※こちらは2021年12月に公開された記事の再掲です。
コンサルティング、というと「企業の課題解決」と考える人は少なくないでしょう。しかし、解決すべき課題があふれているのは企業だけではありません。
少子高齢化への対策、行政のデジタル化、教育のあり方、そして新型コロナウイルスを代表とする未知の危機に対する対応……。ニュースで耳にするような社会課題に対応している、中央省庁や自治体などの日本の公的機関(公共セクター)。その公共セクターを支えるコンサルティングの需要が、今大きく伸びているのです。
アビームコンサルティングでは、公共セクターの改革支援を担うため、中央省庁や地方自治体、独立行政法人、大学、医療機関向けのコンサルティングを行う公共ビジネスユニットがあり、新卒採用においても「公共経営コンサルタントコース」を設けています。
今回、ワンキャリ編集部は公共ビジネスユニットで活躍する西さんと橋本さんにインタビュー。公共系クライアントならではの難しさから、日本の社会課題に最前線で挑むやりがいまで。知られざる「公共経営コンサルタント」の世界をご覧ください。
少子高齢化にデジタル化……「課題先進国」日本の伸びしろは無限大
──日本の公共セクターを取り巻く状況は、この数年で大きく変化しています。お二人は、特にどんな点に注目していますか。
西:少子高齢化を筆頭に、社会が変わりゆく中で人々の暮らしをどう支えていくかが、あらゆる公共セクターにおける命題です。日本は社会が成熟し、さまざまな社会課題を抱えていることから「社会課題の見本市」「課題先進国」と呼ばれています。新たな課題と日々向き合っている日本の公共セクターには、課題の多さゆえに無限の伸びしろがあると感じます。
同時に、現場のムダを削減し、働く方々が負担感から解放されることも重要です。公共セクターが扱う領域はどんどん広く複雑になっています。細かいルールを理解している人だけがいい思いをするのではなく、誰もが置き去りにならずに恩恵を受けられる社会を目指したいですね。
西 美幸(にし みゆき):公共ビジネスユニット シニアマネージャー
2006年新卒入社。物流部門を経て、部門立ち上げ当時の官公庁支援プロジェクトに参画、現在は教育分野を中心にした幅広い課題解決を支援している。少子化時代の大学維持・発展を目的とした大学の経営統合・DXビジョン策定、小中高教員の働き方改革などを推進している。(所属部署はインタビュー当時のものです)
橋本:自治体の方々とプロジェクトで関わっているので、国の方針をどのように自治体レベルの取り組みに落とし込んでいくかを考えることが多いです。ほとんどの場合、国の方針と自治体の実情にギャップがあるため、国の方針を単に落とし込むのは難しいです。各自治体の実情に合わせて、どのように抽象的な方針を具体化していくか、ひいては住民の方々にどのように影響していくか、ということを熟考することが重要だと考えています。
──公共ビジネスユニットのWebページにもさまざまな課題が取り上げられています。コロナ禍の影響で相談が増えたテーマはありますか?
西:デジタルトランスフォーメーション(DX)です。「とにかくデジタル化しなければ。どうすればいいですか」という相談が増えました。まず私たちは、デジタル化の先にあるゴールや目指す状態を定義することから始めます。目指す姿によっては、無理にデジタル化という手段を採らない方が目的にリーチしやすいケースもあります。デジタル化はあくまで手段なので、その先の何を目指すのか、目的と手段が逆転していないかを、しっかりクライアントと議論します。
プロジェクト数は年間200件。行政DXから大学の経営統合まで、バラエティに富んだ案件
──お二人が担当しているプロジェクトについて教えてください。橋本さんは、まさに行政のDXに携わっているそうですね。
橋本:はい。地方自治体のクライアントに対して、市民の給付金受給の情報などを管理できるよう業務改革・DX推進の支援をしています。これにより地方自治体の業務プロセス・組織・人材・ルール・インフラなどが改善され、より良いサービスを市民に提供できるようになります。入社して以来このプロジェクトを担当していますが、抽象的な課題が少しずつ仕様として具体化してきました。これから来年以降にかけて、より実行に近い支援ができそうなので楽しみです。
橋本 侑介(はしもと ゆうすけ):公共ビジネスユニット シニアコンサルタント
2019年新卒入社。大学時代のゼミをきっかけに、公共性の高い仕事に取り組めること、成長環境があることを魅力に感じてアビームに入社。入社時から地方自治体のプロジェクトを幅広く担当。地方への出張もしながら、自治体の業務改革・DX推進を中心に地域貢献に取り組んでいる。(所属部署はインタビュー当時のものです)
──入社から一貫してDXの最前線に立っているのですね。西さんはいかがですか。
