就職活動を進める中で、いくつかの企業から内定をもらった場合、就職する企業以外には辞退を伝えなければなりません。「内定辞退は電話ですべき?」「理由を聞かれたらどう答えれば良いの?」と、不安に思う学生もいることでしょう。
志望したにもかかわらず、辞退を伝えるのはためらってしまうかもしれませんが、社会人への第一歩として、誠意のある対応をすることが大切です。
今回は、内定辞退の伝え方について、電話やメールの例文を紹介します。また、伝えるときのマナーやメールのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
内定辞退の連絡をする前に
複数の企業を志望したとしても、就職する企業は1つしか選べないので、内定辞退は避けては通れません。しかし、内定辞退の連絡をするときは、さまざまな不安や悩みがでてきます。
・誰に伝える?
・内定辞退はいつまでにすべき? 内定保留は可能?
・内定承諾後でも辞退できる?
このような悩みに1つずつ回答していきます。
誰に伝える?
内定辞退をするときには、電話で採用担当者に伝えるのが基本です。
就活サイトを活用して自分で応募したのであれば、自分で連絡します。人材紹介会社から応募した場合は、紹介会社を経由し、内定の通知やメッセージでやりとりをします。
応募した方法に応じて、必ず企業の採用担当者に連絡しましょう。
内定辞退はいつまでにすべき? 内定保留は可能?
内定を辞退する時期は、応募企業や志望者の状況によって変わるため、一概にいつまでとはいえません。例えば、第1志望の面接の結果待ちで第2志望の内定のほうが早く出た場合は、返事を待ってから入社の返答をしたいと思う人もいます。その場合、採用担当者に事情を伝えれば、ほとんどの企業は保留を承諾してくれます。内定を保留したい場合は、内定を受けた企業の採用担当者に連絡しましょう。
内定承諾後でも辞退できる?
内定を得たあとは、企業に内定承諾書を提出するのが一般的です。内定承諾書とは、内定を得た学生が内定を承諾し、その企業に「入社する」と、誓約する書類のことをいいます。
「内定承諾書を送った後だけど、もう手遅れ?」と焦ってしまう人もいるでしょう。しかし、内定承諾書には法的な拘束力がないため、入社日の2週間前までであれば辞退は可能です。
ただし、内定承諾書を提出した後の辞退は、企業にとって大きな負担です。企業は、あなたの入社の準備を進め、ほかの人の採用を止めていたかもしれません。辞退すれば、その分の人材確保に時間も労力も費やすことになるため、迷惑をかけてしまうということは肝に銘じておきましょう。
内定辞退の理由はどう伝えれば良い?
内定辞退の理由を伝える場合、他社からの内定を伝えても問題ありませんが、失礼にならないような言葉を選びながら伝えましょう。企業は、辞退理由を聞いて次の採用活動に生かしたいと考えているため、明確な理由を伝えることが大切です。
たとえば、「別の業界に就職する」「自分の適性に合った会社に入社する」などと伝えると、角が立ちません。伝え方に迷った場合は、以下の例文を参考にしてください。
【辞退理由の例:職種】
◯◯社の◯◯職の内定をいただきました。その後、自分の適性を見つめ直した結果、◯◯職の仕事のほうが私が希望する職に近いと感じ、決断に至りました。
【辞退理由の例:適正】
最後まで悩みましたが、他社からいただいた◯◯という仕事が、私の強みをより生かせると考え、このような答えにたどり着きました。
【辞退理由の例:勤務地】
地元の企業から内定をいただきました。地域に根差した仕事で力を発揮したいという思いが捨てきれず、決定いたしました。
内定辞退を伝えるときのマナーや注意点
内定辞退では、伝え方やメールの文面ひとつで印象はよくも悪くもなります。できることなら、良い印象のまま辞退したいものです。内定辞退を伝えるときのマナーと注意点には、以下の3つがあります。
・決断したら早めに連絡する
・誠実な対応を心掛ける
・お礼の一言を忘れない
決断したら早めに連絡する
内定辞退を決めたら、できる限り早く採用担当者に連絡をしましょう。早めに辞退する旨を伝えることで、企業側がほかの内定候補者に連絡をするなどの対応が取れるためです。どの企業に入社するか決断した場合は、すでに内定をもらっているほかの企業に対して迅速に電話やメールで辞退する旨を伝えます。
内定を辞退すると、その企業の採用枠に1つの空席ができてしまうため、採用担当者は、次の候補者に連絡をしてその空席を埋めなければなりません。できるだけ早く次の候補者に連絡をすれば、辞退される可能性も低くなります。内定辞退をする場合には、早めに連絡することが相手への最低限のマナーであることを心得ておきましょう。
誠実な対応を心掛ける
内定の辞退を伝えるときは、誠実な対応を心がけましょう。企業の採用担当者に連絡をする場合は、失礼のない言葉で辞退の理由を伝え、おわびと感謝の気持ちを伝えます。基本的にはビジネス上の連絡であるため、長々と話を続ける必要はありません。内定辞退の連絡をするときは、誠意を持って失礼のない態度で臨むことが大切です。
お礼の一言を忘れない
内定を辞退するときは、お礼の一言を忘れずに伝えましょう。企業側は、内定を出すために「時間」と「労力」だけでなく、多くの場合、経費も費やしています。辞退してしまえば、もうその企業と関わることはないと考えがちですが、いずれ仕事上で接点を持つ可能性もゼロではありません。
例えば、電話などで採用担当者に内定を辞退する旨を伝えたあとは、「お時間を割いていただき、ありがとうございました」など、感謝の言葉を添えましょう。
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・内定辞退の連絡方法はメール?電話?手紙?辞退はいつまで?内定辞退のマナーを知ろう
