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結婚・出産で就活断念。「予期せぬ出来事」は、キャリアを強くするきっかけになる──太田彩子さん

キャリア 一目惚れ インタビュー
2020年9月23日(水) | 6,871 views

大学在学中に結婚・出産、卒業後は専業主婦。こう聞いて連想するその後のキャリアは、どのようなものだろうか。

私が女性営業向けのコミュニティー「営業部女子課」の代表を務める太田彩子さんに初めて取材をしたのは、およそ2年半前のこと。太田さんはひとり親(当時)として仕事と子育てを両立し、営業部女子課の運営の他、自身の会社の経営、上場企業の社外取締役、さらには政府の委員会でアドバイザーまで担っている。

これだけの役割をこなしながら、当時の太田さんは40代になって進学した筑波大大学院での研究に、忙しい合間を縫っていそしんでいた。さらにブログを見たら、趣味の登山でガチな山を求めて海外遠征までしていた。

そんな事前情報から彼女に抱いていたイメージは、「とにかくすごいスーパーウーマン」。

だが、話を聞いてみて驚いた。彼女のキャリアのスタートは、まさに冒頭で挙げたものだったから。人よりも遅いキャリアのスタートにコンプレックスを抱き、悩み、苦しんできた過去を聞き、取材を終えた頃にはイメージが180度変わっていた。

特集「あなたのキャリアに一目惚れしました。」
本特集では、ワンキャリ編集部が「一目惚れ」したキャリアの持ち主にお話を伺います。就活に直接関係ない話も多いです。いつか、あなたがキャリアを決めるときの一助となることを願って、お届けします。

私のキャリアはリーマンショックの影響により、内定していた広告制作の部署ではなく、急遽(きゅうきょ)営業部に配属されてしまったところからスタートしている。今でこそ最初に営業をやったことを本当に良かったと思っているけれど、当時の私はとてもそんなことは思えずにいた。

営業経験がいつか役に立つと頭で理解はできても、気持ちが全くついていかない。そして、状況を前向きに受け止められない自分に対して「なんてダメなやつなんだ」と落ち込むことも多かった。「こんな仕事がやりたかったわけじゃない」と、完全に腐ってしまった時期もある。

だからこそ、ダメな自分やネガティブに感じてしまう出来事に対して、無理に肯定せず、飾り立てるでもなく、真正面から受け止めて淡々と話す太田さんの姿が新鮮だった。

なんだ、起こった出来事も感情も、事実をそのまま受け入れていいのか。そう気付かされて、かつての新人時代の自分が救われたような気分になった。

今はコロナショック真っ盛り。卒業後の進路を見直さざるを得なくなった人も少なくないだろう。

そんな今の状況に思いを馳(は)せたとき、ふと太田さんの顔が頭に浮かんだ。在学中にライフイベントを迎え、予期せぬキャリアをスタートさせた彼女の話に、励まされる人はきっといるはずだ。


今回の惚れられた人:太田彩子さん(「営業部女子課」主宰)

早稲田大学法学部卒業。筑波大学大学院 人間総合科学研究科博士前期課程修了。リクルートの営業職として活躍後、2006年株式会社ベレフェクト設立。2009年より、日本最大級の営業女性コミュニティ「営業部女子課」を主宰。他に上場企業2社での社外取締役、筑波大学客員研究員、日本政府主催「国際女性会議WAW!」アドバイザーなど兼任。「一人でも多くの人が夢や目標を達成していける社会創造に貢献する」ことをミッションに、働く女性を中心とした人の成長支援、キャリア支援に力を注いでいる。プライベートでは一児の母。趣味は登山。


今回の惚れたインタビュアー:天野夏海(フリーランス編集者)

2009年転職サービス運営企業に新卒入社し、求人広告営業、派遣コーディネーター、働く女性向けウェブマガジンの編集者を経験。制作部門で採用されたのに、リーマンショックの影響で営業に配属され、キャリアに悩んだ末に腐ってしまった過去がある。2015年に同社を退職し、2017年よりフリーランス。

<目次>
●「みんなと同じ」が当たり前だと思っていたのに、学生結婚・出産で「周りとは全く違う人生」に
●変われたきっかけは、自分の意思で「私は働く」と決めたこと
●若い人に自信がないのは当たり前。仕事のコンプレックスは仕事でしか取り返せない
●つらくても落ち込んでもいい。もがき苦しむこともキャリアになるから
●自分が進む道を正しくすればいい。予期せぬ出来事を受け入れることが、人生やキャリアの転機になる

