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就活サイトトップ就活記事最短距離で世界一になるため 、根回しなど面倒なことは不要だ。

最短距離で世界一になるため 、根回しなど面倒なことは不要だ。

2017年5月5日(金) | 6,994 views

ワンキャリアが総力をかけて行う「WORLD5特集」。

世界経済フォーラムに認定されたYGLの5名と、コーディネーター1名が登場します。


昨日に続いて、Xiborg代表取締役の遠藤謙氏へのインタビューをお届けします。圧倒的な視座の高さを持つがゆえに発生する「衝突」。それをどうやって乗り越えるかについてから、「キャリア論」について話を伺った。


ーー前編「パラリンピックは人類の未来。人間の身体のあり方を提示する一つの競技になり得る」はこちら

普通の社長をやらなくて良いのだと感じ、救われた。為末大との出会い。

遠藤謙:

株式会社Xiborg代表取締役。慶應義塾大学修士。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループ博士。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー、D-Legの代表、See-Dの代表も務める。2012年、Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人に選出。2014年ダボス会議Young Global Leadersに選出。


KEN:前半は「義足はメガネになる」という、未来像について伺いました。

後半は少し観点を変えて「キャリア論」について聞きます。遠藤さんはXiborgで仕事をされていて、これまで辞めたいと思ったことはありますか?


遠藤:ないですね。というのも、自分のやることは自分で決め、自分の嫌なことはやっていないからだと思います。会社の設立当初は社長としての付き合いがあり、さまざまな人と会うことが仕事の1つだと理解し、苦手でも覚悟して頑張ろうと思っていました。

しかしその時に、一緒に仕事をしている為末さんから、「遠藤謙はそれをしなくて良い。遠藤謙が一番パフォーマンスを発揮するのは、ものづくりに時間を費やすことだ」と言われました。そして、普通の社長をやらなくて良いのだと感じ、救われた思いになったことを覚えています。もしかしたら私よりも社交的な人が社長になり、周りを巻き込みつつ資金集めをしていれば、もっと上手くやっていた可能性はあります。しかし、私はそれができないので、無理にそれを行うのではなく、ものづくりでパフォーマンスを発揮し、良い物を作る。「Xiborgはそれで良いのではないか?」と彼に言われ、救われました。

自分は代表に、向いていない。でも自分しかできないと思っています。

KEN:「自分の強みにフォーカスさせてくれる、最高の仲間を手に入れる」。これは本当に、スタートアップの世界でも一緒ですね。遠藤さんご自身は「自分は良いリーダーだ」と思いますか?


遠藤:思いません。あまり上手くチームをマネジメントできてないからです。私は大学の先生のオファーももらっていたのですが、学生を相手にしたくなかったので断りました。端的にいえば、馬鹿な人と仕事をしたくない。自分より優秀な人と仕事をしたい。そう思ってしまっている時点でもう向いてないと思います。

でも、代表は自分しかできないと思っています。なぜなら、義足に対して強いパッションを持っていて、世界一を本気で目指すために競技用義足を作っているためです。自分ほど強い想いを持っている人は他にいないと思います。

最短距離で世界一になるため、根回しなど、面倒なことはしない。

KEN:言い切る姿勢にとても共感します。一方でストレートに聞いて、気になるのが「遠藤さん、日本社会だと敵も作りそうだなー」ということです。というのも、自分自身もそうだからで、私もよく「自分はXXができる」とか「向上心のない人事は社会の敵だ」とか発言しちゃうので、よく叩かれます。たくさんの人に嫌われていると思います。でも、それでも良いと思っています。

遠藤さんは日本社会のそういう部分に違和感を感じることはありませんか?


KEN(聞き手):

新卒で博報堂経営企画局・グループ経理財務局にて中期経営計画推進・M&A・組織改変業務を経験。米国・台湾への留学を経て、ボストン コンサルティング グループで勤務。その後、ONE CAREERにジョインし、執行役員CMOに就任。一方で、23歳の頃から日本シナリオ作家協会にて「ストロベリーナイト」「トリック」「恋空」等を手掛けたプロの脚本家に従事。『ゴールドマンサックスを選ぶ理由が僕には見当たらなかった』『早期内定のトリセツ(日本経済新聞社/寄稿)』など。


遠藤:確かに、本当は大きなことを考えたいのに、結局やっていることは小さくなってしまいがちなのが日本かなと思います。日本はコミュニティが少なく、何かを行う際は大きな権力を持っている人が一箇所に固まっている印象です。

