生成AIが台頭し、ビジネス環境が劇的に変化する現代。特定の業界知識に依存しない「普遍的なビジネススキル」の重要性が高まっている。変化の激しい時代において、学生たちはファーストキャリアに何を求めるべきなのだろうか。そのヒントは、未来の選択肢を切り拓いてきた人の「20代の過ごし方」にあります。
本記事に登場する阿弥毅氏は、新卒で、当時急成長の真っただ中にあったメガベンチャーのワークスアプリケーションズへ入社し、分社化に伴い転籍したWHIでは部門責任者として中核を担ってきた。そんな同氏が、大企業で約束された安定やポジションを捨ててまでベンチャー企業のGrantを選んだ理由。そこには「キャリア上の青春」を求める熱い想いがあった。
大手をも上回る高難易度の課題解決、それを共に乗り越える仲間たち、圧倒的な成長を実現する「Grant Way」とフィードバック文化——。そして、変化の時代に20代をどう過ごせばいいのか。これらの全貌に迫っていく。
<目次>
●『キャリア上の青春』を求め続ける。元メガベンチャー要職者の成長環境選定
●「成長環境」を支える、高難易度の仕事と優秀な仲間
●成長への意志を映す行動指針「Grant Way」の3要素
●成長スピードを劇的に上げる「フィードバックの総量最大化」
●AI時代を勝ち抜く「なんとかする力」を養ってほしい
『キャリア上の青春』を求め続ける。元メガベンチャー要職者の成長環境選定
──阿弥さんは新卒でワークスアプリケーションズに入社されています。当時の就職活動ではどのような軸を持たれていたのでしょうか?
阿弥:カナダの大学に進学し、現地で英語を使って単位を取得することにかなり苦労した経験で、人間は負荷がかかる環境でこそ伸びるという実感がありました。また、当時の日本経済の沈み方に危機感を抱いていたため「20代のうちに難しい仕事をして実力をつけなければ生き残れない」と考えていました。そんな中、海外からの就職活動という限られた機会の中でたまたま出会ったのが、難しい仕事に取り組み急成長しているワークスアプリケーションズでした。
当時は「将来こういう職種やポジションに就きたい」というこだわりは一切ありませんでした。実力さえつけておけば、求められた場所で花を咲かせることも、将来やりたいことが浮かんだときに自分の力で作り上げることもできます。30代以降にどこでも通用するような「資産」を20代のうちに作っておくことを目的に、タフな環境を選んで飛び込みました。

阿弥 毅(あみ つよし):株式会社Grant 採用管轄執行役員 / 株式会社CUBE X 代表取締役社長
カナダの大学を卒業後、2011年に株式会社ワークスアプリケーションズへ新卒入社。大手法人向け統合人事システムCOMPANYの導入・保守や次世代製品の初期導入PMを経験。2019年にWorks Human Intelligence(WHI)へ転籍後、業務コンサル部門の立ち上げや、タレントマネジメント領域のCS部門責任者を歴任。2025年4月にGrantへ参画し、現在はIT・人事コンサルティング領域を牽引しつつ、新規事業である宇宙事業子会社(CUBE X)の社長も務める。
──その後、分社化に伴ってWHIへ転籍され、部門責任者としてキャリアを築かれていました。そこからなぜ、転職という選択をされたのですか?
阿弥:WHIではタレントマネジメント領域の事業企画やカスタマーサクセス(CS)部門の責任者を任されていました。しかし組織の規模が大きくなるにつれて、ある種の葛藤が生まれたのです。
大企業において事業全体を変革しようとすると、製品開発からマーケティング、営業と順序を立てて変えていく必要があります。私は最も後工程であるCSの責任者だったため、ドメイン知識の面から意見は出せても、自分の順番が回ってくるまでにどうしても時間がかかってしまい、事業全体にはなかなか影響を与えられません。「そうこうしているうちに、すぐに40代になってしまうのではないか」という懸念がありました。30代のうちに自分が主役になって事業を立ち上げ、動かせる場所はないだろうかと模索し始めたのが転職のきっかけです。
──数ある選択肢の中から、最終的にGrantを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
阿弥:HR系メガベンチャーや、シリーズBの調達を行った新進気鋭のベンチャーなどから内定をいただきましたが、最終的な決め手となったのは、ワークスアプリケーションズで新卒の頃から近い距離で仕事をしていた当社副社長の津田からの誘いでした。タフな環境だったファーストキャリアで苦楽を共にした戦友が、副社長として会社の成長を牽引している。その姿に刺激を受けましたし、Grantへの解像度が上がるにつれて、私の求めるものがあると思えました。
私が求めていたのは、キャリア上の「青春」だったと腑(ふ)に落ちたのです。キャリアにおける「青春」とは、難しい仕事の中で仲間と本音でぶつかり、時には共に涙を流し、それを乗り越えた先に深い絆が生まれる、高い目標に向けて切磋琢磨する部活のような関係性だと考えています。Grantにはそれを叶える「優秀な仲間」と「フィールド」が揃(そろ)っていると確信したのです。
──主要事業である「IT・人事コンサルティング領域」において、前職までのITベンダーとしての動き方とは何が異なるのでしょうか?