「みんなと同じ」が当たり前だと思っていたのに、学生結婚・出産で「周りとは全く違う人生」に

──私は不景気の影響によって、希望の部署に配属されないところからキャリアが始まっています。悩んだ末にふてくされてしまっていた時期もあり、コロナショックで進路が断たれてしまった人たちに、何だか当時の自分を重ねてしまっているところがあります。そんなことを考えていたら、ふと太田さんの顔が頭をよぎって、また話を聞かせてもらいたくなりました。太田さんの息子さんもちょうど読者の世代ですよね。

 

太田彩子(以下、太田):そうですね、今年社会人になりました。息子とは、キャリアの話なんて一切しませんけど(笑)

 

──(笑)。さて早速ですが、今日は「予期せぬキャリアを歩むこと」をテーマにお話を伺いたいと思っています。まずは太田さんの20代の頃についてお伺いしたいのですが、大学時代はどのような学生だったんでしょう?

 

太田:目的のない学生でしたね。早稲田大学を選んだのは名が知れているからだし、法学部に進んだのも「就活に有利かな」という考えから。司法の道を目指していたわけでも、特段の目標があったわけでもなく、勉強も全然しませんでした。

──卒業後のことはどう考えていましたか?

 

太田:なんとなく卒業後は普通に働くんだろうとは思っていましたけど、それも周りがそうしていたから、くらいの感じでした。私の学部やゼミでは、卒業後に司法試験を受験するか、就職するのが当たり前でしたから。

 

──働きたい理由は「『周りと同じ』が当たり前だから」だったわけですね。

 

太田:そうです。だからこそ、大学3年生で結婚・出産をし、周りとは全く違う人生になってしまったことで、周囲と比較して、何の強みもない自分に劣等感を抱くようになりました。

 

──卒業後、同級生はどのような道に進んだんでしょう?

 

太田:メガバンクや大手商社をはじめとした超大手企業に入社したり、弁護士や裁判官を目指したり、ですね。そんな中で、就職しないという選択をしたのは私一人だけ。

そもそも大学生で出産だなんて当時はあまり大きな声では言えませんでしたし、周りから「これからどうするの!?」とびっくりされちゃって。適当にごまかしていました。

 

──就職活動自体をしなかったんですか?

 

太田:就活するっていう発想がなかったです。 

今でこそ大学在学中に出産した女性を第二新卒として受け入れる素晴らしい会社も出てきていますし、育児をしながら就活をして良い会社に入社したという声も耳にするようになりました。

世の中は確実に変わりつつあります。ですから、この記事を読んでくださる学生の方には「ライフイベントがあるからって諦める必要はないし、それによって一生が変わってしまうなんて思わないで」と伝えたいです。

ただ、私が大学生だった当時は、育児中の女子大生が就活をするだなんて、想像もできなかった。「絶対無理」と、最初から就職は諦めてしまっていましたね。

変われたきっかけは、自分の意思で「私は働く」と決めたこと

──一緒に勉強していた友人が新社会人として働く中、太田さんは専業主婦として育児に集中。当時はどんな心境でしたか?

 

太田:悔しい気持ちが強かったです。「大学卒業後に良い会社に就職して、数年たったら結婚して出産する」のが当時の世間の常識。出産できた喜び、わが子を授かった絶好の幸せを感じる一方で、「自分には仕事もないし、なんて取りえのない人間なんだろう」と、勝手に友人と比較して落ち込んでいました。

今思うと不思議ですけど、人と違うことがコンプレックスで。とにかく「他の人より変わっていること」を気にしていました。負い目を感じていたから、大学の友人の集まりにも当時は行けなかったんですよ。

 

──そこからどのようにキャリアをスタートさせたのでしょう?

 

太田:20代半ばで離婚をきっかけに就職活動をして、どうにかリクルートに採用していただきました。何の取りえもキャリアもない、子どもがいて時間的制約のあるシングルマザーを雇ってくれただけで、本当にありがたかった。

 実はそれ以前にパートの仕事をやったこともあったんですけど、全然続かなかったんです。「生活のために働くか」くらいの感じでしたし、仕事内容なんて何でも良かった。友人たちをうらやましく思いながらも、自分のマインドセットができていなかったんでしょうね。

 

──マインドはどう変わったんですか?