例えば、私たちは世界一になりたいので、一番の選手に私たちの義足を履いてもらいたいと考えています。しかし、日本の選手を勧誘しようとすると、もしかしたらさまざまな連盟や委員会に声を掛けなければならず、協力してもらうためには相当な根回しをしないといけなかったのかもしれません。これだと最短距離で世界一になるには時間が掛かりすぎる。だから、私たちはそれを全くやらず、選手と直接話をすることにきめました。

世界で勝つためには、世界一速い人を連れてくる。その最短距離を進むことに決めたのです。


KEN:世界一を目指すから「根回しはしない」と。カッコイイですが、日本は「根回しが必要以上に好き」ですから、敵も作りそうですね。


遠藤:はい、もしかしたら嫌われることがあるかもしれません。しかし、間違いなく、世界一になるための最短距離は世界の選手を勧誘することであり、日本では3人の選手が味方になってくれているので、とりあえず日本はそれでいいと割り切りました。おそらく、根回しをしなくてもいいものを作って選手たちが結果をだせば、だれもが納得すると思います。そういったように、日本の中でクリアしなきゃいけないハードルがたくさんあり、グローバルに続いていると信じている道が、実は小さくまとまってしまっていることが多いイメージがあります。

コアバリューとメディアバリューをはき違えている。日本には「目利き」が必要。

KEN:本質的な価値を追求したいのに、日本では面倒くさいハードルや、根回しが必要。サラリーマンでも共感することが多いと思います。では、なぜ、本質的な価値が日本で理解されにくいのだと思いますか。


遠藤:目利きがいないからだと思います。コアバリューとメディアバリューをはき違えている人が多いということです。メディアバリューとはテレビに出ている人は優秀に違いない、といった考えのことです。例えば、リーダーシップサミットやイベントに参加しても、結局毎回同じ人が出てきます。イベント運営者は箔がつく人を呼びたいためです。本当にコアバリューを生み出している人は評価されづらい状況になっていると思います。


KEN:我々のようなメディアから見てみると、メディアの本来の役割は、コアバリューを持っている人に適切なメディアバリューをつけることだと。具体的に専門家の立場から「コアバリューを見極めるコツ」はありますか?


遠藤:コアバリューがある人は、専門家のリファレンスが多くついているかどうかで判断できます。アスリートの世界でいうと、速い人が一番強いので、非常に分かりやすい。

文句を言う人は、マクロ視点で大きな目標を持っていない人

KEN:「根回しをしない」、これはすごく共感する一方で、多くの人は「ぶっちゃけ、それをやれる勇気がない」とも感じます。遠藤さんのように強い芯を持って活動されていると、敵が出てきて、文句を言われたり邪魔されたりすることもあると思いますが、遠藤さん個人としてメンタルを保つためのコツはありますか?


遠藤:マクロに視点を持つということです。例えば、僕らは義足メーカーですが、国内の他の義足メーカーや技師・選手から文句を言われることはもちろんあります。しかし、基本的に相手にしていません。世界一になるという目的を持っていたら、その人たちと何か対決していくことがいかに小さいことかを感じるためです。

また、競技人口を増やすことや世界最速を出すといった目標を立てた時に、彼らは、同じことをしている同志になります。国内では市場を奪い合う相手になってしまうが、世界的に見てみたら世界の最高峰、世界最速にするために協力しあって選手を押し上げていくということです。このようにマクロに物事を考えることを意識しています。文句を言ってくるのは、マクロ視点で大きな目標を持っていない人だと思っているので、そういった人たちは相手にしていません。


KEN:面白いです。本特集(World5特集)で話を聞いた、宇宙飛行士の山崎直子さんは「宇宙空間では、国境という概念が消える。その価値観を地球に持ち帰れば、いかに日常の衝突が些細なことだと気づく」ということをおっしゃっていました。より大きな大局から、物事を見る。そうすると共通の仲間になる。これはビジネスマンでもできそうですね。

内閣総理大臣になったら、個人に「100億くらい渡して好きに使え」という

KEN:話を変えますが、私はよく、「自分が内閣総理大臣なら、何するかな?」と妄想します。壮大な質問ですが、遠藤さんが今もし日本の内閣総理大臣になったら、何をされますか?