阿弥:自社製品を持つベンダーの場合、お客様にとって必ずしもその製品が最適解ではない場面でもその製品を提案し続けなければいけません。しかし、Grantは特定の製品の導入ありきでは動きません。特定の製品・サービスに限定されない、真のプロフェッショナルサービスを提供しているからこそ、よりクライアント側に入り込むことで、その企業にとっての最適解を最優先に提案できます。
つまり「製品のベンダーだから付き合う」のではなく「Grantの支援が好きだから他のこともお願いしたい」と言っていただける世界線を作れるのが強みです。顧客は大企業が中心で、人事給与のERPパッケージシステムである『COMPANY』のような大手向け製品に精通しつつも、後発のSaaS製品なども含めて最適な選択肢を提示する「ハブ」としての価値を提供しています。

「成長環境」を支える、高難易度の仕事と優秀な仲間
──Grantが掲げる「成長環境」とは、具体的にどのようなものでしょうか?
阿弥:当社では成長環境を「1. 業務内容が高難易度であること」「2. 共に働く仲間が優秀であること」「3. 成果と報酬がリンクしていること」「4. 会社自身が成長していること」という4つの要素に集約し、実践しています。
特に「高難易度の仕事」に関して言えば顧客が大企業であることも関係します。大企業は組織構造が複雑で、歴史が長い分だけ人事制度や運用も極めて複雑です。現場の担当者が見ている課題と経営陣が見ている課題では、視点がまったく異なります。こうした複雑なステークホルダーの間に立ち、利害を調整しながらシステムに落とし込んでいく。構造を分解する高い思考力と合意形成力が求められる点を「難易度の高さ」と呼んでいます。
──その高難易度の仕事を共にすすめる「優秀な仲間」とは、どのように定義していますか?
阿弥:ロジカルシンキングができるような地頭の良さだけでなく、最後まで「やりきる馬力」を持っていることも重要だと思っています。そして、難易度の高い仕事を前に思い悩んだりつまずいたりした仲間に、手を差し伸べる「おせっかい」な人間が多いことも「優秀な仲間」の一要素だと言えます。
私がこれまで所属してきた組織と比較しても、より泥臭く、一層成長志向の強い人間が集まっているのが当社です。目の前の仕事から会社の進路まで、すべてに当事者意識を持っているメンバーが揃っています。
成長への意志を映す行動指針「Grant Way」の3要素
──そんな成長意識を持ったメンバーの行動指針を明文化したものが「Grant Way」なのですね。
阿弥:はい。成長には「Hot Mind(成長と挑戦の熱意)」「Cool Head(本質を掴み最短で解決する思考力)」「Warm Heart(人間性と幸福の追求)」の3要素が不可欠です。もちろん最初から完璧にすべてを備えている必要はなく、これらを伸ばそうとする意志を重視しています。
未経験で入社したあるメンバーは、持ち前の「Hot Mind」を武器に、難しい仕事に挑みながら「Cool Head」を鍛え、リーダーへと成長しました。彼が自分のチームを持って少し経った頃、チームメンバーの昇格が全社キックオフで発表された瞬間、ステージの下で本気で涙を流していました。こうした姿は、仲間の成長に本気でコミットするGrantのカルチャーをよく表していると思います。
成長スピードを劇的に上げる「フィードバックの総量最大化」
──組織が急成長するベンチャー企業で、カルチャーを維持できている秘訣は何でしょうか?
