危険と隣り合わせの現場を守る警備の仕事。その一方で、働く人の待遇や労働環境には、いまだ多くの課題が残されています。そんな業界に「もっと安心して、長く働ける場所をつくりたい」と立ち上がったのが、環和総合サービス株式会社の代表取締役・山田理乃(やまだ あやの)さんです。
中規模の警備会社で垣間見た業界の課題を出発点にして、一人一人が自分らしく働くことができる環境づくりに本気で向き合う山田さん。AI(人工知能)警備などの最新技術も積極的に取り入れながら、人と人とのつながりを大切にする経営姿勢にせまります。記事の最後には、現場の教育や指導を担う管制担当・藤本良平(ふじもと りょうへい)さんにも、日々のやりがいや思いを語っていただきました。
Q1:会社を設立したきっかけを教えてください。
山田:今から10年ほど前、警備会社で一社員として働く中で、この業界が抱えるさまざまな課題に気づかされました。たとえば、危険を伴う大変な仕事であるにもかかわらず、賃金は低く、休日も思うように取ることができていませんでした。人手不足も深刻で、仕事量に対して警備員の数が明らかに足りていない状況が、長年にわたって続いていたのです。
業界全体が苦しい中でも、仕事量を増やすことで給与としての還元を高めている会社はありました。ただ、その働き方がすべての人に合うとは限りません。実際、もっと自分の時間を大切にしたい、プライベートを犠牲にせずに働きたいという理由で、現場を離れていく人も多く見てきました。私自身は長年仕事一筋でやってきたからこそ、そうした人たちの思いを受けとめることができる会社があってもいいのではないかと考えるようになったのです。
そんなときに、当社を立ち上げる話が持ち上がり、私が代表として関わることになりました。自分の生活も大切にしながら、無理なく働くことができる場所をつくること。これが、私が当社を設立した一番の理由です。もともとの会社とは現在も協力関係にあり、いざというときに警備員の働く場所を柔軟に守ることができるよう連携体制を整えています。

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