こんにちは、ワンキャリ編集部です。
業界で大きな存在感を放ち、IT業界に興味のある方は押さえておきたい「SIer」。
今回はその中でも、人気のあるSIer5社、「アクセンチュア、NTTデータ、野村総合研究所(以下、NRI)、日本IBM(以下、IBM)、富士通」の特徴に迫ります。
社会的インパクトの大きい業務内容や、それに見合う給与形態、幅広い業界と関われることなど、「SIer業界」には就活生を魅了する要素が多くあります。ぜひ、最後までご覧ください。
<目次>
●SIerの仕事内容
●SIer業界全体の動向
●SIer大手5社の業績(営業収益/営業利益)比較・ランキング
●SIer業界大手5社の特徴・強み
・アクセンチュア:ITに強みを持つ、世界最大の頭脳集団
・NTTデータ:日本最大規模のシステム開発会社
・NRI:未来創発を掲げ、コンサル×ITの力で金融分野に強みを持つ
・IBM:多様性を大切にする外資系企業、ソフトウエア以外の分野にも注力
・富士通:国内外に大きな影響力を持つ日本の総合電機メーカー
●SIer業界大手5社の社風の違い・制度
・アクセンチュア:成果主義。クライアント先に常駐し、顧客に寄り添う
・NTTデータ:大企業ならではの多様性
・NRI:明るく賢い人が多く、ワーク・ライフ・バランス向上に取り組む
・IBM:多様性が強みの源泉、グローバルに働きたい学生におすすめ
・富士通:ザ・日系メーカー、協調性を重視する社風
●SIer業界大手5社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数
●SIer業界大手5社の選考対策・クチコミ
●SIer業界以外の業界研究記事
SIerの仕事内容
SIerとはSystem Integratorの頭文字を取ったもので、クライアントの業務を把握・分析し、課題解決のためのコンサルティングからシステムの設計・開発・運用・保守までを請け負うサービス事業者のことをいいます(※1)。
※出典:デジタルクロス「ウォーターフォールモデルの限界と"PoC貧乏"が起こる理由【第2回】」
システム開発は「ウォーターフォールモデル」と「アジャイルモデル」の2種類に分けられています。「ウォーターフォールモデル」は上流工程から下流に向かって「要件定義→設計→製造→テスト→リリース」の順番で開発を進める手法。「アジャイルモデル」はシステム開発にかかる上記の工程を細かく分けて、短いサイクルで進行していくシステム開発手法です。
「ウォーターフォールモデル」は、プロジェクトの最初の段階でエラーが起きないように完璧な計画を立てるため、計画の変更がめったにない開発方法です。これに対し、「アジャイルモデル」は計画を全て事前に決めるのではなく、プロジェクトの実行結果に基づいて計画を柔軟に変えながらプロジェクトを進める開発方法です。
SIerはこの全ての工程を一社で担当するわけではなく、プロジェクトの全体を統括する元請けSIerとその協力会社である、さまざまな下請けの会社が協力してプロジェクトを遂行していきます。
そのため、これから紹介するSIer企業はプロジェクトの統括が主な仕事内容となるため、コードを読むことはあっても、自らプログラミングを行うことはほとんどありません(※2)。
(※1)参考:レバテックキャリア「SI事業での仕事内容|SIerの種類、開発工程ごとの業務を徹底解説」(※2)参考:OBPMNeo「アジャイル開発とウォーターフォール開発の違いとは?失敗しない開発手法を決定するために、それぞれの特徴やメリットについて理解しよう」
SIer業界全体の動向
SIer業界の市場は10年連続で拡大しており、成長中の業界だといえるでしょう。
日本経済新聞社が2022年にまとめた設備投資動向調査によると、2022年度のIT関連の設備投資計画額は前年度実績比31%増の7656億円と大幅に増えています。コロナ禍をきっかけに、事業を向上されるためのDXや省人化を増額の理由にする企業が増えたことが理由として挙げられ、この流れは今後も続いていく見通しです(※3)。
(※3)参考:NIKKEI COMPASS「システムインテグレーター」
SIer大手5社の業績(営業収益/営業利益)比較・ランキング
5社の業績を比較してみましょう。
以下、2022年度の各社の売上高・当期純利益(親会社の株主に帰属する)を比較したグラフです。
※IBMのみ2021年度の年次報告書を参考にしています※出典:2022年度有価証券報告書「NTTデータ P.6/NRI P.2/富士通 P.4」
※出典:アクセンチュア「2022年度4半期・通年の財務結果 P.10」
※出典:IBM「2021年度年次報告書 P.8」
※全て連結決算の数値です
※1ドル=145円で計算
※アクセンチュアは「REVENUES」「NET INCOME」、IBMは「Revenue」「Net income」、の数字を参考にしています
※純利益において、NTTデータは「当社株主に帰属 する当期利益」、NRIは「親会社の所有者に帰属する 当期利益」、富士通は「親会社の所有者に帰属する 四半期(当期)利益」の数字を参考にしています
2022年度は売上高・当期純利益ともにアクセンチュアがトップでした。続いて、IBMが売上高と当期純利益ともに2位にランクインしました。この2社は外資系企業であるため、全世界にある拠点での売上が合計されており、このような結果となりました。