 

太田:やっぱり覚悟が違いますよね。私が子どもを養わなければいけなくなって、腹を括るしかなくなりました。このときに私は「働く」ことを決めたんです。 

振り返ると、それまでの私は「決める」ことをしてこなかった。自己決定権があることがモチベーションにつながりますが、「仕方がないから」ではなく、自分の意思で「私は働く」と決めたことで、マインドセットができました。そのおかげで、自分自身が変われたんだと思います。

若い人に自信がないのは当たり前。仕事のコンプレックスは仕事でしか取り返せない

 ──リクルートではどんな仕事をしていたんでしょう?

 

太田:創刊当初のフリーマガジン『HOT PEPPER』の営業として、店舗を回っていました。いわゆる飛び込み営業ですね。

 

──同い年の人が着実にキャリアを積んでいる中、太田さんの経験はゼロ。不安も大きかったのではないですか?

 

太田:そうですね。使える武器は行動力だけでしたから、とにかく「目標プラス数件」を意識して営業活動をしていましたけど、いつ芽が出るのかはわかりません。全然契約が取れずに虚しくなって、街をとぼとぼ歩きながら「この仕事って私に合っているのかな」なんて考えてしまったこともありました。

今思えば、まいた種から徐々に芽が出てくるのが仕事の一つのやりがいであり、結果は後からついてくるもの。やった分だけリターンはあるものですが、そんなこと当時はわかりませんでしたね。


──そんな中で、最初に「仕事が楽しい」と思えたのはいつだったんでしょう?

 

太田:いろいろな出来事がありましたけど、ターニングポイントになったのは入社約1年後、「仕事は生活のためだけにやるものではない」と気付いた瞬間です。

 

──何かきっかけとなる出来事があったのでしょうか?

 

太田:「広告は一切出さない」と断られ続けていた、都内に数店舗美容院を経営していた社長の存在です。楽しそうに仕事をしている姿が印象的で、「どうしたらそんなにイキイキと働けるんですか?」と聞いてみたんです。

そのときに言われたのが、「とにかく勉強しなさい」ということ。「本を読むのはもちろん、できる人の仕草(しぐさ)や行動、言葉を真似(まね)して、どんどん吸収しなさい。そして、誰かの役に立つことをしなさい」と。

そこで私は、どうすれば社長の役に立てるのかを考えました。社長からも学びたかったし、そのためにもお取引をしたかった。 

具体的には、同じエリアの競合店の情報や、20代の女性の美容に関する意識など、興味を持ってくれそうな情報をひっかき集めました。客観的なデータに自分が美容院を回る中で感じた主観も交えて資料にまとめ、お店に置き始めて。

そうしたらある日、社長から「参った。契約するよ」と笑いながら電話をいただいたんです。

──「誰かの役に立つことをしなさい」という社長の助言に従ったら、まさに結果が出たわけですね。

 

太田:そのときに気付いたのが、「誰かに喜んでもらえることをすると、みんながハッピーになるんだ」ということ。

それまでは収入を得るために仕方なく働くものだと思っていたけれど、仕事は単なるお金を稼ぐ手段ではない。そう実感できたことで、初めてやりがいを見いだせました。

頑張っている姿は誰かが必ず見ていますし、少しずつお客さまから感謝されたり社内表彰を受けたりする機会が増えていったことが、私の小さな自信を育んだのだと思います。

特に仕事の失敗や恥、コンプレックスは、やっぱり仕事で取り返す以外にないんですよね。若い頃は飲んで忘れよう! みたいに考えたこともありますけど、それでは一時的なストレス発散にはなっても、余計に空しくなる。

小さくても地味でも、コツコツと行動を積み重ねていくことがじわじわ自信を醸成するんです。若い人から「自信がない」という声をよく聞きますけど、そんなの当たり前だと思いますね。

つらくても落ち込んでもいい。もがき苦しむこともキャリアになるから

──振り返って、20代はどんな時期だったと思いますか?

 

太田:もう、ただただ必死でした。自分がやっていることが正しいのかわからなくて、しかも成果もなかなか出ないわけですから。

でも、今振り返って思うのは、若いうちは点の経験ばかりなんですよね。その点が線になるのは、ある程度キャリアを積み重ねた後。そのときは一つ一つの経験に何の意味も見いだせなくても、点が増えていけばまとまりになり、意味を持ち始めます。

そうなって初めて、20代で恥をかいたり必死になったりした経験が、実は学びとなり、自分自身の土台となっていることに気付くものです。

 

──逆に言えば、20代のうちに今やっていることの意味なんてわからない?

