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東大京大・就職ランキング、違和感の正体。なぜGoogleが25位なのか?

コラム
2017年6月27日(火) | 28,270 views

※この記事は『新卒採用メディア執行役員のブログ』の『自分が書いた「就職ランキング」だが、Googleが25位って。おかしくない?』(2017年06月05日更新)からの転載です。


最新の東大京大ランキングはこちら


このランキング。何か強烈な違和感を感じないだろうか?

※「【東大京大・就職ランキング】P&Gが17位へ急落?マッキンゼー・BCGを辞退した学生は、どの企業へ進んだか。」より。当該記事では50位まで公開


このランキングは、東大・京大の現役就活生の「人気企業ランキング」だ。記事自体は確かに僕が書いた。だが、このランキングを見ていて、自分自身が多分一番違和感を感じているのだ。


一言でいうと

「あるべき企業が、そこにない」のだ。

違和感の正体は、「あの企業が1位ではないこと」

そもそも人が感じる違和感は、2種類ある。1つは「データと肌感覚が違うこと」に生じる。つまり、データが間違っていると感じるものだ。もう1つは「データは合っているが、あるべき姿を表していないとき」に生じる。つまりデータ自体はあっているが、「本質的なもの」を映し出していないときだ。


では、このランキングはどうだろうか?


結論からいうと、このデータと肌感覚は間違いなく「合っている」。我々は上位校向けのマーケットに関しては、日本で一番詳しい会社の1つだ。だから、ランキングの1位がマッキンゼーであることや、3位にNRIが入っていること、P&Gの採用ブランド力が下がっていることは違和感がない。肌感覚に極めて近い。


では、違和感の正体とは何かというと、それは後者である。つまり「データは合っているが、そのデータがあるべき姿を現していない」ということだ。

より具体的にいうと、それは


「なぜ、1位がGoogleではないのか?」


ということだ。Googleはこのランキングで25位だ。おかしい。

グローバルランキングと比べて見える、日本経済の致命傷

グローバルで見たとき、就職ランキングは大きく形を変える。例えば、Fortuneのランキングを見てみる。


このランキングは海外のもので、先ほどのランキングとは対象者が異なるため、Apple to Apple(同じ基準)では比較できない。だが、他のランキングをみてみても、グローバルと日本とにおける人気企業の最大の違いは「IT/WEB業界」だ。 

例えば、海外の表では上位10社に、IT企業が3社(30%)入っている一方で、日本の上位校向けランキングには、10位以内にIT企業が1社もない。Googleですら、25位に留まっており、あとは、リクルートホールディングスが43位だ。


今後の日本の成長性を考えると、このリストに「IT企業」が少ないのは日本経済にとって致命的だ。つまり、「日本の時代遅れ感」が半端ないのだ。 

提案仮説:Google、Amazon、LINEの「新御三家」がトップを独占すれば、経済は良くなる

確かに肌感覚として、上位校の学生と話していても、「IT企業」の名はそもそもあまり聞かない。だが、私は学生にこう言いたい。


「IT産業というのは、思ったより、働きがいがあるよ」と。


その理由はシンプルに2つであり、1つは、産業が伸びていることに起因している。以前、サイバーエージェント取締役の曽山氏と話したときにも書いたが「事業が伸びているかどうかは、仕事の面白さにダイレクトに影響を与える」のは間違いない。反対に、伸びていない産業で働くのは本当につまらないもので、フリークアウトの佐藤氏はこれを「椅子取りゲームには興味がない」と表現している。まさに言い得て妙だ。


加えて、IT企業は「思ったより面白いよ」と僕がいう、もう1つの理由は「働きやすさ」に起因する。 

そもそも、仕事の面白さというのは、人が思う以上に「物理的な環境」に影響を受ける。例えば、仕事に疲れた大人が休日に大金を払ってでも、軽井沢やゴルフに行くのは、結局のところ「開放感」でしかない。ではその開放感はどこから来るかというと、「物理的な環境」が大半だ。冷静に考えてみて、渋谷で過ごす休日と、軽井沢で過ごす休日で変わるのは「物理的な環境」でしかない。これと同じように働きやすさも物理的環境に左右される。


この観点では、ITの会社は一歩進んでいる。 

というのも、IT産業は構造的に「物理的な制限」が弱く、人の働き方に影響を与える環境に投資しやすい。というか「優秀な人を集め、彼らの労働生産性を上げることこそ、全て」であるため、良い会社ほど社内のオフィス環境に気を使う。Googleの社内に、仮眠室があったり、ジュースが飲み放題であったり、卓球台やビリヤードがある例は分かりやすい。

つまり、ITの会社というのは基本的には「オフィス環境が良い」のだ。(※良い会社に限る)


加えて、IT企業は、例えばchatworkをはじめとする、働き方に影響を与える「新しいツール」も積極的に導入する傾向にある。一方で、古い日系企業は、未だに「紙の上に、ハンコを押す。その位置がずれていたら、出し直しをさせる」という極めて無駄なことをやっている。


「どちらの環境のほうが、働きやすいか?」は明白だ。


確かに、日本人はそもそも「外資ブランド」に弱い。加えて、DeNAといった国産IT企業は、ゲームがメインの収益源であるため人々からの尊敬を得難い。よって、国産ITベンチャーが東大・京大生対象の人気企業ランキング上位に食い込むとは正直なかなか思えない。だが、少なくとも、AmazonやLINEといった、外資生まれのITベンチャーがもっとランキング上位であるべきだ。

例えば、Amazonは、おしゃれな社員食堂があって仮眠室やマッサージルームが完備されているし、LINEは朝食が無料配布されているし、ビリヤード台のあるカフェスペースもある。まさに環境にも投資している外資ITだ。

加えて実感値として、AmazonやLINEは優秀な学生から比較的名前を聞く会社だ。だから個人的にはGoogle・Amazon・LINEをまとめて「外資IT・新御三家」と呼びたいぐらいだ。


何が言いたいか?


つまり、

「伸びていて、働きやすい産業に、日本人がもっと流れるべき」


押し付けがましいが、それが私が感じた違和感の正体だった。




北野唯我(KEN)

──記事一覧はこちら:ワンキャリア北野唯我/KEN特集

──Twitterはこちら:@KEN_ChiefE

──ブログはこちら:新卒採用メディア執行役員のブログ

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北野唯我(KEN)
取締役
北野唯我(KEN)

北野 唯我(きたの ゆいが):株式会社ワンキャリア 取締役CSO/作家
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局勤務。米国・台湾留学後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、現在取締役として戦略・採用・広報部門を統括。2021年10月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場。作家としても活動し、30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、他に『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などで、著者累計40万部。

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