「移動で人を幸せに。」──このミッションを掲げ、日本の社会インフラを再定義しようとしている企業がある。GO株式会社だ。
タクシーアプリのイメージが強い同社だが、その実態は、GX(グリーントランスフォーメーション)、物流、交通事故削減、そして自動運転の社会実装といった、国家レベルの巨大な社会課題に挑む「社会実装のプロ集団」である。
今回お話を伺ったのは、同社で執行役員を務める中西佑樹氏。かつて海外での起業を経て、自身でさまざまな事業づくりを経験。その後、スタートアップ企業で経営の舵取りを担ってきた異色の経歴を持つ。
自ら事業を創ってきた彼が、なぜ次のステージとして「企業への参画」を考えたのか。これまでの人生で明確な「軸」がなかったという彼が、なぜ最後にGOを、そして「社会課題」という難問を選んだのか。
優秀層の学生にこそ伝えたい、真に社会を動かすための「構造」と、20代で手に入れるべき「決断力」の本質について、熱く語ってもらった。
<目次>
●社会課題を「構造」で捉えると見えてくる、「真の勝ち筋」
●AI時代だからこそ、非デジタルの「アセット」が強さに
●GOが求めてやまない、「社会課題解決」に魅せられた次世代リーダー
●打席=決断の数──なぜ、GOは新卒に「難題」を託すのか
●「やりたいこと」は、なくたっていい。成長を解き明かす最適解とは
●後悔しない企業選びのために──経営者にぶつけるべき「3つの質問」
社会課題を「構造」で捉えると見えてくる、「真の勝ち筋」
──海外起業から数々の事業立ち上げ、そしてスタートアップ経営と、圧倒的な場数を踏んできた中西さんが、今あえて「移動」という領域に挑む理由は何でしょうか?
中西:まず、歴史を俯瞰してほしいんです。人類の進化の歴史の裏には、常に「移動の進化」がありました。
例えば、18世紀の蒸気機関の登場がもたらしたのは「人やモノの大量輸送」です。次に20世紀初頭に自動車が普及すると、人々は「好きな場所へ自由に行ける」という個人の欲求を満たせるようになり、同時にロードサイドビジネスという新たな経済圏を生み出していく。そして航空機の発展は、世界の距離を劇的に縮め、グローバリゼーションを一気に加速させたわけです。
このように、移動が進化するたびに人間の生活圏は広がり、経済圏が書き換わり、新しい文明が生まれてきました。移動が変われば社会の構造そのものが変わる。これほどダイナミックで本質的な領域は他にないと直感したんです。
しかし翻って、現代の日本はどうでしょうか。少子高齢化による労働力不足、地方の公共交通の維持困難、多くの人が命を落とす交通事故、そして喫緊の課題である脱炭素。「移動」にまつわる負債が、社会の存続を脅かすレベルまで積み上がっています。私がGOにいる理由は、この「移動」という巨大な変数をコントロールすることで、100年後の日本の形をポジティブに書き換えられると確信しているからなのです。

中西 佑樹(なかにし ゆうき):GO株式会社執行役員
2008年に不動産会社にてキャリアをスタート。2015年にはフィリピン・セブ島にて語学学校を創立。2019年には日本のスタートアップにジョインし、取締役としてビジネス、コーポレート、人事部門など全社領域を統括。2024年10月よりGOに入社し、2025年1月より法人事業本部本部長就任。同年7月より執行役員。全社的な注力施策である新卒採用プロジェクトも管掌している。
──社会課題解決を掲げる企業は多いですが、その中でGOを選ぶべき理由は何だと考えますか?
