケッツなどの金融専門職、総合商社といった企業は、上位校の就活生からの人気が非常に高く、内定を取るのは難しい。

そういった企業に、例えば地方旧帝大(地帝)(※1)の学生が挑もうとすると、確かにキャンパスの立地やOB・OGの少なさ、同期での志望者の少なさといった点で、都心の上位校学生に比べて不利になりやすい。

それでも選考を突破するためには、どうすればいいのか、どんな対策が必要なのかを紹介していこう。

(※2)……主にWeb上で「地方旧帝大」の略称として使われる言葉。一般的には東大・京大以外の旧帝大、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学の4校、または大阪大学を加えた5校を指すことが多い。


▼内定獲得のためにやっておくべきことを確認しよう▼


地方旧帝大の就職状況を調べてみた 北大、名大、九大の場合

具体的な対策の話に入る前に、地方旧帝大の就職状況(主として文系)を学部別で確認してみよう。就職先に関する開示情報は極めて少ないものの、大学のWebページなどに記載してあるので、わりと簡単に調べられる。


半数が法曹+公務員志望の世界──法学部生の就職状況とは?

まずは法学部から。地方旧帝大の法学部は他学部と状況が大きく異なる点がある。それは法曹志望者の存在だ。

各校の法学部生の十数%は法科大学院に進学する。近年だと、法科大学院に進学しない予備試験ルートから法曹を目指す学生もいるため、大体2割程度の法学部生が法曹を目指すと考えていいだろう。

また、公務員を目指す学生が多い点も大きな特徴だ。公務員には、官僚(国家公務員総合職)と地方公務員の双方を含む。この点で顕著なのが、北海道大学と東北大学の法学部だ。両校の法学部はなんと3分の1程度の学生が卒業後に公務員となる。

そうなると、半数以上の学生が法曹と公務員を目指すことになり、民間企業を目指すのは半分ほど。地帝の法学部の定員は150~250人程度であることを考えても、サンプルは非常に少なくなる。

それでは、詳細な就職状況を見てみよう。地理的なバランスから、北海道大学、名古屋大学、九州大学の3校についてピックアップしてみた(2019年卒)。

企業ごとの就職者数などは不明ではあるが、イメージは掴(つか)めるはずだ。以下の表を見ると、地元志向の強さがうかがえる。


北海道大学法学部(公務員+民間企業) 名古屋大学法学部(民間企業のみ) 九州大学法学部(民間企業のみ)
・札幌市役所
・北海道庁
・NTTドコモ
・裁判所
・栃木県庁
・第一生命保険
・JTB
・伊藤忠商事
・三井物産
・三菱UFJ銀行
・鹿島建設
・大和証券
・東海テレビ放送
・東邦ガス
・豊田自動織機
・ニトリ
・日本ガイシ
・日本生命保険
・三井住友銀行
・ヨシタケ
・三菱電機
・東京海上日動火災保険
・JR西日本(西日本旅客鉄道)
・福岡銀行
・農林中央金庫
・日本郵便
・三菱UFJ銀行
・住友生命保険
・楽天カード
・麻生
・伊藤忠商事
・三菱商事
・サントリーホールディングス
・キリンホールディングス
・トヨタ自動車
・村田製作所
・旭化成
・日本放送協会
・日本生命保険
・九州電力

※出典:北海道大学、名古屋大学、九州大学の公式HPより外資系金融キャリア研究所作成


意外とメガバンクは少なめ? 早慶・MARCH経済学部生とは異なる特徴

次は経済学部生の進路を見てみよう。経済学部の場合、法曹を目指す学生はほぼいないし、公務員を目指す学生も少なめだ。東北大学の場合は22%(※2)だが、他は1割程度。大半の学生は民間企業に就職することになる。

先ほどと同様に各校の公式ページから就職先を抽出すると、以下のようになる。法学部同様にローカル色が強い一方で、経済学部にしては早慶やMARCHほど、大手金融機関には集中していないことがうかがえる。