阿弥:理念にこだわっているからに他なりません。元々はリファラル中心で50〜60人規模まで拡大してきた組織でしたが、外部から未経験者を迎えるにあたって「ニュアンスの世界のままでは理念が正しく伝播(でんぱ)しない」という課題に直面しました。そこで自分たちが大事にしてきたことを時間をかけて言語化し、緻密にバリューへ落とし込んできたという背景があります。
さらに、より内省を促すために「フィードバックの総量を最大化する」を共通認識に掲げ、多角的にフィードバックが行われる仕組みを整えています。
──具体的に、どのような形でフィードバックが行われているのですか?
阿弥:直属の上司だけでなく他の部署の先輩からも、日報や業務に対して即座に多角的なフィードバックが飛び交います。
組織としても、プロジェクトチームとは別に専門領域ごとの横断組織である「セクション」という6〜7名単位のチーム体制を敷いています。これにより、同じプロジェクトではない先輩からも客観的な意見やフィードバックをもらえる環境が仕組み化されています。また、入社後研修やオンボーディングプログラム、半期に一度本社に全員が集合するキックオフなどの場にもこだわってきました。

──若手に裁量を持たせる一方で、コンサルティングという仕事柄「失敗がクライアントの不利益になる」リスクもあると思います。その境界線はどうマネジメントしているのでしょうか?
阿弥:クライアントにはプライドを持てるクオリティのサービスを提供しなければならないため、実害が出るギリギリの境界線はマネジメント側がシビアに見極め、必要なときは先輩や上司が業務を巻き取ります。
ただしその際も、実害は止めつつ、振り返りで『失敗の疑似体験』を残す仕組みがあります。具体的には、まず「じゃあどうする?」を自責で考えさせる『JD発想』を大切にします。その上で、失敗を責めず、その挑戦を学びや次の燃料に変える会議を実施するのです。失敗しそうになったシチュエーションに戻り、自分ならどうすべきだったかを問うことで、失敗を奪わずに深い学びへと変えるフィードバックを行っています。
AI時代を勝ち抜く「なんとかする力」を養ってほしい
──これから社会に出る学生たちは、生成AIやAIエージェントが台頭する時代を生きていくことになります。変化の時代を生き抜く戦略を教えてください。
阿弥:生成AI時代は、外部環境の変化に強いレジリエンス=「どんな状況でもなんとかする力」を身につけることが最大の生存戦略です。AIは妥当性の高い回答を返してくれますが、膨大なデータから一般的な傾向を推測しているに過ぎず、ビジネスの細かい文脈やニュアンスを完全には理解できません。だからこそ、AIのアウトプットに対して「本当に正しいのか」と問い続ける批判的思考が求められます。
私はむしろ、今の時代は若手にとって「マネジメント力を早期に身につけられるチャンス」だと捉えています。AIを「知識は豊富だが文脈を読めない優秀な部下」と見立て、的確に指示を出して意思決定を行う疑似マネジメントを、新卒1年目から体験できるからです。
──それは新しい視点ですね。最後に、ファーストキャリアを選択する学生に向けてメッセージをお願いします。
阿弥:世の中には特定のプロダクトや事業領域(How)に依存している企業もありますが、環境変化によってその「How」の価値が無くなってしまうと会社も機能しなくなります。当社にとってIT・人事コンサルティングという領域は、あくまで理念を叶えるための「How」に過ぎません。ビジネスパーソンとして失ってはいけないポータブルな強みがあれば、会社が手掛ける事業がどんな形になろうともパフォーマンスを発揮できます。
だからこそ学生の皆さんには、表面的な事業領域ではなく、どこでも通用する普遍的な「なんとかする力」を身につけられる環境を選んでほしいと思います。当社には、大企業と対峙する「高難易度の環境」、成長に本気でコミットし合う「優秀な仲間」、そして成長スピードを加速させる「最大のフィードバック環境」があります。どんな環境変化が起きても生き抜ける圧倒的なポータブルスキルを、ぜひ私たちの環境で共に身につけましょう。

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【制作:BRIGHTLOGG,INC./撮影:阿部 拓朗/編集:鈴木 崚太】