岡谷鋼機株式会社は、鉄鋼を中核に、電子部品・機械・樹脂・建設資材・食品まで幅広く扱う専門商社です。「現地・現物・現人」を徹底し、ときに顧客の現場にも足を運び、寄り添いながら国内外でさまざまな業界の産業を支えています。
今回は、物流自動化の機器を販売するメカトロ本部・名古屋メカトロ部・メカトロ室の冨依拓至さんと、海外向けに鉄鋼を販売する貿易本部・第一部・鋼板室の岩井葉乃さんに、岡谷鋼機での仕事、若手の挑戦機会についてインタビューしました。
若手から大規模案件に関われる環境や、挑戦を後押しする社風、幅広い専門性習得につながる社内のチームワークなどについて伺いました。
<目次>
●入社1年目から、数億円規模の意思決定に責任を持つ
●会議の内容がさっぱりわからなかった新人時代。必死の勉強で信頼を勝ち取る
●輸送コストの壁を越えて取引を実現するために。メーカーの「初の海外輸出」に伴走
●「あなたはどうしたい?」──自主性を重んじる社風で促される成長
●大量の商材・業界情報から最適解を見抜く力が身につく
入社1年目から、数億円規模の意思決定に責任を持つ
──入社から現在までの担当業務、ご経歴について教えてください。
冨依:メカトロ部の機械系の事業部に所属しています。名古屋を中心に、東海3県のほか滋賀や長野まで広く営業しています。部品メーカーなどのお客様に対して、主に物流の自動化を行う設備を販売しています。
基本的な業務は、決まった要件に沿った設備の納品からアフターサポートまでですが、大型のプロジェクトでは、要件定義や現場の実装も含めて、直接現場に出向いてお客様のご要望を形にしていきます。
岩井:私は貿易本部の所属です。主に鉄鋼を扱う部署で、海外のお客様向けに鉄鋼を輸出しています。
1年目は主に与信業務を担当していました。買い手から支払いの先送りを希望されたときに、会社の信用度をさまざまな情報から精査し、自社としてどのくらいの額まで与信をつけられるかを検討する業務です。
億単位の支払いを一時的に肩代わりするので、1年目からこんなに大きな金額について意思決定を下していいのかと、最初はプレッシャーもありましたね。
今は2年目で、今年の2月からは主にメキシコ向けに鉄の板を輸出する業務を担当しています。
──それぞれの業務では、どんな力が必要とされますか?
冨依:専門商社なので、とにかく覚えるべき情報量が多いです。まずインプットするのがすごく大変で、それから身につけた知識をお客様に合わせた言葉でアウトプットすること。その2軸を成長させていくことには苦労しました。
年次が上がるほど多くのお客様を持つようになり、航空機部品、熱処理関係、鉄鋼などいろんな業界のお客様とお取引を行います。どの案件に入っても、最初は知らないことばかりなので、アサインされたタイミングで事前に調べますが、スピード感が求められるので、鍛えられましたね。
岩井:海外の政治経済の状況にも直接的に影響を受けるので、ニュースをよく読むようになりました。
例えば各国の貿易に関する制度が変わることで取引に制約が出たり、遠く離れた国同士の外交関係によって売り上げが大きく変わったりなどです。自分から情報を取りに行かないとわからないことも多いので、積極的なキャッチアップを心掛けています。