(※2)出典:東北大学キャリア支援センター「産業別就職者数(令和元年5月1日現在)」


北海道大学経済学部(公務員+民間企業) 名古屋大学経済学部(民間企業) 九州大学経済学部(民間企業)
・札幌市役所
・大和証券
・ニトリ
・北海道庁
・トヨタ自動車
・北海道電力
・三井住友銀行
・日本製鉄
・ブリヂストン
・北洋銀行
・アイシン精機
・あずさ監査法人
・オービック
・住友電気工業
・中部電力
・デンソー
・JR東海(東海旅客鉄道)
・トヨタ自動車
・パナソニック
・三菱UFJ銀行
・福岡銀行
・ニトリ
・日本政策金融公庫
・西日本シティ銀行
・九州電力
・麻生
・NTTドコモ
・楽天
・オービック
・三菱UFJ銀行
・三井住友銀行
・大和証券
・アクセンチュア
・フューチャー(フューチャーアーキテクト)
・富士通
・鹿島建設
・JFEスチール
・日本銀行
・商工組合中央金庫
・ソニー
・伊藤忠商事
・AGC
・森永製菓

※出典:北海道大学、名古屋大学、九州大学の公式HPより外資系金融キャリア研究所作成

五大商社への就職状況で比較 結局、地帝は本当に就活で不利なのか?

とはいえ、就職状況を見るだけでは、地方旧帝大が早慶、MARCHといった東京の大学と比較して、就職で不利なのかを評価することは難しい。

そこで、大学ごとの就職者数データを取りやすく、ある程度の採用者数が多い5大商社について、地方旧帝大と早慶、明治大学について比較してみた。学生数が違うので、新入生総数も記載している。

もちろん、キャンパスの立地などの問題から、総合商社を目指すことそのものに障壁があるので、一概には言えないものの、学生数を考慮すると、地方旧帝大の方が明治よりは5大商社に就職しやすそうだ。一方で、早慶とはかなりの差があることがうかがえる(阪大のみ、早慶の割合にやや近いが)。



三菱商事 三井物産 住友商事 伊藤忠商事 丸紅 (合計)
北大(2,564) 2 5 3 1 1 12
東北(2,461) 0 4 3 2 1 10
名大(2,171) 0 2 1 1 1 5
阪大(3,355) 4 8 12 6 5 35
九大(2,638) 3 2 0 4 2 11
早稲田(9,062) 17 30 31 20 18 116
慶應義塾(6,396) 21 41 39 25 21 155
明治(7,540) 1 2 3 3 2 11

※出典:AERA2019.8.5号「主要50大学の人気企業への就職者数」より外資系金融キャリア研究所作成。カッコ内の数字は新入生総数で出所は大学受験パスナビより

東大のトップ層に勝つ気はあるか? 地帝から外資系企業や総合商社に内定するためにやるべきこと

冒頭でお話ししたように、地方旧帝大の学生が人気企業を狙う場合、都心の上位校学生に比べて不利になりやすい。

外資系企業、国内系証券IBD、総合商社に関する就活イベントは、ほとんどが東京か関西地区で開催されるため、そこに足を運ぶのが、時間的や経済的に大変だ。切磋琢磨(せっさたくま)したり、相談に乗ってくれたりする同期やOB・OGも見つけにくいだろう。

もっとも、新型コロナウイルスの影響で、イベントやOB・OG訪問などのオンライン化が進んでいるため、こうした不利益や情報格差はある程度解消するかもしれないが、状況が厳しいことには変わりはない。

本当に、東大のトップ層と戦って勝つ気があるのか──。精神論かもしれないが「就職するために努力を惜しまない」という強い決意が大前提だ。興味本位で応募したところで、エントリーシート(ES)落ちになるのが関の山だろう。覚悟を持って就活に取り組んでほしい。


基本スペック上げは、就活が本格化する前に片付けよう

外資系、金融専門職、総合商社。どこを志望するかで具体的な対策は異なるが、グローバル対応力、要するに英語力のアピールはどこでも有効だ。ライバルと差をつけられないためにも、最低限対応しておきたい。

もちろん留学ができれば言うことはないが、お金もかかるし、感染症のリスクもある今は現実的ではない。そのため、とりあえずTOEIC860点くらいの実績は作っておこう。

また、外資系金融、国内系証券IBD、総合商社に応募する場合には、基本的なファイナンス・会計のリテラシーも高めておくといい。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)の1次レベル、あるいは日商簿記2級は就活を始める前に対応しておくのが理想的だ。


新聞、雑誌、YouTube。有益な情報が集まってくる仕組みを作ること

オンライン化でいくらかはマシになるとはいえ、地方学生と東京の学生では、情報の集めやすさに差があるのは事実。そのため、マスコミやWeb、SNSなど、場所に関係なく得られる公開情報については、十分に集められる仕組みや習慣を作っておきたい。

