こんにちは、ワンキャリ編集部です。
近年では、日系メーカーを中心に職種別採用を行う企業が増えています。数ある職種の中でも人気が高いのがマーケティング職。しかし、「マーケティング職に向いてる人ってどんな人だろう?」「どうすればマーケティング職に就けるんだろう?」と頭を抱える学生も多いのではないでしょうか。今回は、資生堂が1年で売り上げを低迷期の8倍に伸ばした具成功事例を用いて、マーケターに求められるスキルセットを説明します。
ブランド存続の危機を迎えていた「シーブリーズ」
資生堂が展開する制汗剤ブランド「シーブリーズ」は2007年頃、売上が大不振に陥り、ブランド存続の危機を迎えていました。その当時、課題は大きく分けて2つありました。
1. ペルソナ(※1)は「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20〜30代の男性」を設定していたが、そもそも20〜30代男性は海に行かなくなってきた
2. ブランドの方向性を長らく変更しておらず、ブランドに対して時代遅れなイメージが蔓延していた
(※1)ペルソナ:企業が提供する製品・サービスにとって、もっとも重要で象徴的なユーザーモデル
これらの課題を乗り越え、ブランドを再生させたマーケティング戦略と施策を詳しく見ていきましょう。
ペルソナを180度転換したブランドイメージの刷新は「論理的思考力」からもたらされた
シーブリーズは、長年継続してきた「海でマリンスポーツの後に汗を拭く20〜30代の男性」というペルソナを「部活後に好きな男の子に会うために汗を拭く、恋する女子高生」に大転換しました。
その理由の一つは、データリサーチから「高校生、とりわけ女子高生が制汗剤を使いたがっている」という潜在ニーズが見つかったからです。もう一つは、シーブリーズの名前の意味でもある「海風」のイメージが、ちょうど「高校生の部活の爽やかさ」と親和性が高いということです。
このように、「シーブリーズ」のブランドイメージの刷新は、マーケターが論理的に考えぬいて起こした「戦略的な転換」でした。
「創造力」をもって行った、大胆な製品の変更とプロモーション戦略
こうして、ペルソナが「部活後に好きな男の子に会うために汗を拭く、恋する女子高生」に変更されたのにあわせて、「シーブリーズ」は、パッケージの刷新と、プロモーション戦略の大幅な変更を実施しました。
それまでは青や白を基調にした製品しかなかったのですが、カラーバリエーションを大きく増やし、女性受けを狙ったオレンジやピンクも制作しました。これによって女子高生が「かわいい」と手に取り、さまざまな色を試し、部活内で交換したりすることが起こりました。
プロモーション戦略に関しても、CM起用タレントを変更。これまで起用していた新庄剛志や成宮寛貴に変わって、堀北真希や北乃きいを起用しました。先輩への恋心をテーマに、「ラブ!部活!」をキャッチコピーにした青春シリーズのCMを出して、メインターゲットを明確に打ち出しました。
マーケーターの消費者目線で具体的な施策を考える「創造力」が発揮されています。
「シーブリーズ」はわずか1年で売り上げを低迷期の8倍にまで伸ばした
結果として、シーブリーズはわずか1年で売り上げを低迷期の8倍にまで伸ばすことができました。潜在ユーザーのターゲティングを含めたデータ分析を行う「論理的思考力」と、ブランドイメージを刷新するための具体的な施策の設定する「創造力」。それによって売上が大きく変えることができることがマーケティングの醍醐味です。制汗剤は機能で差別化するのが難しい製品です。しかし、「的確にターゲットした」消費者に「行動したくなる」メッセージを届ければ、消費者を動かし、売り上げを大きく伸ばすことができます。シーブリーズの成功は、「部活をしている女子高生」という消費者に、「部活後に好きな男の子に会うために使う」ということを伝えた結果であるといえるでしょう。
マーケターは左脳と右脳のバランスが求められる
これまで、具体例からマーケターに求められる資質を見てきました。そこから浮かび上がった「データや数字を使って他の部署も納得させる論理的思考力」と「消費者目線に立って具体的な施策を考える創造力」、それぞれを読み解いていきましょう。
データや数字を使って他の部署も納得させる論理的思考力
マーケターは消費者分析・市場分析など、さまざまなデータを駆使して戦略を立てます。シーブリーズの場合、「海に行く人が実際どれくらい減っているのか」「そもそも液体タイプの制汗剤の市場はどうなっているのか」「高校生はどれくらいの頻度で制汗剤を使うのか」などの数値を利用して最適な戦略を立てていきます。こうしてマーケターが立てる戦略を元に、営業やファイナンスが動くので、彼らを納得させるという観点からもデータに基づく「説得力」のある戦略を立てることが重要です。
消費者目線に立って具体的な施策を考える創造力
戦略を立てるだけがマーケターの仕事ではありません。その戦略に沿った具体的な施策を考えるのもマーケターの仕事です。パッケージデザインをどうするか、CMに誰を起用するかなど、消費者にその商品を「正しく」伝える施策まで考えます。そのときには消費者の気持ちに寄り添ってアイディアを考える必要があります。データを利用した論理的思考力に加えて、この施策を考える「創造力」もマーケターに必要な要素です。
おわりに
消費者目線で戦略を練り、他部署も巻き込んで戦略を実行し、消費者の行動をデザインするマーケティング職。その業務に憧れる方も多いのではないでしょうか。上記のこの二つのスキルセットを念頭に置きながら、選考での自己PRを準備してください。
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