遠藤:科学技術に関して、人に投資できるようにしたいです。技術ではなく、「技術を持っている人にお金を出す」ということです。ベンチャーキャピタルは企業に対して投資していますが、要は社長に投資していると思っているので、それと同じ感覚です。

日本の予算は、どちらかというと公益性の高いものや大学の研究などにお金を出す傾向があります。国の税金として払うのに周りが納得するような払い方をしている印象があり、私はそれが無駄だと考えています。なので、事業や技術ではなく、それらを扱っている人に投資できるようにしたいと思っています。それが国益につながると考えるからです。


KEN:面白いですね。つまり「俺に賭けろ」と。


遠藤:そういうことです。自分以外でいえば、例えばマサチューセッツ工科大学メディアラボ所長の伊藤穣一さんに100億くらい渡して「好きに使ってよ」と言うと思います。

将来のために「深める行為」と「広げる行為」の両方が必要

KEN:確かに、ビジネスの世界では「ソフトバンクに投資する」のではなく「孫正義に投資する」ということが普通に行われているにも関わらず、政府というレベルで見た時にそうはなっていない。一般的に公共セクターはビジネスの理論が一足遅れて入ってくるといわれますが、同様の構造ですね。さて、最後に「キャリア論」を質問させてください。我々ONE CAREERは新卒採用サービスなのですが、もし遠藤さんに21歳で就職活動をしているお子さんがいたら、どのようなアドバイスをしますか?


遠藤:「やりたいことがあるか」をまず聞きます。無いようであれば、今何をやっているかを聞きます。英語やサークル、何でも構いません。基本的に人間の行動には、さまざまなことを行って視野を広げる「広げる行為」と、1つのことを深く追求していく「深める行為」の2つがあります。それらをバランスよくやっているかということをチェックし、足りていない部分があれば、何か刺激を与えます。


KEN:遠藤さん自身も、意識的にその2つを繰り返してきたわけですか?


遠藤:そんなことないです。この2つの行為は今でこそ常に意識していますが、学生時代は意識的にはほとんどできていませんでした。私の場合は、理系かつ大学院で研究を行っていたので、「深める行為」はありました。しかし、「広げる行為」はしていませんでした。この「広げる行為」の具体例としては、普段会ったことない人に会うといったことが挙げられます。

現在の生活で話すと、私はものづくりのコミュニティへは出向きません。もうすでに知り合いだからです。その代わりに、YGL(Young Global Leaders)といった、エンジニアが1人もいないような会に参加したりしています。毎回インスピレーションが受けられるかというとそういうわけではないですが、新しい発見に出会えることはあるので、有意義だとは思っています。

経験しないことは理解できない。まずは行動しよう

KEN:最後に、就職活動を迎える数万人へ、何かメッセージをお願いします。


遠藤:よく思うのは、結局、何を言っても変わらない気がするということです。なぜ変わらないかというと、私も留学に行く前に「こうなるよ」といろいろと言われ、分かってはいてもその通りになったことがあったからです。つまり、経験してみないと人は変わらないということです。なので、まずは行動することを心掛けると良いと思います。


KEN:非常に示唆が多く、勉強になりました。ありがとうございました。


「WORLD5特集」の公開スケジュール

ライフネット生命社長 岩瀬大輔 
 ・99%の人は天職に出会えていない。でも、それでもいいと思う
 ・パワポで世界は変わらない。彼がハーバードを経て起業した理由 宇宙飛行士 山崎直子 
 ・地球から「8分30秒」の職場。それが宇宙
 ・苦しい業務も、全てが楽しい。きっと、それが「天職」
Xiborg代表/義足エンジニア 遠藤謙
 ・「パラリンピックは人類の未来」
 ・最短距離で世界一になるため、根回しなど面倒なことは不要だ
国連出身・コペルニクCEO 中村俊裕
 ・官最高峰の国連を経て、彼が「コペルニク」を創立した理由
 ・今、国連に入るってどうなんですか?就職先としての「国連のリアル」
投資銀行出身・ビズリーチCEO 南壮一郎  ・「世の中にインパクトを与える事業を創りたい」南氏の天職と理想のリーダー像に迫る  ・自分のことを信じよう!就活生に贈るメッセージとは?
世界経済フォーラム出身/コーディネター 長尾俊介
 ・「MBAで流行ってる業界には行かないこと」就活生へメッセージ
 ・僕らは多分、100歳まで働くことになる

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北野唯我(KEN)

北野 唯我(きたの ゆいが):株式会社ワンキャリア 取締役CSO/作家
新卒で博報堂の経営企画局・経理財務局勤務。米国・台湾留学後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ワンキャリアに参画、現在取締役として戦略・採用・広報部門を統括。2021年10月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場。作家としても活動し、30歳のデビュー作『転職の思考法』(ダイヤモンド社)が20万部、他に『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)などで、著者累計40万部。

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