内定辞退の電話をするときのポイントと例文
企業に内定辞退を伝えるときの連絡方法としては、まずは電話を選びましょう。ポイントを押さえながら丁寧に伝えれば、失礼になることはありません。ここでは、電話で連絡するときのポイントと例文を解説します。
電話で連絡するときのポイント
内定辞退の電話をするときには、採用担当者の忙しくない時間帯を選ぶのがポイントです。企業の営業時間や定休日にもよりますが、基本的には平日の日中を選んでおけば、問題ありません。昼休みや始業直後、終業前の時間帯は、忙しくしていることが予想できます。立て込んでいそうな時間帯はなるべく避けて、簡潔に内定辞退の意志を伝えましょう。
電話で連絡するときの例文
お世話になっております。先日、内定通知をいただいた◯◯大学◯◯学部の◯◯と申します。このたびは、内定通知の件でご連絡いたしました。大変申し訳ございませんが、御社から頂戴した内定を辞退させていただきたいと思います。
就職活動を進める中で、他社からも内定をいただきました。最後まで悩みましたが、自分の適性を考え、そちらの会社に入社することを決意いたしました。
選考では貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、申し訳ございません。ご丁寧な対応をしていただきありがとうございました。
内定辞退のメールを作るときのポイントと例文
内定辞退を伝える方法としては、電話以外にもメールがあります。電話をしたものの、不在だった場合などは、メールでもきちんとした文面のビジネスメールを送れば、失礼にあたることはありません。ここでは、内定辞退のメールを作るときのポイントと例文を解説します。
内定辞退のメールを作るときのポイント
メールで内定辞退を伝えるときには、以下の流れで文を構成しましょう。
・お礼
・辞退理由
・おわび
・結び
電話をしたけれど不在でメールをする場合には、その旨も文章に盛り込みます。辞退理由は簡潔に書き、採用担当者に伝わりやすい内容を意識することが大切です。相手に失礼のない言葉を選び、細心の注意を払いましょう。
内定辞退のメールを作るときの例文
お世話になっております。先日、内定のご連絡をいただきました◯◯と申します。先ほど、電話にて連絡いたしましたが、ご不在と聞きましたので、メールにて失礼いたします。
このたび、内定の件でご連絡いたしました。前向きなお知らせをいただきながら大変恐縮ではございますが、内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
就職活動中、他社からも内定をいただいており、自分の適性やキャリアを考えたうえで、そちらの会社で働くことを決意いたしました。お忙しい中、貴重なお時間をいただきながら、ご期待に沿えず申し訳ございません。
◯◯様をはじめとして、選考で対応をしていただいた皆様方には心より感謝申し上げます。末筆でございますが、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
不安を解消したい! 内定辞退でありがちな質問
内定辞退が、ポジティブな行為ではないため、さまざまな疑問や不安が湧いてくるものです。企業に内定辞退をするときに、ありがちな質問には以下のようなものがあります。
・電話したくない! メールだけで伝えても良いの?
・メールの返信がないときは?
・呼び出されたらどうすれば良い?
それぞれの疑問や不安を、1つずつ解消していきましょう。
電話したくない! メールだけで伝えても良いの?
企業に内定辞退を伝える連絡手段は、まずは電話をおすすめします。内定者の中には「電話をしたら、相手から責められるのではないか」と不安を抱く方もいるでしょう。
しかし、企業は内定者の中から一定の辞退者が出ることを想定したうえで採用活動を進めているため、早めに連絡すればそれほど大きな迷惑がかかることではありません。
電話で連絡がつかない場合はメールでも差し支えありませんが、メールだけで連絡するのは、なんらかの事情で正確に内定辞退の意志が伝わらないリスクを含んでいます。送受信トラブルが起こる、採用担当者がメールに気づかないなどのケースもあるでしょう。
電話であれば相手に直接、感謝とおわびの気持ちを口頭で伝えることができます。最後まで誠意のある態度で対応するためにも、できれば電話にしましょう。
メールの返信がないときは?
採用担当者の不在などで、内定辞退をメールで連絡することもあるでしょう。内定辞退のメールに返信がない場合は、「再度メールを送る」もしくは「電話で確認する」の2つの対処方法があります。
メールの返信がないときには、採用担当者が確認していない可能性も捨てきれません。数日たっても返信が届かない場合は、再度メールを送るか、電話で内定辞退を伝えましょう。
呼び出されたらどうすれば良い?
あまり多くはない事例ですが、内定辞退を申し出たときに、採用担当者から呼び出しを受けることがあります。たとえば「詳細を確認したいので、一度来社していただけますか?」と、いわれたとしても要求に応じる必要はありません。
企業が呼び出す目的は、辞退を撤回しようと説得するためとも考えられます。内定辞退を取り消すつもりがないのであれば、辞退する意志が固いことを再度伝えて、「大変申し訳ございませんが、気持ちは固まっているため、訪問はいたしかねます」と、断ることもできます。
おわりに
複数の企業の面接を受ける就活において、内定辞退は決して珍しいことではありません。内定辞退を決断したら、なるべく早めに採用担当者に連絡し、感謝やおわびの気持ちを伝え、誠意のある態度で対応することが大切です。