SIer業界大手5社の特徴・強み
次は、各社のセグメント別の売上や、事業の特徴を見ていきましょう。
アクセンチュア:ITに強みを持つ、世界最大の頭脳集団
アクセンチュアの全世界の従業員数は約72万1千人、拠点は49カ国・200都市以上に構えています。また、120カ国以上に存在するクライアント数は9,000で連結売上高は615兆9430億5,000USドルです(※4)。以下に売上の内訳を示します。
※出典:アクセンチュア「2022年度4半期・通年の財務結果 P.11」
アクセンチュアは上記のプロダクト、コミュニケーション・メディア&テクノロジー、ファイナンシャルサービス、ヘルス&パブリックサービス、リソースの5領域において、バランス良く幅広いサービスとソリューションを提供しています。
強みとしては、ITを利用したデジタル領域でのソリューションが挙げられます。アクセンチュアは1953年に初めてコンピューターをビジネスに導入してコンサルティング業務を開始しました。この歴史の長さから培われたノウハウにより、各領域にスペシャリストがいるため、広い範囲のオーダーに対応できます。
(※4)参考:アクセンチュア「アクセンチュアとは」NTTデータ:日本最大規模のシステム開発会社
NTTデータはNTTグループ主要5社の一つであり、東京の江東区豊洲に本社を構えています。従業員数はグループ全体で約1万2,400人で、連結売上高は2兆5,519億円です。以下に売上の内訳を示します。
※出典:NTTデータ「2022年度有価証券報告書 P.37」
NTTデータは事業分野として主に公共・社会基盤と金融と法人・ソリューションの3つの領域と「EMEA(欧州・中東)・中南米」「北米」「日本・APAC(アジア太平洋地域)」の海外へのソリューション提供を行っています。その中でも特に公共・社会基盤の分野においては、日本をITの面から動かす大規模プロジェクトに携わることができます。
特徴としては、近年海外案件の獲得に力を入れていることが挙げられます(※5)。具体的には、宮崎大学と協力して米国の患者の医用画像データベースを活用し、AI(人工知能)による画像認識技術を用いて臓器の異常を検出するアルゴリズムを構築・完成させました(※6)。海外進出に関わりたい学生は、詳しく調べてみてください。
(※5)参考:日経XTECH「NTTデータ 常識破りの海外事業」(※6)参考:NTTデータ「医療現場を支えるNTTデータのAI画像診断支援ソリューション」
NRI:未来創発を掲げ、コンサル×ITの力で金融分野に強みを持つ
NRIは、東京の大手町に本社を構えています。従業員数はグループ全体で約16,500人で、連結売上高は6,116億円です。以下に売上の内訳を示します。
※出典:NRI「2022年度有価証券報告書 P.22」
NRIは事業分野として大きくコンサルティング、金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービスの4つの領域に分けて、時にはコンサルティングとITソリューション、ITソリューションと基盤が協力しながら顧客にとって最適なソリューションを提供しています(※7)。
中でも金融分野の証券業界においては、国内の個人証券口座の約50%以上を管理する共同利用型プラットフォームなどを提供しており、業界全体を支える大きなシステムに携わることができます。また、マイナンバーなどの国民全員に関わるような、大きなシステムも提供しています。
現在は、産業ITソリューション部門に力を入れており、全ての部門で売上を伸ばしている中、19.6%と最も大きく売上を伸ばしています(※8)。
(※7)参考:NRI「NRIの強み ビジネスモデルの特徴」(※8)参考:有価証券報告書「NRI P.22」をもとに算出
IBM:多様性を大切にする外資系企業、ソフトウエア以外の分野にも注力
IBMは東京都中央区日本橋に本社を構え、連結売上高は573兆5,000億USドルです。以下に売上の内訳を示します。
※出典:IBM「2021年度年次報告書 P.19」
IBMは事業分野として大きくソフトウエア・コンサルティング・インフラ・ファイナンスの4つの領域に分けて、さまざまなクライアントに対してサービスを提供しています。その中でもソフトウェア・コンサルティング分野においては、業績を伸ばしています(※9)。
また、ソフトウエアだけでなくハードウエアのサービスも提供している点や、インフラの分野にも力を入れているという点に関しては他社と比較すべき点です。
(※9)参考:IBM「2021年度年次報告書」富士通:国内外に大きな影響力を持つ日本の総合電機メーカー
富士通は、神奈川県の川崎に本店、東京都の汐留に本社事務所を構えています(※10)。従業員数はグループ全体で約124,200人で、連結売上高は3兆5,868億円です。また、世界の180カ国にサービスを提供しています(※11)。以下に売上の内訳を示します。
※出典:富士通「2022年度有価証券報告書 P.32」
富士通は事業分野として大きくテクノロジーソリューション・デバイスソリューション・ユビキタスソリューションの3つの領域に分けてサービスを提供しています。この中でも特に、自社製品を用いて課題解決を行うテクノロジーソリューションが大きな売上を占めています。