 

太田:そうかもしれないですね。どんな失敗やつらいことがあっても、その積み重ねが大きな意味をもたらしてくれる。それがキャリアであり、全部のことに意味があるんだと思います。


──理屈はわかるのですが、それは後付けの結果論とも言えますよね。就職活動にしろ、仕事にしろ、思うようにいかなくてつらい渦中にいるときは、やっぱり「今つらい」が全てになってしまうというか。

 

太田:それでいいのではないでしょうか。つらくていいんですよ。一筋縄ではいかないことがあるのが仕事であり人生ですから、ふてくされても落ち込んでも、それはそれでいいのだと思います。

特に20代のうちは、ゴールを意識せずに目の前のことをクリアしながらキャリアを積む「川下り型」のキャリアでいいと思うんです。自分が何者かわからず、それでも何者かになろうとしてもがき苦しむのが20代ですから、激流をよくわからないまま下っていくようなキャリアのつくり方でもいいのだと思いますよ。


──「流されてもいい」ということですか?


太田:そうです。ただし、一つだけ大事にしてほしいのは、自分の意思を持つこと。普段は流されても落ち込んじゃってもいいけれど、自分の転機となるような大事な局面では「私はこれをする」と決めることがとても重要です。

私自身、「働く」と決めたことで大きく変われましたが、要所要所で意思決定をするというのはぜひ意識してほしいですね。

 

──「決める」って難しいなと思います。特にキャリアに関する意思決定には正解があるわけではないでしょうし、就職して間もない時期だと初めてのことばかりですし。

 

太田:決めたことは後から変えてもいいんですよ。なぜなら、人生には偶発性があるから。

私だって大学生のときは、普通に就職して働いて30歳ぐらいで結婚して……と思っていましたもん。そこから予期せず妊娠・結婚したことで人生が変わってしまった。なんか、人生ってそんなものなのかなと思います。

だからこそクランボルツ教授の「計画された偶発性理論(※)」で言われているように、予期せぬことがあっても準備はしていく。できることにフォーカスしながら、軌道修正しつつ進んでいくのが大事なんじゃないかと思います。 

(※)……スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提唱したキャリア理論。「個人のキャリアの8割は予想だにしない偶発的な出来事によって決定される」とし、偶然の出来事にベストを尽くして対応することで、より良いキャリアが築かれるという考え方

自分が進む道を正しくすればいい。予期せぬ出来事を受け入れることが、人生やキャリアの転機になる

──周りと比較して落ち込んでいた20代半ばの太田さんに声を掛けるとしたら、何を伝えたいですか?

 

太田:そうですね……。「そのつらさは永遠に続かないよ」かな。 

長いトンネルに入ると先が見えないけれど、終わりは必ずあります。とはいえボーッとして歩かなければ出口にはたどり着けませんから、諦めずに、しんどいときでも最低限のことはやって、進んでいこうねって。

  

──遅いキャリアにコンプレックスがあったとおっしゃっていました。今はどうですか?


太田:完全にゼロになったとは言えないですけど、今は受け入れられています。どんなに強く見える人でも何かしらコンプレックスはあるはずですし、完璧な人間なんていませんから。弱いのも自分ですし、弱さを持っているからこそ成長意欲が湧いたり、エネルギーになったりもしています。

むしろ最近では、人とは違うキャリアを歩んできたことが自分の武器だと思えるようにもなりました。ストレートな人生ではないからこそ、ありがたいことにこういう取材の機会をいただけていますしね。


──就活生の根底には「世間の常識から外れてしまうんじゃないか」という不安があると感じます。世間の常識とは、どのように向き合ったらいいと思いますか?


太田:20代の私はまさに世間の常識から外れたことを気に病んでいましたが、これはもう仕方がないと思います。どうしても気になるものですから。

ただ、今はダイバーシティの時代ですし、違いをあえて長所にしようとする風潮になってきています。だからこそ、ぜひ積極的に第三者と壁打ちをしてください。

私が人と違うことが武器だと思えるようになったのだって、人からそう言われることが増えたからです。自分一人で考えていると堂々巡りになりますし、周りと比較して不安ばかり大きくなってしまうもの。自分の強みなんて自分ではわからないものだと、つくづく思いますね。


──目の前の出来事が人生にどんな意味をもたらすのかも、何が自分の強みになるのかも、すぐにはわからない。でも、少しずつ進んでいった先でいつか答え合わせができるときが来る。そう思うと、少しだけ救われる気がします。


