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【実例解説】NRIの経営コンサルタントの仕事とは?プロジェクトアサイン〜評価方法まで大解剖

企業インタビュー 企業理解 インタビュー コンサル 日系
2024年2月19日(月) | 1,836 views
sponsored by 野村総合研究所
本記事は「ONE CAREER PLUS」に掲載されたコンテンツを転載したものです。中途入社者向けではありますが、学生の皆さんにも参考になる内容です。

転職市場でも高い人気を誇るコンサルティング業界。幅広いプロジェクトから汎用性の高いスキルや経験が得られるイメージがある一方で、

「実際にどのような仕事をしているのか?」

「お客さまへの関わり方や、最終成果物は何か?」

コンサルタントの仕事の具体性がつかめないという声も。

そこで、今回は日本のリーディングカンパニーや官公庁の課題解決を行う国内コンサルティングファームである野村総合研究所(以下、NRI)で、経営コンサルタントとして働く岡部泰久さんと冨井麻帆さんにインタビューを実施。

お二人が実際に手がけているプロジェクトを例に、プロジェクト体制や進行過程、お客さまへのアウトプットから、評価制度や働き方まで、さまざまな側面から経営コンサルタントの仕事に迫った。

<目次>
●自ら声を上げることが、専門性や希望を生かすプロジェクトアサインにつながる
●顧客の課題解決のためには、部署・国を越えた体制構築も
●細かく定例を設け、プロジェクトの進捗を確認
●NRIの育成カルチャーで、若手や未経験者の成長が加速
●エクセルやパワポじゃない。解釈や進行過程、そこから得られる価値そのものがアウトプットに
●多角的で双方が納得できる充実の評価制度
●主体的にクライアントワークと自主学習を両立できる環境

自ら声を上げることが、専門性や希望を生かすプロジェクトアサインにつながる

──まず、担当されたプロジェクトは、どのようにアサインされたのでしょうか?


岡部:私のプロジェクトは、2021年ごろからのお付き合いなのですが、きっかけはアカウントマネージャーに、「お客さまがデジタルを活用した新規事業の企画に悩んでいる。手伝ってほしい」と声をかけてもらったことから。

当時は出向から戻ってきたタイミングで、自身の専門性である、製造業×デジタル×新規事業を生かせる仕事を創っていきたいと話していたため、声がかかったのかなと思います。


冨井:私も、自分の興味業界をマネージャーに伝えていました。今回のプロジェクトは、結果としてICT・コンテンツ産業コンサルティング部(以下、ICTコン)に所属されている方から当部署のマネージャーに、「お客さまが新規プロジェクトでマーケティングのサポートを探している」と話を持ちかけてくださり、後日マネージャー経由で打診があったんです。


──他部署からも声がかかることもあるんですね。


人事:コワークというかたちで、他部署との協業プロジェクトもあります。情報連携もスムーズで、進めやすいですね。


──他のプロジェクトでも、専門性に応じて話がきたり、希望のプロジェクトにアサインされたりすることがあるのでしょうか?


冨井:自身が望むテーマのプロジェクトで業務を埋めることは可能です。自ら手を挙げてプロジェクトにジョインしたという同僚の話も、よく耳にしますね。


岡部:個々の専門性が高いことはもちろん、若手でも主体性を持って発信していれば、比較的希望に沿ってプロジェクトへアサインされます。

顧客の課題解決のためには、部署・国を越えた体制構築も

──今回ピックアップいただいたプロジェクトは、どのような体制でしたか?


冨井:私は、NRI上海とマーケティングサイエンスコンサルティング部、 ICTコンから選抜した7名のメンバーで構成しています。プロジェクトマネージャーとリーダーは固定で、東京から2名、上海は3名、ICTコンが1名、加えてインド在住のプロジェクトアドバイザーが入っています。

プロジェクトの目的が中国での市場開拓なので、メインはNRI上海で、当部署では日本市場の分析を任されています。


──アドバイザーは何の役割で入っているのでしょうか?


