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2020年、三井物産が「オワハラ」に悩む学生に贈る2つのメッセージ

オワハラ 企業理解 インタビュー
2020年5月28日(木) | 19,555 views
sponsored by 三井物産

5月も終わり、いよいよ6月になろうとしています。

例年であれば、面接解禁の直前となる時期ですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、選考のスケジュールが変化しています。とはいえ、多くの日系企業で選考が佳境に入っているのは間違いないでしょう。


この時期、選考に加え、就活生の悩みとして増えるのが、内定をもらった後の「オワハラ(就活終われハラスメント)」です。

企業が学生に対して、他社の内定を辞退するよう強要したり、選考を受けられないように妨害したりするオワハラ。ワンキャリ編集部では、この悪しき習慣を消し去るべく、これまでさまざまな調査や記事化を進めてきました。昨年、Webアンケートを通じて、学生から寄せられたエピソードの一部をご紹介します。

・人事が自分たちの代わりに、リクルーターや社員を使って面接の合間に他社選考を辞退するよう繰り返し電話で強要してくる。多大なストレスで不眠症になった。(インフラ大手)
・面接を受けた後、リクルーターがつき、本当に入社を決めるのか、第一志望なのかを何度も何度も確認された。最終面接の前日の23時にもリクルーターから電話がかかってきた。さすがにハラスメントだと思う。(人材系ベンチャー)
・他社内定が決まったため、採用事務局に辞退の連絡をしたが、同日午後に大学OBチームの長と思われる男性から連絡。完全に自分に非があるような言い方で、理由を無理やり深掘りされた。「親の都合で就活は続けられない」と話し、何とか辞退できたものの「私は人事部とつながっている」などの発言があり、恐怖を感じた。立場の弱い学生に対し、このような態度を取られるのは本当にショックだった。(大手金融)

こうした就活生の悲痛な叫びは減りませんが、ワンキャリアと同様にオワハラがなくなるよう願い、実際に行動に移す企業も出てきています。

昨年は、総合商社の三井物産が選考候補者に対し、他社拘束などについて相談できる「オワハラ相談ホットライン」を設置。実際に50件以上の相談が寄せられたとのことです。

▼参考記事はこちら
・三井物産が「オワハラ相談ホットライン」を設置、採用トップが語ったオワハラの現状【オワハラ調査2020】

学生が実際にオワハラを受けたらどうすればいいのか。今回はホットライン設置の経験から分かったことを同社人材開発室 室長の田渕順司氏に伺いました。

田渕 順司:三井物産株式会社 人事総務部 人材開発室 室長。入社後、財務部にて国内・輸出決済業務を担当し、人事部に異動後は海外人事関連業務に携わる。2000年より情報産業本部(現ICT事業本部)に異動しITソリューションビジネスに従事。2004年には関係会社に出向し同社の経営改革に取組む。その後、環境ビジネスを志し、エネルギー第一本部にて水素・燃料電池関連の新規事業開拓に邁進。2010年にはシリコンバレーの関係会社に出向しベンチャー投資に従事。2012年からは金属資源本部に異動し石炭プロジェクト管理と石炭販売を担当。2015年にシンガポールで金属資源物流の責任者を務める。帰国後ニッケル物流室の室長を経て、2020年4月から現職。

「6月1日の方が有利」「日程が早いほうが志望度が高く見られる」 決してそうではないと伝えたかった

──昨年設置した「オワハラ相談ホットライン」には50件以上の電話が寄せられたと聞きました。実際どのような相談が多かったのでしょうか。

田渕:「弊社の選考日程とかぶる形で他社の選考スケジュールが意図的に指定され、どうしたらいいか分からない」という相談が最も多かったです。内容としては想定通りでしたが、焦って狼狽(ろうばい)している学生も少なくなかったと聞いています。法律の話などを持ち出され、追い詰められたというケースもありました。


──相談してきた学生には、どう対応したのでしょうか。


田渕:弊社としてできる限りの代替の日程を提案しました。面接員や会場なども柔軟に対応できるように準備していたので、スムーズに進めることができたので良かったです。ごくわずかですが、われわれの選考に全く関係のない相談もありましたが、それはそれで必要に応じて対応をアドバイスしたりしました。


──実際のところ、拘束や他社選考の妨害などを行う業界はどこが多かったのでしょう……?


田渕:選考がバッティングするという意味ですが、もちろん同業の商社はありました。後は金融系でしょうか。「6月1日を全日開けろと言われた」という話が多かったと。だから、6月1日は商社などの選考を入れないようにしているという学生もいるようですね。


──なるほど。学生側もオワハラを想定した動きをしていると。


田渕:ただ、学生からすれば「6月1日の方が有利なのではないか」とか「日程が早い方が、志望度が高く見られるのではないか」とか思うところはあるはずで、相談してきた学生の皆さんからもその考えが伝わってきました。

ただ、少なくとも三井物産は6月1日が有利といったことは全くないですし、ホットラインを設置して柔軟に対応したことで、学生の皆さんにもその姿勢が伝えられたのではないかと思います。

「一人で悩むな」と「自分で決めろ」。オワハラに悩む学生に贈る2つのメッセージ

──このほかにもホットラインを設置したことで、分かったことはありますか?