例えば、新聞は「日本経済新聞」を購読することをおすすめする。経済誌は「日経ビジネス」「日経ヴェリタス」「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」あたりを毎週チェックし、気になったものがあれば購読したり、図書館で読んだりするのが良いだろう。

また、国内系金融機関や総合商社については、IR情報(投資家向け情報提供)が充実しているので、中期経営計画と個人投資家向けのIR情報は熟読しておきたいところだ。

WebメディアやSNSからの情報収集については、今の学生は得意かもしれない。YouTubeでもさまざまな就活向け動画があるが、実際に見てみたところ、以下のチャンネルは参考になると感じた。

・年収チャンネル
・内定チャンネル
・トップ就活チャンネル

また、Twitterでの情報収集についてはこちらの記事も参考にしてみてほしい。

・最強就活ツール!?内定に近づくTwitterの使い方【就活アカー入門編ー】


「出身校の先輩」にこだわる必要はない、あらゆる手段でOB・OGとつながろう

こうした情報収集に加え、生の情報としてOB・OGから話を聞くことも欠かせない。なんと言っても、業界の中の人が一番実態を知っているし、ES、面接などに関する相談に乗ってもらうこともできる。

地方旧帝大の学生にとっての課題は、OB・OGの数が少ない上に東京在住の場合が多く、会いに行くのが大変なことだ。もっとも、この点については、オンライン会議ツールを使うなど、リモートで対応しやすい点ではある。

大手金融機関や総合商社であればいいが、外資系企業の場合、OB・OGがかなり限定される可能性もある。その場合は「出身校」の先輩にこだわることはない。学校の先生や先輩、親族、就活イベントで知り合った人など、誰でも構わないので紹介してもらおう。

一般的に、成功している人ほど寛容だし、若い世代を応援したいという気持ちがあるはず。自分の出身校の後輩でなくても話を聞いてくれるはずだ。

また、出身校に関係なく、あらゆる手段でOB・OG訪問しようとしている学生は、真剣さが見いだされ、ポジティブに受け取られるというメリットもある。


地方学生こそ「選抜コミュニティ」に入るべき?

地方旧帝大の場合、学内で外資、金融専門職、総合商社を志望する同期は決して多くはないと思う。そうなると情報交換もできないし、刺激になる仲間を欠くことになる。

OB・OGなら卒業生名簿や学校に相談すればまだ何とかなるかもしれないが、仲間を見つけてもらうわけにはいかないだろう。

仲間探しの点に関して、最もおすすめなのが「選抜コミュニティ」に入ることだ。それができれば、メンターとなってくれる指導者に加えて、一緒に対策ができる仲間もできる。

選抜コミュニティについては、こちらの記事でも解説している。まさに地帝から外銀に内定したケースなので、非常に参考になるだろう。

・地方大から外資金融に内定。エリート就活生が語った外資系就活、そして選抜コミュニティの世界


もっとも、選抜コミュニティの多くは、対象校を「東京一工+早慶」などに限定しているところが少なくないが、そんなことを気にしているようでは難関企業の内定は得られない。学校制限があるところでも、気にせず申し込みまくるパワーが欲しいところだ。

選抜コミュニティ以外の方法としては、就活イベントで外資や商社を志望している東京の上位校の学生と知り合いになることだろう。今はコロナの影響で対面のイベントは開催していないかもしれないが、こういう機会は積極的に利用したい。

地方旧帝大ならば、少なくとも学歴フィルターに引っかかることはないはず。面接まで進めれば、そこから先は対等な勝負になる。外資、金融専門職、総合商社の内定を取るのは大変なことだが、本気で目指す学生はぜひ挑戦してもらいたい。

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(Photo:Pajor Pawel , Spiroview Inc , metamorworks , katjen , Stuart Monk/Shutterstock.com)

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日系証券会社⇒外資系証券会社⇒外資系運用会社。日系と外資系、証券会社と運用会社の経験があるのが特徴。
「楽して儲けること」が大好きで、ベンチャー・起業・フリーランス・個人ネットビジネス運営など、稼ぐ方法を常に模索している。
世の中にはどんな稼ぎ方があるのか、稼いだお金でどういった生活ができるかなど、お金視点からの就活・転職話をお楽しみ下さい。
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