中西:そもそも、社会課題を解決するのはそんなに簡単なことではありません。志だけでは社会は変わらないんです。
勝てるビジネスモデルを明確に描き、構造的に勝つべくして勝つ状態になっているか。すなわち、長期的に利益を生み出せる状態になっているのか。戦い抜くための資金はあるのか。そして、社会課題ど真ん中のマーケットにいるのか。こうした要素が揃って、初めてスタートラインに立てると思っています。
僕はGOの入社前に40数社の経営陣と面談してきましたが、GOだけが唯一、これらの要素を全て持ち合わせていました。GOは、都内ハイヤー・タクシー最大手である日本交通グループのJapanTaxi社と、インターネットの最前線を走ってきたDeNAのMOV/DRIVECHART事業などが統合して誕生したという、稀有な出自を持っています。この成り立ちこそが最大の強みなわけです。
日本交通という「地上のリアルアセット」と、DeNAが培ってきた「空中戦のテクノロジー」が、資本関係も含めて深く結びついている。この両輪があるからこそ、法規制のアップデートや伝統産業の血脈にテクノロジーを流し込むような、多角的なアプローチが可能になります。「ここなら、本当に社会が変わる瞬間に立ち会える」。そう確信したのが、私自身の入社の決め手でした。
AI時代だからこそ、非デジタルの「アセット」が強さに
──昨今はAIの進化が目覚ましいですが、モビリティ領域におけるテクノロジーの役割をどう見ていますか。
中西:最近だと「SaaS is dead」などといわれますが、ソフトウェアだけのアセットライトな戦いは今後ますます厳しくなるのでは? と考えています。デジタルのコピーが容易な領域だけでは、生成AIの登場によって参入障壁が極めて低くなっているからです。
そこで今後重要になるのが、「デジタル」と「リアル」の掛け算です。
例えば足元の競争優位でいうと、GOが展開しているビジネスの強みは、単なるアプリ開発の技術力だけではなく、全国を毎日走る数万台規模のタクシーという「圧倒的なリアルアセット」と提携し、強固なネットワークを築いている点にあります。
AI時代において、真の防壁となるのは泥臭いオペレーションやリアルなアセットだと思っています。そして私たちは未来にかけて、こうしたデジタル×リアルの両輪を構築していくこと自体を、競争優位の源泉にしていきます。
──その強固な「デジタル×リアル」の基盤の上に、次なる未来を構築しようとしているわけですね。
中西:その通りです。僕たちは目先の利益を稼ぎたいわけではありません。社会インフラ企業として、これまで築き上げた『GO』アプリの基盤の上に、自動運転をはじめとする新たな仕組みを実装し、日本のインフラそのものをアップデートしていく。そうやって社会課題を解決する会社です。
これにはオセロの角を1つずつ取っていくような、極めて緻密で中長期的な戦略が必要です。この「勝つための構造を創り上げる面白さ」は、戦略コンサルや商社を志望するような学生にとっても最高に刺激的な問いに映るはずです。

GOが求めてやまない、「社会課題解決」に魅せられた次世代リーダー
──先日、優秀層の学生が集まる採用イベントに登壇されたと伺いました。そこでの反応はいかがでしたか?
中西:想像をはるかに超える熱量で、正直、驚きましたね。イベントには名だたる大手企業や急成長ベンチャーも多数参加していましたが、僕はあえて社会課題にフォーカスしたプレゼンを行ったんです。事業成長やスキルの話よりも、今の日本がいかに深刻な課題に直面しているか、そしてGOがそれをどう構造的に解決しようとしているか、というミッションの話を軸に据えました。
結果として、それが学生たちに深く刺さり、参加企業の中で魅力度が1位という評価をいただくことができました。こんな経験からも、今の優秀な学生たちは単なる「個人の成長」や「年収」といったファクターだけでは動かないと実感しています。自分の貴重な時間と才能を、どれだけ社会的意義のあることに投資できるか。そういった「手触り感」を飢えるほどに探しているんだと痛感しました。
──社会課題解決とビジネスの両立を、学生はどう捉えていたのでしょう。
中西:「社会課題を解決したい」という想いをもつ学生ほど、実は入社後のパフォーマンスも高い傾向があります。なぜなら、彼ら彼女らの場合は「何のためにこの難しい問題を解いているのか」という根本的な動機が揺るがないからです。
真に難易度の高い社会課題を解決するには、最高水準のビジネスロジックとテクノロジーが不可欠です。それに気づいている学生こそが、今のGOが求めている人材なんです。
打席=決断の数──なぜ、GOは新卒に「難題」を託すのか
──GOにはプロフェッショナルな中途人材が揃っています。その中で、あえて新卒を採用し、育てる意義はどこにあるのでしょうか?
中西:理由は明確です。私たちが挑んでいる壮大な社会課題は、我々の世代だけで完結するものではないからです。
GOは平均年齢38歳の、いわば「大人のベンチャー」です。各領域の第一線で活躍してきた経験豊富なプロフェッショナルが集まり、事業を力強く牽引してくれているからこそ、今のGOの成長があります。一方で、強力なプロ集団だからこそ、時には業界の常識やこれまでの成功体験が、無意識の制限を生んでしまう瞬間もある。
だからこそ、業界に染まっていない新卒の皆さんが、組織に「健全なノイズ」を起こすことが非常に重要なんです。既存のプロたちとリスペクトを持ってぶつかり合いながら、「組織を変え、創るのは自分だ」という強烈な当事者意識で、GOという組織の形そのものを一緒にアップデートしてほしい。
そしてもう1つ期待しているのは、「才能の連鎖」の起点になることです。自身の圧倒的な成長と高い視座が引力となり、「この人がいるGOならもっと面白いことができる」と、さらに次の時代のトップタレントたちを惹きつける。100年続くインフラ企業へと進化していくこの余白だらけのフェーズで、未来のGOを牽引する最強のチームを自らの手で結成してほしい。それが、私たちが新卒を採用し、育成する理由です。

──実際に、新卒入社の若手たちはどのような活躍をしているのですか?