田渕:まずは他社の拘束のため、弊社の選考日程を調整したとしても、弊社を選んでくれる学生はちゃんと来てくれるということ。あとは、これまでの経験から事前にある程度は把握してはいましたが、実際に拘束などを行っている企業の実名とその実態を改めて知ることができました。これが、他社に対する強いけん制になると考えています。


──けん制……ですか?


田渕:はい。今までは明るみに出なかった学生さんの拘束という事実が、他社である三井物産に筒抜けになってしまうわけですから。相当なプレッシャーになるでしょう。人事の集まりでも、ホットラインは話題になったようです。


──ホットラインを通じて、多くの学生が悩んでいる姿に触れたと思います。オワハラで悩む学生はどうすればいいのか。相談を受ける中で見えてきたものはありますか?


田渕:まずは「一人で悩まないでほしい」ということですね。ホットラインで私たちに相談したことで、うまく就活が進んだケースも多かったと聞いています。本当に悩んだら、信頼できる企業に洗いざらい話して、助けを求めてもいい。それで対応してくれないような企業であれば、勤めることをおすすめしません。

もう一つは、矛盾する話かもしれませんが「自分で考えて決めろ」ということです。私たちは「三井物産の面接に参加できる」という選択肢を提示しましたが、仮に合格したとしても、入社を強制するようなことはしません。合格を得て、あとは責任を持って自分で進む道を決める。


──ある意味、「言い訳できない」状況になるということですね。


田渕:おっしゃるとおりです。「○○に言われたから」と決めるのではなく、自分自身で決める。それが本来あるべき、自立的なキャリア選択なのだと思います。

「オワハラ相談ホットライン」など、必要ない世界になればいい

──今年もオワハラ相談ホットラインは設置するのですか?


田渕:オワハラが徐々に増加するタイミングに合わせて、当社の面接を待つ学生さんに向けて5月28日(本記事公開日)から設置します。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、コミュニケーションの機会が減少し、例年よりも情報量が限られるので、学生さんの立場がより弱くなるのではないかと危惧しています。

不安をかき立てられやすい状況ですし、「よく分からないけれど、そういうものなのか」と会社側の都合に従わされてしまうケースは、例年に比べて増えると思っています。今年も、設置前からすでに複数の相談が寄せられています。


──そうなんですね。どのような相談なのでしょう。


田渕:強い拘束というわけではないものの「今どうするか決めてほしい、と迫られた」という内容でした。やはり、学生さんの話を聞くと、自分に権利があることを認識できていないイメージがあります。職業選択の自由は憲法で保障されている権利です。それをもっと啓発していく必要があると感じています。


──今年も不安にさいなまれている学生は多いと思います。オワハラに対してどう対処していくかも含めて、彼らにメッセージやアドバイスをお願いできますか。


田渕:われわれとしてはやはり、立場が弱い人たちの力にならないといけないし、採用広報のときはいいことばかり言っているけれど、最後の土壇場でコロッと態度を変える企業が存在すること自体、本来あってはならないことだと思っています。

すぐにこれでオワハラを撲滅できるかどうかは別として、この活動で一石を投じ続ける必要はあると思っています。就職活動は自分の将来を決める大きな選択です。三井物産はそれを全面的にサポートしますし、その先に、世の中が良い方向に変わっていけばいい。

他の会社も同じような取り組みをしてくれたら素敵(すてき)だと思う半面、そもそも、オワハラの相談窓口なんて必要ない世界が理想ですよね。だから、学生さんもそうですが、日本の会社の皆さんに伝えたいです。「もう、この取り組みを辞めさせてください」と。


「オワハラ調査2021」スタート。皆さまの声をお寄せください

学生にも企業にも「フェア」な就活メディアであること。ワンキャリア編集部は常にこのモットーに従い、記事を掲載しています。

今年も「就活生新聞」など、クチコミを基にした情報を発信する新たな試みを行っています。地道かもしれませんが、こうした取り組みを続けることが、就活の透明化につながると信じています。

田渕さんのお話にもあった通り、オワハラの相談窓口など必要ない世界が理想であることは言うまでもありません。その世界が実現するまで、ワンキャリアは戦い続けますし、そのために、メディアとしてできることを尽くしていきます。

今年もワンキャリアではオワハラ調査を行います。オワハラを終わらせるには、就活生が声を上げることが何よりも重要です。この悪しき風習を次の世代に引き継がないために、皆さんの実体験を教えていただけませんか。

その経験を伝えることが未来の就活生を救うはず。皆でオワハラの連鎖を断ち切りましょう。ぜひ、あなたのエピソードをこちらのフォームにお寄せください。

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新卒でアイティメディア株式会社に入社後、PC専門メディア、ビジネスメディア、企業向けITの専門メディアを経験。データ活用分野を中心に、AIやIoTなどのトレンドや最新事例を多数取材した。連載をまとめた書籍「AIは人間の仕事を奪うのか? 〜人工知能を理解する7つの問題(https://www.amazon.co.jp/dp/4863542429) 」が2018年4月に発売。

2017年からは「Gallup認定ストレングスコーチ」としても活動。ストレングスファインダーを使い、仕事や日々の生活を楽しく過ごすための方法を教えたり、若者向けのイベントを開催したりしている。2019年4年にワンキャリアに参画。2022年まで編集長を務める。

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