マインドマップとは、特定のキーワードを中心として、関連する言葉やイメージを放射状につないだ図のことです。マインドマップは自己分析や会議、思考を整理するためのメモなどに活用できます。
就活で自己分析をする際にマインドマップを使うと、思考を可視化して頭の中を整理できるため、自分の強みや得意なことなどが明確になります。効果的なマインドマップの書き方や無料のツールやアプリ、注意点などをまとめました。
<目次>
●マインドマップとは
●マインドマップを自己分析に活用するメリット
・誰でもいつでも簡単に取り組める
・思考を整理して見える化できる
・自由に発想を広げ、深められる
・後から情報を追加できる
●マインドマップの書き方を具体例で解説
・テーマを決めて中心に書く
・テーマに対して関連するキーワードを派生させる
・「なぜ?」を繰り返して項目を深掘る
・強みや価値観を見つけ出し、自己PRを作成する
●マインドマップを作る際の注意点
・1枚にまとめる
・書くことを目的にしない
・後から見返しても分かるようにする
●マインドマップの活用例
・強み・弱み
・業界・企業選びの軸
・キャリアプラン
・ガクチカ
●マインドマップ作成に役立つ無料ツール・アプリの紹介
・Xmind
・Miro
・MindMup
・MindMeister
・その他
●この記事のまとめ
マインドマップとは
マインドマップとは、頭の中にある思考やアイデア、情報などを、中心に据えた概念から放射線状に分岐させて書き表す図のことです。1970年前後に、イギリスの教育家トニー・ブザンが思考の表現方法として提唱しました。
マインドマップは、就活では自己分析のツールの1つとして使われ、自己PRの作成や企業選びの軸を定めるのに役立ちます。
マインドマップを自己分析に活用するメリット
マインドマップを自己分析に活用して得られるメリットは、多岐にわたります。そもそも自己分析とは、自分の経験や思考をもとに価値観や強み・弱み、長所・短所などを客観的に分析し、自己理解を深めるための作業です。
マインドマップの活用により、誰でも簡単に自己分析に取り組めるほか、思考を可視化できるために、価値観や強みなどをより明確化できる点などがメリットです。マインドマップを活用して自己分析を行うメリットについて詳しく解説します。
誰でもいつでも簡単に取り組める
マインドマップを使うメリットは、誰でもいつでも簡単に自己分析に取り組める点です。
マインドマップを作成する際、中心に記載したテーマから連想された要素を、周辺に単語で書き出します。長文を作成する必要がなくシンプルな作業であるため、特別なスキルや知識がなくても比較的容易に作成できるといえるでしょう。
また、紙とペンさえあれば作成でき、思い立ったときにすぐに始められるのも利点です。一度に完成させる必要はなく、移動中などのすきま時間にも作業を進められます。
近年では、マインドマップを作成できるソフトやアプリも登場しています。紙に書き込む作業が面倒だと感じる方は、ぜひ使ってみてください。
思考を整理して見える化できる
マインドマップを作成すると、思考を整理して見える化することが可能になります。頭の中で漠然と考えていたことも、紙に書き出すことで自然と整理ができます。また、中心に記載したテーマから連想した要素をすべて可視化できるため、さまざまな角度からさらに深掘りできる点もメリットです。
マインドマップは言葉だけでなく、絵や記号も用いながら、思い浮かんだイメージを自由に描けます。それにより、言葉にしにくい抽象的な概念も分かりやすく表現でき、見返した際にもイメージを再現しやすいといえます。
1枚の紙に書き出すことから、全体像を把握しやすいことも利点です。さらに、中心に記載したテーマから連想したキーワード同士が線でつながっているため、それぞれの関連性が分かりやすい点も、自己分析にマインドマップの活用をおすすめする理由の1つです。
自由に発想を広げ、深められる
マインドマップは自由に発想を広げ、深められます。そのため、マインドマップを活用した自己分析はパーソナリティーを反映した内容になりやすい点が特徴です。
中心に記載したテーマの周囲に連想した要素を書き込むことで自己分析の内容が可視化され、あらゆる角度から繰り返し考えられます。その結果、無自覚であった自分の価値観や強みに気づく機会になり得ます。
後から情報を追加できる
後から気軽に情報を追加できる点も、マインドマップのメリットです。そのため、適宜行う必要のある自己分析に適しています。
自分の考えや価値観は変化し続けるものです。特にさまざまな経験ができる大学生のうちは変化が大きいことから、自己分析を一度しか行わない場合、少し時間が経過した後の自分と乖離(かいり)が生じる可能性があります。