西:教育分野を中心に、15年以上にわたってさまざまなプロジェクトを担当してきました。継続的にお手伝いしているのは大学の経営や業務改革の支援です。地方を中心に、多くの大学が少子化の中で生き残りをかけて模索を続けています。大学の経営改革・組織改革・業務改革や、これらを総合した経営統合支援などが増えています。
最近、私が取り組んだトピックとしては、教科書を検定する仕組みのデジタル化や、教員の働き方改革などがあります。教科書を検定するという業務では、まだまだ紙の文化が残っており、デジタル化によって効率化される余地が多くあります。また、学校現場においては、日本の先生たちは授業以外の雑務に追われていて、「名もなき家事」ならぬ「名もなき先生業務」がたくさんあります。そうした業務の負担を軽くして、生徒に向き合う時間を確保できるように取り組んでいます。
──アビームの公共ビジネスユニット全体では、どのくらいの支援実績があるのでしょう。
西:年間約200件、累積で約2,000件近いプロジェクトを受注しています。「公共性と経済性の両立」をミッションに掲げ、部門ができてからは右肩上がりの成長を続けています。部門には100名ほど所属していますが、公共セクターのコンサルティングニーズに応えるには、まだまだ人員が足りません。
──年間200件ですか! そんなに多くの案件をどう獲得しているのでしょう。
西:コンペによって受注するケースも多いですが、既存のクライアントから継続してコンサルティングの発注をいただくこともとても多いです。一度一緒にプロジェクトに取り組むと、その成果を評価していただけて、新しい課題を相談いただくことがとても多く、依頼が途切れないクライアントがほとんどです。「隣の部署のプロジェクトをアビームさんがやったと聞いた。うちの部署でもやりたいんだ」と声をかけていただくことも多いですね。最近は依頼を受けきれずにお断りしてしまう場合もあるくらいです。
一過性のブームで終わりそうな案件には手を出さない? 公共案件の難しさとアビームが選ばれ続ける秘訣
──アビームが公共セクターの案件に強い理由を教えてください。
橋本:さまざまな角度から課題解決に取り組めることです。公共セクターはシンクタンクが強いイメージを持つ方もいるかと思いますが、リサーチはあくまでプロジェクトの一部分です。実行まで支援し、成果を出せるのは総合ファームだからこそです。
西:公共ビジネスユニットの中で、クライアントの課題解決のためのノウハウを柔軟に連携ができていることも強みです。公共ビジネスユニットでは、年次や職位に関わらずほとんどのメンバーが、過去のプロジェクトの成果にアクセスできるようになっています。
公共セクターは過去の成功事例を求められることが多いですし、前例のない案件でも他領域のプロジェクトから、課題解決の着想を得られることがあります。私自身も、大学の経営統合のプロジェクトでは、大学関連のプロジェクトのノウハウはもちろんですが、高速道路会社の業務標準化などのノウハウも活用していました。
──他の総合ファームとの比較はいかがでしょうか。ノウハウやソリューションの豊富さは他社も同様ではないでしょうか。
西:アビームの特徴は、クライアントの課題に最後まで徹底的に向き合うことだと思います。表現は良くありませんが、最後まで泥臭く向き合います。最後まで責任を持ってクライアントに関わるからこそ、きちんと成果を出すことができるかを熟考して案件を選んでいきますし、日々のコンサルティングでも、成果にどう結びつけるかということを徹底してクライアントと議論する。そのための根拠を徹底して積み上げるという文化が組織の中に根付いています。
取り組む案件については「10年後、20年後を見据えて日本のためになるのか」「クライアントへの成果が定義できるか」の2つを重視しています。一過性のブームで終わりそうな案件や、補助金などがつくからといって成果が定義できない案件は、そもそも社会課題の解決につながるのか、慎重な検討が必要です。最終的なサービスの受益者に対して何が還元できるかが見えない案件も、クライアントへの成果が定義できないので避けています。
──クライアントとの関係性についてはいかがですか。
西:教育分野だと、クライアントごとに生徒、教職員、市民といった多くのステークホルダーにどんな価値を還元できるのか、何を成果とするかを明確にすることから始めます。
公共セクターのクライアントの財源の多くは税金などですから、投資に対する判断は、非常に慎重です。民間企業の投資は、ROI(投資利益率)などを指標にできますが、公共セクターの場合そうはいきません。利潤を得ることが投資の目的ではないため、投資によって、利用者にどういったメリットがあるのか、業務がどれだけ効率化されるかなど、投資の効果をきちんと定義し、これに対し、ステークホルダーからの納得を得ることが必須ですし、ここが大変なポイントです。クライアントのしたいことが本来の目的達成やステークホルダーのメリットにつながらない場合は、議論を恐れず、投資を止めることなども臆せず提案するようにしています。
──アビームの強みは「志のある成果主義」と表現できそうですね。今後の課題や、強化したい分野はありますか?