写真左/岩井 葉乃(いわい はの):東京本店 貿易本部 第一部 鋼板室
2025年に新卒入社。鉄鋼を海外へ輸出する貿易本部に配属され、1年目は商社の与信・金融機能を担当。ベトナムやミャンマーなど新興国の顧客に与信を付与し、資金繰りを支える。2年目はメキシコ向けの鋼板輸出プロジェクトに従事。
写真右/冨依 拓至(とみより たくじ):名古屋本店 メカトロ本部 名古屋メカトロ部 メカトロ室
2023年に新卒入社。非自動車の製造業を対象に、東海3県から滋賀や長野まで広域を担当し、物流自動化をはじめとする設備の営業に従事。1年目から大型案件の立ち上げに携わり、3年目以降は物流自動化の海外展開・事業スケールも担う。
会議の内容がさっぱりわからなかった新人時代。必死の勉強で信頼を勝ち取る
──岡谷鋼機は、若手のうちから大型案件やリーダーシップをとる機会を得やすいと聞いています。冨依さんが1年目で経験した大きな挑戦があればお聞かせください。
冨依:1年目の6月にアサインされたプロジェクトですね。AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)といった、工場や倉庫での搬送を自動化するロボットを販売する仕事でした。
最初の数カ月こそ先輩と一緒だったものの、10〜11月頃にはほとんど1人で回すことになっていました。さまざまな業界のお客様に販売するため、設備の種類も多くそろえる必要があったので、サプライヤー5社、総勢20〜30人くらいのメンバーを取りまとめる役になりました。
──アサインされたときはどのような心境でしたか?
冨依:正直に言って、とても不安でした。ほんの半年前は学生だった私にとっては、「10億」という金額は想像できないくらいの大金です。こんなに大きなプロジェクトを自分が回していいのかと、責任感に押しつぶされそうになったこともありました。
とはいえ、1年目で任せていただけることはチャンスとも捉え、前向きに取り組めました。
──実際に進めるなかで難しかったことと、それをどう乗り越えたかを教えてください。
冨依:最初は会話のレベルについていくだけで大変でした。
メーカーさんの設備の特徴をふまえ、それらをどう組み合わせて販売するかを考えるので、仕様や機能に関する深い理解が必要です。正直なところ、最初は1~2時間の会議に出ても知らない単語ばかりで、メモを取っても話の筋が全然追えていませんでした。
とてもリーダーシップをとれる状態ではなかったので、一刻も早くキャッチアップするために、違う言語を習得するくらいの感覚で勉強していきましたね。
──メーカーの皆さんとはどのように信頼関係を築いていきましたか?
冨依:最初は「新人だから」と相手にしてもらえないことも多かったです。
諦めずに、コミュニケーションの取り方について先輩たちにアドバイスをもらいながら、「皆さんと同じ立場で、一緒に良い仕事をしたい」という誠意を見せることを心掛けました。細かいことでも役に立てるように関わり続けていると、「若手なりにがんばっているな」という印象を持っていただいて、少しずつ信頼していただけるようになりましたね。

輸送コストの壁を越えて取引を実現するために。メーカーの「初の海外輸出」に伴走
──2年目の岩井さんは、入社から今までを振り返って「大きな挑戦だった」と感じる仕事はありますか?
岩井:最近担当となったメキシコ向けで、過去にメーカーが輸出を行ったことがない商材の提案に挑戦しています。
つい先日、メキシコに出張してお客様の工場を見学し、「今どんな商材をどのように使っているのか」理解を深めました。並行して売り手のメーカーさんとも打ち合わせし、仕様を細かく調整しているところです。
──案件を任されたときの心境はいかがでしたか?
岩井:メキシコ担当になったばかりのタイミングでアサインされたこともあり、最初は不安が大きかったです。実は、お客様はもともと他商社さんと取引があって、前任の働きかけで岡谷鋼機に商流が変わってから、すぐに私が引き継いだという経緯でした。うまく進められるか、お客様との会話や信頼関係を作れるか、今もプレッシャーはぬぐえません。
とはいえ、不安と同じくらいポジティブな気持ちもあります。もしこれが成約に至れば、メーカーさんにとっては、初めての輸出実績になるんです。メーカーさんの新しい歴史に伴走できると考えると、すごく意義の大きい仕事に携われているなと思います。
──実際にプロジェクトが始まって感じている難しさや、それを乗り越えるために取り組んでいることをお聞かせください。
岩井:商社の立場上、お客様とメーカーさんの板挟みになることには難しさを感じます。「もう少し下げないと買えません」というお客様と、「価格はここまでしか下げられません」というメーカーさん。それぞれの事情を汲(く)み取ったうえで、落としどころをつける必要があります。双方に納得いただけるように話し方を工夫しなければと実感しています。
板挟み自体はどの案件でも共通ですが、加えてこの案件では、メキシコへの輸出ならではのハードルがあります。
メキシコと日本の素材では輸送費用やその他条件などが異なり、日本材を輸出する際に、追加のコストがかかってしまう場合もあるんですよね。
価格にギャップができる分、メーカーさんにどう伝えて価格を下げてもらうか、そしてお客様にどう納得してもらうか、日々試行錯誤しています。

