京都市では「中小企業ひと・しごと環境魅力向上支援事業」を通じ、職場環境の改善や人材育成など、企業の魅力向上に資する取組を支援しています。
▼制度詳細
・京都市情報館「中小企業ひと・しごと環境魅力向上支援事業補助金の事業参加者募集」
この補助金をきっかけに、新たなチャレンジに踏み出した企業の一つが株式会社ちきりやガーデンです。
1946年の創業以来、生花販売やレンタルグリーンをはじめ、京都の街並みや公共空間を彩る庭園づくりを手がけてきた同社は、伝統を受け継ぎながらも、時代に合わせた「働き方の改革」を進めています。 「辞めたくならない会社にしたい」という思いのもと、これまで職人の経験に頼っていた教育体制を見直し、補助金を活用して動画研修やマニュアル整備など人材育成の仕組み化に挑戦しました。
花と緑を扱う企業が、「人を育てる」という新たなテーマにどう向き合ったのか。その背景と成果について、副社長の木村 岳史(きむら たけし)さんと総務人事部長の杉窪 華奈(すぎくぼ かな)さんにお話を伺いました。

ちきりやガーデンの事業内容とお二人の役割について教えてください。
木村さん:当社は、昭和21年に創業し、京都を拠点に「花と緑の専門企業」として歩んできました。事業の柱は生花部門・レンタルグリーン部門・造園部門の3つ。生花部門では、百貨店やホテルを含む店頭での販売、ブライダルの花束やアレンジメントフラワ-の販売他、商業施設などの活け込みや会場装花を手がけています。
今でこそ「洋花」を使ったアレンジメントは一般的ですが、当社が手がけ始めた戦後当時は、まだ珍しいものでした。現在では有名ホテルのロビーや百貨店のエントランスから、茶会や式典といった京都らしい場面まで、四季の移ろいを花で表現しています。
他方、レンタルグリーン部門では、オフィスや商業施設、イベント会場などに観葉植物を定期的に提供し、空間演出や環境づくりをサポートしています。加えて造園部門では、公共施設や個人邸の庭園づくりも手がけ、設計から施工、維持管理までを一貫して対応しています。

杉窪さん:当社の特徴は、長い歴史の中で「花に関わる仕事のすべて」を自社で担ってきたこと。生花・造園・レンタルの各部門はそれぞれに専門的なノウハウを有していますし、業務内容も多岐にわたります。
ただ、根源にあるのは「人の暮らしや街を花と緑で豊かにしたい」という純粋な思いです。だからこそ、部門の違いを越えて社員が誇りを持てるような環境を整えることが大切だと感じています。

木村さん:私は金融機関勤務を経て入社し、現在は副社長として経営全般と仕組みづくりを担当しています。金融業界で学んだ「組織の基盤を整えることが人を支える」という視点を、この会社にも根づかせたいと思っています。今回、京都市の支援を受けて実践した教育改革も、まさにその延長線上にある取組です。
杉窪さん:私は総務人事部長として採用や教育、人事制度の運用を中心に携わっています。現場で働く職人さんや営業、事務スタッフなど、様々な立場の社員が安心して働けるように、人に関わるすべての仕組みを整えるのが私の仕事です。
若手が安心して成長できる教育体制をつくること、そしてベテランの経験をきちんと次世代に引き継げるような土台を整えることを重視しています。その意味でも「中小企業ひと・しごと環境魅力向上支援事業補助金」を活用した人材育成の仕組みづくりは、当社にとって大きな節目になったと思っています。
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