冨井:われわれにはない専門性を兼ね備えているので、定期的にアドバイスや意見をいただいています。アドバイザーの在籍地は関係なく、その人材が持つ専門性や関係値によって選ばれますね。自分の部署や日本で閉じて仕事を進める、というのがあまりないかと。


岡部:私はおよそ3カ月単位でプロジェクトのテーマが変わるのですが、だいたい3〜5名の体制です。ここ1年は、同じプロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーである私で、テーマごとに相談して残りのメンバーを組み替えています。

冨井さんもおっしゃっていたように、お客さまの課題解決がゴールなので、提案の段階から体制の解像度が重要になることも。実際、体制から議論することもあれば、プレゼンの決め手が体制になることもあります。その際、コンサルタントを名指しで指名したり、類似プロジェクトの実績を紹介してほしいと言われることもありますね。

──プロジェクトリーダーが、体制やプロジェクトアドバイザーの有無などの意思決定を行うのでしょうか?


岡部:基本的に体制を決めるのはプロジェクトリーダーが多いと思います。ただ、プロジェクトリーダーは個々のコンサルタントのスキルを全て把握するのは難しいので、プロジェクトマネージャーや部長に相談し、適性のある人材のピックアップや声がけをサポートしてもらいます。

細かく定例を設け、プロジェクトの進捗を確認

──体制が決まった後、プロジェクトをどのように進行していくのでしょうか?


岡部:プロジェクトによって異なりますが、基本は以下のような流れです。

岡部:私は、お客さまのプロジェクトリーダーとの定例会議は週に1回程度、決裁者or意思決定者との協議・合意の場は月に1、2回程度設定するようにしています。実行支援を含むプロジェクトだと、社内では毎日30分の定例を入れるときもありますね。


──定例前後にも、社内ミーティングを実施していますが、どのような目的でしょうか?


岡部:お客さまとのミーティング後に振り返りを行い、どのような準備をすべきかすり合わせています。アウトプットの完成度が50%ほどになった段階で進捗(しんちょく)を確認する会議を行い、最後に直前会議を必ず設定して、ミーティングの内容や時間配分の確認を行うというサイクルです。その間で、お客さまの新たな要望にも都度対応していきます。


冨井:国外のプロジェクトはもちろん、国内の組織でもミッションや方向性が異なると齟齬(そご)が生じやすいので、目標や目的のすり合わせが重要になってきます。

お客さまの課題が定まっていないときは定例会議を設け、都度調整しながら進行しますし、当部署は複数のプロジェクトを同時進行するマルチアサインの体制なので、社内のチャットは毎日動いており、いつ相談しても誰かしら反応してくれます。

ある程度の内容がまとまると会議を減らしたり、逆に軌道修正が必要になると3日に1回に変更したりと、臨機応変に調整していますね。

NRIの育成カルチャーで、若手や未経験者の成長が加速

──在籍年数が長く経験豊富な方が、若手の方や未経験の方を育成するなど、フォロー体制が整っていると伺いました。


冨井:入社してすぐ、エキスパートの方から資料作成の研修や丁寧な赤入れなどの手厚い指導を受け、NRIイズムを学びました。入社して3カ月目で報告会に出ることになったときは緊張しましたね(笑)。もちろんプロジェクトリーダーが責任を取る体制ですが、若手にとっては非常にチャレンジングな環境です。


岡部:私も異業界・異業種の未経験からの転職で、キャッチアップには苦労しましたが、当時所属していたグループ長やインストラクターのOJTのおかげで一人前になれました。だからこそ、先輩が自分にしてくれたように、私も育成には熱を注いでいます。若手には、一日でも早く現場で活躍してほしいですね。


──育成環境が整っているからこそ、若手や未経験の方でも活躍できるんですね。


冨井:私は少し前にインストラクターから卒業したばかりですが、このプロジェクトではリーダーを務めています。若手がリーダーを任されることもよくありますね。


岡部:ここはまさに、NRIのカルチャーが体現されている部分です。プロジェクトリーダーを経験すると、業務への意識が変わります。当事者意識が圧倒的に生まれますし、先輩の後ろ盾があるので、非常に挑戦しやすいと思います。


──そのような機会は若手の成長につながりますが、会社としてのリスクもありそうです。NRIとしてはなぜ早くから挑戦機会を与えるのでしょうか?