西:私としては、小規模な自治体や大学組織へのリーチを強化していきたいですね。実体験として、懐が苦しい組織ほど課題も多く、コンサルティングニーズがあるのが現状です。公共ビジネスユニットとして、これまでのノウハウを体系化して廉価に提供できないかと考えているところです。
──これまでのノウハウや顧客基盤があるからこそ、本質的なニーズに応えるための投資が検討できるのですね。
クライアント担当者よりも長く課題解決に取り組める。実現まで寄り添い「文字で終わらない仕事」の醍醐味
──続いては、お二人がキャリアとしてアビームの公共ビジネスユニットを選んだ理由をお聞かせください。西さんは他部門から専門を移したそうですが、どんな面白みを感じたのでしょうか?
西:私が新卒でアビームに入社した当初は、サプライチェーンや物流改革に取り組む部門に配属されました。たまたま公共セクターの案件を手伝ったのをきっかけに、教育分野に興味を持っていたこともあいまって公共ビジネスユニットへの異動を決めました。「日本社会のために」というミッションの明確さも魅力でした。
──橋本さんは、公共経営コンサルタントコースからアビームに新卒入社されました。
橋本:アビームを選んだ最大の理由は、まさに公共ビジネスユニットに所属できる選考コースがあることでした。私は学生時代のゼミ活動をきっかけに、熱い思いを持った自治体を支援する仕事がしたいと思っていました。
他のコンサルティングファームも受けていたのですが、公共セクターを支援する部署はあるものの、どうすれば配属されるのかイマイチ分からず……。アビームは選考の時点でコースが分かれているので、自分のやりたいことが確実にできるところが魅力でした。
──なぜ自分が公務員になるのではなく、支援をする側を選んだのですか?
橋本:ゼミ活動を通じて自治体職員さんの悩みを聞いたからです。一人の職員の立場では、熱意があってもノウハウがなかったり、組織を動かすのに時間がかかったりする。しかも、公務員は約3年で異動があるので、せっかく自分が主体となって取り組んでいても、最後までやり遂げられないこともあると。それなら、公共分野で外部から支援する立場になりたいと思うようになりました。
西:政策は、立案の段階から計画、実行、現場への定着までに5年、長いものでは10年くらいをかけてようやく成果が出る取り組みも多いのですが、公共セクターの担当者は数年サイクルで他の部門へ異動してしまいます。私たちのように外から支援している立場の方が、一つの政策の実現に長く取り組めている実感がありますね。また、中からは変革が難しいことも、外からであれば、多くの事例を糧にさまざまなノウハウを駆使できることで、多面的な方法で政策の実現や課題解決ができると感じています。
──公務員を志望する学生からは「コンサルタントは実行を伴わないのではないか」という声もあります。
橋本:私も就活前は「コンサルティングは口だけの怪しい仕事」だと思っていまして……(笑)。しかし、説明会で総合ファームは実行まで支援することを知り、総合ファームを中心に受けました。きれいな文字やスライドを書いておしまいではなく、最後まで成果を出せることにこだわりました。
西:具体的な成果や手応えを感じられるのも、一つのプロジェクトに長く携わってこそです。私はとある大学の経営統合を企画から提案したのですが、統合が決まるまでは2年以上かかりました。企画書の段階では実感のなかった構想が、数年かけて国の法案になり、もうすぐ提案した組織図に沿った新たな大学組織が生まれようとしています。自分の仕事が形になっていく過程を目の当たりにする喜びはひとしおです。
1年目でも複数プロジェクトを同時並行で──常に成長を実感できる環境
──過去の記事で、アビームは意欲のある若手が裁量やチャンスを与えられる環境だというコメントがありました。入社2年目の橋本さんはどうお感じですか?
