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自意識高すぎの「オタク街道どっぷり就活生」まさかのお仕置き【しくじリーマン番外/しくじり就活生】

コラム
2017年8月10日(木) | 11,991 views

失敗、それは誰もが避けて通れない道。

連載企画「しくじリーマン」では、社会人たちが経験した失敗談と、そこから得た学びを皆さんにお届けします。

今回は番外編として、ある「オタク就活女子」のエピソードを紹介します。

私のしくじり:肝心な時に失敗する「しくじりモンスター」

思えば人生で大事な日に限って失敗してきた人生だった。

小学校時代は転校初日に上下ジャージを着てきて性別を男と間違われ、生徒会選挙の演説の日では緊張のあまりマイクを間違えて切って演説し、センター試験の日には受験票を忘れ、挙句の果てには服を前後逆に着たまま受験していた。

しくじりにしくじりを重ね、ついたあだ名は「しくじりモンスター」。

というのはまあ誇張しすぎだが、今まではしくじりを逆手に取ってうまくやってきた。

転校先では一発で名前を覚えてもらえ、演説は熱意を込めたパフォーマンスと認識され、ハプニング続きのセンター試験も結果に恵まれた。

恥ずかしい話だが「失敗を成功に変えられる私、スゴくない?」と思う程度に自意識が高かった。

そんな「ちょっと人とは違う自分」に夢を持った私は、自己表現の場が多いオタク活動にどっぷりとハマっていた。

オタ活にどっぷり。就活は意外にもトントン拍子

大学3年生の夏、大事な夏。

受験なら天王山。就活ならサマーインターン行きまくり、4年生への貯金の時期だ。

私は同人誌の締切に追われていた。

大学2年生の冬に、ポスターをひと目見てから始まった同人誌制作。絵を描いたり、話を書いたりするのが好きだったので、この趣味は私にフィットしていた。

さらにいえば、しくじりモンスターの私でもしくじる要素がないのだ(ページの奇数偶数を間違えて扉絵が見開きに来てしまったことがあったような……)

とにかく、いわゆる「やりがい」が見つかった私は絵の上達に専念した。

「本業」に熱を上げたからだろう、適当に参加したサマーインターンにご縁があるわけでもなく、周りの学生と傷を舐め合いながら就活の波にのまれていった……。


ここまで聞くと「就活でうまくいかなかったんだよね?」と思うだろう。なんと、幸運なことにうまくいったのだ。就活自体は。

同人イベントに参加しつつ6月1日には内定をいただいた。「あとは卒論だけだよねー」と、残りの学生生活を謳歌し毎日飲み会に明け暮れていた。

わずか2単位、まさかの「うっかり留年」

時は過ぎて9月、秋学期の単位申請のその日、最大の「しくじりモンスター」が目を覚ました。


うっかり留年した。

卒業に必要な2単位が引っかかり、来年の春に卒業できないと発覚したのだ。


私が通う私大には、1学期あたり取得できる単位に上限がある。そのため、卒業に必要な単位があまりにも足りていない場合、4年の最終学期で巻き返すことはできない。卒業したければ留年するしかないわけだ。

その仕組みを知らず、愚かな私は前期試験を全て諦め、青春18きっぷで北海道までヒグマを見に行っていた。

絵も描いていた。コスプレもした。こんなことできるのも学生のうちだよね! とかなんとか言いつつ過ごしていた。


それなのに。こんな形で留年なんて。

「人とはちょっと違うけど、成功した私」が崩れる音がした。

頭に血が上り、胃がキューっと押しつぶされる感じ、今でも覚えている。


内定先や親、教授、学部事務所に一通り頭を下げ、「内定持ち」から「留年確定・無い内定」に華麗にジョブチェンジした。今まで積み上げてきたものを失い、私の自意識はガタガタになったのだ。

大学4年、秋。しくじりからの再出発

しばらく悲嘆に暮れていた私だったが、1学年下の18卒の就活も既にスタートしていた。

「行動しなきゃ」

秋インターンの対策をしながら、私はいろいろな人に会い、留年の報告をしまくった。

恥ずかしいエピソードを何度も話すうちに頭の中でストーリーが整理され、留年を「マジな辛い話」から「就活でも使える鉄板ネタ」に進化させたのだ。留年で一度ヘコんだ自意識を、いい意味で「こじらせる」ことができたのだ。


こうして、年が明けた頃には留年は単なる「挫折」ではなくなっていた。

きっと何か大きな力が働いて私に留年を強いたのだ。これは私に課された試練だ。一刀流「居合」獅子歌歌!!! ……礼を言う、俺はまだまだ強くなれる。

こんなふうに、オタク特有の思考回路で立ち直ったのだ。


そこからの私は、「留年=ギャップイヤー」と捉えてポジティブに活動できた。募集を見つけた長期インターンに参加して優秀な同期と切磋琢磨してみたり、1年間自分と向き合って行きたい企業を考え直した。

最終的には2度めの就活は成功し、「しくじりからの七転び八起き」を手にできたわけだ。

しくじりから得た学び:オタク諸君、「人と違う私」という自意識の殻を破ろう

なぜここまで私がしくじりを続けているのか、私なりに分析してみた。

思うに私は、「人と違う私」という自意識が強すぎたのだ。

ギリギリの状況に燃えて成果を出せることもあったが、その反面、周りが見えていなかったのだ。「負けたくないから争わない」と、友人の活躍している姿に目を背け、ひたすら温室の中で過去の自分と争っていた。だから初歩的な進級条件にも気が付かず、うっかり留年してしまったのかもしれない。

オタクを極めることもそうだ。いつまで経っても自分としか遊べずに、ハムスターみたいに同じところをぐるぐるしているのと同じ。「ちょっと人とは違った自分」をカサに着て、裸の王様よろしくお高くとまっていたのだ。

こんなふうに視野を狭めるほど膨らんだ自意識をヘコませてくれたのが、留年やインターンの経験だったのかもしれない。感謝っ…! 圧倒的感謝っ……!

オタクを極めるのも、最強じゃない?

留年という「しくじり」によって、私の見ることができる世界は確実に広がった(確実に自尊心が傷つくので、真似してほしくはないが)。

でも今の私はこう思っている。

「オタクという一人で極める領域と、社会人として人と関わる領域、両方持てたら私って最強じゃない?」と。

いつまでたっても、失敗から学ばずポジティブに捉える「しくじりモンスター」は健在のようだ。

あー、オタクに生まれて、よかった!!


寄稿者:おくだつきみ
早稲田大学在学中。自他ともに認める「明るいオタク」。2000年代後半から2010年代前半にかけてのアニメの造詣が深い。趣味が高じてコミケにサークル参加経験有。座右の銘は「働いたら負け」。疲れたときにひたすら2次元の女性を眺める「美少女療法」を実践している。春からIT企業で働く予定(留年リーチ継続中)。


いかがでしたか?

先人の失敗に学び、よりよい就活に備えてくださいね。では、また次の「しくじリーマン」のエピソードでお会いしましょう。

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