人事:当社としては、オーナーシップを持ってプロジェクトに向き合うことが若手の成長につながりますし、われわれもそこを通って今があるので、このカルチャーを大事にしています。

基本的にどんどん任せていきますが、初めてプロジェクトリーダーを経験する際は、より上位階層のコンサルタントの参加・サポートを体制上に組み込み、品質面でお客さまと齟齬が生まれないような仕組みにしています。


冨井:正直、プロジェクトの中では失敗することもあります。それでも、お客さまに指摘されながら次へ向けた前向きな話ができることには驚きました。それは過去にNRIのエキスパートが培った実績による、信頼の厚さだと実感しましたね。その土壌があるからこそ、今も共に挑戦できるのだと思います。


岡部:ミスをしても個人を責めるような指摘ではなく、それまでのプロセスを検証するような建設的なフィードバックがあります。よく一緒に仕事するプリンシパルは、フィードバックをたくさん行ってくれます。それも、私の成長の方向性や客観的な強みを掛け合わせて、今後こういった提案ができたら良いよね、と個に寄り添った質の高いフィードバックなんです。


人事:レビューをもらうことでさらなる成長につながる一方で、口を開けて待っていれば必ずフィードバックがもらえるわけではありません。

会社として、プロジェクト終了後にお客さまからもフィードバックをもらいますが、岡部さんのように成長する意思・モチベーションが強くあるからこそ、そういった手厚い言葉をもらえるのです。成長に意欲的で主体性がある人には、フィードバックや希望のプロジェクトなど、さらなる挑戦機会を会社としても提供していきたいと考えています。

エクセルやパワポじゃない。解釈や進行過程、そこから得られる価値そのものがアウトプットに

──コンサルタントのアウトプットは、パワーポイントやエクセルなどの資料をイメージする人も多いです。お二人が関わるプロジェクトだと、どういったものになるのでしょうか? また、前職の経験が活きている部分もあれば、併せてお伺いしたいです。


冨井:入社する前は、エクセルやパワーポイントがコンサルタントのアウトプットだと思っていました。それは間違いではなかったのですが、エクセルの設問だけでなく、その背景や目的、仮説といったマーケティング分析の泥臭い調査票もアウトプットになります。

コンサルタントに求められるのは、エクセルに意味を持たせるというより、エクセルにまとめた資料をどう解釈してパワーポイントへ落とし込むか、というスキル。

具体的には、私の仕事は生活者の方にアンケート調査をして、その結果を資料にまとめるのですが、エクセルにある100のデータのうち、例えば5のデータをパワーポイントへ落とし込むとします。すると、お客さまは5のデータだけでなく、95のデータを捨てた理由を聞いてくるのです。

その背景やお客さまへ説明するストーリー作りには、毎回かなりの時間を費やしますし、そのための詳細な数字まで出すこともあります。エクセル作成のスキルは前職の経験から活きているものの、エクセルそのものをまったく違う使い方をしていると感じますね。


岡部:入社時は「あなたが作る資料はお客さまにとって一枚数十万円。見合った価値があるかをよく考えて」と、よく言われましたし、お客さまの期待に応えた業務全てがコンサルタントのアウトプットだと定義していました。

その解釈自体は間違ってはいなかったのですが、出向した際に、パワーポイントを作る暇もなく忙しくなったことがあったんです。そこで、お客さまから承認を取って投資を行い、サービスを生み出し、フィードバックを反映してPL(損益計算書)が伸び、バランスシートが大きくなって、といった一連の流れをアウトプットだと思うようになりました。

パワーポイントを作成して、それによって価値を出すだけでなく、ここ最近は最後にお客さまに意思決定させる、もしくは大きな経営承認を取って次のステップに進んでもらうこと、それをアウトプットとして活動したいと強く意識しています。

また、前職の業界や職種が全く異なるのですが、クライアントワークで培ったスキルや経験は活きていますね。前職はメーカーの営業でしたが、お客さまの要望に応えるために、研究開発や設計、調達、製造など、さまざまな部署・業務に関与していました。それによって、プロジェクト全体を俯瞰(ふかん)して課題を抽出するスキルが身につきましたし、現在も役に立っていますね。

多角的で双方が納得できる充実の評価制度

──プロジェクト終了後に、各メンバーに対して、社内ではどのような評価が行われているのでしょうか?


