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君はITとビジネスの「通訳者」になれるか? 現役コンサルタントに聞くDXプロジェクトの苦労と醍醐味

企業インタビュー インタビュー コンサル 日系
2020年12月24日(木) | 5,540 views
sponsored by デロイト トーマツ コンサルティング

戦略系にせよ、総合系にせよ、コンサルタントを目指したことがある人なら、一度は聞いたことがあるであろう「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。

さまざまな業界の企業が、デジタル化によるビジネスの変革を求めている今、コンサルティングファームにはDX推進の支援を依頼する案件が急増しているといいます。

とはいえ、「結局DXって何?」「推進って言われても何をやるのかいまいちピンと来ない」「DXを進めるコンサルタントに必要な資質は」と疑問に思う学生も多いはず。


今回、ワンキャリ編集部は、総合系コンサルティングファームの「デロイト トーマツ コンサルティング」の矢島さんを取材。それらの疑問をぶつけたところ、「テクノロジーを普段の業務で活用できるよう、現場の方々と粘り強く議論したり、繰り返しレクチャーしたりといった泥臭い仕事が非常に重要です」との答えが。

DX案件にまつわる苦労や働く意義、そしてコンサルタントに必要な資質とは──プロジェクトの最前線で活躍するコンサルタントの考え方に迫ります。

デジタルマーケティングの専門家として、システム導入から業務変革まで手がける

──本日はよろしくお願いします。まず矢島さんがデロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト)で普段行われている仕事について、簡単に教えてください。


矢島:近年では、製造業や保険業界のクライアントに対して、CRM導入のコンサルティングをさせていただく機会が多いです。

スマートフォンが普及する中で、企業と顧客の接点が、店頭や電話・はがきといったオフラインから、SNS、Webなどのオンラインへと急速に移っています。そのトレンドに合わせて、業務や組織の変革を望むクライアントは少なくありません。

矢島 達也(やじま たつや):デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 C&MTユニット マネジャー
ITコンサルティングファームにて製造・物流業などのクライアントの基幹システム開発・運用に従事した後、2015年にデロイト トーマツ コンサルティングへ参画。クライアントのIT部門立ち上げ支援などを担いつつ、近年では保険・製造業のクライアントを中心に、CRM導入のPMO・定着化支援に取り組む。


──確かに、新型コロナウイルスの影響もあって、オフラインでの顧客接点はますます減っているように思います。


矢島:そうですね。現在私が主に扱っているのはデジタルマーケティングの領域で、マーケティングの自動化(MA)ツールや、顧客にまつわるデータ分析を推進するDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)のようなシステムの構想策定から導入支援・運用定着化です。

現在ご支援しているクライアントのプロジェクトには1年ほど前から携わっていますが、プロジェクト自体は既に2年以上続いています。


──2年以上ですか! コンサルの案件としては非常に長い印象を受けます。


矢島:当社が手掛けるプロジェクトの多くにおいては、単に戦略を提案して終わりではなく、戦略を実践するためのシステムを導入し、それを業務として定着させる支援までを一貫して提供しています。それに伴い、プロジェクトの期間も自ずと長期化する傾向にあります。

DX案件は、ITとビジネスの「通訳」がキモ。丁寧なコミュニケーションが必要

──今はさまざまなコンサルティングファームが、企業のDX推進をアピールしています。世間的に注目されているキーワードではあるものの、具体的なプロジェクトの中身を知る学生は少ないように思います。どのようなものなのでしょうか。


矢島:従来のITコンサルティング案件はIT系の部署主体で進める場合が多いのですが、DXはデジタル技術を使って企業全体を変革していく取り組みです。

先程のデジタルマーケティングの話もそうですが、単にシステムを入れるという話ではなく、業務が変わることで、求められる人材や組織体制も変わらざるを得ず、その結果として、事業そのものも変わっていく可能性があります。

──コンサルティングサービスを提供する側にとって、DX案件と従来のITコンサルティング案件の最大の違いはどこにありますか?


矢島:先ほどお話ししたように、DX案件においては業務全体を変革する取り組みということもあり、IT関連部門の方々のみでなく、営業やマーケティングなど、ビジネスの現場にいる方々との関与の割合が増えてきていると思います。

関与する方々の背景がさまざまなので、コミュニケーションの取り方に注意が必要です。例えば、「データからインサイト(洞察)を見いだす」「ユーザーのエンゲージメント(愛着心)を高める」のような、カタカナ語や専門用語の言い回しはできるだけ使わず、平易な言葉を用いてコミュニケーションをとるよう心掛けています。


──なるほど……。ITとビジネスの「通訳」をしないといけないということですね。


矢島:用語の定義をかみ砕いて説明しないと、こちらの意図がきちんと伝わりませんし、そこをおろそかにしたまま話を進めてしまうと、クライアントが望んでいない結果になる……など、後戻りができないタイミングで大きな問題に発展してしまうこともあります。


──そのほかにも、DX案件を進める上で心掛けていることや、苦労されていることがあれば教えてください。


矢島:似た話にはなりますが、なるべく身近な業務課題に落とし込んだ形でDXを説明するようにしています。「DXとは何か」といった話ではリアリティを持ってクライアントに受け取ってもらえません。業務にDXを適用すると何がどのように変わるか? 具体的な実務に落とし込んで説明していくことが肝要だと思います。

戦略だけでも技術だけでも「絵に描いた餅」。DXの実現には両輪を回すことが不可欠

──就職活動をしている学生から見ると、ITコンサルタントという職種は人工知能(AI)など、先進的なテクノロジーを駆使するスマートなイメージがあると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?