マインドマップは、中心に記載したテーマの周りにどんどん情報を追加することが可能です。それにより、常にそのときの自分を反映した内容に近づけられます。これまでの自己分析の内容がそのまま残っているため、自分の中で起きた変化について可視化しやすい点もメリットです。
マインドマップの書き方を具体例で解説
ここからは、マインドマップを作成し、自己PRを完成させるまでの手順をご紹介します。連想ゲームのような感覚で作れるため、気負わず取り組みましょう。
テーマを決めて中心に書く
まずは深掘りするテーマを決めて、用紙の中心に記入してください。
はじめて自己分析を行う場合のテーマは、「自分」にすることをおすすめします。自分というテーマから、「好きなこと」や「つらかったこと」、「性格」など自分の内面や経験へと派生させていきます。
一方、「自分の長所」や「やりたいこと」など、自己分析を行いたいテーマが決まっている場合は、深掘りしていきたいテーマを中心にしましょう。
なお、テーマは必ず用紙の中央に書くように意識してください。中心に記載したテーマから連想したキーワードを、放射状に書き足していくためです。
テーマに対して関連するキーワードを派生させる
テーマを中心に書いたら、周囲に関連するキーワードを放射線状に派生させていきます。
例えば、テーマが「自分」である場合は、「好きなこと」や「アルバイト」といったように、自分を構成する要素をテーマの周りに書きます。そして、好きなことが「音楽鑑賞」である場合は「好きなこと」から線を引き、「音楽鑑賞」と書き足しましょう。
放射線状に書く線は「ブランチ」といいます。1つのブランチに対して書くのは、基本的には1つのワードです。
「なぜ?」を繰り返して項目を深掘る
テーマから派生して書き足した内容について、「なぜ?」を繰り返して項目の深掘りを行っていきます。
例えば、「達成感を得られたこと」の具体的な内容を「部活動での県大会優勝」と書いた場合は、「なぜ達成感を得られたのか?」と問いかけましょう。このケースでは、「部活動での県大会優勝」→「なぜ?」→「皆で目標を達成できたから」→「なぜ?」→「つらいときも声を励まし合ったから」といった流れです。答えが出なくなるまで、問いかけを続けるのがポイントです。
深掘りをする際は、必ず「なぜ?」と問いかけるという決まりはありません。「それから?」「そのときの気持ちは?」といった深掘りの仕方もあります。
このとき、長々と文章を書かないようにすることも大切です。単語や短い文章で書くと、文章作成の手間がかからずスピーディーに取り組めます。単語や短い文章であっても、ブランチのつながりで意味が分かるため、後で見返した際に内容を思い出せます。
強みや価値観を見つけ出し、自己PRを作成する
マインドマップを使って自分の内面や経験を掘り下げていくと、強みや価値観などが浮き彫りになっていきます。それらをもとに、自己PRを作成しましょう。
例えば「達成感を得られたこと」が「部活動での県大会優勝」で、理由が「皆で目標を達成できたから」であれば、チームで支え合い、目標達成を目指すことが向いている可能性があるでしょう。
このようにマインドマップを使って自己分析を行えば、パーソナリティーが反映された、根拠のある自己PRが作れます。
マインドマップを作る際の注意点
マインドマップを使った自己分析を行う際、いくつかの注意点を知っておくことで、失敗することなくスムーズに取り組めます。ここでは、マインドマップを作る上での注意点を解説します。
1枚にまとめる
マインドマップは、1枚の紙にまとめましょう。1枚にまとめることで、思考の流れを体系的に把握しやすくなるためです。
紙が複数になってしまうと、後で見返したときにつながりが分かりにくくなってしまいます。そのため、なるべく単語で書くことを意識し、文章になる場合でも短く書くように心がけましょう。ブランチも短めに記入するのがポイントです。
書くことを目的にしない
マインドマップを書くことが目的にならないように注意してください。マインドマップを作成する目的を考えながら作業することが大切です。
マインドマップを作成する目的は、自己分析の深掘りです。マインドマップを奇麗にまとめあげることに注力してしまい、マインドマップの作成それ自体が目的になってしまうケースも少なくありません。しかし、肝心の自己分析が中途半端に終わってしまっては、本末転倒です。
マインドマップは自分の思考を整理し、自分の強みや特徴、仕事選びの軸を見つけ出すツールに過ぎないことを忘れずに取り組みましょう。
後から見返しても分かるようにする
後から見返しても分かるようにすることも、マインドマップを作る際に欠かせないポイントです。重要なポイントを太字にしたり、色分けしたりしておくことがおすすめです。