人事:プロジェクト単体の結果で評価はせず、C&A(Challenge&Act)制度をとおして半期に一度、個人の評価と次の目標設定を全社で時間をかけて行います。プロジェクトの受注額・提案数や予算に対する稼働量などの定量的なデータ、プロジェクト内外での姿勢・ふるまいといった定性的なデータや組織貢献、対外発信の有無といった活動の全てが評価対象です。

より上位の職階になると、前半の定量的な面を重く見られるなど、年次・職階によって評価に影響を与える項目の比重が変わってきます。

冨井:目標設定の時間をしっかり設けてくれるので、認識にギャップがなく、求められているものが明確なのでとても仕事がしやすいです。また、最近は出社が増えて対面の機会が多いのですが、忙しさが顔に出るとマネージャーが30分程度時間を取って話を聞いてくれることもあります。


岡部:役職が上がるタイミングでは、リーダーやマネージャーが周囲から評価の材料となりそうな意見を、本人の知らないところで集めてくれます。マネージャーは常にメンバーのコンディションを把握してくれていると感じますね。部署が変わっても、期待値を明確に伝えてくれることもありがたいです。


冨井:入社前に部長から「けっこう見ているよ」って言われた言葉が忘れられなくて(笑)。


岡部:見ていないようで、けっこう見られているんですよね。


人事:評価体制は整っていますが、一方で成果が出ない状況が続くと、やはり昇給や昇格は難しいです。しかし、評価する側もされる側もお互いに良い結果につながるよう、努力していますので、目標設定や評価に関しては、会社全体として時間をかけて実施しています。

主体的にクライアントワークと自主学習を両立できる環境

──プロジェクトによって繁忙期はあると思いますが、一般的な1日の流れをお伺いできますか?


冨井:お客さまの希望を尊重すると、どうしても依頼が集中してしまい、複数のプロジェクトを同時に回すときもあります。朝7時から深夜まで稼働しないといけない時期も。そのため、いかに生産性を上げるかが重要です。また、17時にクライアントワークが終わっても、対外発表のためのレポート執筆といった勉強を行っている社員も多くいます。


岡部:早朝から夜までひたすら会議が続く日や、移動に半日費やすときもゼロではありません。いかに時間を捻出するか、次の5分で何を考えるかといったタイムマネジメントがかなり重要ですね。

また、次の新規プロジェクトに向けて営業活動をするなど、自分から追い込まないといけないタイミングもあります。「◯◯業界の専門性を上げるために、◯◯の勉強がしたい」「本場の知見を学びに、将来は留学をしたい」といったモチベーションの高い社員も多いので、クライアントワークとバランスを取りながら、個々がさまざまな活動に取り組んでいる印象です。

一方で、組織としては、健康管理は非常に徹底しています。勤務時間のログが電子的に取得されていることを背景に、こちらが声を上げなくても、「大丈夫?」と声をかけてくれるので、セーフティーネットは担保されている印象です。


冨井:コロナ禍でリモートワークが増えたことを懸念し、労務管理のグループマネージャーが個々の稼働や負荷を小まめに見るようになり、生産管理のギアが一段上がったようにも感じました。昔より、業務量を調整してほしいといった声もあげやすくなったと聞きます。

有給や夏休みといった休暇も取りやすいです。休みたい日をマネージャーに伝えると、その前後で業務調整をしてくれるので、プライベートの予定も入れやすいですね。


──最後に、転職を考えている方々に向けてのメッセージをお願いします。


冨井:転職すると新しいことにもチャレンジでき、まるで自分がスキルアップしたかのようですが、それに浮かれず地道な努力をし続けることが大切です。

自ら選択したところに飛び込むなら、その環境で「自分がどうなりたいか、なりたい自分に近付けるか」を想像して、転職活動を続けていただければと思います。


岡部:私はNRIに転職して本当に良かったです。転職活動中はいろいろと不安もありましたが、一歩踏み出して挑戦した結果、周囲の手厚いサポートもあり、大きく成長できました。キャリアで重視したいこと・成し遂げたいことを明らかにし、後悔のない選択をしてください。


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