— 金の使い方を見れば、その人の真の姿が見える。
とは誰が言ったか不明だが、もしも誰かに「転職を考えています。行きたい会社のカルチャーを見抜くには、どうすればいいですか? KENさん❤」と聞かれたらアドバイスするのが、これだ。
「そいつの、金の使い方を見よ」。
金の使い方には、人が隠そうとしても隠せない人間の本性が出る。
そう思うからだ。
社員訪問で、社風を聞いても「話を盛る」からほぼ意味がない
カルチャーを知るための有益な手段の1つは間違いなく「社員訪問」だが、これはほとんどの場合、真の姿を知る意味では効果的ではない。というのも、誰に聞いても「うちの会社って働きやすくて、楽しい」と答えるに決まっているからだ。
その理由は構造的にいうと、(1)社員訪問も仕事だから、良いことを言わざるを得ないこと、(2)比較対象がないから客観的に語れない、など理由はいくつかあるが、もう少し人間の根本的な部分でいうと、基本的には
「大人は、子どもをガッカリさせたくない」
という傾向があるように思う。あなたも、想像してみてほしいのだが、例えばあなたが今慶應大学に通っていたとしよう。目の前に慶應大学に憧れている中学生が現れ、つぶらな目で「学生生活は楽しいですか?」と聞いたとする。あなたは、心の底では学生生活をエンジョイしていなかったとしても、目をキラキラして輝く中学生を目の前に
「慶應は、思ったより面白くないよ」
と語れるだろうか?
正直に「面白くない」と語ることは、「自分の過去の意思決定や努力が間違っている」ことを認めるようなものだ。人は原則的には、「他者から憧れられると、自分自身を肯定するために、できるだけ物事を楽しいと思いこむ傾向」にある。
(いわゆる、「認知的不協和」理論と呼ばれる)
こういった理由から、「普通の」社員訪問では、その会社のカルチャーを知ることはできない。
では、どうすれば良いのか?
結論からいうと、「金の使い方から、逆算すべき」だ。
人間の本性は「重要な意思決定」にこそ出て、大体その実行にはお金が伴う
そもそも、人間の本性は重要な意思決定を行うときにこそ出る。例えば、みなさんも経験あると思うが、表面では良い人でもイザとなったときに不誠実な人間がいる。あるいは、逆も然りだ。追い込まれたときの「何かを捨て、何かを残す」という意思決定のときこそ、その人の本性が見えてくる。
そして、重要な意思決定には「何かしらのサポート」が必要であることがほとんどだ。例えば、大学受験で考えるのなら、あなたが東京大学に行くか、ハーバード大学に行くかどうかを決めるには「お金」「情報」「勉強方法」というありとあらゆる要素のサポートが必要だ。「金」はその中の超重要な要素の1つだ。
ということは、逆を返せば
「お金の使い方から逆算すれば、その人の価値観が分かる」
ということだ。これが言いたい。
仕事を本当に楽しんでいる人は「経験」や「時間」のために投資している
さて私の友達に、起業して成功している人がいる。彼は30歳の時点でおそらく、100億円ぐらいは持っているが、それでも仕事を続けている。その理由はシンプルで「仕事が楽しいから」だ。
そんな彼は何にお金を使っているかというと「時間」だ。
会社の近くに家を持っているのは、1秒でもたくさん仕事をしたいからだという。つまり彼は「家を買っている」のではなく、「時間を買っている」わけだ。そして彼に限らず、仕事それ自体を目的にしている人、つまり仕事を楽しんでいる人こそ、お金を「経験」と「時間」のためにのみ使っている傾向にある気がする。
一方で「飲み会」や「趣味」にのみ、お金を使っている人は、仕事のステップアップにつながる重要な意思決定をする気がないということだと感じる。なぜなら仕事上でステップアップをするためには、例えば読書や留学・資格・勉強会など、何かしらの投資が必要になることがほとんどだからだ。
あるいは、お金を服装に使うにしても「普段着」に使うか、「スーツやカバン」に使うかでも、仕事人としてのプロ意識が垣間見れる。
お金の使い方には、その人の価値観が表れるのだ。
まとめると、
その会社のカルチャーを見抜くには「金の使い方」を見よ
これが私が考えることだ。
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