自己分析した内容は、企業選びや自己PRの作成、面接対策などでその都度必要になります。後で見返したときにすぐに内容が把握できないと、結局使わなくなってしまう可能性が高いです。そのため、時間がたっていても、見返せばすぐに内容が理解できるように工夫する必要があります。
具体的には、以下のような工夫をすると良いでしょう。
・カテゴリー別に基調色を作る ・カテゴリーや内容によってブランチの形を直線、波線のように変える ・重要なポイントを太字で強調する ・イラストを用いる ・関連性のある内容を近い色で書く
マインドマップの活用例
マインドマップを使って自己分析を行うと、思考を可視化し、頭の中を整理できるため、自分の強みや企業選びの軸などを明確化できます。ここからは、就活におけるマインドマップの具体的な活用例を見ていきましょう。
強み・弱み
マインドマップを活用した自己分析を行うと、自分では気づいていない「強み・弱み」が明らかになります。マインドマップを使った自己分析は、思考を整理し可視化できるため、通常の自己分析では出てこないような「強み・弱み」を見つけられる可能性があります。
就活における「強み」とは、主に仕事で発揮できるスキルや能力のことです。一方で「弱み」とは、仕事において改善が必要なスキルや能力であり、いずれも面接やエントリーシート(ES)で頻繁に問われます。
強みと弱みをマインドマップで見つけるおすすめの方法は、「苦手なこと」を中心テーマにして、自分の弱みを深掘りしていく方法です。強みと弱みは裏表の関係にあるため、弱みを明らかにできれば、自覚していなかった強みを明確化できます。
例えば、弱みが「完璧主義でこだわりが強い」場合は、「何事にも細部まで丁寧に取り組む」ことが強みといえる可能性が高いです。また、「自分の意見を主張するのが苦手」であることが弱みの場合は、「協調性が高く他人の意見を尊重できる」ことが強みといえます。
このようにマインドマップの活用は、意識していない強みと弱みを見つけるために有効です。
業界・企業選びの軸
マインドマップを活用した自己分析は、業界・企業選びの軸の決定にも役立ちます。
マインドマップは自由に発想を広げ、深められるため、通常の自己分析よりも無自覚なパーソナリティーを反映できる傾向にあります。
そもそも、自分にどのような業界や企業が向いているのかを判断するには、自己分析によって、自分自身の価値観ややりたいことを理解していなければなりません。マインドマップを使うと、自己分析の内容を可視化し、あらゆる角度から繰り返し考えられます。
具体的には、「やりたいこと」を中心テーマに掲げ、自由にやりたいことを連想していくことをおすすめします。「仕事でやりたいこと」に限定する必要はありません。プライベートでやりたいことを、思いつくままに書き出していきましょう。
例えば、やりたいことが「好きなアーティストのライブにすべて参戦する」である場合、「なぜそう思うのか」などの問いを繰り返すことで、自分の価値観に近づいていきます。価値観ややりたいことを明確にした上で業界や企業を選ぶと、入社後もモチベーション高く働ける可能性が高いです。
キャリアプラン
就活におけるキャリアプランを作成する際も、マインドマップを活用した自己分析を行うと、自分の価値観や強みを踏まえた内容になります。
強み・弱みや企業・業界選びの軸の決定と同様に、マインドマップを利用することで思考を可視化するとともに、自由で柔軟な発想のもと自己理解を深められるためです。
マインドマップによって明らかになった仕事への価値観や考え方をもとに、将来的に仕事で何をしたいのか、どのように働きたいのか、どのようにその目的を達成するのかを考えましょう。自分のやりたいことやなりたい人物像、得意なことなどを掘り下げ、自分自身のことを深く理解できれば、おのずと目指すべきキャリアの方向性も見えてくるはずです。
ガクチカ
「ガクチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと」の略称であり、企業が学生の人柄や自社とのマッチ度を確認するために、頻繁に問われる内容です。
マインドマップを活用し過去の経験を深掘りすることによって、「力を入れていた理由」や「どのように取り組んでいたのか」といった問いにも対応できます。「力を入れたこと」に対して「なぜ?」あるいは「どうやって?」などと問いかけながら、ブランチを伸ばして作成できるためです。
企業はガクチカの内容に加え、「力を入れていた理由」や「取り組みのスタンス」も確認します。単に頑張った内容を伝えるだけではなく、「どのように取り組んでいたのか」や「意識していた点」をしっかりとアピールすることに意味があることを押さえておきましょう。
マインドマップ作成に役立つ無料ツール・アプリの紹介
就活におけるマインドマップを使用した自己分析を効果的に行うのにおすすめなのが、マインドマップ作成に役立つソフトやアプリです。ここからは、無料で使えるマインドマップの作成におすすめのソフトやアプリをご紹介します。