矢島:確かに、先端技術に触れることができるのは魅力の1つです。しかし私たちが提供しているコンサルティングサービスは、単に先端技術を用いたソリューションを導入して終わりというわけではなく、それを現場に根付かせ、ビジネス上の成果を出すところまでを担います。

テクノロジーを普段の業務で活用できるよう、現場の方々と粘り強く議論したり、繰り返しレクチャーを行ったりといった泥臭い仕事も求められます。DXの実現には、こうした泥臭い地道な仕事が非常に重要だと理解しています。


──そうした取り組みに力を入れている点が、デロイトの強みなのですね。


矢島:私がデロイトへの転職を決意したのも、こうした点が理由です。戦略や構想を描いて終わりでなく、実際に効果が創出されるまで責任を持って伴走していくことが、クライアントからも求められる重要な点であると理解しています。また近年では特に、テクノロジーの知識がなければ戦略を描くこともできないと認識しています。


──幅広い分野をカバーするとなると、さまざまなスキルを持った人材が必要ですね。


矢島:その通りです。当社には多岐にわたる分野の専門家がいます。出自もさまざまで、私のようにIT系出身の者もいれば、広告代理店や事業会社から転職してこられる方もいらっしゃいます。国籍も含め、極めて多様性に富んでいます。

「幅広く案件を経験」では成長に限界? デロイトならではの新人育成システムとは 

──事業会社から転職してくる方もいるんですね。しかし、今までのお話を踏まえると、DXを進めるのであれば事業理解が不可欠だと思います。スキルという面では、事業会社でDXを手がけるというキャリアもよいのではないでしょうか。


矢島:もちろんそういったキャリアも選択肢の1つだと思います。一方で、当社をファーストキャリアとして選んでいただくと、早い段階から専門性を養うことができるという点がメリットとして挙げられるかと思います。

以前は、新人の方にはさまざまな分野のプロジェクトを幅広く経験していただき、少しずつ自身の専門性を養っていく形としておりましたが、近年DXのような高度に専門性を求められる案件が増えてきていることを背景に、早期に専門性を定め、それを確立するため一貫したアサインおよび体系的な教育を実施していく方針としています。

その他、隔週などの短サイクルでの成果のフィードバック制度があり、成長を実感しながら仕事に取り組んでいくことができる、という点もメリットかと思います。


──新人コンサルタントが専門性を磨くための研修制度や教育制度には、どのようなものがあるのでしょうか?


矢島:デロイトは人材育成を重視する文化が社内に根付いており、新人育成の社内研修制度が非常に充実しています。加えて、チャットを介したコミュニケーションが盛んで、何か分からないこと・困ったことがあっても、チーム内のチャットなどで助けを求めれば、誰かが手を挙げてくれます。

コンサルタントというと「個人プレー」の印象が強いかもしれませんが、当社ではチームプレーを極めて重視していて、互いに協力し合う文化があります。

入社4、5年目で「シニアコンサルタント」としてチームを率いる立場に

──御社に新卒入社したコンサルタントは、具体的にはどのような段階を踏みながらキャリアを形成していくことが多いのでしょうか。


矢島:入社直後の段階では、まずは「アナリスト」という職位に就いて業務に当たっていただきます。まずは先輩や上長の指示に従って業務をこなしながら、コンサルタントの仕事を覚えるという形です。

1、2年ほどアナリストとして経験を積み「コンサルタント」に昇格すると、ただ指示に従うだけでなく、自身でやるべきことを判断して自立的に業務を進めていくことが求められます。

入社して4、5年たち「シニアコンサルタント」に昇格すると、自身の業務をこなすだけでなく、リーダーとしてチームを率いてプロジェクトを推進していく役割を担います。


──ちなみにどんな人が御社のコンサルタントに向いていると思いますか?


矢島:前向きに物事に取り組める方が向いていると思います。実際のプロジェクトではさまざまな困難に突き当たりますが、その度に「これは無理だ」とネガティブに捉えるのではなく、「こうしたらできるのでは?」とポジティブに考え方を転換できる方が向いていると思います。また先ほども申し上げた通り、チームで物事を進めていける方が望ましいと思います。


──最後に、現在就職活動を行っている学生に向けてメッセージをお願いします。


矢島:なるべく分野を絞らずにさまざまな世界に目を向けていただけると良いと思います。あらゆる業界や業種を対象に職業を選べる貴重な機会ですので、さまざまな世界を見聞きして、自分のやりたいこと・ありたい姿のイメージを付けていくと良いのではないでしょうか。


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デロイト トーマツ コンサルティング

【ライター:吉村哲樹/撮影:保田敬介】

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