太田:予期せぬ出来事を受け入れることが、きっと人生やキャリアの転機になるのだと思います。

最近、「JALとANAが志望だったので、採用が中止になってしまってショックです」と女子大生から話を聞いて。胸が痛む話ですし、彼女たちに「他の選択肢もあるよ」と伝えても、全く響かないのも理解できます。

ただ、こればかりは自分でどうすることもできないんですよね。気持ちを切り替えられないままいると、どんどん環境や周囲の人のせいにしてしまいます。そうしたくなる気持ちはわかりますけど、そこに執着しても何も変わりません。考え方や行動など、どうにか自分で変えられることに集中してほしいですね。

──太田さんはこれまでを振り返って「あのときこうしていれば」と思うことはありますか?


太田:実はないんです。ある先輩から「自分が進む道を正しくすればいい」という言葉をもらって、すごく刺さって。今の歳になって感じることですけど、正解・不正解なんてわからないし、それを決めるのは自分なんですよ。

だからなおさら、これから社会に出る学生の方には、やりたいことにどんどんチャレンジしてほしいなと思います。特に20代は仕事への適正・不適正も、好きかどうかも、やってみないとわからないことがほとんどですから。

 

──コロナショックによって、自分ではどうしようもない現実に直面している人がたくさんいます。でも、そこで選んだ道をプラスにするのも、マイナスにするのも、結局は自分次第、ということですね。


太田:そうですよ。仮に自分にとって不本意な会社に入ることになったとしても、そこで働いたことをきっかけに新たな意味を見いだして、自分にとってベストな転職先と出会えることはざらにあります。

それに、これからは従来のような「ストレートな人生」だけが全てではありません。

例えばこれまで、早期に結婚・出産することは女性のキャリアにとって不利だと言われていました。私も長年そう思っていましたが、今になって思うのは、年齢に関係なく、キャリアは一生変えることができるということ。

そもそも子どもがいることで得られるものってすごく大きいんですよ。人生に幸せをもたらしてくれる存在であり、何より守るべき存在がいることは仕事の原動力にもなります。制約があるからこそ集中力やマネジメント能力、時間管理力が養われますし、仕事と子育ての両立にはプラスの面も多くあります。

また、私は社会で感じた課題解決を学術の世界で考えたいと41歳で大学院に進みましたが、これも子どもが大学生になって自分の時間が取れるようになったからできたことです。若くして出産したぶん、今になって仕事はもちろん、研究や趣味の登山に思い切り打ち込めている。

私は完全に遅咲きで、全くもって順風満帆ではなかったですけど、それでも何とかなっています。今はコロナショックによって予期せぬことに直面する機会が多いですが、この先何歳になっても、何だってできるチャンスはある。これから社会に出る学生の皆さんには、そのことを忘れずにいてほしいですね。

太田さんのロールモデル
ザ・ボディショップの創設者 アニータ・ロディック
ずっと経営者として尊敬しているのは、ザ・ボディショップ創業者のアニータ・ロディック。ご自宅のキッチンで化粧品を調合したところから事業をスタートした女性なんですけど、「ビジネスと社会貢献は両立する」という彼女の言葉が活動の源泉になっています。いろんな社会課題に対して、自分が携わるビジネスでほんの少しでも貢献していく。そういうキャリアは本当に素敵(すてき)だと思います。

【撮影:百瀬浩三郎】

【特集:あなたのキャリアに一目惚れしました。】
・「生きもの」感覚を大事に、「いい大人」とめぐり会い、「一生考えましょうよ」──中村桂子さん(前編)
・一生懸命に生きている「いい大人」と出会う。そして、一生考えることが、好きになる。──中村桂子さん(後編)
・結婚・出産で就活断念。「予期せぬ出来事」は、キャリアを強くするきっかけになる──太田彩子さん
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天野夏海
編集者、ライター
天野夏海

2009年、株式会社キャリアデザインセンターに新卒入社。求人広告の法人営業、新設の派遣事業部での派遣コーディネーターを経て、WEBマガジン編集部へ異動。働く女性向けWEBマガジン『Woman type』の編集者として従事。2015年退職し、海外生活を経て2017年10月よりフリーランスの編集・ライターとして活動。
現在の主なテーマは「働く」と「女性」。「Woman type」「20's type」「エンジニアtype」などで企画・編集・執筆中。「アルムナビ」編集長、「がんアライ部」事務局メンバー。

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編集者、ライター
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