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就活サイトトップ就活記事「やりたくないこと」から考えるキャリア選びのススメ

「やりたくないこと」から考えるキャリア選びのススメ

業界理解 キャリア選び
2023年2月28日(火) | 41,433 views

「やりたいことなんて、ないよなあ。」


就活が中盤に差し掛かっても、油断すると口からこぼれだすこの言葉。

キャリアを決める局面において、いつも私たちは「やりたいことはなに?」「なにを仕事で達成できれば幸せ?」という問いの前に立たされ続ける。

だけど、「やりたいこと」に目を凝らしてみればみるほど、それは煙のようにするりと溶けていくようだ。

就活を始めたころ「やりたいこと」として掲げていた何かも、何度も面接で口にしている間に、いつの間にか自分が一番その言葉を疑っている。


自分が乗っかってきたルールのせいにするのはかっこ悪いけれど、だって私たちはいつも、「やりたいこと」よりも「やるべきこと」を優先させられた。

夏休みの宿題よりも、近所にある得体の知れない裏道を探検してみたかった。就活なんかよりも、海外の見知らぬ土地を思う存分めぐりたかったのに。

「まずはやるべきことをやりなさい」と言われて「やりたいこと」を見ないふりしてきたのに、

大事な局面で「やりたいことってなに?」「自分がやりたいことなのに、これまでの人生で少しも成果を出してないのはなぜ?」なんて聞かれる。理不尽だ。やってられるか。

「やりたいこと」の優先順位を文句を言わずに下げて、誰かが教えてくれた「やるべきこと」をやってきたはずなのに、そんな自分を裏切るような、この就活という人生の査定に、絶望している人も多いのではないだろうか。

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「やりたいことなんて、ない」と知った就活

私も「やりたいことってなに?」って聞かれると、頭をかしげてしまう就活生だった。

性格が悪いので、やったこともないのに「金融の世界に入りたい」という人も、選挙も行ってないのに「日本を良くしたい」とか言ってる人も信じられないなあと思っていた。


何でそんなに簡単に「自分のやりたいこと」を定義してしまえるの?

だから就活はわりと苦労した。

なんとなく幅広い業界を受けて、説明会に参加しても、「楽しそうではあるけど、なんか違う気もする」という気持ちを胸にいつも帰り道を歩いた。

就活中盤には、「やりたいことなんてないから、誰か決めてくれ〜その会社に行くから〜」という気持ちになっていた。

だけど実際に最終面接になると、「この会社に行くイメージないなあ」なんて迷うのだった。ずっとずっと、自分の気持がふに落ちなかった。

私がやっと自分に正直になれたのは、その年の就活の終わりだった。


「やりたいことなんて、分からない」

「やりたく『ない』こと」から、未来を考える

だけど、同時にその時に思ったのが「やりたくないことならたくさんあるのに」ということだった。

思えば説明会の帰り道、「たしかに面白そうだけど、全国転勤はやだな〜」とか、

面接の終わりに「大企業だけど、面接のおじさん偉そうだったな〜上下関係厳しそうなのはやだな〜」なんてことを毎回考えていた。


私はやりたくないことを考えるのは得意で、やりたくない理由を伝えるのが得意らしいので、それまでの人生もやりたくないことを回避して生きてきた気がする。

夏場の水泳の授業が嫌いで、しょっちゅうサボっていたから今でもカナヅチだし、タイ料理屋さんで嫌いなパクチーは一切食べない。


やりたいことがない人も、「やりたくないこと」ならばたくさん見つけられるかもしれない。

もちろん一般的に仕事では避けられない「嫌なこと」もあるけれど、そうではなく、会社によっては避けられる事項についてだ。

「激務はやだ」とか「丁寧な研修制度がなきゃやだ」とか「語学が活きる環境じゃなきゃやだ」とか。


私は、「激務」でも別によくて、「丁寧な研修制度」も「グローバルな環境」もそんなにほしいと思わなかったけれど、

「全国転勤はやだ」ったし、「上下関係が厳しそう」で、自分の意見を不条理な理由で伝えられないのは絶対に嫌だった。

そして、東京のIT企業で働いている今、忙しく自走が求められる環境ではあるものの、年次関係なく「ユーザーのためになること」を全員で思考し、全力で意見をぶつかりあわせてはモノづくりに奔走する現在のチームの環境や人が大好きだ。

仕事をしていれば、子供の送り迎えで出勤が遅れても文句は言われないし、ミーティングで意見を言わない方が良くないとされるし、無駄なコミュニケーションが発生しない今の環境は自分にとってストレスフリーである。

やりたくないことは、私にやりたいことを見せてくれた

不思議だったのが「やりたくないこと」を考え始めたら、「やりたいこと」がぼんやりと分かってきたことだ。

何にもないところから、「やりたい」と思うことは難しかったけれど、仕事上で避けられない「大変なこと」をやったとしても、

耐えられるようなことは何なのか考えるようになったら、自分のやりたいことが少しずつ分かり始めた。


誰かから批判されたり、怒られたり、大量の仕事があったり、一般的につらいとされることはきっと、仕事をしていれば必ずある。

全ての仕事はラクじゃない。すべての仕事は大変なのだ。


「じゃあ、そんな大変な思いをしても、やりたいことってなんだろう?」そんな風に考えてはじめて、私はやりたいことに出会えた気がする。

私は、「自分のアイデアを世の中に出して、たくさんの人から反応をもらうこと」がしたかった。

そのアイデアをよくするためなら、誰かに批判されても、失敗して怒られても大丈夫。


人によっては「お金をもらえるなら大丈夫」な人もいるかもしれない。

「誰かが喜んでいる顔を直接見られれば大丈夫」な人もいるかもしれない。

「女の子からモテるなら大丈夫」な人もいるだろう。


パンケーキのために2時間の行列に並ぶ人間を笑う人も、どこかでラーメンのために2時間行列に並んでしまうケースがあるように、私たちは大変なことも、大好きなもののためなら耐えられる。

だけど一方で、「人生で大きな時間をかけてでも食したい食べ物は何?」と言われると、身構えてパンケーキもラーメンも出てこなかったりする。

人生を「やりたくないこと」から考えたっていいじゃない

人生は、やりたくないことをやっているほど長くない。


やりたくないことをやっている間、パフォーマンスが下がってしまうなら、それがやりたい誰かに任せたほうがうまくいく。

そして、やりたくないことをやっている自分に心が傷つくならば、やりたくないことから逃げた自分で長生きしたほうが、きっと誰かの役に立てる。


「経営とはやらないことを決めること」と言った人もいる。

有限な時間の中で、自分の人生の資産をどこに割り振るかを考えることも重要だが、一方で、「何に使用しないのか」を考えることも同じくらい重要なのだ。

厳選した資産の投資先に目を凝らせば、煙なんかじゃなくもっと強固な自分の望んだ世界観や仕事があるはずだと私は思う。


「やりたいこと」に背を向けているうちに、「やりたいこと」を置いてきた場所を忘れてしまった人も、

「やりたくないこと」という手がかりをもとにその行方を丁寧にたぐり寄せれば、自分が心地よい場所にもう一度戻ってこられるかもしれないのだ。

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※こちらは2018年4月に掲載された記事の再掲です

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編集者/ライター
りょかち

自撮ラー(自撮り女子)。神戸大学経営学部を卒業後、新卒でIT企業に就職。インターネットに関する連載を幻冬舎plusなどで執筆中。著書「インカメ越しのネット世界」http://amzn.asia/drUMoWJ

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