また、他の分野の業績が低迷する中で唯一、デバイスソリューションの分野は業績を伸ばしています(※12)。よって、SIerと総合電機メーカーの2つの側面を持っているといえるでしょう。
(※10)参考:富士通「拠点情報」(※11)参考:富士通「企業情報」
(※12)参考:富士通「2022年度有価証券報告書 P.30」
SIer業界大手5社の社風の違い・制度
次は、各社の社風や制度について見ていきましょう。
アクセンチュア:成果主義。クライアント先に常駐し、顧客に寄り添う
アクセンチュアは「戦略から実行部隊までそろう総合力で、顧客に変化をもたらす」という、成果を出すことにこだわる特徴があります(※13)。また、ある社員は内定者に対し「オフィスよりクライアント企業にいることの方が多い。一時期はクライアント先の名刺すら持っていた」と話しており、コンサルタントとして顧客と親密なコミュニケーションをとりながら仕事をしたいと考える学生におすすめです。
(※13)参考:ONE CAREER「【アクセンチュア:3分対策】ビジネスコンサルタント職のGD・面接など各選考ステップの内容や評価ポイントを解説!」▼アクセンチュアに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
NTTデータ:大企業ならではの多様性
非常に大きな会社であることから、社内の雰囲気は部署によって全く異なり、多様な人を受け入れる風潮があります。ぜひ、説明会や座談会で部署ごとの雰囲気を実際に感じてみてください。また、現在特にグローバル展開に力を入れており、日本企業の海外進出などに興味がある学生にはおすすめです。
▼NTTデータに関する【ONE CAREER限定コンテンツ】はこちら!
NRI:明るく賢い人が多く、ワーク・ライフ・バランス向上に取り組む
社風としては、「明るく賢い人が多い」と社員の方は話しています。実際の業務ではチームを動かすことが多いため、チームワークが得意な外交的な人が多いです。また、会社としてもNRI最大の資源を「人材」と捉え、ワーク・ライフ・バランスの向上を促進し、自身の健康や家族生活を大切にするための活動を行っています。
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IBM:多様性が強みの源泉、グローバルに働きたい学生におすすめ
社風としては、全社的に「人材の多様性はIBMの強みの源泉」と掲げているように、さまざまな人種や価値観を持った人と一緒に働くことができ、多様性があります。また、多くの企業の発展に関わる仕事をグローバルで行いたいと考える学生にはおすすめの企業です。
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富士通:ザ・日系メーカー、協調性を重視する社風
社風としては、ザ・日系メーカーのような、協調性重視、終身雇用、緩やかな昇進スピード、と学生が想像できる要素を全て並べたような雰囲気といわれています。現在は家電分野ではなく、SE(システムエンジニア)である社員を顧客企業に常駐させてITインフラを構築するビジネスにも力を入れているため、SEが活躍できる企業に変化しています。
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SIer業界大手5社の平均年収・平均年齢・平均勤続年数
続いて、SIer業界の平均年収・平均年齢・平均勤続年数について見ていきましょう。 ここでは、有価証券報告書が公開されているNTTデータ・NRI・富士通についてご紹介します。
企業名 | 平均年収 | 平均勤続年数 | 平均年齢 |
NTTデータ | 867万円 | 14.5年 | 39歳 |
NRI | 1242万円 | 14.6年 | 40.6歳 |
富士通 | 879万円 | 19.1年 | 43.7歳 |
※出典:2022年度 有価証券報告書「NTTデータ P.13/NRI P.11/富士通 P.10」
※平均年収は千の位を四捨五入しています
また、日本全体の40代の平均年収が約492万円(※14)です。いずれの企業も十分に高い水準だといえるでしょう。
(※14)出典:国税庁長官官房企画課「令和3年分民間給与実態統計調査-調査結果報告ー P.19」より算出し、小数点四捨五入
SIer業界大手5社の選考対策・クチコミ
いかがでしたか。
今回は学生に人気のSIer5社の特徴を、比較しながら説明してきました。選考でも、他のSIerとの違いは問われます。本記事の内容はしっかりと頭に入れておきましょう。
詳しい選考ステップや合格の秘訣(ひけつ)は、下記の「選考対策ページ」を参考にしてください。
アクセンチュア
NTTデータ
NRI
IBM
富士通
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各企業の選考のクチコミはこちらをご覧ください。
アクセンチュア
NTTデータ
NRI
IBM
富士通
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SIer業界以外の業界研究記事
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