Xmind
Xmindは、美しいテンプレートが特徴のマインドマップ作成ツールです。過去にはEclipse RCP アプリ大賞を受賞し、世界で1億回以上もインストールされるなど高く支持されています。デスクトップ版とモバイル版があるため、パソコンとスマートフォンの両方で利用できます。
有料版と無料版がリリースされており、無料版の特徴や搭載されている機能は以下のとおりです。
・無制限のトピックとマインドマップ ・画像ファイルへのエクスポート機能 ・マップデータの共有機能(無料アカウント作成が必要)
無料版でも、マインドマップを無制限に作成できる点が魅力です。使用できるデバイス数をはじめとしたいくつかの制限はあるものの、最低限の機能はそろっているため、基本的に無料版で十分目的を達成できるでしょう。
Miro
Miroは、世界に約6,000万人のユーザーを抱える、リモートで共同編集が可能なオンラインホワイトボードサービスです。マインドマップテンプレートのほかにも、プレゼンテーションテンプレートや4P分析テンプレートなど、搭載されているテンプレートは多岐にわたります。ウェブブラウザーで使用できるタイプのほか、アプリ版も用意されています。
Miroのオンラインマインドマップでは、カラフルで曲線的なスタイルや、黒色のシャープなスタイルなど、多彩なデザインでアイデアの視覚化を行うことが可能です。無料版でも、3つのホワイトボードが編集できます。
・Miro
MindMup
MindMupは、Googleドライブとの連携が可能なマインドマップ作成ツールです。特にGoogleのツールをよく使う場合に便利で、共有も簡単に行えます。料金プランは3つ設定されており、無料プランの特徴と利用可能な機能は以下のとおりです。
・利用できるマップ数は無制限 ・アカウント登録やログインは不要 ・最大100キロバイトのマップをMindMupストレージに最大6カ月間保存できる ・PDFやPowerPointなどへのエクスポートが可能
無料版でも、マップをMindMup専用のクラウドストレージに最大6カ月間保存できますが、その後は公開情報となってしまうことに注意しましょう。公開されるのを避けたい場合は、有料版の使用をおすすめします。
MindMeister
MindMeisterはオンラインで利用できる、インストール不要のマインドマップ作成ツールです。世界中で約3,700万人のユーザーに利用されており、高い評価を受けています。ウェブベースのため、OSやデバイスを選ばずに使えることが特徴です。
無料で使えるベーシックプランのほか、3つの有料プランが存在します。MindMeisterのベーシックプランの特徴や利用できる機能は以下のとおりです。
・最大3つのマインドマップが利用可能 ・共同作業できる相手の数は無制限 ・トピックごとにコメントやメモを残せる
ベーシックプランで作成できるマインドマップは最大3つのため、無制限に作成したい場合は有料プランへの切り替えを検討しましょう。
その他
上記以外におすすめのマインドマップ作成ツールは、以下のとおりです。それぞれの特徴や機能は下表をご参照ください。
概要・特徴 | 無料版のマインドマップの機能 | |
EdrawMind | ・インストールして利用 ・Windows版とMac版だけでなく、Linux、Android、iOSにも対応 |
・マインドマップ作成数は無制限 ・1シートにつきブランチが100までのマインドマップの作成が可能 ・126のテンプレートが利用可能 ・レイアウトは14種類から選べる |
Coggle | ・ウェブで使えるマインドマップ専用作成ツール ・3つの料金プラン |
・マインドマップ作成数は無制限 ・非公開で保存できるマインドマップは3つ ・1,600以上のアイコンが利用可能 |
FreeMind | ・マインドマップやアイデアプロセッサと呼ばれるオープンソースのフリーソフト | ・描画機能はないものの、ノードを追加して展開が可能 ・マインドマップはPDFやPNG、HTMLといった形式で保存できる |
この記事のまとめ
マインドマップは、特定のキーワードを中心として、関連する言葉やイメージを放射状につないだ図のことです。マインドマップを作成することで、思考を可視化して頭の中を整理できるため、自分の強みや得意なこと・弱みなどが明確になります。
今回は、マインドマップの書き方や活用、注意点を詳しくご紹介しました。マインドマップを自己分析に活用することで、強み・弱みや企業・業界選びの軸を明確にできるでしょう。他の自己分析手法と組み合わせることで、自己分析を深め、就活を進めていきましょう。
(Photo:eamesBot/Shutterstock.com)