中西:具体例を挙げればきりがありません。例えば、入社2年目にして地方自治体や地元のタクシー事業者を巻き込んだ大規模なプロジェクトをリードしているメンバーがいます。彼が向き合っているのは、過疎化が進む地域での「移動の足」をどう確保するかという、正解のない問いです。
中途入社の社員であっても思わず二の足を踏むような場面でも、新卒入社の社員たちは素直さと情熱で突破口を開いてしまうんです。彼ら彼女らに共通しているのは、単なる「作業」ではなく「決断」を任されていることです。誰でもできる分析結果の選定ではなく、不確実な状況で自ら責任を持って決断し、退路を断つ。その「良質な打席」を20代のうちに何度踏めるか。それが、GOが提供できる圧倒的な成長環境の正体です。
「やりたいこと」は、なくたっていい。成長を解き明かす最適解とは
──中西さんご自身は、若い頃から強いビジョンを持っていたのでしょうか?
中西:いいえ、全く(笑)。高校時代からストリートミュージシャンをやっていて、大学にも行かずにふらふらしていました。気づいたら周りが就職する年齢になっていたんですが、大卒の資格もないからどこにも就職できない、みたいな状態で。それ以降も、「心の底からやりたいこと」なんて特にない、そんな状態がずっと続いていました。
でも、今振り返って思うのは、「やりたいこと」なんて最初はなくてもいい、ということです。よく「やりたいことが見つからない」ということを、今目の前のことを頑張らない理由にする人が多いじゃないですか。それは非常にもったいない。
やりたいことがなくても、目の前のことを一生懸命やっていれば、自分に「できること」が確実に増えていきます。できることが増えれば、自ずと未来の選択肢が広がるんです。
──まずは「できること」を増やす。そのための環境としてGOはどう機能しますか?
中西:GOは、多変数で高難度な課題の宝庫です。法規制、既存産業との利害調整、最新テクノロジーの実装、世論、そして5年10年という長い時間軸……。
僕がここで言いたいのは、「簡単な問題しかない環境にいると、永遠にその程度の問題しか解けない」というシンプルな事実です。もしあなたが、すでに解き方が決まっているような単なるオペレーションしか存在しない環境に入ってしまったら、その作業に慣れた瞬間に成長の天井にぶつかってしまいます。
逆に言えば、圧倒的に難しい環境で戦っていれば、他の大抵のビジネスは簡単になるんです。
大学生が小学生のドリルを解くのが簡単なように、変数が複雑に絡み合う最高難易度の事業開発を一度でも経験しておけば、将来自分で起業したり、別のビジネスを始めたりしたとき、あらゆる問題がシンプルに見えるはずです。
もちろん、いきなり正解のない難題を押し付けるのではなく、まずは手近な課題から始めて、徐々に抽象度や難易度を上げていける「バッファ(成長の余地)」は無限に用意されています。変数が多く、難易度が高い環境で20代を過ごす。その経験こそが、将来どんな荒波が来ても生き抜いていける最強の武器になるんです。
後悔しない企業選びのために──経営者にぶつけるべき「3つの質問」
中西:就職活動は、会社に選ばれる場ではなく皆さんが会社を見極める場です。優秀な学生にはイメージやブランドに流されず、その企業の実態を見抜いてほしいと思います。
採用の場では、どの会社も口を揃えて「うちは伸びている」「成長環境がある」と言います。しかし、単に売上などの数字が伸びているかを検証するだけでは不十分です。大事なのは「構造的に勝てる見込みがあるか」どうか。それを見極めるために、僕は学生たちに経営陣や事業責任者に「3つの質問」をぶつけてみることをすすめています。
「このビジネスモデルは何を取れば勝てるのか」(オセロの四隅)
「それをどう取るか」(実行プロセス)
「それをどう取り続けるか」(持続可能性)
この3つの問いにしっかり答えられない企業は、構造的な勝ち筋が見えないまま資金を投下している可能性が高いです。仮に数値が伸びていたとしても、無理やり成長させているだけです。
厳しいようですが、構造的に勝てない会社、本当に伸びていない会社に行ってしまったら、個人の成長もなければ、新しい打席(チャンス)も絶対に回ってきません。ましてや「社会課題の解決」なんて夢のまた夢で終わってしまいます。
だからこそ、どの会社もアピールする「成長」という言葉や表面的な数字だけを見ずに、こうしてビジネスの「本質」をシビアに確認することが極めて重要なんです。その姿勢こそが、皆さんが将来活躍するための打席を手に入れ、真に意義のある社会課題解決に取り組むための第一歩になるはずです。
そして、もしその問いに対する答えがGOにあると感じたなら、ぜひ当社の門を叩いていただきたい。答えのない問いに立ち向かい、自らの手で未来のインフラを創り上げる。そんな志を持った皆さんと一緒に、「歴史の教科書に残る仕事」をできることを楽しみにしています。

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【制作/撮影:BRIGHTLOGG,INC./編集:小林 遼】