「あなたはどうしたい?」──自主性を重んじる社風で促される成長
──事業の特徴として、ほかの商社とは違う岡谷鋼機ならではの強みだと感じる点をお聞かせください。
冨依:岡谷鋼機には「現地・現物・現人」というポリシーがあります。私のいる名古屋メカトロ部もそれを体現していて「まずお客様のところに行って話を聞いてみる」ことを徹底しています。
一次情報に触れられることで、新しい仕事をどう作るべきか、スピード感を持って考えられるんですよね。
岩井:現場主義の価値観は強く根付いていますね。
私が所属する貿易本部の場合、海外のお客様が相手なので、普段はなかなか顔を合わせる機会がありません。そんななかでも「現場に行きなさい」と先輩方から言われることが多いです。それで私自身、1年目から「お客様に実際に会って、どんなものを買っているのか、どんな人たちなのか」を自分で見るようにしてきました。
とある中東のお客様からは「岡谷さんは頻繁に足を運んでくれるし、会って話してくれるから信頼しています」と言われました。情報を得られることに加えて、会うことでお客様にとっての安心感につながることを感じています。
──専門商社でありながら、4つのセグメントを持つ岡谷鋼機。吸収できる知見の広さを魅力に感じた経験はありますか?
冨依:ほかのセグメントと共通のお客様も多いので、取引先情報を共有することもよくあります。鉄鋼の深い知識が必要な案件では、鉄鋼部に質問して情報を仕入れてから商談に臨むなど、会社全体が持つ広い知識を社員一人一人の仕事に活かせていますね。
岩井:ほかのセグメントとの連携で広い商材を取り扱えるのは、岡谷鋼機の大きな強みですよね。私の場合、専門は鉄鋼ですが、以前ベトナムのお客様から「鉄をカットする機械を探している」と相談を受け、メカトロ部の助けを借りながらご提案できたこともあります。
──部署間での情報交換が活発なのですね。
冨依:かなり活発なほうだと思います。制度面では、2~3カ月に1回ほど開催するMU(ミートアップ)という取り組みがあり、共通のお客様に関する情報をシェアしたり、エリアごとに営業戦略を話し合ったりしています。
岩井:公式のMUに限らず、社員同士でのカジュアルな情報交換もしやすい雰囲気があります。新しいプロジェクトが始まって情報収集に苦戦していると、上司が「私の同期がその分野について詳しいから、聞いてみようか?」とつないでくれることもあります。
気軽にコミュニケーションをとりながら、お互いに助け合う価値観が根付いていると思います。
──若手の挑戦意欲に対して、上司や先輩はどのような後押しがありますか?
冨依:「こんな仕事をしたい」と声を上げたとき、否定をされることはまずありません。もちろん若手だと、実現のためのプロセスをしっかり描けないことも多いですが、「失敗してもいいから、まずやってみよう」というスタンスで、前向きなアドバイスをくれる先輩が多いですね。
岩井:精度の高いフィードバックももらえますが、それ以上に自主性を重んじられますね。売上や商流が大きく動くような意思決定でも、「あなたはどうしたいの?」と聞いてくれます。ほどよくヒントをいただきつつ、自分で考える力を育てられる環境です。

大量の商材・業界情報から最適解を見抜く力が身につく
──入社直後と現在を比較し、岡谷鋼機で働いたことでご自身が感じる変化、成長したと感じる点はどのようなところですか?
冨依:人を見る目が養われたと感じます。誰がどういう立ち位置で仕事をしていて、そこに対して岡谷鋼機としてどういう価値を出していけるのか。自分や自社のバリューを常に考えながら仕事をします。話し方1つ取っても気をつけないと仕事を取れないので、相手を深く理解しようとする力がついたと思います。
岩井:「相手がどう思っているのか」「相手がこれからどうしたいのか」などを考えながら言葉を選べるようになったと感じます。
「あなたに貢献したい」「あなたと一緒にこの仕事をしたい」という気持ちが伝わると、相手もポジティブに関わってくれます。まだまだ成長中ですが、さまざまなお客様やメーカーさんとお取引をするなかで、どんな人と関わるうえでも大切なコミュニケーションの姿勢が身についてきたように感じます。
──最後に、岡谷鋼機に関心がある就活生の皆さんに先輩としてアドバイスをお願いします。
冨依:いろいろな商材を扱うので、広い知識を得たうえで良し悪(あ)しの目利きができるようになります。
AIの影響もあり、今の世の中では人が目に触れる情報の量がすごく増えていますよね。「大量の情報に惑わされず、自分で判断して行動する力」を身につけたい方には、岡谷鋼機はぴったりな環境だと思います。
岩井:お客様とメーカーさんの両方と関われる、つまり「売り手」と「買い手」どちらの目線も吸収できるので、自分の世界がすごく広がります。また、特定のメーカーに依存しない「独立系」の専門商社なので、商材の制約がなく、お客様のためになると思ったものを自由に提案できます。
「自分の考えで大きくビジネスを作ってみたい」という想いがある学生さんなら、前向きに挑戦しやすい環境です。

岡谷鋼機
【写真・文・編集:事例のプロ】