京都府の「就労・奨学金返済一体型支援事業」は、中小企業が社員の奨学金返済をサポートする手当等を支給すると、その支給額の一部を補助する制度です。経済的負担を軽減し、若手人材の定着と活躍を後押しする取組として注目を集めています。
この制度を導入しているのは、KSS株式会社。電話で全国の市場をつなぎ、独自のスタイルで青果流通を支える少数精鋭の企業です。「奨学金の返済に追われて必死に働き続けている人たちがいる。少しでも前向きに仕事をしてもらえるように支えたい」との思いから、制度を導入してから3年以上が経過しているそうです。
今回は、採用を担当したMさんと、実際に支援を受けながら営業として活躍するOさんにお話を伺い、導入の背景や効果、そして制度に興味を持つ若手社員に伝えたい思いを聞きました。
▼制度詳細
・京都府 公式HP「就労・奨学金返済一体型支援事業」
Q1:制度を導入したきっかけと、その背景について教えてください。
Mさん:この奨学金返済支援制度を知ったのは、採用担当として、どうすれば、より当社を選んでもらえるかについて、京都府の「ジョブパーク」に相談した時でした。そこで制度の仕組みやメリットを伺い、若手社員の負担軽減や定着率の向上につながる可能性を感じました。すぐに社長へ提案したところ「これは会社として取り組むべきだ」と賛同を得て、導入を決めました。
導入にあたっては、就業規則の改定が最初のハードルでした。返済支援の条件や支給方法をきちんと明文化し、全社員に周知する必要があったのです。また、対象となる社員の返済状況を確認して必要書類を整える作業も多く、最初の年は、かなり苦労しました。ただ、京都府の担当者が丁寧にサポートしてくださったおかげで、2年目以降はスムーズに運用できています。
当社は電話だけで全国の市場と取引するという、少し特殊なスタイルで卸事業を展開しています。慣れるまでは戸惑うことも多い仕事ですし、そこに奨学金という大きな負担が重なれば、若い社員にとって不安が増すのではないかと考えていました。「奨学金を返さないといけないから頑張って働く」という気持ちを会社として支えることで、結果的に社員の定着率向上にもつながるのではないかと期待したのです。
導入から数年が経ち、会社説明会や面接でこの制度を紹介すると「珍しい取組に驚いた」「詳細を教えてほしい」と関心を持っていただけることがあります。今後も多くの求職者からお問合せをいただけるよう、当社としても工夫を重ねていく予定です。

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