橋本:裁量の大きさは1年目から感じていましたね。マネージャーからは、アサインされたときから「プロジェクトの一つの領域を担当している意識を持ってほしい」と言われました。ただタスクをこなすのではなく、特定の領域を自分の責任でカバーしていく意識が身につきましたね。クライアントへのヒアリングや会議の議題づくりを少しずつ任されるなど、常に少しストレッチした業務に挑戦する機会をもらっています。
最近では担当領域のビジョン策定など、全体の方向性に関わる検討事項もリードできるようになりました。ここまで任せてもらえることに驚きつつ、「期待に応えられるよう頑張らないと」と背筋が伸びる思いです。
──自分の成長分野がどんどん増えているんですね。
橋本:そうですね。比較的チームが少人数なこともあり、マネージャーとの距離も近く、フィードバックが充実しているのも成長の後押しになっていると感じます。
──西さんはマネージャーとして、若手にどんな期待を持っていますか。
西:若いメンバーには、クライアントの前に出て「自分たちのことを分かってくれているね」と認められる存在になってほしいですね。マネージャーの指示に従うだけでなく、むしろプロジェクトを引っ張るくらいの意気込みの人は成長が早いです。
また、多くの案件を経験することで、専門領域を深く、広くしてほしいですね。人材育成の観点で、コンサルタントは必ず複数の案件を担当することにしています。一つの案件だけで視野を狭めず、若いうちからさまざまな観点でクライアントに提案できるスタイルを徹底しています。
橋本:昨年は3〜4件のプロジェクトを並行していました。クライアントから得た学びを他のクライアントに適用してみたり、似たような状況を何度か経験することで応用力がついたりと、プロジェクトを通じて知見を試す機会がどんどん巡ってきました。
西:素晴らしいですね。目の前のクライアントへ提供するサービスの価値を高めながら、多くのクライアントに価値を巡らせる好循環が生まれています。これこそがアビームの目指す人材の成長イメージです。
(1)若手のコンサルタントが裁量を持ってクライアントと深く関わる
(2)コンサルタント自身が提供できるソリューションや専門性を磨く(=個人の成長)
(3)コンサルタントが磨いた価値を多くのクライアントに展開する
(4)他の領域のクライアントに対しても価値を届けることで社のノウハウや専門性が深まる(=組織の成長)
このように、個人の成長と組織の成長がきれいにつながっていることも強みです。
目指すは「改革のエキスパート」。志を持つあなたにチャレンジしてほしい
──アビームの公共ビジネスユニットで経験を積んだ先には、どんなキャリアが待っているのでしょうか。
西:クライアントが変化しようとするときに、全方位的なサポートができるコンサルタントになれると思います。扱うテーマは広いですが、いわゆる浅く広くのジェネラリストとは明確に違う存在です。公共セクターの業務改善は一朝一夕にできるものではありませんし、専門家としての自負もありますから。言うなれば、私たちの目指す先は「改革のエキスパート」かもしれませんね。
──興味深いです。ここまでのお話を総括して、一緒に働きたい人物像をうかがえますか。
西:「志」があることです。橋本さんのように公共セクターを支援したい思いを持っている方や、他者を助けたい気持ちの強い方を歓迎したいです。社会課題に向き合う上では、タフな状況でクライアントに向き合わなければならないシーンもあります。志がないと厳しい仕事でもあるので、採用する上で重視しているポイントです。その上で素直さをもって自己学習を続けられることが大切だと思います。
橋本:確かに、アビームの選考は内面を強く問われていると感じました。外資系ファームでは、能力やプレッシャーのかかる状況での対応力を試されている感覚がありました。一方のアビームは、能力はもちろんですが「今後はどういうことがしたいか」「そのために今は何をしているか」など、内面を掘り下げる質問が多かったです。
自分の将来を考えたときに、志を大切にしてもらえる場所で働いた方が成果を出せそうだと思ったのも、アビームを選んだ理由の一つです。
──橋本さんは、アビームで活躍できる若手になるためには何が大切だと思いますか。
橋本:自分で考え続けられることだと思います。若手のうちは資料作成などのタスクもありますが、言われたことをやっているだけではコンサルタントとしての付加価値はありません。たとえ地味な作業でも、その裏にある意図を考え、自分なりの価値を出そうとすることが大切です。仮説を持って取り組んだ上で、上長からのフィードバックを基に検証・改善のループを回すよう意識しています。
──ありがとうございました。最後に、お二人から就活生へのメッセージをお願いします。
西:人生でこれだけ多くの企業や社会人と接点を持てるのは、就活の時期だからこそです。ぜひいろいろな企業や業界を見て、就活自体を有意義に楽しんでください。そのうえで、アビームの公共ビジネスユニットには面白い取り組みや魅力的な成長環境があると思うので、ぜひ興味を持っていただけたらうれしいです。
橋本:コロナ禍によって環境がガラッと変わった方もいるかと思います。就活では大切にしたい価値観を振り返り、「自分は何をやりたいんだろう」と見つめ直してほしいです。アビームには社会課題に取り組みたい人がチャレンジできる土壌があります。思いを持っている方と、社会課題の解決に向けてぜひ一緒に仕事ができればと思います。
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